つたないことば past|will
ぼくは待っている この古びたアパートで独りぼっちで あのドアが開くのを待っている やがて階段を上がる音が聞こえて 廊下が軋む音がして そのドアノブが回って 扉が開いたら ぼくは心の底から笑ってやるんだ
そこにあるのはきみだったもの きみをつくっていたもの これはきみじゃない きみはもういない どうしてきみじゃなきゃいけなかったのかな なんできみがいなくならなきゃいけないのかな ぼくはどうしてもきみだったものをだきしめたいのに これいじょうてがうごかなくて これいじょうてがとどかなくて どうしてかな きみだったものを きみじゃないものを ぎゅうってだきしめてみたいのに ちっともからだがうごかない ねえきみはどんなこえだったっけ もうおもいだせない おきてよ おきてよサスケ こえきかせてよ いつもみたいにスカしてみてよ なんでだまってるの ほんとうはねたふりしてるだけなんでしょ ぼくのことおどかそうとしてるだけなんでしょ おきあがってバーカっていうきでしょ そうはいかないよ おきあがったらだきしめちゃうからね なにもいえないくらいだきしめちゃうからね だからはやくおきてよ ねえサスケ きみのことわすれたくないんだよ きみのことなくしたくないんだよ ねえサスケ おきてよ こえきかせてよ いつもみたいにバーカっていってよ ねえサスケ だいすきだよ
大好きでした お日様さまのようなきみが 大好きでした 一生懸命がんばるきみが 大好きでした 素直に涙を流せるきみが 大嫌いです ぼくを独りにしたきみが
朝起きてなんかだるいなあと思ったら、案の定となりで きみが眠っていた。 ああまたきみを抱いちゃったんだなあ、失敗したなあと 小声でぼやく。 となりで死んだように眠るきみをただ無表情に見つめる。 やさしく抱きしめたり頭なでたりなんてしない。 だってそれは愛する人に対してすることだ。 ぼくはきみのこと嫌いだし、ましてや愛してなんかいない。 いつもこのべッドの上でする行為も抱くというより犯すに 近い行為だ。それなのにきみはろくに抵抗しないで、ぼくに 好き勝手させて犯されていく。 おかしいなあ、みじめだなあ。 きみはぼくに愛されてるとでも思ってるのかなあ。 ぼくのその行動は突発的に起きるいわゆる気まぐれってやつ なのに。かわいそうな子。 でもぼくはきみを抱いた後いつも後悔する。 ああまたきみを抱いちゃったんだなあ、失敗したなあと。 なんでだろうね。わかんないなあ。 ぼくはきみの小さい体を抱いて何を満たそうとするだろう。 欲求満たすなら相手の女なんていっぱいいるのにね。 なんできみなのかな。へんなの。 ぼくはこれからもこうやって失敗したなあ、おかしいなあって いいながらきみを抱くのだろう。 嫌いなのにね。 愛してないのにね。 それでも抱くんだろうな。 きみが消えるまで。
あなたはお日さまのように笑うくせに 抱きしめると雨の匂いがする ぼくは雨が降りだしたときに漂う あのに匂いがすきだ だからあなたを好きになったのかな あなたはずっと雨の中に立ったままだ ぼくにはその雨を止ませることはできない その雨からあなたをかばうこともできない だからせめてあめ雨が止むまで あなたのとなりで一緒に打たれていたかった
きみが死んで土にかえった日 ぼくはおもいきり大地をふみしめた きみの温かさ きみの柔かさ 思い返すようにふみしめた そしてきみがいないことを今更実感する ああもうきみはいないんだ きみはいなくなってしまったんだ それでもぼくはここで生きてゆく きみがうまってるこの土の上を歩いてゆく だんだんきみを忘れてゆく きみを愛していたから ぼくはその陳腐な言葉を口ずさんで 大地をけった
ぼくはきみが嫌いだ きみもぼくが嫌いだ だから好き だから愛してる だから殺す
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