新しい配属先で僕はそれなりに評価され、信頼されているようだ。実績としての数字を誰が見ても良い数字を叩き出している。全店の中でも屈指の厳しさと言われる店舗だが、仕事のペースにも慣れてきた。
新しいバイクを買った。 サーキットのタイムもどんどん良くなっている。 色々な事が順調だ。 けれど、何の意味も感じられない。
その時々はもちろん楽しいし、うれしい。 けれど、ただそれだけだ。 もうあの頃のみたいに心躍ることも、我を忘れて没頭する事も出来ない。
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執念が続かない。 もしかしたら、僕はもう創る側にはなれないんじゃないかという想いが僕を蝕む。それも去年ぐらいなら、その侵蝕を感じて焦りを覚えていたのに。今では蝕まれる事への抵抗感すら薄れてきた。
誰がこの気持ちを理解してくれるのだろう。 誰も理解してはくれないだろうと、諦めることを受け入れてつつある。
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そのレベルでの理解を求めることが僕の「甘え」なのだ。 だから、彼女たちのことを思うなら、ぶつけてはいけない。 ぶつけてはいけなかったのか? それを乗り越えられなければ、結局は独我論の檻から抜けられないじゃないか。
そして、再び「意味がない」という結論に戻ってくる。
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