500文字のスポーツコラム(平日更新)
密かにスポーツライターを目指す「でんちゅ」の500字コラムです。

2004年08月05日(木) ツネオくん物語

 お金持ちでガキ大将のツネオくんは、いつも5人のトモダチと遊んでいました。ツネオくんは、いつもゲームの途中でルールを勝手に変えたりするワガママな性格だったので、5人はいつも内心「面白くないなぁ」と思っていましたが、ツネオくんと一緒にいると彼の持っている甘いお菓子が食べられるので、仕方なく言うことを聞いてきました。
 ある日、同じクラスのとても貧しい6人組が、ツネオくんに「僕らとも一緒に遊んでよ」と言ってきました。もちろん6人もツネオくんが好きなのではなく、貧しくて飢え死にしそうなのでお菓子にありつくのが目当てでしたが、手下は多い方がいいと思ったツネオくんは、一緒に"遊んでやる"ことにしました。でも12人では人数が多すぎてお菓子の分け前が少なくなると思った強欲なツネオくんは、「2人死んで4人になったら仲間に入れてあげるよ」と言いました。すると貧しい6人組はお菓子欲しさに、なんと2人を殺す相談を始めてしまいました。
 でも、その様子を見ていたクラスメイトや他のクラスの子たちは、「2人殺すなんてひどすぎるじゃないか」と口々にツネオくんをなじりました。でもツネオくんは「放っておいたら6人とも飢え死にしちゃうだろ。オレは生き残ったヤツだけでも助けてやろうとしてるだけだ!」と平然と言い放ちます。それに「たかが他のクラスのヤツらが何を言おうと関係ないさ。生意気言うな」とも。
 ツネオくんは、もともと一緒に遊んでいた5人にも「なぁ、そうだろ?」と同意を求めました。でも、5人は今度ばかりは違いました。「2人殺すなんてよくないよ。ツネオくんがお菓子を独り占めしないで初めから平等に分け合ったらいいじゃないか!」と言い返す者が出てきたのです。
 実をいえば、5人はこれまで自分のお菓子の分け前が減るのがイヤだったので、貧しい6人組を仲間はずれにしてきたのですが、自分の欲のために2人も殺すというツネオくんの考えには、もう我慢がならなかったのです。
 自分の思いどおりにならなかったツネオくんはひどく怒りました。「ボクんちはお父さんがたくさん苦労してお金持ちになったんだ。そうしてやっと甘いお菓子を食べられるようになったのに、なんでみんなに分けなくちゃいけないんだ!」。困った時は助けあうということを学んでこなかったツネオくんには、みんなの言うことが理解できません。苦労してお金持ちになったのは、自分じゃなくてお父さんなのにね。
 さて5人に逆らわれたツネオくん、面白くないので、なんとか彼らを困らせてやろうと悪知恵を巡らせました。そして「言うことを聞かないなら、貧しい6人の方とだけ遊んで、お前たち5人にはもうお菓子をやらないぞ」と脅すことにしました。
 でもね、あれあれ、ツネオくん。はじめは「みんなを助けようとしてるだけ」って言ってなかったっけ?あれってやっぱりウソだったんだね。ホントは言うことをきく家来が欲しいだけ、なんだよね。自分がいつもお山の大将でいたいだけなんだよね。そんなこと、初めからみんな知ってたさ。
 そう、もうみんなツネオくんの脅しには屈しません。5人は、仲間になりたきゃ死ねと言われた6人とも話をしました。「目を覚ませ!このままじゃ、ずっとツネオの手下になっちゃうだけだぞ!」。欲に目がくらんでいた6人も、この言葉にやっと我に返りました。そして、11人で一緒になってツネオくんをボコボコにやっつけました…とさ。

最後は希望が入っているけど、実際はどうなることやら。しかし、こんな寓話、子どもには聞かせられんな。あまりにも醜くて。


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