詩集 ”心の扉をひらいて

2006年08月16日(水) 私の帰る場所

彼は「遠く」から帰ってきて
また「遠く」へと戻っていく

彼の帰る場所はここではなくて
「遠く」だ
私の帰る場所は「遠く」ではなくて
ここだ

私の帰る場所
一人で眠る場所

前は 広すぎると思っていたが
今は ちょうどいい大きさだ

彼がまた 「遠く」へ帰った日
私は ちょっぴりセンチメンタルになる
 
 



2006年08月07日(月) 洗濯物

母が畳んでくれた洗濯物

綺麗に行儀良くまとまって
洗濯籠の中に収められていた

年齢相応よりも
物忘れの度がかなり進んでいるとの
医者の言葉に

やはりそうなのかという思いと
そうであって欲しくないとの思いとが
胸の中を交差し
目の前に座る母を見つめる

最近は
母の顔つきも少し変わってきたが
それでも
昔の優しい笑顔は決して忘れることはできない

いつの日か
私たちのことも分からなくなる日が
来るのだろうか

そのとき私は
母とどう向き合えばよいのだろうか

きれいに畳まれた洗濯物を見ていると
胸がいっぱいになり
涙がにじむ

 



2006年06月25日(日) あなたが突然

あなたが突然
キスをする

二人で食べた
パスタの味がした

あなたが突然
後ろから抱きしめる

私は目を閉じて
綿菓子になった

あなたの愛に
溶けてしまいそう



2006年06月18日(日) 絵の中の私

絵の中の
淡いバイオレットのドレスを纏った私

パープルからブルーへと
グラデイションに暮れていく異国の空

ピアノを弾きながら
ピンクのワインを飲みながら
いったい 誰を待っているのだろう
 
問いかけてみたい
絵の中の私に

問いかけてみたい
絵の外の私に 
 
 
 



2006年06月17日(土) 恋を忘れたスカーレット

恋をして
 愛して
 爽やかでいて
 しかも
 内面は溶岩のように
 燃える・・・
 理想ですね

って
あなた
それは 私のことを言ってるの?

それとも
そのようであれって 言ってるの?

今は
恋を忘れたスカーレットかもね?
この私・・・
  
 
 



2006年06月16日(金) さまよう

愛されているという確信
それはあるはずなのに

どうして私の心は
こんなに浮遊しているのだろう

何かを求めて
さすらっている

行くあてもなく
とまどっている

虚無の中を
ただよっている

来世に望みを掛けて
さまよっている


しっかりおし
私の心

 
 



2006年06月15日(木) 何億光年も離れて

あなたを一心同体に
感じるときもあれば

今日のように
何億光年も離れているように
思えるときもある
 
 
 



2006年06月14日(水) スイトピー

スイトピーは私の部屋の
あなたがくれた花瓶の中で
いっぱいに微笑んでいます

淡いピンク
淡いイエロウ
淡いパープル

淡い恋の色
初めての恋は
こんな色だったのでしょうか

フリルのドレスが好きだった頃を
思い出します

スイトピーを見ていると
また 恋をしたくなります
 
 
 



2006年06月13日(火) 共有

小さな鳥が
頭を振りながら
尻尾を振りながら
ツツツツと
空き地を歩いている

車の窓から
私が見つめているのも
気がつかないで
無心に餌を探している

あっ ミミズを見つけた
パクリと飲み込んだ

この静かな時間
小鳥と私だけが
共有している
 
 
 



2006年06月12日(月) 海の見える公園

詩を書きたくなると
海の見える公園へ行きます

そこは
いつもと違った時間が流れていて
いつもと違った私がいて

なにかしら心が
海のように穏やかになるのです



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月と海