つたないことば
pastwill


2005年09月18日(日)  

白い雲は風に吹かれて消えた
あなたは一緒に何処へ運ばれたの?

傷つくことに恐れはなくて
守ることで何かを得ていた
緩やかに緩やかに
生き急いだあなた

何よりも疾く
何よりも美しく
何よりも果敢無く

空と海の曖昧な境目の果てに
あなたが居るならそれでいい

あなたを陰らす雲など要らない

白きものは一つ この手に

最初で最後の手紙


2005年09月04日(日)  

ずっと一緒に居られるなんて、
そんな事最初から思ってなかった
だってあなたは掴む事の出来ない
風のような人だったから
共に重ねた歳月は長いようで短く、
やがて薄らいで、忘れてゆくのでしょう
別れはいつだって突然だから
だから、思い出はここに置いてゆきます
たとえ何もかも失くしてしまっても
それなら生きてゆけるから、笑えるから

心からあなたを想う


2005年09月01日(木)  バイバイ 長い夢

ああ、元より。これは長い夢だったのかもしれない。
がらんどうになった部屋を見て、ふとそう思った。
あの男は何も残していかなかった。
家具も、衣服も、その気配すらも、すべて消えた。
押入れの中にあの子の姿さえ見つけられず、ただ応接間で
あったはずの部屋で呆然と佇む。定春はどこへ行ったのか。
何の痕跡もなくなった部屋は気が狂いそうになるほど静かで
寒い。暗い。この家ではそんなこと感じた事なかったのに。

「本当にいなくなっちゃったんだなあ」

呟いても返事は返らない。
外の喧騒だけが酷く耳につく。

うるさい、うるさい、うるさい!
本当に聞きたいものは聞こえやしないんだ、いつだって。

がらら、と戸を閉めて乾いた音がする階段を下りる。
もうここには来ないだろう。そんな気がする。

バイバイ、長い夢。
きっとまた夢見てやるから。
どこかで。



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