little by little
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彼との電話代が高くつくので、 新しくWillcomを買った。
付き合ってもいないのに。 彼はもうわたしを好きじゃないのに。
バカだなって思うけど、 バカなことをしていたいのだと開き直るしかない。
それでも、彼から電話がくることはないだろう。 彼はわたしに興味なんてないのだから。
どうして自分を惨めな位置に置いてしまうのだろう。 いつまで経っても「愛乞食」だ。
2009年04月29日(水) |
ファイナルアンサー? |
話題になっている映画を恋人と観に行った。
ラティカと二度目の再会を果たし、 「一緒に逃げよう。」と話すジャマール。 「どうやって生きていくの?」 「愛がある。」
恋人は其の瞬間、鼻で笑った。
そうね。 わたしもそう思うよ。 愛でゴハンは食べられない。
でも、じゃぁなんでわたしたちは、 絵に描いた餅を捜し求めるのだろう。
全部、否定された気になって。 思い出しては涙ぐむけど、 泣きはしない。
泣くのは、悔しいから。
なんでもかんでも甘やかして欲しいわけじゃないし、 悪いことはちゃんと叱ってもほしいけど、 でも昨夜のことも、其れ以前のことも。 やっぱりずっと腑に落ちなくて。
それは、そこに愛情がないから、なのかなとか。
でも、わたしがそんな風に感じてることは、言わない。 どんな風に言葉にしても、 多すぎたり少なすぎたりして、 わたしの思う「まっすぐ」に伝える自信がないから。
ジョージクルーニーが出ている映画を、恋人と観に行った。 恋人は上映中、終始つまらなそうにしていた。
「意味のない映画だ。」と吐き捨てるようにつぶやく恋人に、 「彼だったら、一緒に面白がってくれたと思う。」と本音を溢したわたし。 更に不機嫌になる恋人。
恋人の食べるポップコーンの音のほうが、 ずっと「つまらない」とわたしは思ったよ。
なんて、言えない。
・・・という小説があって。 夫はホモで、妻はアル中で、 夫の恋人(男性)との三人の、 奇妙でリアルな関係を描いた小説なんだけど。 リアルだと思うのは、わたしだけかもしれないのだけど。
「オンナって何でも持ってるオンナの方が欲張りなのはなんでなんだ。」と、 それとは違う何かの本に書いてあった。
わたしもたぶん欲張り。 可愛い家族もいて、 可愛がってくれる「恋人」もいて、 愉快な友人がいて、 期待してくれる上司がいて、 少なくも多くもないお給料も貰っていて、 美味しいお酒と肴を提供してくれる馴染みのお店があって、 とりとめもない感情をただ聞き流してくれる「彼」がいて、 こんなわたしに興味を抱いてくれる奇特なオトコノコがいて、
だけどいつもなにか足りない気がしてて、 わたしが失くしたものは、もう永遠に手に入ることはない。
彼のことを忘れられないわたしは、 ひとつだけ、ルールを決めた。
自分からメールをしない。
彼からメールがきたら返事をする。 どんなに話したいことがあっても、自分からは送らない。
そう決めても、意志薄弱なわたしは、 何度も何度もメール作成画面を開いては閉じる。
彼からは、メールはこない。
久し振りの「オオハズレ」 午前中に一日分の仕事を終わらせて、 午後半休を貰って帰宅。
彼にメールを送る。
「しんどいけん、午後半休とって帰るわ。」
「もう○町に休むとこないから頑張って帰るんだよ。」
○町は、彼の家があったところ。
泣きそうになったよ。 そうだねぇ。 もうあの部屋はないね。 二人で育てたワイルドストロベリーも、わたしが枯らしたよ。 あの部屋は、もう違う誰かが住んでる。
忘れたいような、 忘れたくないような。
今、此処にあるものと、此処にないものが全て・・・だね。
北朝鮮はミサイルを発射して、 日本は平和だなんて惚けて。
わたしの日常は続いていく。
「また会いたい。」
「俺も会いたいよ。」
其れが社交辞令だって、 其の言葉を励みに生きていけるような気がした。
「つまらん旅しようや。 フツーに生活してたら縁のないようなとこに行こう。 雉葉とだったらそれも楽しいと思うんだよね。」
行き先は、此の前やっと決まった。 コンセプトは「つまんない」 8月の暑い時期に、彼と再会する。
恋人とは、今も時間があえばゴハンを一緒に食べる。 共通の友だち含めてみんなで呑むこともあるし。 「別れてない。」と言い張る恋人と、 「別れた。」と突っぱねるわたし。
8月の旅行のことを恋人に話したら、 「二度目はないよ。」と言われた。
・・・気付いてたのかなぁ。 お坊ちゃんでのんびりしたとこのある恋人だから、 わたしが打ち明けない限り、 彼とのことは気付かないとタカをくくっていたのだけど。
***********
だいぶん端折ったけど、現在においついたので一息。 これで書きたい「普段の気持ち」を書いていける。 彼も恋人も友だちも、 誰も見てない古巣で気持ちを吐き出したかった。 新しくBlogってやつを作ってもよかったけど、 Web2.0(笑)の世界は、mixiだけで十分で、 やっぱり此処が居心地いい。
それから彼は、こまめにメールをくれた。 亡くなった友人のことで、 わたしが気落ちしていると気に掛けてくれていたのだろう。 どんな理由でも繋がっていたかったけど、 気を遣わせているのは、どこか心苦しかった。
恋人には、少し距離をおきたい・・・とお願いした。 東京でのことを話すのは簡単だったけど、 それはわたしの自己満足にしかならないし、 わたしひとりがラクになるだけだから言わなかった。
暫くして、恋人には別れ話をした。
距離をおこうと決めたときから、 そのつもりだったし、 問題を先送りにしていただけだったけど、 どんなに時間を置いても、 もう以前のように自分を誤魔化しながら付き合うことはできないと気付いてしまったから、 別れる以外の選択肢は、みつけられなかった。
此の二年間。 彼には彼の時間があって、 わたしにはわたしの時間があった。 わたしの知らないところで、彼は誰かにときめいたり、 誰かを抱きしめたり、 誰かに恋をしていたのだろう。 ・・・わたし以外の、だれか。
わたし以上に誰かを好きになったりできないと言ってたことも。 同じようなセリフをまた違う誰かへ囁いて、 泣いたり怒ったり悲しんだりしたのだろう。
恋人と付き合っていても、 恋人に恋していなかったわたしは、 ずっとココロの奥底で彼も、 きっとわたし以外のだれかに恋したりしないだろうと、 幼く淡い期待を抱いていた。
それがそうじゃなかったと彼の口から聞いたとき、 泣くに泣けなかったわたしの気持ちなんて、 彼はもう想像すらできないだろう。
それでも、彼との細い糸を断ち切る勇気を、 わたしはもつことができない。
どうして彼じゃなきゃだめなのかなんて、 理由なんてどうでもよくて。 どうしても彼が好きなんだ。 三年前から、ずっと。
たくさんのお土産と重たい気持ちを乗せて、 飛行機は予定通り空を飛び、 何事もなかったかのように「日常」へ誘う。
車でお迎えにきてくれた恋人と、 共通の友人の息子くんのお誕生日だったから、 そのまま友人の家へプレゼントを渡しに向かった。
亡くなった友人のことや、東京での出来事は、 わたしの中で消化不良のまま残っていて、 恋人のどんな優しさも、 素直に受け止めることはできなかった。
恋人は、わたしが亡くなった友人のことだけで、 気落ちしているのだと思って優しくしてくれていたけど、 本当はそれだけじゃない。 でも、そんなこと言えるはずもない。
会わなきゃよかった。 会わなきゃ、忘れたままでいられたのに。 なんでもないようにして、 それなりの毎日を送っていたのに。 本当の気持ちなんて、掘り起こす必要なんてなかったのに。
会わなきゃ、よかった。
国立を後にして、羽田空港へ向かった。 どうしても別れ難くて、 東京駅から地元へ帰る彼に、 「無事羽田まで辿り着けるか不安だから!」と 無理やりついてきてもらった。
「一生のお願い!もう会うこともないんだからいいでしょ!?」
自分で言って、勝手に傷付いた。
「そりゃそうだけど。」
否定、してほしかった浅ましい自分に、また傷付いて。 わたしの中の矛盾は、大きくなるばかり。
もう・・・会えない。
羽田で食事をとって、お茶をして。 お土産買って、荷物を預けて。
もう会えないのに。 言いたい言葉はたくさんあるはずなのに。 なにひとつカタチにならないまま。
さよならをした。
翌日、新宿を後にしてふたりで国立へ向かった。 友人の仏前参りのために。
友人が愛したであろう街は、 まだ三月の初めだというのに、 一本だけ、桜が咲いていた。
彼は後に、其の日のことを、 「友人が二人の再会を祝福してくれているようだった。」と言った。
ねぇ。 でも知らないでしょ。 友人は、わたしが恋人と付き合ってること、 安心してたんだよ。 「現実と仲良くしてる雉葉を見れて嬉しい。」って。
ずっと彼とわたしのことを応援してくれていた友人は、 昨年末、自ら此の世を去った。 元AV女優さんの訃報の一日前のハナシだった。 たくさん思うところもあったけど、 出てくる言葉は「バカ」ばかりで。 可愛い彼女や、優しいご家族や、仲間たちを遺して、 彼は向こう側へ旅立った。
泣かない、つもりだった。 泣かないと、思ってた。
だけど友人のご両親のお話を伺いながら、 涙は止まらなかった。
友人の家を後にして、駅に向かう道すがらも、 ぐずぐず泣いてばかりで。 傍から見れば彼がわたしを泣かせているようにも見えただろうな。
だけど、友人とのことがなければ、 わたしたちがまたこうして同じ時間を過ごすことはなかったよね。 「友人の置き土産」というのがふたり共通の認識。
不謹慎、だね。 わたしはやっぱり、幸せになる気はないみたいだよ。
恋人とは、あまり身体の関係はなかった。 恋人のことを可愛くは思えど、 ときめいたり・・・なんてことはなかったから、 長年連れ添った夫婦のように、 みんなでお酒を飲んだり、 二人で美味しいものを食べに行ったり、 それが楽しかったし、それでよかった。 一年のお付き合いの間で、 それはずーっと変わらなかった。 最初から「縁側でお茶を飲んでるような関係」 わたしには、その距離がちょうどよかった。
三十歳も近づいてきて、 性欲も枯れたかなぁなんて、 友達には、笑って話してた。
恋人は、そんなわたしにもとても優しくて、 つい呑みすぎて終電を逃しても、 夜中だというのに迎えに来てくれて、 家まで送ってくれた。
わたしの友達のことも、 反対方向なのに「ついでだから」と送ってくれて。
変則勤務の仕事に就いているわたしに会うためだけに、 折角のお休み、たった一時間弱、一緒に居るために、 一時間かけて会社まできてくれたり。
出来得る限りの努力をしてくれていたと思う。
たくさん我慢だってさせていたと思うし、 背伸びだってさせてたと思う。
だから、当たり前だけど、 一年の間、浮気なんてしなかったし、 恋人と友だちと仕事と。 それなりに色々あったけど、 全て上手くいってたと思う。
東京に行くことは、恋人にも話していたし、 彼と会うことも告げていた。
「信じてるから。」
信じるしかない恋人は、 きつく抱き締めながら、そう言った。
「大丈夫だよ。」
そう思ってたんだよ。 本当に。
でも、東京に行かなきゃよかったね。 行かなかったら、今もあの頃のままだったと思う。
ごめんね。
他愛無いハナシは、続く。 時計の針も、進んでいく。
・・・抵抗したのは、わたしに「恋人」がいるという理性なのか。 彼に、「いいひと」がいたことによる拒絶なのか・・・。
嫌だったわけじゃない。 全く望んでなかったといえば、 其れも嘘だと思う。
二回目のキスは、抵抗しなかった。 其れを望んだのは、わたしだと思ったから。
「恋人」のことも、彼の「いいひと」のことも。 頭の片隅においやって、 彼の腕の中で思っていたことは、 二年前とは、お互いに変わってしまったという事実。
此の人、こんな風にわたしを抱いてたっけ。
二年の月日は、彼にわたしを忘れさせるには十分だったという現実。
本当に、もう二度と会えなくて、 本当に、もうわたしを好きじゃなくて、 本当に、もう戻れないの?
聞けるはずもない。
ホテルに戻ってシャワーを浴びる。 彼は野球に夢中だった。
彼の隣に行って、足元でじゃれていたい。 でも、そんなことはできない。
付き合ってすぐ、ふたりで横浜に行った。 部屋から見える観覧車は花火のようで綺麗だった。 あの頃には、戻れない。 わたしがどんなに望んでも。
明日には、ふたりまた離れ離れ。 それが「当たり前の日常」
「明日」なんて、ずーっとこなければいいのに。
眠るのが勿体無くて、 眠りたそうな彼を一生懸命邪魔した。
だけど時間は過ぎていく。
不意に「いいひと」とのことを彼が話し出す。 ハナシを聞く限り、とても素敵な人で、 その事実は、悲しすぎた。 だけど茶化すようにしか相槌はうてなくて。 本当は、もう耳を塞ぎたかったし、 彼の口だって塞いでやりたかった。
だって、其の口で、二年と少し前までは、 わたしに愛を囁いていたのに。 だって、その掌は、二年と少し前までは、 わたしの髪を撫でていたのに。
新宿まで付き合ってくれた友人を見送って、 彼とふたり歩く。
手を繋げないわたしたちの距離は人の波で広がっていく。
人混みを上手く泳げないわたしの手を引っ張ってくれる人は、 もう彼じゃないから。 少しずつ小さくなる背中を、 見失わないように追いかける。
共通の友人と夜に呑む約束だったから、 それまでホテルで落ち着くことにした。
まだお互いに少しぎこちなくて、 コンビニで買った安い缶チューハイを片手に、 今夜の野球のハナシや、今夜会う友人のハナシをした。
結局、友人とは会えなくて。 ふたりでオープンしたばかりの居酒屋で呑み直した。 いくら呑んだって酔えなくて。
二年前より「オトナ」でいたかったから。 我侭も言わないし、泣き言もいいたくなかった。 「逞しくなったね。」なんて、最高の褒め言葉。
わたしだけが立ち止まったままで、 わたしだけが未だに彼を好きだなんて、 コメディーにしても笑えない・・・でしょ。
グラスの中で音を立てて踊る氷を、 指でかき混ぜて溶かす。
彼の心も溶かすことができればいいのに。
そんなことばかり、考えてた。
新宿駅に着いたとき、 あまりの人の多さに、げんなりした。
わたしの住む町は、田舎で。 お祭りのときくらいしか、こんなに人は溢れない。
先に新宿に着いていた彼に電話をして、 友人と三人でルノアールでお茶をした。
二年振りの再会は、照れくさくて。 向かい合うでもなく、隣り合うでもなく。 彼の斜め前の席に、わたしは座った。 彼の顔を見ることは、なかなかできなかったけど、 優しい声は、あの頃と何も変わってはいなかったし、 だけど、だからこそ、あの頃の二人ではないという事実は、 わたしの胸を苦しくさせた。
同じホテルに泊まることにしてたけど、 其れは、わたしがもう彼をなんとも思っていないから平気だと思って選んだことで、 わたしは嘘を吐くのがとても上手なので、 時々、自分自身さえ上手に騙し過ぎて、 大切なことを見失ってしまうのだろう。
だって本当は、まだこんなに彼に焦がれていたのだから。 でも其れを認めるわけにはいかなかったから、 言い訳するかのように繰り返した。
「あれは恋じゃなかったし。わたしはアナタを好きだったわけじゃなかったと思う。」
それに、わたしには「誠実な恋人」がいたし、 彼にだって・・・。
だからそんな風にして諦めるしかなかった。 手を伸ばせば届く距離は、余計に悲しくなったけど、 悲しい顔なんてできるわけもなかったから。
アイス柚子ティーは、汗をかいていて。 其れはわたしが流せなかった涙の代わりのようだった。
再会は、二年振りだった。
二年前に比べれば、 彼は少し太っていたし、 二年前に比べれば、 わたしのお化粧は濃くなっていた。
大好きで、愛しくて、全てが欲しくて、 だけど、なにひとつ手には入らなくて・・・。 どんなに望んでも泣いても喚いても、 きっともう二度と逢えないと思っていた彼との再会は、 共通の友人の仏前参りに訪れた三月の東京でのハナシ。
二年間、全く連絡すらとっていなかったわけではなかった。
何度も逢いたいと思った。 広島駅でのあの夜が最後だなんて思いたくなかった。 でもそれは叶わなくて、わたしはずっと空回りだった。
時間は流れ、わたしには「誠実」な恋人ができた。 彼にも「いいひと」がいるのだろう。 電話は、たまにしてたけど、 もう「逢いたい」なんて言うことはなくなった。
あれは、あの日々は、あの想いは・・・ 全部間違いだったということにすることでしか、 わたしはわたしを慰める方法を知らなかった。
恋人は、誠実で優しくてマジメで・・・。 なによりわたしを好いてくれていたし、 わたしは恋人に焦がれることはなかったけれど、 此の歳になって、愛だの恋だのに想いを馳せるほど幼くはなかったから、 ・・・少なくとも其の時は、そう思っていたから、 恋人と一緒に居る自分を嫌いではなかった。
だけど、三月の東京の風は、まだ少し冷たかったし、 広島に比べて多すぎる人波は、 彼との時間を蘇らせるには十分過ぎた。
繋ぎたくて仕方なかった手は、 やっぱりまだ遠くて、 服の裾を掴むのが精一杯だった。
大好きで、愛しくて、全てを欲しいと望んだ彼は、 数十センチの距離で、わたしの斜め前を歩いていた。
それは、三月のまだ肌寒い東京でのハナシ。
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