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しもさんの「新聞・書籍掲載文」
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1997年09月27日(土)
「自然との会話」共生に不可欠(39歳)

静岡新聞 夕刊(読者のことば)

中学校の修学旅行以来の金閣寺、銀閣寺を訪れた。
何十人ぶりに訪れた金閣寺、銀閣寺は、中学生の時、
脳裏に焼き付けた大きさより、予想外に小さかった。
今回、のんびり歩いてみると、
庭園のコケがきれいにそろっていることが気が付いた。
その庭園を、多くの老人が丁寧に作業していた。
「ご苦労さまです。ところで、何をしているのですか」と
声を掛けてみた。
返ってきた答えは「落ち葉を拾っているんだよ。
そのままにしておくと、コケが死んでしまうから。
このコケも自然だけでは保存できない。
人間が助けてやらないと」という意味の京都弁であった。
「人間と自然の共生」
頭では分かっていても、なかなか理解できなかった共生の意味が、
こんな老人との会話でヒントを掴むことができた。
彼らは、この作業をとても楽しそうにしている。
「将来の子供たちに、この景色を残したいんだ」
という意味の京都弁が、妙に新鮮に聞こえた。
自然を残す、ということは、簡単そうで難しい。
共生とは、共に生きることであるから、私たちのできることは何か。
自然との会話をするところから始まる気がする。



1997年09月17日(水)
北海道でみた真の住民参加(39歳)

東京新聞 朝刊(発言)

仕事で北海道を訪れた。
以前から、北海道のまちづくりに関心があったので、
大変興味を持って視察できた気がする。
あんなに広大な土地があり、
まっすぐな道路が延びている北海道でも、
本州のまちづくりと同じ悩みを抱えていることも知った。
人口の減少、郊外大型ショッピングセンターの進出による
市街地の空洞化など私には想像できない北海道であった。
そんな中、「ワイン」でまちおこしをした池田町を訪れ、
得るところが多かった。
ブドウの収穫は短い時間に大量のブドウを摘まなければならない。
猫の手も借りたい忙しさという。
そんな作業を手伝うために池田町の中学校には、
授業としてプログラムされていると聞き驚いた。
彼らが卒業する時、まちではテーブルマナーを実施し、
感謝の意を表す。
もちろん成人式には、ワインで乾杯なのだろう。
最近、流行語に近い状態で頻繁に使われている
「住民参加」という言葉の意味を教えていただいた。
形だけの住民参加ほど、行政の手を煩わせることはない。
本当の住民参加とは
住民を本気にさせる「仕組み」であることを知った。