【読書記録】群ようこ「かもめ食堂」

映画「かもめ食堂」を見たので、これは見てみたいと思って借りてきた一冊。巻末に”映画のために書き下ろしました”とあるとおり、エピソードやキャラクターはなんとなく同じで、ちょっとずつ違う内容になっています。しかし、映画では説明されなかった、なぜサチエさんはフィンランドでかもめ食堂という日本食屋さんを営んでいるのか、の答えが書かれています。序盤での一般的なOLさんイメージから、やる事は大胆でだけどしっかり考えているという、ギャップがv

映画がこれまたシュールでいいんです!最近?は、サチエさん役の方がお料理関係商品のCMに出ていたりして、それはでは「この日と誰だろう?」くらいにしか思わなかったのが、一気にそのCM流れないかしら??と楽しみになったのが記憶に新しく。今までにない痛快というと大げさだけど、さっぱりしてるのにくすっと笑ってしまうようなわくわくする感じの内容でした。・・・キャラクターがいいんだよ!
NO.14■p204/幻冬社/06/01
2009年07月28日(火)

【読書記録】長野まゆみ「紺極まる」

ストーリー:詐欺にあってしまい、引越し先をなくしてしまった予備校講師の川野。しかし、予定していた家には煌々と明かりがともっており、覗いてみると無骨な様相の少年が一人いた。それが、真木との出会いだった――。

『鳩の栖』紺シリーズの続編。川野主人公の『紺極まる』と真木主人公の『五月の鯉』。この隙のない少年(真木)が行動する様子を見ていると、若干天然な浦里はどんな風に思って考えていたんだろうと思い出せなくなるほど、キャラクター性の違いに感銘を受けました!真木視点で見ると、あんなにもかわいらしく見えるのですね、浦里。そりゃあ惚れちゃうわ〜と妙に納得。笑
時系列的にも紺シリーズの後に続く”極まる”ですが、私としては五月〜の浦里のことでやきもきしながらも、もてる真木少年の様子ににやにやでした…vvいいよね、この組み合わせ!
そして、最後の最後のエピローグでそこに!そこに照準を合わせてきますか…!!と思うような落ちを持ってきてらっしゃって、ファンはすごいにやけただろうな〜と思わずにはいられないエンディングでした。もちろん私もにやけましたが。笑 
若干鳩の栖よりも、ハードになった印象が少しあったので、鳩の栖の少年ぽさと比較すると、青年に一歩近づいたそんなイメージを受ける一冊でした。NO.13■p187/大和書房/03/12
2009年07月19日(日)

【読書記録】記録だけ2冊

NO.11■奥田英朗「ガール」p253/講談社/06/01
ストーリー:四大を出て就職して14年。営業畑で異例の課長の肩書きをもらった聖子は、女性課長としてよい仕事をしようと一生懸命仕事をする。しかし、不動産会社は男性社会で男の暗黙のルールに理不尽さを感じ、また部下になった年上の男性にどう対応すべきか悩む…。

NO.12■西沢保彦「リドル・ロマンス」p284/集英社/03/03
2009年07月18日(土)

いまがあって明日がある

「読書記録も見てるよ!」というお言葉をいただいたのを思い出しつつ、今までの記録から引っ張り出してきました。途中三冊まとめて、になってしまったのがとても申し訳ないです;<いろいろ そして表現が稚拙でごめんなさい。努力します<(_ _;)>
とりあえず、私の中では「荒野」はだいぶインパクトのある作品で、読後4ヶ月たった今でもタイトルを見ると「また読んでみたくなるかもしれない」と思わせる何かがありました。ただ、私もちょっとクセのある小説を好きな面もあるので、やっぱり一様にいいです!とはいえない感じの小説かなと思います。「天の瞳」とか、常時見られるところにあげているお勧めはその分偏りなくおすすめできるものを、と考えているのでそちらをぜひ〜v

さて。もうちょっと前にこちらに書こうかと思ったのですが、やはり結構過酷な日々を送っておりまして、こうしてなんでもない夕食後の時間帯にもPC画面をみているとぼんやり眠気が襲ってくるような今日この頃です。おかげさまで食欲もおかしくて、頭では「食べなきゃ・・・食べなきゃ〜」と思うのに、胃が受け付けなかったりで(ばてているわけではなくて精神的な切迫感とか…)体重も落ち体力も削がれ、切実に休んでちゃんと回復したい、と思っています。もう少ししたら落ち着けるので、そうしたらしっかりお休みさせていただきたいと思います。

えーと。前回のお話の続きだと、評価に関して満足が〜というのは、2つある項目で両方とも最高評価をいただけたことに起因していました。内容的にも現時点ではだいぶきちんと押さえているし、ほとんど文句ないということでしたが、評価直後からうれしさはどこへやら。なのでさらりと。日常に対してのいろいろは…いろいろです。笑 最近は前述したようにちょっとおかしい感じが自分でもしているので、もうちょっと自己管理に注意力を注ぎたいと思います。

夏。そろそろ風が湿り気を帯びた高温のものになりつつありますが、どうぞ体調の変化にはご注意を。寝込んでからでは遅いですよー!苦笑
2009年07月10日(金)

【読書記録】桜庭一樹「荒野」

ストーリー:中学生になってはじめて乗った通学電車で、セーラーの襟が挟まり困っていたところを、同級生の神無月悠也に助けられた荒野(こうや)。入学後の印象はあまりよくなかったものの、恋愛小説家である父がある日突然神無月蓉子さんと結婚する事になり、荒野の家に大きな変化をもたらした。いつも怒ったような顔をしていた悠也と日本人形のような荒野の12歳から15歳のお話。

※はじめに断っておきます。この作品の感想をまとめるにあたって、だいぶ考えました。けれどまとまっていないような感じが自分でもします。悪意はありませんが、素直に好きです!ともいえない微妙な感じの内容になってしまっています。もし、ファンの方などがいらっしゃいましたら、それを承知の上で読んでいただけると幸いです。

読み終わって振り返ると、思うところがありすぎて全部は拾えない気がしますが、一番インパクトが強かったのは、生々しい…な、という感覚。生理的なことに引っ掛けた内容が随所で出てきて、本来あまり表面化させるべきことじゃないことだからこそ、本能的に軽い嫌悪感のような何かが漂っていて…。(本の内容に対してというより、その物事に対して。文章のチョイスをするときに、なぜこの言い回しでこのエピソードを持ってきたのかなぁと、そのあたりが残念でした。生々しくても、対峙の仕様によっては魅入られるほどの魅力になることもあると思います。やるならぐわっとつかむくらいに…でも、そうすると全体の雰囲気を損なわれるだろうし、うーん、これでいいのかなぁ)

作者、女性ではないかと感じました。よく言えば、とてもリアルで、もしかしたら味わったことがある感じ…動作にしても、その場の雰囲気にしても、なので、感覚に訴えてくるものがあります。

と、若干マイナスのような感想で始まりましたが、全体を見るととても面白いタイプの小説でした。3部構成で、一部が180p程あり三章構成になっているのですが、テンポ良く進み、読みづらいことはないので、気がついたらあっという間に読み終わってしまいました。構成力がすばらしい!

内容紹介では第一部の12歳部分をあげましたが、第二部では荒野を好きな男の子が出てきて、事態はゆっくりと変化します。この子も「ああ、クラスにこういう子っているよね〜!」という明るくてちゃっかりまとめあげちゃうタイプで、すごく愛嬌たっぷりな純情少年…かと思いきや。笑 このエピソードを見ていると、本当にこの時代はタイミングが大切なんだろうなって。いろいろな経験が無いからこそ、いろいろなものが刃になって自分を傷つけてくるようにも感じるし、実際に意図せず傷つけてしまうこともある。このあたりの場面を読了後に振り返ってみると、荒野の視点でつづられた文を読んでいたときには違う事が彼女の頭を占めていてそっちがもやもやしていて、阿木君についてはあまり深く考えていませんでしたが、阿木君視点で考えると本当に苦しいな〜としか言いようがないですよね…。最後の庭のシーンなんかを見ると、そんなに悪い子じゃなかったんじゃないかとさえ思います。どれも”彼”の一部だったんだろうなぁ。

荒野の恋愛って何だろう、好きって何?に対しての解決、見事だと思います。スイッチが入ったように人を好きになることがあるかもしれないけど、大半はそうじゃなくて、ちょっとずつ気がついたら人を好きになっている、それは自然なことだけど、人は意識した瞬間から変わってしまう。小説におけるその一瞬にいつもなんとなしに違和感のような何かを感じていたのですが、じわじわとにじみ出てきて、それでもはっきりしたものじゃなくて、ほんのりと淡い。だけど淡かった思いを、はっきりと自覚するときがやってくる。その過程が好きでした。

他にもそれぞれのキャラクターが一癖あって、それぞれの荒野との関係に楽しませてもらいました。主に以下。
中学でできた友人。運動ができて、徐々に男子の注目を浴びるようになったフレンドリーな麻美。美人でお手入れも欠かさず、自慢の友達の江里華。父・正慶の女性が必須の恋愛小説とその女性達、男性のようにさばさばした家政婦の奈々子さん、義母として荒野の家を変えた蓉子さん。

明るい純粋ハッピーな物語では無いと思う。生きていくのって案外生臭くて、だえど楽しい事だっていっぱいある、言葉にするとそんな文章が浮かんできそうな小説。面白いと思うのですが、もう少し進化した形が見てみたいというのが正直な感想。NO.10■p506/文芸春秋/08/05
2009年07月09日(木)

【読書記録】3冊まとめて

…あー…このあたりの時期は忙しくてちゃんと感想をかけていないみたいです。汗 なので、ざざざっとまとめて記載。

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NO.08■重松清「ブルーベリー」p244/光文社/08/04
読んだのに感想を記す時間がなかった作品。面白かったわー!という記憶はあるのですが、内容はあいまい…。すみません;
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NO.09■北村薫「野球の国のアリス」p280/講談社/08/08
ストーリー:それは不思議の国のようで、案外不思議じゃない鏡の向こうでのお話。左右反対なことだけを除けば、ほとんど自分がいた世界と変わらない鏡の向こうで、本来ならばもうできないはずの野球の試合ができると聞いてわくわくする少女アリス。だけど、物語はそんな感嘆には終わってくれなかった。鏡の向こう、左右が反対で、ちょっと違うキャラクターのむこうの友達にあくせくしながら、アリスなりにがんばり、そして野球の試合を本当にすることになるのだが…。はたしてアリスの行き着く先は?

ディズニーで見たアリスは、途中で会う猫や帽子屋がとても気味が悪く、大きくなったり小さくなったり、姉妹には女王様達に追い回されるという描写の印象が強く、私はいまいち得意ではなかったのですが、これはそのような要素はなく、左右逆転してしまうだけでまったく同じ世界を、しかも行き来するアリスが主役でした。笑
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NO.9-2■森博嗣「銀河不動産の超越」p279/文芸春秋/08/05
ストーリー:就職課の人にはあまりお勧めできないといわれつつも、銀河不動産に就職した若干気力のない主人公。そんな新人の彼の元に現れたマダム・間宮さんの依頼で物件を見ていた。そんな中、不意にこの土地を買うからあなたはここに住むようにとマダムに指示され、とても広い少し変わった間取りの部屋に住み始めるのだが――。
森さんのイメージとは違ったのですが、なんとなく理系の方なんだなぁということを髣髴とさせるシャープな文章が印象的でした。本当はシリーズ物にも着手したいのですが――。
2009年07月08日(水)

【読書記録】田中芳樹「ラインの捕虜」

ストーリー:父が亡くなったことを受け、フランスの資産家である祖父の家を訪ねたコリンヌ。しかし、祖父は頑としてコリンヌが孫であることを認めずさらには悪態までつく始末。しかし、「ライン川のそばにある”双角獣(ツバイホルン)の塔”へ行き、幽閉されているともっぱらうわさの人物が誰なのか見届ける事」を条件には孫と認めるという言葉を信じ、父の汚名返上のためにも、塔へ行く決心をしたコリンヌだが…。

時は1830年のフランス。あのナポレオンをモチーフに、歴史的背景を元にかなり緻密に書かれた作品だなぁとまず感嘆しました。(実際に、参考資料を見ると、ミステリーランド作品では見たことがない量の書籍があげられています)世界史はあまり得意ではなかったので恥ずかしながら私は大変勉強になりました。読者が小さな子供でも、若干固有名詞(七月革命等)に疑問を覚えても時系列と登場人物がしっかりしているので、混乱することもないと思います。むしろそういった少しむずかしめの背景事情があるにもかかわらず、とてもいいテンポで進んでいく物語にひきつけられるのでは。総合的に見て、ページ数もあり長さは決して短いとはいえないのですが、無駄がないためか、全く苦痛は感じませんでした。テンポがいいと書きましたが、どんどん進むという類の意味ではなく、もたつきがなく的確な描写に絞られた文章といったほうが的を射ているかも。実際に、作中では敵襲があり、剣を交えるといった要素もあるのですが、とてもスピーディかつ滑らかで、この方のファンタジックなorヨーロッパ的な作品を探してみたいと心から思いました!
表現については、このくらいにして。実は半ばまで、ミステリー要素を忘れて、冒険物語を読んでいる気分でした。確かに伏線は点在するし、なぞはところどころにあるけれど、それほどまでにコリンヌの仲間と彼女にわくわくし、いいキャラクターだなぁと惚れ惚れ。一見高貴な雰囲気をまとった元海賊に、謎の剣の名手、自称天才作家、そしてカナダとフランスのハーフで、頭の回転がいいコリンヌ。彼らが、目標に達するためにとる手段や、懸念などがどれをとっても頭がよくて、楽しい一冊でした!NO.07■p355/講談社/05/07
2009年07月07日(火)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン