ちゃんちゃん☆のショート創作

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毛利小五郎という人物(1) 名探偵■ナン
2005年06月01日(水)

 世間でもてはやされている、今話題の名探偵・毛利小五郎。
 だけど私はそれが、他の人間によって作られたカモフラージュだと言うことを知っている、数少ない人間の1人だ。

 鋭い名推理を持ちながら腹話術師に甘んじねばならない「工藤新一」のためにあつらえられた、哀れな操り人形。それが、私の毛利小五郎像。
 ───そのはずだったのに・・・。

  ***************

 久しぶりの母校で起きた殺人事件を無事解決した後、工藤君は倒れた。
 それはつまり、私の作った解毒剤がまだまだ不完全品と言うことだけど、まだ効果は継続中で。「工藤新一」に戻った彼の代わりに、私・灰原 哀は「江戸川コナン」として、この家にやって来た。

 この、毛利小五郎探偵事務所へ。

 今ここにいるのは、家主で探偵事務所所長の毛利小五郎と私だけ。いつも「彼ら」と一緒にいるはずの蘭さんは、工藤君を心配して学校からそのまま工藤宅へと、同行しているのだ。


「・・・ったく、蘭の奴・・・。今までほったらかしにされてたくせに、いきなりあいつが久しぶりに現れたからって、いそいそと世話焼くなよ。これじゃあ、あいつを図に乗らせるだけじゃねえか・・・」


 毛利氏の表情は不満たらたらである。
 無理もない。何せ蘭さんは今、私たちのことより工藤君のことを最優先にしていて、もうすぐ夕食時だと言うのに帰ってくる気配がないからだ。
 とは言うものの、不平を言っていても仕方がない、と彼はおもむろに電話そばにある薄いノートのようなものを取り出し、私に言う。


「ってわけで、久しぶりに出前でも取るか。コナン、お前何が食べたい?」


 ───一瞬、私は困惑する。

 何故なら食事をするのなら、変声機付きのマスクを外さなければならないからだ。むろん、たったそれだけで「今の江戸川コナン=灰原哀」だとバレる恐れはないものの、毛利氏の前で少しでも声を出せばたちどころに、私の正体が露見してしまう。

 一番良いのは食べないことだろうが、それはかえって不自然だ。となると、あとは毛利氏の見えない場所で「処理」するしか方法はないだろう。運のいいことに今現在の「江戸川コナン」は、風邪を召しているのだから。

 ・・・初日からこの調子では、後が思いやられる

 けれど私は、せいぜい子供の遠慮を装うことにした。


「ううん、ボク今は食べたくない。喉痛いし。レトルトのお粥とか、そう言うのあったら自分で暖めて後で食べるから、おじさん自分の分だけ頼んでよ」


 すると毛利氏は少し眉をひそめ、手の中のメニュー───さっき薄いノートだと表現したもの───をヒラヒラさせながら言葉を続ける。


「・・・そう言うなって。知ってるだろ、お前も。この店本来なら、出前は2人前からってことになってんだ。だから以前、一人分だけ頼んだら露骨に嫌がられたじゃねえか。あの二の舞はゴメンだぜ」
「そ、そうだったね・・・」


 確かに、一人前だけの注文を請け負っていたのでは、採算が合わないだろう。
 昨今のデリバリー界のサービス悪化を心中で嘆きつつ、どうやってこの場をしのごうか、と悩み始めた私だったが。


「・・・お前、本当にいらないんだな? 今からその調子じゃ、食いっぱぐれちまうぞ?」


 その、妙に低い声に。
 何やら含むようなものを感じた私は、恐る恐る毛利氏の顔を見上げると。
 私をしっかりと、正面から見つめている彼の目は、さっきまでのふざけたものではなくなっていた。

 ───イヤな予感に。
 背中に冷たい汗が流れる私に構わず、毛利氏は手の中のメニューをもてあそびながら言葉をつぐむ。淡々と。


「・・・この店はな、最近出来たばかりの、1人前でも笑顔でお届けします、ってのがキャッチフレーズの店なんだよ」
「え・・・・・?」
「大体、初めてこの店を利用した日のこと、覚えてねえのか? 確かあの時は、蘭の奴が学校での用事で遅くなる、ってんでお前の分と注文しようとしたら、たまたまお前が博士のところへ行くって日で。さすがに初めての店で俺一人の分を頼むのも何だし、って迷ってたらお前、言ったじゃねえか。
『じゃあ、蘭姉ちゃんの分も頼んでおけばいいよ。疲れて帰ってくるのにすぐ食事の用意、って可哀想じゃない。丼ものなら、後で暖めなおせばいいでしょ?』ってな。
・・・何でお前、今日はそう言わねえんだ・・・?」

《続》

**************

※ハハハ・・・ついにやってしまったぜい☆ 原作のどの話辺りを題材にしてるかは、分かりますよね??
 コナンとして毛利探偵事務所にいるはめになった哀ちゃんだけど、大丈夫だったのかなあ? と思いまして。「風邪気味=お風呂は入れない」から性別はばれないものの、色々と気遣いしなくてはいけないでしょ。だからあるいはこんな可能性もありかな? とか思って書いた次第です。
 もちろんちゃんちゃん☆ が、毛利小五郎氏を贔屓しているのも、執筆の理由の1つではあるんですけどね(^^;;;)とてもじゃないけど、ありえない話だし。

 原作ですけど現在、とんでもない展開になってきているようで。まさか小五郎のおっちゃんが命を狙われる羽目に陥るとは・・・(T_T)ジンの言葉も気になるし。久しぶりに「コナン」アニメ録画、再開しましたわいv

 この続きは後日に。とりあえずこのレンタル日記が勿体ないのでここに置きますが、完結次第HPにも転載予定です。ご了承ください。




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