言わずと知れた、松本清張の名作である。 原作既読なので、主演はビートたけしと聞いてがっかりした。 どうせやるなら、ちゃんとした本業の役者で作って欲しいんだけれど。 ビートたけしは、余り好きではないのだ。 海外では監督としての評価も高いし、お笑い出身なのに政治の話も出来る、ひとかどの人物だとは思う。 凄い人だとは思うが、好きではない。 笑いのセンスが私には合わないのだ。
さて、豪華キャストを揃えての2夜連続のスペシャル・ドラマ、結末は知っているしトリックもわかっているが、ドキドキしながら観た。 不満は残るが、全体的に良作と言えよう。
不満その1。 たけし臭が強過ぎる。 折角ビートたけしがやるからという事なのだろうか、飲み屋で下ネタを披露したり、たけしの弟子をちょい役で出してたけしと絡ませたり、観ていてうんざりした。 下手な小ネタは、視聴者は全く必要としてはいない。そういう事はバラエティでやってくれ。 第一、主役の刑事は、そういうキャラじゃない。 俳優としてドラマに出るのだから、ここは俳優業に徹するのが当たり前だ。 それと、たけしの発音は不明瞭なので、役者向きではない。 事故の後遺症だから仕方ないと言えばそうだが、それなら尚更話題作りだけではなく、本業の役者を迎えて、きっちりしたドラマに仕立てて欲しかった。
不満その2。 夏川結衣は、結構好きな女優さんだ。 でも、この役には余り合っていない。 声を立てて笑うシーンでは、品が欲しかった。 高島礼子あたりが良かったなあ。 でも高島さんじゃあ当たり前過ぎるか?
そんなところか。 ドラマとしては良かったのに、ちょっとした所で視聴者をがっかりさせるよね、テレビ朝日は。 余談だが、高島礼子の名前が出て来なくて、 「ええと、あれ誰だっけ。井上晴美との不倫が元であいだももに離縁された男と結婚した人。そうそう、高知ナントカの現在の奥さんで、着物の似合う、目元の涼しげな美人で、極妻にも出ていた。えーとえーと」 と、頭に浮かんだ回りくどいヒントを羅列して主人に訊いたものの、芸能ニュースに興味の無い主人は、困った顔をしていた。 辛うじて、「着物」「極妻」というキーワードで「高島ナントカ?」と答えを出してくれたのだった。 「いやあ、最近人の名前を思い出せなくてねえ」 と私が笑いながら言うと、主人は 「それは痴呆だな。シオンもそろそろ来たか」 と笑えない返事を返して来た。
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