両手を広げて、空に祈りを
2005年03月20日(日)   ゆでだこみたい。


・・・・・・・・


「びっくりした?」
「うん」

俺を見てフリーズして
解凍したと思ったら、すぐに俺の髪をいじりはじめた

「どれくらいぶり?こんなに短いの」
「んー・・・・かなり経ってるよね」
「そうやねぇ」
「・・・・ど?」
「え?」

こんなこと聞くの、いじわるかな?


「かっこいい?」
「・・・!」


髪をいじっていたハイド君の手が止まった

振り向こうとしたら、押さえつけられた
それでも力で俺に勝てるはずもないから
頭を押さえつけられていたハイド君の手を掴んで振り返ると
それはもう、頬を真っ赤に染めたハイド君と目が合った


「・・・・・かっこええ・・・・よ///」
「・・・ありがとう・・・・」


凄く照れながら言ったハイド君につられて

俺も、顔が赤く染まった



+++++++
ユキさんが髪お切りになられたので。
2005年03月17日(木)   18.敵同士--私と貴方の関係20題
カテゴリ設定とは違う裏社会話
ラヴラヴ甘々期待してる方はリターン推奨(笑)
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「・・・・あ」
「げ」


廃墟一歩手前という感じの薄暗く胡散臭いビルの廊下で
互いに、互いの正面方向から歩いてくる人影に気付き、
更にそれがよく見知った人物であるのを確認した時点で、嫌そうに声をあげた

入り口から、とある部屋に向かっていたのは、長く薄い茶色の髪の男
男は、自分とは反対に、部屋から出口に向かっていた長く黒い髪の男を見、
心底嫌そうに眉をしかめた


「仕事・・・?」
「そうやけど、そっちも?」
「その正面の部屋の奴ら皆殺し?」
「そう・・・そっちは?」
「その正面の部屋の奴ら皆殺し」
「あー・・・・またそれかいな」
「あんの腐れ適当仲介屋のヤロウ!」
「こう重なると、もはや楽しんでるとしか思えへんな」


立ち止まり会話を交わす2人は、
この状況を想像して楽しんでいるであろう金髪の仲介屋を思い浮かべると、
2人とも軽くコメカミを押さえる


「何回目だよ」
「5回目くらいやない?」
「そっちのが3回くらい先いってたよな」
「そやねぇ」
「報酬半分よこせ」
「じょーだん、仕組まれたことでも先は先」
「あいつのせいで俺がいくら逃してると」
「アンタの行動が遅いからやん?」
「テメェ」


互いに睨み合いながら言葉の応酬
視線だけで人が殺せそうな殺気を放っている

「大体この間のはテメェの完全な横取りじゃねぇか」
「あれは頭を殺った方の勝ちやろ?」
「いきなり出てきていいとこだけ取っていきやがって」
「なんで蒸し返すんや?アンタあの時は納得したんやろ?」
「してねぇよ、引き下がってやっただけ」
「偉そうによう言うわ、あんだけやっといて」
「それこそテメェが納得済みだろ?」

ニヤリと笑った茶髪の男が、黒髪の男の胸倉を掴み引き寄せて、
噛み付くようにキスをする

「・・・相変わらず乱暴やな」
「よがってたくせに」
「ノリノリだった奴に言われとぉないわ」
「黙れ」
「んっ・・・・」

再び口を塞ぎ、今度はそれに応える


「半分」
「なんでや、むしろ俺が払ってもらいたいくらいやろ」
「ま、その辺の交渉は後にするか」
「・・・今回はちゃんとベッドでにしてや」
「考慮しましょ」


互いに攻撃するような長い口づけを交わした後、
2人ともが軽く笑いながら、並んで歩き出す


「ハイド」
「なんや、ユキヒロ」


―――あぁ、もう


「「胸糞悪いほど愛してるぜ」」



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商売敵のくせにセフレ(爆死)
2005年03月16日(水)   02.教師と生徒---私と貴方の関係20題
*パラレル「sweet life」の続編的。



「ハイド」
「どしたん?ユキヒロ」
「なんだよ、わかってるくせに」

進路指導室の窓際で、ドアの方を向き穏やかに笑う
俺はドアのすぐそばに立つ

新任のセンセイに恋焦がれ、想いをぶつけた
アナタと「恋人」になって、もうすぐ2年が経つんだね
最初は俺が押し切ったようなもんだったけど
交わしてきた日々が、お互いの想いや繋がりを強くしてきた


けどね、ハイド
アナタから見れば俺はまだまだ子供なんだろう?
コウコウセイで、未成年で
早くアナタに並びたくて、もがいている

待っててよ、すぐにそこにいくから

そんな第一歩


「ハイド、何か言うことねぇの?」
「言葉遣いがなってへんなぁ」
「何を今更」
「・・・・・卒業、おめでとう」
「ありがと」


今日、俺たちから“教師と生徒”という枷が外れる


「はい、俺の第二ボタンあげる」
「うわー、ありがとう」
「・・・・素敵なほど棒読みですこと」
「あははは、嘘やって・・・・在り難く貰っておくわ」
「ん」

ボタンを大事そうに握って、柔らかに微笑むハイドに、口づけた



「・・・そろそろ行かへんでええん?・・・皆で打ち上げやろ?」
「ま、ね、適度に交流」
「楽しんできぃや」
「終わったら・・・・家行くから」
「・・・来るん?」
「友達ん家泊まるって言ってあるし」
「・・・・・ま、ええけどな」


「卒業記念にハイドちょうだい」
「俺は記念品かい」


+++++++
んで、大学卒業したら「一緒に暮らそう」などと言い出すであろうユキ(笑)
この設定では、ユキはハイドには勝てないままだと思うなぁー
恐らくいつまでも子供扱い(笑)
2005年03月15日(火)   紫灯 -shiakari- (パラレル・達ハイ注意)

「タツ、旦那様をお送りしてさしあげて」
「はい、シア様」

情事の後の気だるげな視線を向けられる
乱れた、色鮮やかな着物をそのままに白い肌を晒して

己が主人の言葉を聞き、主の部屋から下がり
部屋のすぐ傍に佇んでいた人物に傅く

「お送りいたします」
「ん」

刀を俺に渡して、その人物は慣れた足取りで出口まで進んでいく
黙って後ろを歩く



我が主人はこの遊郭でも高い位に在る女郎
まぁ・・・・性別は違うが
そんじょそこらの一般人にはとても手が出せない高嶺の花
自然と、相手も限られてくる

今自分の前を歩いているのはその中でも大得意様
身分の高いなんたら言う武家の息子で
我が主にたいそう執心らしく、そう間をあけずに訪れている

「またのお越しをお待ち申し上げております、ユキヒロ様」
「ん、またすぐ来るって、紫灯にも」
「はい、承りました」

預かっていた刀を返し、床に膝をつき深々と頭を下げる
彼が店を出ていったのを見計らい頭を上げ、部屋へと引き返す


我が主が与えられているのは『紫灯(しあかり)の間』
位の高い彼の人に相応しく、綺麗で広い部屋
この店では、仕事時の名前は各々の部屋に関した名前を使う決まりがあり
彼の人は「紫灯」と書いて「シア」と名乗っていた

「入ります」

一言断ってから襖を開くと、我が主は先程と変わらず気だるげなままで
ゆるりと煙管をふかしていた


「あぁ、ご苦労さん」
「いえ・・・・・シア様、着物をお直しいたします」
「ふふ、2人だけやから堅苦しくなくてええよ・・・・達瑯くん」
「はぁ・・・・・風邪引きますよ?ハイドさん」

お互いに、あっさりと仕事時の堅苦しさを外す
この人を本当の名で呼ぶのは俺くらいだろう

家が火事にあい、家族を失くし路頭に迷っていた俺を
拾ってくれたのがハイドさんだった
それからずっと、彼の専属の付き人として彼の傍に居る

「達瑯くん」
「はい」

肌蹴ていた着物を直そうと傍に寄った俺に近づいてくる
纏っていただけの着物は、はらりと簡単に落ち
無防備に、眩しいほど白い肌を惜しげもなく晒しだす

「湯に入りたいから、連れてって」
「・・・・わかりました」

そう言い放ち、俺の首に回そうとした彼の腕を一時遮る
落ちた着物を手に取り、白く華奢な身体に軽く巻きつけ
今度こそ俺の首に回った手を確認し、彼の身体を抱き上げる
落ちないようにと気をつけながら部屋を出て、回廊を歩く

「そういえば、若旦那、何か言うてた?」
「身請け話のことだったら特に何も」
「あ、そ・・・・その気はないて何度も言うてんねんけどなぁ」
「店主に言っておきましょうか?」
「んー、向こうが聞き入れないようだったら言っといてや」
「はい」

身請け話はあの若旦那だけじゃなくいろいろ出ている
まったく聞き入れるつもりがないのが我が主らしいといえばらしい


「俺は此処で生きていくのが性に合ってんねん
 ・・・・・・達瑯くんと一緒にな」


抱えた腕の中で、もう聞きなれてしまった台詞が発せられる
俺の首に回った腕にきゅ、と力が入るのを感じ、
俺も、彼を抱える腕に軽く力を込めた


ハイドさんは、唯一にして最上の存在

俺にとっての、至福


+++++++

何故か遊郭パラレル(笑)
売れっ子ハイたんと四六時中一緒(ポイント)の付き人たつろ
常連さんのユキと(ここでは出てないけど)キョウちゃん

・・・・という設定が、現在の水葉さんの妄想大ブームです(笑)
達ハイラビュ(え)
2005年03月12日(土)   03.遠い親戚---私と貴方の関係20題

地元でも有名な資産家だったという親父が死んでから
俺には“親戚”が増えたようだ

毎日毎日繰り返される金の話に、俺はうんざりしてた

親父が死んだんだ
まだ四十九日も済んでない
静かにしろよ
・・・・ほっといてくれ!!



「・・・・で?あんたも“遠い親戚”とやら?」

俺を訪ねてきた、初めて見る顔
今まで来た“親戚”たちよりもかなり若かった

「うーん・・・・まぁ、そんなもんかな?」

苦笑しながら、その人は俺に握手を求めてきた


+++++++


なんかしらんけど・・・・なんでかしらんけど
その人はいつの間にか、今まで来た“親戚”を次々と追っ払っていってた
葬式や、家のことをやってくれていた叔母さんが、
頭を下げてお礼を言っていた


「・・・・“遠い親戚”やなかったん?」
「君のお父さんにはずいぶん世話になったんだ、何か恩返しがしたくてね」
「そう・・・やったん」
「うん、これからも何かあったら言ってくれていいからね」

弁護士をしているというその人は、
お金とか相続のこともいろいろ教えてくれると言う

それから、俺はやっとほっとして
肩の力を抜いて、親父に線香を上げられるようになった


「ユキヒロさん、これからもどうぞよろしく」
「うん、こちらこそよろしくねハイド君」


その人は、俺にとって1番頼りになる、“遠い親戚”だった


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ユキファイになってません(爆)
いやいや、これからですよねぇ(笑)

20代中間くらいであろう弁護士ユキ氏と、
高校生設定のハイド君のお話でした(笑)

・・・楽しいなコレ(ヲイ)
2005年03月11日(金)   私と貴方の関係20題・・・題一覧
なんかおもしろそうだったので(笑)
順不同でたまに消化していくと思われ。

01.きょうだい(変換自由)
02.教師と生徒
03.遠い親戚
04.コックと八百屋
05.医者と患者
06.上司と部下
07.ベストコンビ
08.追う者、追われる者
09.赤の他人
10.店員と客
11.共犯者
12.奢る人と奢られる人
13.主人と仕える者
14.先輩と後輩
15.たったふたりの生き残り
16.泣く人と宥める人
17.おまわりさんと迷子
18.敵同士
19.狩人と獲物
20.友達


お題をお借りしたサイト様
「bamboo store」
http://www.geocities.jp/bamboostore/index.html

(コピペでお願いします)
2005年03月08日(火)   365の嘘

「1日1個、嘘付こうかなぁ」

1年の始まりの日に、今年の抱負は?と冗談交じりに聞いたところ
彼からそんな言葉が飛び出し、
途方もねぇなぁ、と俺は笑った
なんとなく思いついてな、と彼も笑った


けれど、彼はきっちりそれを実行していってた

相手は主に一緒に居る可能性の高い俺だったけれど
それはメンバーだったりスタッフだったり、彼の友人だったり

そしてその内容は
途方もないものから現実味を帯びたものまで様々で

いつからか段々と、
よくそこまできっちりと1日1個嘘が付けてるなぁ、と
俺を含め回りの人たちも只々感心していった



・・・そして、1年の終わりの日
これで最後の嘘や、と笑って、彼は俺に言葉をかけた

「ユキ、俺はな、末永く生きるらしいで」
「・・・・・・・・・え?」
「明日も、明後日も、その次もその次もずぅーーーーっと」
「・・・・・・・」
「元気に・・・生きていくらしいで」
「はい・・・・ど・・・・・くん?」

彼から、笑みが段々と消えていって
言い終わった後に、ちゅ、と軽くくちづけられた



次の日、彼は俺たちの前から姿を消した
364の嘘を残して



365番目、彼の付いた最後の嘘が、本当に嘘だったのか
・・・・・・俺は知らない


+++++++

・・・・なんでこんなに暗い話書いてんだよ(土下座)

個人的にはハイド君の付いた最後の嘘が、嘘であって欲しいですな