つたないことば
pastwill


2002年12月26日(木)  Dear

さようなら僕の居場所
さようなら僕の記憶の欠片
さようなら僕の命の片割れ

いつか君と見上げた空の蒼さ
いつか君と見届けた橙色の夕暮れ
いつか君と見つけた白い尾の流れ星


僕は決して忘れない


2002年12月22日(日)  遺書




はたけカカシ
忍者登録番号009720






この手紙を読んでいるということは
すでに僕の死亡報告が里に伝わり
僕の遺体は解体されたかと思います

僕はこの手紙を書いた翌日
Sランクの任務に就きます
Sランク任務はすでに数回こなしており
義務付けられている遺書を書くのも
幾度目かになりますが
今回ばかりはいつもと違う気持ちで
この手紙を書いています

僕は今年初めて下忍の担任になりました
初めは面倒とも思いましたが
あの子達と接してゆくうちに
教えてるのではなく
自分も教えられているのだと
思い知らされました

幼い頃から大人に混じって
危険な任務をこなしてきた自分としては
随分とたくさんのことを学び
悟ったつもりでした
しかしそれは自分が勝手に作り出した
思い込みであり虚像でした

あの子達は本当に良い子です
きっとこの里の忍びの在り方を
守ってくれることでしょう
僕が死亡した場合
適任の担任をつけることを希望します


最後に私信ですが書き残しておきます



×××へ(黒く塗潰して有り判別不可能)

ナルトにもサクラにも教えていない殺人術を
君にだけ教えてしまったことを
今はすごく後悔している
本当は教えたくなかった
ナルトにもサクラにも君にも
教えたくなかった
結局のところ僕は君の復讐の後押しをしてしまった
思い残すことなんてないけど
ただそれだけが死ぬよりも辛い
願わくばその殺人術を
里のために
大切な人のために使ってほしい
君が生きてゆくために使ってほしい

ただひとつそれだけを君に望む




2002年12月21日(土)  



「いってきますとは帰ってくることを前提に言う言葉」

「いってらっしゃいとは再び迎え入れるための言葉」

任務実行の前日にあなたが教えてくれた

その日僕はいってきますと言って

あなたはいってらっしゃいと送り出してくれた

そうして僕はかえってきたけれど

どうしてかあなたは泣いていた

どうしてあなたが泣いていたのか

その後もずっとずっと考えて

それからずいぶん経ったみたいだ

だけどごめんなさい

どうしたらあなたを悲しませずにすむのか

僕はいつまでもわからないままです





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