あなたは不思議な人
どうしてそんなに
人を愛せるの?
愛の詩が書けない 愛の詩を書かない
あの日 愛することをやめたから
あの日 私の中の全ての愛を消したから
あの日 愛する人と心の中で別れたから
あなたの愛を失いたくなかったから あなたを愛することをやめた
あなたの苦しみと私の悲しみと 決別したかったから あなたを愛することをやめた
だから今 私は あなたを愛しながらも 愛してはいません
あなたは今 どうしていますか? お元気ですか? 何を想っていますか?
別れの日から 季節は一巡して 再び あなたと出逢った 秋になりました
今でも あなたの 私を見つめる瞳が 忘れられません
ただ見つめあう恋でしたが 言葉にするより 身体で触れ合うより
どれだけ あなたの瞳に 激しく深い愛を感じたことか
あのとき確かに 私だけのものだった あなたの瞳 今でもずっと 私だけのもの
2006年09月10日(日) |
ピアノの音に抱かれて |
静かに涙を流しながら ピアノを弾く ピアノは すすり泣くように歌う
寂しかった 悲しかった つらかった
さまざまな心の叫びを 優しく 両手で包み込むように抱いて ピアノの音は 天へと昇る
涙を流しているのは 私なのか ピアノなのか
私の心のもやもやを 一陣の風がびゅうと 吹き飛ばしてくれたら
あなたに 笑って さよならが言えそう
僕の海は荒れていて 吹きすさぶ嵐の中 サカナさえ 海の底で震えてる
僕の空は荒れていて 土砂降りの雨の中 ミミズさえ 地面の中で震えてる
僕の空と海は いつになったら 静けさを取り戻すのだろうか もう疲れて 生きているのさえ嫌になってしまう
君しか 僕を救えないのに 君は 僕を救えない
今でも あなたのことを思うと 涙がにじむ
どうしてこんなに 愛してるのだろう
あなたに巡り合えただけで 幸せだったのに
いつも あなたの傍にいたいだなんて 思ってしまう
こんなに愛し合えるなんて きっと奇跡
あなたの言うとおり 私たちは 前世でも愛し合ってたんだね
だから 巡り合えた 愛し合った
だから 離れられない
だから もう これ以上 望んではいけないんだね きっと・・・
あなたと初めて逢った6月
あなたは優しく微笑みながら 私のことを 『紫陽花の天使』 と呼びました
あれから どれだけ月日が流れたでしょう
私は今でも あなたにとって 『紫陽花の天使』のままですか
あのころの私は あなたの愛も 私の愛も気づかずに 無邪気に微笑んでいました
でも あなたの深い愛を知ってから 私の幼い愛に気づいてから 私は 梅雨に咲く紫陽花になりました
毎日 涙の雨を流し 毎日 あなたの愛を求め 花の色を 喜びと悲しみに染め替えていました
あのころの私の心は 天使の白い羽をまとって 彼方に飛んでいきました
だから もう私は 『紫陽花の天使』では ないかもしれませんね
でも 今でも あのころの 私の心を思い出すと 切なくて 涙の雨を流す紫陽花になります
「今から行くからね」 朝早く 母から電話がかかる 病気の私を 心配しているのだ
「来なくて良いよ」 私がそう言っても 母は来ると言ったら 必ず来る
私に少し 強情なところがあるとしたら それは 母親に似たのかもしれない
暑い日であろうと 寒い日であろうと 40分間歩きとおして 私のマンションまでやってくる
前は 私の好物を買ってやってきた 今は 自分の好物を買ってやってくる
来てくれた母のために 私はベッドから起き出して コーヒーをつくり 朝食になりそうなものを差し出す
母は ここに来たいのだ だから ここで しばらく休んでいけば良い
点滴を受けに行った帰り道 一人分のお弁当を買って帰る
母は 美味しそうに食べながら 「けいこちゃんは どうして食べんの?」と聞く 「私はおかゆしか 食べられんのよ」 と笑って答える
母がいると 忙しくなるけど 母がいると 心があったかくなる
まるで内蔵を ミキサーにかけられたかのような 激しい痛みと吐き気が 襲ってくる 汗は 頭の先から足の先まで一気に吹き出し 私は その場に崩れ落ちる
痛みが去ってくれるのを ひたすら待つ
もはや 私を救ってくれるのは 医院しかないと 気づき よろけるように 医院に行き よろけるように 自宅に戻る
優しい人の胸に すがりつくかのように ベッドに倒れ込む
ベッドは私の身体を包み込んで 深く沈み 健康なときには意識しない 自分の重みを知る
優しい人は 私の病を知らない 優しい声を聞きたい 電話をしようか
携帯電話に伸ばしかけた手は 方向を変え 吹き出る汗を拭うための タオルを掴んだ
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