Coming Up...trash

 

 

2005年10月01日(土) Factory60(樺地)


ざわめきが波のようにコートを包む。人々の目は向こうのベンチの傍に立つただ一人に向けられている。

ネットに向かって歩いてくるその姿は思ったよりも華奢で、小さく見えた。
「いい試合をしよう」
軽く握った手は指が長く、節くれだち、あの人の手のようだと彼は思う。

テニスに選ばれた人の手

そんな言葉が脳裏を過ぎる。真っ直ぐ見上げてくる瞳は風のない湖面のように穏やかで、静かに彼を映している。

この人か

この人なんだ。あの人を奪ったのは。
この人なんだ。あの人を変えたのは。

腹の中がむずむずする。どこからくるのだろう、この怒りは。






嫉妬という感情を覚えればよいというメモ




 

 

 

 

 

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樺地景吾
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