2週間振りに会った甥っ子は、随分顔が大人びていた。 と感じたけれど、やはりまだまだ幼児。言葉がたどたどしくて面白い。 ・おくすり→おすくり ・かぴかぴ(洟が乾いたさま)→ぱきぱき 等 ・これなあに? なあしてんのー? ・(○○よ、と言われて)そっかー、○○かあー 語彙が増えて来たので、言葉が通じなくて癇癪を起こす事が以前よりも減った。 要求が通らなくて癇癪を起こすのは相変わらずだが。
髪が伸びて来たので、散髪に連れて行った。 そして泣く。暴れる力が強くなって、抑え付けるのが大変。 私も床屋さんも疲れて、虎刈りだけどまあいいよね……と妥協する事に。 なのに甥っ子は、床屋さんが貸してくれた車の玩具を握ったまま離さない。 仕方が無いので、じゃあ自分でお願いしなさいと言ったら、しゃくりあげながら「かしてください……」と。 甥っ子は泣き過ぎて、暫く声がガラガラであった。折角声が可愛い時期なのに勿体無い。
ビー玉を片手に隠して、「どっちだ?」とやってみせると大喜びする。興奮して涎が垂れていても気付かない位。 そして自分でも真似するが、鷲掴みにして両手に握るので、どっちも糞も無いという。
お店のワゴンを覗いたら、チョロQの模造品のような小さい玩具の車が9個セットでなんと300円で投げ売りされていたので、甥っ子に買ってやったところ、喜んで、 「あら〜、いいじゃなーい。あら〜」 と、頭の天辺から声を出していた。誰の真似だよ、それ……。 (後で主人に話したところ、一発で「お義母さんだな」と。なるほど、言われてみればそうかも。母の真似だったのか)
食事中に好きな番組(の録画)を観たがる。 きかんしゃトーマスだったり、ピタゴラスイッチだったり、アンパンマンだったり。 私に向かって「トーマス、トーマス!」と訴えていたので、 「じゃあ祖母ちゃんにお願いしてご覧。『トーマス見せて下さい』って」 と促すと、途端に消え入りそうな声で、 「ばあちゃん、トーマスみせてください……」 さっきと態度が全く違うので、これはと思い、 「お前それ、わかって演技してるんだよな?」 と言いながら顔を覗き込むと、甥っ子は俯いたまま、ニヤァと笑った……やっぱり!
実家のトイレではまだうんこ出来ていない。 妹のアパートでは何度か成功しており、自分のうんこを指差して 「みて〜、えすじふっくみたい〜」 と言うらしい。S字フックはお気に入りのアイテムだとか。 早く教えてくれるようになるといいなあ……ヒステリックになりながらうんこの始末するの、私だって嫌なんだよ。
そうだ、今回の一番の進歩。 私の事をちゃんと呼べるようになっていた。 今までは他の人が聞いたら「?」と思うものだったが、ちゃんと意味が通じる呼び方を出来るようになった。
今週も甥っ子を連れて、実家の世話になって来た。 本日甥っ子を妹の手に引き渡し、漸く自宅に帰還した訳だが、全てにおいてぎりぎりな一日であった。
荷造りをしてお昼寝中の甥っ子を抱いて実家を出たのもぎりぎり、そこからの公共交通機関に乗り込んだのもぎりぎり、そして何よりぎりぎりだったのは、妹宅を後にしての帰りの高速バスであった。 乗り込んだ途端、腹痛に襲われたのだ。 事情が事情だ、次のバス停で降ろして貰うか……と思ったが、そこは周囲に何も無い所。 困ったなと思っているうちに、バスは高速道路に入ってしまった。 バスのトイレって狭くて汚くて嫌なんだよなあ……と思って車内を見渡すと、トイレが付いていないタイプの車輌であった。 いざという時に逃げ込める場所が無いというのは、精神的にかなりきつい。 こうなったらもう一刻も早く目的地に着いて貰うしかない。 気を紛らわすために、主人にメールを送り続けた。
シオン:出発しました。けど腹具合がっ。粗相しませんように 主人:応援してます シオン:痛み入ります。今は小康状態。ともおの心境です(※) (※ cf.)団地ともお「諦めたら試合終了なのかともお」の巻) 主人:人間の尊厳を失いませんように シオン:高速道路にて、まさかの除雪作業中につき低速運転。試されるシオン……! 主人:トイレついてる? 緊急時は使えよ シオン:励まし有難う。トイレは無い。甥っ子のおむつも置いて来たので、気力で何とかします。 やっと除雪車いなくなった。多分あと30分か。リトルウェーブキタコレ 主人:骨は拾ってやるよ
そう、こんな時に限って大雪だったのだ。 次第にバスの速度が落ちるので、悪天候だから速度規制でもかかっているのかと首を伸ばして前方を見ると、あろう事か、バスの真ん前に除雪車が! しかも2台並んで絶賛徐行除雪中。これでは追い越す事も出来やしない。 何という不幸。 永遠に思える時間もいつか終わりは来るもので、次のインターで除雪車はいなくなり、バスは再び軽快に飛ばし始めた。 襲い来る大波小波を躱しながら、耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、漸く街中に着いたバスから降りると、私は目の前のビルに飛び込んだ。 いつも用足しに使っている商業ビルだが、何と営業時間終了で、建物に入る事は出来てもトイレの前には立ち入り禁止のロープが! の、乗り越えようか……とも思ったが、警備員がこちらを見ている。 事情を話して入らせて貰うという選択肢もあったが、その時は使用禁止の事実に打ちのめされて、そこまで頭が回らなかった。 しかし、閉店時間を過ぎたビルなのに、私以外にも客らしき人々が出入りしていた。彼等はエレベーターに吸い込まれて行く。私の足もそちらに向かった。 上階ではまだ別の店舗が営業している模様。そこならトイレもある筈! かくして、私は勝利して、無事に次の便に乗り換える事が出来た。
シオン:22時頃到着のやつで帰ります。 序でに、私の尊厳は保たれました事を、ご報告申し上げます 主人:暫く連絡が無いから、合わす顔も無く、旅に出たのかと思っていました(笑)
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