日々是迷々之記
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2002年02月27日(水) |
NHK教育とパソコン |
会社で書類をファイリングしていると、「ちょっとパソコン使うで。」と言って若いおっちゃんがパソコンの前に座り、カチャカチャとブラウザを開いた。じゃっとブックマークを開き、目的はYahoo!オークションだ。「うわ〜、もうあかんわ!何で一枚1万円超えてるねん!」と身悶えしている。ヤイコちゃんのライブのチケットを狙っていたらしい。
私も以前ヤフーオークションにはかなりはまりこんでいたので、話しかけてみた。過去の嫌な落札者の話をしたりして、さあ帰るというときに、「なおぞうさん、この、「こんにちは、○○さん」て消されへんの?前から気になっとったんやけど、いつも俺の名前が出てくるねん。」
…(-_-;)
そんなことを知らずに会社でヤフオクとは勇気があるなぁと思いつつ、冷静に「ログアウトってところをクリックしてからブラウザを閉じると、次にアクセスしたときに「こんにちは、ゲストさん」になりますよ。」と教えてあげた。
しかし、これはこれから起こることの序章に過ぎない。今日は「趣味悠々」を見るのだ。
家に帰り、ヒヤゴハンで焼きめしを作り、こたつに入って食べながらテレビを見た。見るのはNHK教育である。「今夜もあなたのパートナー」はお化粧の仕方、「趣味悠々」はパソコンでラベルを作ろう!だった。ぱらりと香ばしくできた焼きめし(でも具はタマゴとネギだけ)を食べながらなんとなく見る。要はラベル作成ソフトで、シール紙に印刷するという内容をおっちゃん、おばちゃんむけにゆっくり説明するようだ。
しかし、NHKでこういうことをするのは苦しいなぁと感じた。良くは知らないが、NHKでは特定の企業名や商品名を出したらダメのような規則があると思う。先のお化粧の特集では、「RMK」などの舶来系(死語)はそのまま、「資生堂」などの国産系は白いテープで名前を隠していた。が、パソコンではその手の隠しごとは不可能だ。
番組では「マイクロソフトのパブリッシャー」を使って、「ヒサゴ」のひな形に印刷していた。その様子を先生が説明するのだが、「パブリッシャーを起動して…」みたいなことは絶対言わない。「作成ソフトを立ち上げて…」と言う。先生も苦労が多いに違いない。
次に応用編として、ラベルと同じように、アイロンプリントでオリジナルのTシャツも作ることになった。アイロンプリントと言えば画像である。番組では50才くらいのおじさんが作る様子が映っていた。
…(^_^;) ほんまにそれ着るの?って思った。
使用する画像は、そのオッチャンと奥さんとおぼしき女性が鎌倉の大仏さんの前で何となく並んだ写真である。トリミングも何もせず、画像のプリントサイズをドラッグして変えて上の方に配置。そして写真の下には3センチ角ほどの大きな文字で「鎌倉旅行」と入力した。しかも「MS明朝」である。マック的には「リュウミン」か。かくしてTシャツはできあがった。
番組の最後ではみんなが作品を各自手に持ち、ニコヤカに笑っている。ペットの写真はまだいい。自分とヨメはんと大仏が映ったTシャツ、しかもご丁寧にハラのあたりに「鎌倉旅行」である。そして、「こんなに簡単なら、もっと作りたいです。」というような前向きのコメントでしっかり落ちまで付いている。
パソコンは確かに世の中に広く普及しているようだ。しかし、使い方、使い道にとまどったり、間違った認識のまま突き進んでいることもよくあるようだ。いいとか悪いとかの問題ではなくて、なんか違うのだ。
しかし、来週も「趣味悠々」はパソコンでやってみよう!的な内容なのできっと見てしまうだろう。ある意味、民放の裏番組より興味深い。
前に書いたのが20日なので約1週間ぶりの日記になる。前にも書いた状況は変わりなく、会社の愚痴を書くのがイヤ、でも、他に特筆するべきこともないし、という状況で書けなくなっていた。
しかし、今月いっぱいでフレッツISDNを解約することになり、次のADSLまではモデムでダイヤルアップをすることになった。すると、転送速度のことなどを考えるとファイルをアップロードしたりする気分になれないので、これは今月中にどうにかせんといかんなぁと重い腰を上げることにした。
で、サイトである。テキスト系で行こうと決めた。題目は好きなことなんでも。進めて行くうちに淘汰されて焦点が定まってくることを期待しつつ。当面は、日記と掲示板だけにしておき、ADSLが導入されるまでの待ち時間でネタを書き貯めてゆこうと思う。あと、サイト構築そのものもやってしまう。
多分こんどもタグの手打ちでやってしまうだろう。HP作成ソフトもあるのだが、そのものの使い方を覚えたりするのが面倒で、結局がしがしと書いてしまう。何だか時代遅れで、自動車が発明された後も、馬車に乗ってたヒトはこんな気持ちだったのかな?と想像する。
方向も定まったので今日からはできるだけ毎日日記を書こうと思う。何て言っても「日記」なんだから。が、しかし、愚痴だらけでは読んでくれている人たちに申し訳ないのでコラム形式で、ナニかお題目を決めてそれについて書くことにしようと思っている。
ネタに上がりそうなものとしては、「バイオw」「新iMac」「スーパーカブ」「Yahoo!BB」「エクセル」「8M-ADSL」「アイスホッケー」「山菜取り」「リハビリ復活」あたりか。
これからも宜しくお願いします。
この10日ほど、日記を書かなかった。表だって何か書けない理由があったわけでなく、日々、考えていたら書けなかったのだ。これから先、本家ホームページ、そしてこの日記をどのように進めて行くかという方向性を定めたかったのだ。
まず、本家ホームページ「わくわく入院らんど」である。コレは入院中に計画し、退院した頃からタグを書きはじめた。事故のいきさつから手術、入院生活をセキララに語る。というのが当初の目的だった。そこには「書いてすっきりしてしまおう」という気持ちと、「あんまりこんな経験をしたことある人はおらんやろ」という気持ちがあった。
が、はじめてみると、私はこんなにしんどかったんだ!みたいなことをつらつらと書き連ねるのはあまり体質に合っておらず、だんだんと日常与太話になりつつあった。
そこでコンセプトを「復活と再生」に変えた。それならトレーニングと称して、自転車のことや、素潜りのことも大っぴら?に書けるからだ。かくして、「わくわく入院らんど」は「わくわく道楽らんど」風になってしまったのだ。
「そろそろタイトルを変えたら?」というようなアドバイスも頂き、どうしようかなぁと思った頃に、「症状固定」をし、病院とは事実上縁が切れることになった。要は事故の相手さんの保険で治療をするのを取りやめて、慰謝料や、障害の等級を決定するために、現在の症状を書面に残すのだ。
そして、1年4ヶ月ぶりの仕事復帰。毎日20通もの電子メールに返事を書き、5時間以上パソコンに向かい、書類作成。時には残業もする。
変わってゆく日常の中で自分自身が「わくわく入院らんど」に違和感を感じるようになってきた。そして、復活と再生の日常を語る日記も、平日は会社のぐち、休日は遠出の話とパターン化してきていた。
これではイカン。書いている本人も家に帰ってまで会社のことなんか考えたくないし、読んで頂いている方にもワハハと笑って欲しいという気持ちがある。
そこで、本当にリニューアルすることにした。
ホームページ自体、一度降ろして作り直す。日記は、その日あったことを書くのではなく、「日々コラム」のようにしようと思う。小学生の夏休みの日記のように今日あったことを羅列するのが日記の正しい姿だとは思うが、「その日考えたことでもいいじゃないか」ということでコラム形式で行こうと思う。
日記もHPも自分で作ったものだ。自分ですら関心を持てないモノを誰かが感心を持ってくれるわけがないと思う。そして、自分の作ったモノは大事にしたい気持ちがある。例え勢いに乗れていないときでも。
かくして方向性は決まった。
昨日はオモシロ看板を満喫した後、大型スーパーでドトウのように買い出しをした。まぐろ丼、海鮮丼、焼き肉約1キロ、甘酒1本、鍋焼きカレーうどん、鍋焼きミソ煮込みうどん、厚揚げ、エリンギなどなど。クーラーバッグはぱんぱんだ。
その日の宿泊地は川湯温泉の横のキャンプ場だ。夏はお祭り騒ぎのこのキャンプ場も冬場はのどかなものである。何と言っても高速道路を降りてから80キロ以上あり、アクセスは3桁国道のみ、山深いので凍結の可能性ありだからだ。しかし、本当のキャンプ好きにはいいところだと思う。オートキャンプもできるし、駐車場に駐車して、芝生キャンプもできる。
今日はとても空いており、どこでも好きな所に張れそうだ。ビックリしたのは、テントを2つ立てて、片一方に煙突付き、薪ストーブを設営している一家が割とあったことだ。ぬくそうでいいなぁと思った。私たちも七輪は持ってきているが、薪ストーブにはかなわない。
設営が終わったら、温泉に向かった。隣の川湯温泉をまず覗く。ここは河原を掘ると温泉が湧きだして自由に入れるという温泉だ。見ると、この寒さなのに湯気がしょぼしょぼ〜としかでておらず、水温が低そうだった。ので、パスしてわたらせ温泉に向かった。
ここは年々観光化が進んでいて悲しいが、温泉そのものは良く暖まるので嬉しい。露天風呂が5つあったので1つあたり5分入ってしっかりぬくもろう!と思ったが、3つめくらいでアタマがガンガンしてきたので途中でやめた。ここは硫黄系で、ニオイが強烈なのだ。それでしんどくなってしまったのかもしれない。
サイトに戻るとさっそくビールを飲み、七輪に炭をくべる。まず、コロッケと厚揚げを焼く。太陽が傾くとどんどん気温が下がる。紹興酒をビンごとお燗し、ぐいぐい飲む。焼き肉はまず、牛タン。それから豚トロ、牛バラ、牛カルビとすすむ。牛タンを終える頃には、紹興酒は空いてしまった。今度は焼酎お湯割りだ。ワハハ〜寒いね〜。サケサケ。ニクニク。と夜は更けてゆく。11時を過ぎると、そこらへんのものに霜が降りてきた。寒いね〜アハハ〜、などとアタマのゆるんだ発言をしつつ、テントに潜り込み、ダウンのシュラフにくるまると落ちるようにネムリに入っていった。
かくして一日目の夜は更けて行く。
が、この話は土曜日のできごとで、日曜日のことは明日、まとめて書くのだ。
(しかし、どんな日記だ…。これでいいのか。)
2002年02月09日(土) |
おそるべし!和歌山県 |
夜中に大阪を出発して走り出した。海沿いを進んだので、夜中過ぎでも釣り関係のお店は営業している。ドライブインも案外お店を開けているので、飢えることはなさそうだ。
ぼーっと国道沿いのお店の看板を見ていると、椅子からずり落ちそうになった。その店の名は「マーキュリーめし亭」食堂である。なぜ!マーキュリーでめしなのだ!わははは!眠気が吹っ飛んだ。
その後も変なお店はぽつぽつ現れて私たちを笑わせた。姉妹店と思われる「マーキュリー食堂」もあったし。
その日のハイライトは選挙のヒトの後援会事務所の看板だった。「田中うえる」と書いてある。ハテハテ?「うえる」ってどんな字なんだろうと考えて、ウケを狙った私は「飢餓の飢で、うえるやったらいややなぁ。」とだんなさんに言った。すると、「いや〜、ダブルイーエルエルかもしらんで?」
は?ダブルイーエルエル?WELL?どはははは!田中WELL。山本スーザン久美子も逃げ出すインパクトだ。そんな名前ならきっと学生時代はぐれてしまい、議員にはなれなかっただろう。でも、「田中うえる」さん、本当にどういう漢字なのか私は知りたい。
あ、キャンプのことを書くのを忘れてしまった…。 明日まとめて書こう。
今日は夜中に家を出発して和歌山方面に温泉キャンプに出発する予定だ。多分定時にあがれるだろうから、家に帰ったらお弁当を段取りして、おとつい借りたレンタルビデオを見て、それから探偵ナイトスクープを見ているころにきっとダンナさんが帰ってくるだろう。それから出発すれば、白浜の無料露天風呂「崎の湯」に朝イチで入って…。などと計画していた。
仕事は量も少なくよい按配で進んでいた。が、しかし、お昼過ぎにピンチが訪れる。書類が消えてしまったのだ。その書類はメッセンジャーと呼ばれるおっちゃんが午前と午後の2回、取引先を回って回収して来てくれる。それをこっちで整理して、英文請求書を添付してメールで発送する必要がある。その書類は収入印紙が貼ってあり、いわゆる有価証券らしい。
それが無くなったのである。業界の慣例としてその書類にはそれそのものの後ろにコピーしたモノが4枚くっついていて、「copy」というはんこがおしてあるのだが、なぜかそれだけある。それは私の控えとして必要なのだが、一体本体(オリジナル)はどこ行ってん…。わたしは途方に暮れた。探し回ったあげく、やっぱり見つけられず、正直に課長さんへ話した。すると、おっちゃんのカバンの中に落ちてたりするかもしれないから、夕方におっちゃんが帰るのを待てばいいよとのことだった。
ホッチキスで留めてあるものがそんな簡単に外れることもないやろと思うので、課長さんも気を使ってくれているのだなぁと感じ、余計途方にくれた。週末なのにそんな書類を無くしていいんだろうか…。
黙々と次の仕事を進めておく。しかし、頭の中は無くした書類で一杯だ。更新が決まったところでこれはないんでないかい?とほほほ…。
4時半ごろメッセンジャーのオッチャンが帰ってきた。ばさっとお昼に回収した書類をいつものように机に投げる。今日はむっとする元気もない。あたしゃあんたが回収した書類を無くした愚か者だよ…。て感じだ。まる子のように顔に縦線が出ている。
が、午後に回収した書類の間に無くした書類が挟まっていた。ホッチキスのところでちょんぎれて、折れ曲がっている。回収した後、上から別の書類を押し込んでちぎれてしまったに違いない。
くぉらー!ええかげんにせぇよ、オッサン!あんたのせいであたしゃ気をもんでろくなモンじゃないよ!と思ったが言わなかった。きっとこれから先、こういうことは起こるのだ。
「さっきの書類、ありました。」と課長さんに一言告げた。「どこにあったん?」と聞くので、「○○さんが午後の書類と一緒に机の上に出しました。」と答えた。すると、「やっぱりね」みたいな感じの表情を浮かべて、「これ、送ったら、もう今日は終わりでいいよ。」と言った。彼女は分かっている。こういうことはこの会社ではよくあることで気をもんでもしゃあないことが。なるようにしかならないし、なるようになるのだ。
私がこの悟りを身につけることができるかどうか。
かくして今日はどーんと疲れてしまい、家に帰って、お弁当を作ると、コタツで寝てしまい、ダンナさんが帰ってきた物音で目が覚めた。探偵ナイトスクープを半分から見て、和歌山へ出発。
道中、今日、会社でこんなことがあったよと軽く話す。すると、「オッサン、もう隠居せぇよ。」との言葉が。
私もそう思う。
家に帰ったら担当に連絡を取ったらなあかんなぁと思いつつ黙々とフォームの作成をする。来週、アジア各国では旧正月なのでここのところヒマなのだ。
ここの会社では特別な会社の用紙に印刷をするとき、とてもけったいな方法でやっている。普通は専用のフォームを作って入力し、その用紙をプリンタのトレイに入れ、出力すると思う。しかし、ここではワードでやるのだ。それも「ここらへんに打てば入るやろ。」って感じで入力する。スペースバーを連打して空白を調整。恐れ入るのは3センチ四方くらいの中に住所を入力するようになっているのだが、それはまず一行目を打って、延々とスペースバーを押し、リターンをしてまた二行目を打つといった感じで入力する。
私がそれを修正しようと住所をドラッグして消したらそれ以降がずれて途方に暮れた。当たり前だ。こういうときは「上書きモード」で上に書いていくのだと教えられまたまた脱力する。こういう状況を打破すべく、わたしはエクセルに定規をつけるプラグインをゲット、フォームをものさしで測り、入力規制をかけ、どうにかこうにか、何も考えずに入力できるフォームを作った。以前は白い紙に出力し、フォームを重ねて電灯に透かし、場所を微調整していたのだが、わたしはそのような非効率的なのが許せない。
が、しかし、とんでもないことに気がついた。そのフォームの用紙は微妙にA4ではないのだ。左右で5ミリ、上下で3ミリほど大きい。だからプリンタで直印刷できないのだという。やはりA4に印刷してコピー機の手差しトレイに用紙を入れ、印刷するしかないようだ。トホホの嵐がココロに吹き荒れる。しかし、それならそれに合うようにしたろやんけと、作り直す。ふぅ、本業がひまじゃないとできないよって感じだ。
そうやって格闘していると課長さんがやってきた。今日は新入社員の彼女の歓迎会なので食事に行こうという。特に用はないのでOKした。
かくして定時であがり、有志で近所の鶏料理屋にゆく。わーわーしゃべっていると私の携帯が鳴った。「なおぞうさんですか?」
担当の声だ。忘れてた。「あの、なおぞうさんのご希望通り、3ヶ月更新になりましたので、契約書をお送りします。」ほう、そうなのか。しかし、昨日の勢いはどこへやら。変に丁寧になっている。宴会の途中なので突っ込まずにじゃあよろしくとだけ言って切った。
今日の意味無き格闘のことを考えると、今やめたほうがいいのかもと思わないでもないが、はっきり進退がきまっただけでちょっとすっきりした。
本わさびを塗って焼いたささみがおいしい。
結局、昨日一日派遣会社から電話はなかった。新入社員の彼女が担当からの電話を所長に引き継いだらしいので、何かしらの会話はあったのだろうが。それをこっちに言っては来ない。ちなみに契約は2月9日まで。その日は土曜日なので実質金曜日までだ。と、いうことはあと3日。この状況で進展が決まらないのはあまり気持ちのいい物ではない。
電話でダンナさんと会話したが、ダンナさんの結論はこうだった。「結局、ぼんさんやねん。」
ぼんさんというのは尻上がりに発音する。大阪地域でいう、若い男性のある意味蔑称だ。役立たずとでも言うのか。普段はひとあたりもよく、言葉遣いも丁寧だが、いざ予期せぬ出来事が起こると、対応できず本性がむき出しになってみっともない姿をさらしてしまう。そして往々にして本人は気がつかない。その典型ではないか。
その担当氏は23,4才で清潔感があり、言葉遣いも丁寧だ。しかし、「ほな、それで頼んまっさ!」とでっかい声で押し切る所長や、かれこれ派遣で10社以上うろうろしているプチ三十路の私にはキャラ的に不足を感じる。
面接の時も、じゃあ、アピールして下さいという感じでほとんどしゃべらなかった。私もしゃべりはかなり達者な方なので(特に自分の損得に関わる時)、自分の経歴、得意なこと、望むこと、などを軽く笑いを取りつつ5分ほどしゃべった。帰り道に、「最初からあれだけアピールできれば充分ですよ。」と言われた。オイオイそれはアンタの仕事やろ?と思ったが、派遣会社の方針もあると思い言わなかった。
ま、とにかく木曜日にははっきりさせないと。尻の座りが悪くてしょうがない。
日頃のフォームの作成のおかげで仕事はスムースに進むようになっていた。今日のような電話の少ない日はさくさくっと仕事が進み、昼食後はメールを2本送っただけでヒマになってしまった。
「何かお手伝いしましょうか?」と課長さんに訊いた。彼女は、「…。悪いんやけど、今までの書類、全部整理してもらっていいかなぁ。」と言った。むむ、そうきたか。まぁ、予想はしていたけれど。
その書類とは過去に海外の取引先に送った書類である。デジタルでもデータが残ってるだろうから、全部捨ててもいいだろって内容だが、こんなものを後生大事に、一メートル四方くらいの巨大なスチールキャビネットにつっこんである。しかも中は一見整然と見えるが開けてみると悲惨だった。会社別に分けるはずなのに、ぐちゃぐちゃ。書類の一部は、別にファイルすることになっているのに、それも一緒に入っている。しかも連番のものをばらばらに入れてある。明らかにとりだした書類を返すときにてきとーに上に乗っけていたのだろう。
私は大きな机に持てるだけの書類を乗せ、会社別に分別。そして、ホッチキスとニッパーで針を外して止め直すのルーティンワークをこなした。途中、若手の営業さんに冗談っぽく「ルーティンワークごくろうさんです。」と言われ、「いや〜、人間のやることじゃないですね。」と思わず本音がでてしまったが、これだけの給料もらって、こんなどうでもいいことができるなんてスバラシイと思えばハラも立たない。例え、上下逆さまにパンチの穴が開いていても、ホンコンのつづりが「HOGN KOGN」になった書類が山ほど出てきても笑って直すこともできるのだ。なんだ、「ホグン、コグン」ってなんて思いつつ。
そこにビリリ〜ンと電話が鳴った。所長がとり、いつものでかいこえで話し出す。「ああ、○○さんでっか?まいど。異動しはったん?」私の派遣元会社からだ。今日は来月以降の更新の話で電話のようだ。「長期的にって考えは変わらないんやけど、2ヶ月更新で行こうかと思うねん。ほなよろしゅう。」とまくしたてると電話を切ってしまった。
オイオイ、3ヶ月ちゃうん?と私はココロでつぶやいた。2ヶ月契約なんて聞いてへんぞ〜と思いつつ、今日はさっさと帰ろうと手を早めた。
家に帰って食事をしていると派遣会社の担当さんから電話があった。二ヶ月ごとの更新ですが、長期的にという点は変わらないので継続しますよね?って感じで話を持ってくる。
そこでわたしはこういった。「長期だけれども、3ヶ月ごとに更新するのは、景気の悪いのもあって一般的のようですが、2ヶ月というのは納得できません。最初の契約時の3ヶ月更新から2ヶ月更新に変わった明確な理由を教えて下さい。私は同じ時期に別の会社から3ヶ月更新で試用期間ナシの仕事のオファーがあったのですが、そっちを蹴っています。なのに2ヶ月更新にされては納得できません。」
すると、「最近は景気の動向もあって、なかなか長い契約は…。」と続けてくる。「長期的にという言葉と矛盾しますよね?」と言った。すると彼は二の句が継げないようだった。そして捨てぜりふだ。「今は景気が悪いですから。何もかも最初の口約束どおりになるとは思わないで下さい。」
それはお互い様だ。それなら、所長に電話したときに、「本人に2ヶ月更新ということで伝えますが、何もかも思い通りになるとは思わないで下さい。」と言うべきではなかったのか。ガキの使いじゃあるまいし。
こんな会話を続けても、ゴハンが冷めるだけなのでこう言って話を終わりにした。「私はただ誠実にやって欲しいと思います。3ヶ月更新なら、継続します。2ヶ月なら継続しません。」
「思い通りになるとは限りませんからね。」と言われて電話を切った。
若いのに礼儀正しい青年だと思っていたのに残念だ。派遣会社にとっては労働者も、派遣先企業も両方お客さんなのに。捨てぜりふはないだろう。
私は間違っていないはずだ。でも何かスッキリした気持ちではないのが不思議だ。
明日には私の進退が決まる。
あいかわらず人災の多い仕事だ。だからといってイライラした気持ちをひきずってもしょうがないので5時半にどんと勇気を持って切り上げて、帰りにツヤタへ寄った。が、しかし、運の悪いことに、会員証がない。昨晩財布のレシートやポイントカードを整理したときにうっかりしまい忘れたのだろう。
が、ここであきらめてしまってはさらなるストレスの上塗りになる。ごごご〜と音を立て家に帰り着いた私は、仕事用衣装をいつもの穴あきGパンとマウンテンパーカーに着替えて、ザックを背負い、自転車をかつぎおろした。
前後のライトを点滅させ、夜の道をこぐ。風はつめたいがじきに背中が汗ばんでくる。この感覚。病院に行っていたころの感覚だ。凍り付く空気が体にがんがん入ってくるのが面白くて足を止めずに走る。夢中になってこぎ、ツタヤに着いたら、太股のあたりがぼや〜んと疲れている。久しぶりの感覚だ。
ビデオの棚を見て、いいのが見つかった。サンドラ・ブロック主演の「デンジャラス・ビューティー」だ。私は彼女が結構好きで、「スピード」以降は恐らく全部見ているだろう。
帰り道、100円ショップに立ち寄る。すると新機軸で冷凍食品のコーナーができていた。すかさず、ミックスベジタブル、スイートコーン、ほうれん草を購入。小口なので霜が降りる前に食べきることができそうだ。
またまた、脱線し酒屋で黒生購入。映画といえばビールなのだ。
家に戻るやいなや、唐揚げの段取りをする。今日は砂肝を用意。筋を取り、カレー粉と塩胡椒、少しのショウユに漬けこむ。その間にジャガイモを6つに割り、皮付きフライドポテトを作る。二度揚げでパリパリにできた。砂肝は片栗粉をまぶしてさっとあげる。さくっ。ウマイ!でも絶対ご飯のおかずにはならない味だ。
コタツに電気を入れ、砂肝からあげ、フライドポテト、皮をむいた人参、ビールを並べて、電気を消し、ビデオを見る。うぐうぐ。プハッ!かりかり。ほくほく。ごくごく。ぐぃ!どはははは!時折サンドラ・ブロックのセリフに笑いながらあっという間に2時間が過ぎていった。
映画が終わるころには「え?今日、どんなしょうもないことあったっけ?」という感じだ。私が単純なのか、会社の根が浅いのか、それは謎だが。
しかし、こんな食事をしていることが主治医の先生にばれたら脅されそうだなぁ…。あと8キロは減らさないといけないのに…。
2002年02月03日(日) |
早朝のワインディングロード |
結局昨晩は、三田のコープでお弁当やビールなどを買い出しし、六甲の宿に泊まった。飲み過ぎでばたんと寝てしまったので目が覚めたのは7時頃。いつもと同じ時間だ。コーヒーとパンで朝食を済ませて、そうそうにチェックアウト。今日はこれから1000キロ点検なのだ。
朝靄の中を走る。表六甲道路はワインディングがぎゅんぎゅんと続き、あー走らせたいなぁという気持ちにさせる。今はダンナさんの運転だが、もうちょっとうまくなったら自分でここに来たいなぁと思った。
ここが2輪通行禁止なのがかなしい。まぁ、いかにも事故が起こりそうではあるけれど。道はびっくりするほど空いており、途中でガソリンを入れることにした。うちのフォレスターは正確には「STi2 タイプM」という種類でガソリンはハイオクである。わたしはそれを知ったとき、アタマがくらくらした。「ハイオク=ブルジョア」だと思っていたからだ。
どきどきしながらガソリンを入れる。500キロほど走って、46リッターほど入った。リッター10を越えているので2000ccのターボ車としてはましだとは思うが。
以前は外国で1300ccのCR-Xという車に乗っていたのだが、この車は驚異的に燃費が良く、満タン45リッターで800キロほど走れていた。しかもガソリンはリッターあたり40円くらい。それが私の中で基準になっているのでフォレスター感覚に慣れるのは時間がかかりそうだ。
スタンドのおばちゃんにしつこく「洗車いかがですか?今なら待ちなしですよ。」と勧められる。先週も今週も雨の中走行だったので、触れば手が汚れるクルマになっているのだ。これから滋賀に帰るダンナさんは、「これからもっと汚れるから。」と言って断っていた。そうなのだ。滋賀は雪が積もったり溶けたりを繰り返しているらしい。
点検に持っていくと、えらく早かったですねと言われた。確かに。納車1週間で1000キロ点検だと早いのだろう。
が、しかし、来週は和歌山の温泉に行くのだ。多分500キロほど走ることになるだろう。秋にレンタカーのビッツで走った道を今度はフォレスターで走る。どんなもんか楽しみだ。
目が覚めると、淡路島のコンビニの駐車場のクルマの中にいた。昨晩は夜中にダンナさんが帰ってきて、その足で西へと走り、明け方のフェリーで海を渡ったのだ。
フォレスターの座席は背もたれを倒してキャンプ用マットを敷くと、快適な寝床になる。冬用のダウンの寝袋に入って寝るとテントより快適だ。今回は車内の結露防止に、前部座席の窓を1センチくらい開けて寝た。いい感じで目が覚めたのが9時くらいだ。
二人でタオルをポケットに入れ、コンビニにゆく。かわりばんこにトイレに行き、洗面所で顔を洗い、ついでに歯磨きまでした。それで帰るのも申し訳ないので、コーヒーとサンドイッチを買った。ぬくくてうまかった。
そこからは、時計回りに島を南下した。一応目的のようなものがあって、水仙の花を見たかったのだ。島の南部には水仙郷と呼ばれる場所があり、急峻な斜面に水仙が咲き乱れているらしい。雨が降りそうな曇り空の下、フォレスターをひゅんひゅんと走らせて行く。
途中で雨が降り出したが、小雨なので心配はなかった。快調にとばしてゆく。目的の水仙郷まではすぐだったが、路上に呼び込みのオバチャンが連なって、おいでおいでをしている。それを見ると、急に気分が萎えてしまった。テレビで紹介されたことを大々的に自慢している看板もなんだかうっとおしい。私たちはクルマを止めずに走り去った。
ふと信号待ちで道ばたをみると、水仙の花が咲いている。走り出してよく見ると、たんぼのあぜは水仙の花で一杯だ。なぁんだ。わざわざ入場しなくても見れるんだねと言い合いながら、少し窓を開けた。すると水仙の香りがふんと軽くただよう。
田んぼではところどころ菜の花が咲いていたので、すこしづつ春に向かっているのだなぁと感じた。
だんだんと雨は本降りになってゆき、結局夕方のフェリーで本州に戻ることにした。
納車して一週間。今日で900キロを越えた。明日は1000キロ点検なのだ。
2002年02月01日(金) |
新人さんいらっしゃい |
今日付けで新しいヒトがやってきた。彼女Tさんは22才で、見た目は髪も染めておらず、今としては地味系で大人しそうなヒトだ。以前、派遣で働いていたが、仕事が切れるのが嫌で社員になることを決意したそうだ。何でも、ちょっと働くと2-3ヶ月は切れてしまうのでそれではツライとのことだった。ふ〜ん、それじゃツライよねなどと軽く世間話をした。
実際に仕事を始めると彼女はちょっと独特のヒトだった。(ヒトのことは言えないけど。(^_^;)
まず、電話の受け答えである。電話があったが、そのヒトが営業に出ているというパターンである。まぁ、大筋としては、「ただいま外出しておりますので、戻り次第かけ直すように伝えますが、お急ぎなら携帯電話の番号をお知らせいたしますが…。」みたいな感じがうちの会社流だ。しかし、彼女は、「ただいま外出しております。」で黙ってしまうのだ。親しげな取引先のおっちゃんなら、「ほな、かけ直すわ。」って言ってくれるから大丈夫だが、単なる問い合わせみたいな電話の時はこれでは話が進まない。
次にパソコン操作である。私の向かいのデスクに彼女が座っているのだが、ふと見ると彼女が小さな声で「え?え?」とキーボードをたたきながらつぶやいている。フリーズしたのかな?と思いつつ、「どうしたん?」といってそっちに行ってみると、「テンキーから数字が入らないんです!」と言った。見ると「NumLock」のランプが光っていない。これではカーソルが動いてしまうのだ。それを教えてあげると、「知りませんでした。ありがとうございます。」と言った。
数分後ふと見てみると、エクセルでセルに入力したあと、真下のセルに入力しようとしている。こんなときは、エンターキー(リターンキー)をたたくか、矢印キーの下向きを使って、セルを移動するのが一般的だと思うが、なんと彼女はいちいちマウスで入力したいキーを選んでクリックしてから入力していた。それじゃぁ、時間がかかってしゃあないやろうと思い、「エンターキーを押すと、下に移動するようになっているんですよ。」と知らせた。すると再び、「知りませんでした。ありがとうございます。」と言った。
私はふと考えた。これではやっぱり仕事切れちゃうだろうなぁと。派遣でやってゆくにはパソコンは出来て当たり前になりつつある。会社常識みたいなものも持っていて当然だと思われている。
彼女が定時で帰った後、課長さんが「なおぞうさんは教えるのがうまいから、まかせちゃおうかなぁ。」と冗談ぽく言った。わたしは「やなこった。」と思ったが、「この業界のことをあまり知りませんから。」とやんわりと言った。
彼女は月曜日もちゃんと出社するだろうか?
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