みかんのつぶつぶ DiaryINDEX|past|will
次々と届く入学手続き書類。届けばまた、そこで悩む。自分の進む道を考えれば、後期の国立を受験せず、私立へ行くのもまた近道であるだろうという。 って、じゃあ去年入っておけばよかったじゃないか・・・と、浅はかな私の心情。 前期で決まってくれればそれに越したことはないんだけれど、今年は更に厳しい募集状況。チャレンジしたという気分にしかなれない親でゴメン、息子よ。 がむしゃらな受験勉強の日々ではないように感じた一年だった。予備校へも自習にしか行かなかったという。ほとんど自分の部屋で時間を過ごしていた。少し気晴らしでもしてくれればと思い不安になったこともあったが、その、一人で過ごす時間のなかで、息子はちゃんと、将来を考えていたことに少し驚き、そしてまたその進む道の厳しさを思うと、更なる苦悩がまだまだこの先続くのかと、頭を痛める愚かな私。なぜそんなに過酷な道を選択するのか。もっと楽に生きて行く選択も十分にできるところにいるはずなのに。 どうしても、お気楽な人生をチョイスしがちの私には息子のその人格がどこから出てきたのかが七不思議で。まわりから言わせれば、親の背中を見て反しているのだろうと。そうかぁー。私も役に立ってるじゃん。バカっ。
前期日程初日。なんだかんだで一年経過か・・・。昨日、すべり止めの為に受験した私大のうちの一校から入学手続き書類がきていた。部屋で開封した息子から報告、奨学金を受けられる成績だったと。もう、後期はどうでもいいかな、と、ニヤリとしていた。 先生、ニヤリとしましたよ、息子が。 「彼がニヤリとする日を待ちましょう、お母さん」と、 高校三年間、息子の担任だった先生からの言葉。 息子自身が納得するように、納得するまで、任せていても大丈夫だと。 梅の花に、物想う季節。
ラストサムライ。渡辺謙さん演じる侍が銃弾に倒れながらも気力で顔を上げるシーン。あの、表情。どこかで見たことがある。そう、私は見た。見ていた。そう思ったら、驚きと共にどうしても涙を止めることができなくなった。 泥と血まみれの侍、彼のそばで私はいつも、その痛々しい雰囲気に目をそらしていた。感じるその自分の気持ちを打ち消したかった。だから、笑っていた。 彼がどうやって死んだかを話したいわけではない。 彼が、どう歩んだかをここに吐き出したいだけ。
「あの時はあれで一生懸命考えた結果なのだ」という助言をくださった看護師さん。病棟が違うのに勤務を終えた足で病室までいらしてくださったのだった。 ご自分の経験を織り交ぜて、私に後悔をしないようにと言ってくださっていたのだろう。脳外科で再発をして再入院という経過を見れば、誰でもこの患者は長く生きられないと悟るだろう。あの年の2月に再入院手術、3月に転院し、9月にまた戻ったのだった。コインランドリーの前で、救命救急病棟の看護師さんが非常に驚いた表情で私達を見ている視線でお世話になった方だと気づいたことがあった。あの時の彼はもう車椅子で首も自分で支えていられない状態だったので、その視線に気づいていなかっただろう。「奥さん、大変だ・・・」と思わず口に出てしまい慌てていた。あの看護師さんの悲しげな表情に、彼と自分の状況がどれだけ悲惨なのかということを知るのだった。いや、再確認、再認識、か。 がんばらない勇気も必要だというCMを見るたびに、なぜだかツバを吐きかけたくなる自分がいる。
車椅子に腰掛け微笑むキミの姿を思い出し、 心のなかでシャッターを押す。 切り取った時間、空間、その笑顔。 笑って、いたんだね。 そうだよ、笑っていたんだ、と、 想う私の表情はどうしてこんなに歪むのだろう。 花とチョコレートを抱えて病室に。 窓辺の日だまりが眩しかった。 最後のバレンタイン。 チョコをつまみながら、笑っていたね。 笑っていたのだろうか?もしかしたら、 ホントは泣いて、いたのじゃないだろうか? 今更、遅いよね。もう、遅いよ。
淡々と一日を過ごし、黙々と入院の準備をしたんだった。 悲しいことなんてないんだからという日常を送ることが、 言葉にならない私からの励ましだった。 でも、 たまらなくなって夜中に泣いたんだ。やっぱり悲しくて。 静かに静かに眠るその吐息が、あまりにも切なくて。 キミは、キミの人生は、幸せだったのだろうか? 夜空に浮かぶ満月はいつも問いかけの扉。 あの頃からいつも、月に遠吠えをくりかえしくりかえしくりかえし。 人はやっぱり、独りでこの世に出てきて独りで去ってゆくものなんだね。
汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れつちまつた悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる 汚れつちまつた悲しみは たとへば狐の革裘《かはごろも》 汚れつちまつた悲しみは 小雪のかかつてちぢこまる 汚れつちまつた悲しみは なにのぞむなくねがふなく 汚れつちまつた悲しみは 倦怠《けだい》のうちに死を夢む 汚れつちまつた悲しみに いたいたしくも怖気《おぢけ》づき 汚れつちまつた悲しみに なすところもなく日は暮れる…… 中原中也:汚れちまった悲しみに INDEXの写真を模様替え。 もう2月なんだ、早いなあ。毎年こんなこと言ってるなあ・・・(汗)
みかん
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