Stage Diary
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Yoshimi.Aが観た舞台の感想です。
レポートではなく感想だけを載せてたりすることが多いかも…。(^-^;


2004年03月07日(日) 『ジャック・ブレルは今日もパリに生きて歌っている』&『エリザベート』

2回目の『ジャック・ブレルは今日もパリに生きて歌っている』。
しかも、Special!今度はすごく久しぶりな青山劇場での観劇でした。

Q.どこがスペシャルなのか?

A. 人数です。

…っていうのは冗談らしいですが、前回観た時は4人…今回は、岡幸二郎さん、今井清隆さん、戸井勝海さん、新納慎也さん、泉洋平君、椎名恵さん、小比類巻かほるさん、ゲストに絵麻緒ゆうさん……。そしてギャルソンが2人に増えてる。
でも、本来4人でやる演目らしいので、本当に人数までSpecialなようです。
そして、今まで上演してた会場よりも広い劇場でやってることは確かです。
…あのこじんまりしたところでやる雰囲気も好きだったんだけどな。
でも、私にとっても、他のリピーターさんにとってもこのキャスティングこそが本当にSpecial。
岡さんに今井さん、戸井さん…それで観に行くことを決めましたが、椎名さんも小比類巻さんもかつて好きで割と聴いてました。『ひめゆり』を観に行ったときにロビーに置いてあったチラシで岡さんと戸井さんが出演することを知ってその後、仕事中にスケジュールを睨みつけながら、観に行けるように虎視眈々と調整してました。
ごめんなさい…新納さんと洋平君は見てなかったから埒外だった。
それというのも『オイディプス王』のチケット取りがあったので、最悪の場合は発売日に劇場窓口に並ぶつもりでそのついでに観に行けるかと思いながら…本当に最後までどうなるかわからず、チケットを取ったのは公演1週間前でしたが、それだけの価値はありました。だからその分だけ本当にSpecialだと感じることができた2時間でした。
ジャック・ブレル没後25周年…この演目の初演の時には本当に生きてたジャック・ブレル。他界してから25周年…何がめでたいのかわからないけれど…人は25周年とか100周年とか大好きですね。
しかも、全然気にもしてなかったんですが………この日は千秋楽でした。(−−;
ホントは3/6に行きたかったんだけど、この日の予定が直前までどうなるかわからなかったので、3/7が強行軍になるとわかっていながら公演1週間前にチケットを取ったのですが…正解。自分の悪運の強さに(^^)YY(^^)。
でも、ゲストありで日替わりっぽかったから映画なんか見てないで前日も行けばよかった…。

今回の印象は今井パパ、椎名ママ、岡長男、小比類巻長女、戸井次男、新納毒吐き三男、洋平末っ子、絵麻緒お隣のお姉さん……ちょっと無理があるのはわかるけど、雰囲気的に何となく。(^^;
前回観たときも笑ったけど、今回ほど笑える演目だとは思わなかった。それもこれも新納さんがスパイスの効いたトークをしてたから。辛口マシンガントークの岡さんもいたのに、今回は結構大人しめ。そして今井さんは一歩引いたところからそれらを見守ってるという印象があったので…お父さん?(^^;…って思ったところから上記のようなことを考えちゃいました。
Specialといっても曲目内容は以前と変わることなく、最初は『マラソン』から。やっぱりこの曲は初っ端からしんどそうでした。観ているほうは楽しいから好きなのですけど。
『アムステルダム』…まさか岡さんで聴けるとは思ってもみなくて…!最高でした。今ちゃんもよかったけど…やはり、この曲はもう少し硬質な声で歌ってくれた方がより映えます。…黙って立ってれば(笑)本当にかっこいい人なんだから。
『マチルドが帰ってきた』は今井さん。この人の声も迫力があるから聴き応えありました。
『息子たち』も今井さんの熱唱。どこかヴァルジャンに通じるものがあり、やっぱりお父さんじゃん(笑)。<独身だけど
『天才の子も凡人の子も私の子も皆一緒…』という歌詞は非常に暖かいものを感じ、日々、虐待のニュースが流れる今の時代にすごく必要なものだと感じました。
『彫像』…戸井さんはかっこいいんだけど…どこかちょい落ちしてて、気勢をあげている時よりしょぼくれた感じのが似合うと思ってしまいます。それでもかっこいい時よりそういうところの方が好きなんだから始末におえない(笑)。
以前は確か初風さんが歌ってらして…戸井さんよりも男前だったってことはご内密に。(^^;
『ブルジョワ』は戸井さん、洋平君、新納さんの3人で…悪ガキがまんま大人を小馬鹿にしているカンジでよかったです。
ゲストタイムは岡さんが仕切ってて(笑)『私のサロンへようこそ…』だそうです。
まあ、いつもより豪華な舞台だからそれもいいですけど…やはり、岡さんは新納さんに美味しいところを取られてばかりじゃない。(^m^)
『ジャッキー』を絵麻緒さんが。この人が『ゲスト』ということが何故か2度め。以前の4Knightsコンサートの時もゲストだった…。以前は退団したばかりで尚且つ、曲が『闇が広がる』だったせいか、男の人の仕種がそこかしこに見え隠れしていたものだけど、久しぶりに見たら随分女性っぽくなってました。でも、やはり…威勢のいい歌い方は女性のそれではないけれど。

千秋楽なので、カーテンコールには演出の青井陽治さんや音楽監督の樋口さんも舞台に上がってのご挨拶があったのですが、こういうのも楽しみのひとつですね。青井さん…なんだか、雰囲気がジュリアン・ロイドウェバーみたい…。
せっかく舞台に上がったのに挨拶しながらもうろうろと行ったり来たりする落ち着きのない樋口さんは…出演者の方に押さえられるようにして舞台上を移動するのを止められてました。…その笑いが一番大きかったように思うのは私だけなのだろうか?

前回も思ったことだけど、ジャック・ブレルの詞はシビアなのに、どこか暖かい印象がある。
時に大切なものを思い出させてくれ、時に新たな発見を齎してくれる。
その世界に包まれているのはとても心地いい。
いろいろな演目がCD化されてるけど、私はこの作品こそCD化して欲しい。

その後はまたしても梯子で…終了すると共に帝国劇場へGo!
あまり、考えたくもないけど…○回目かの『エリザベート』でありながら、初めての……内野さん…(−−;
いやだって…今まで内野さんも1度くらいは観てみたいと思っていたけど、『チケットを取るぞー!』って段階になったらついつい祐一郎さんの方を取っちゃってたんです。
…当日券で観ようとしたときも…内野さんを見る気マンマンだったくせにいざ窓口で順番が回ってたときには…祐一郎さんの方を頼んでました。
でも、以前の名古屋公演のときは内野さんのチケットのが売れていて祐一郎さんの公演の方がチケット取りやすかったのに、今じゃ逆…。
そんなこんなで今回は祐一郎さんの公演に限り、全然取れなかったので苦節○年(笑)…漸く初めての内野トートです。

内野トートを観て思ったこと…80年代のデヴィッド・ボウイのよう。映画の『ラビリンス』の時がちょうどこんな感じだったように思う。エリザベートに突っぱねられるところとか、高い処から人を見下してる感じとか…(笑)。
ああ、久々に『ラビリンス』が観たくなってしまいました。DVD出てないかなぁ…。
で、それはともかく!

やっぱり内野トートであってもこの舞台は好きだなぁ…と感じるものはあるものの、演出に関しては以前の演出のままのがいい部分も多々ありました。
衣装が変わったり、大道具が大幅に変わったり、幕からして前回までとは違っていたので、1幕が始まる前からかなりバージョンアップしていたのはわかったのですが、背景…あれはナニ!?って言ってもいいのでしょうか。(▼▼メ
アレのおかげで全体が『舞台を観ている』ではなく、『大きなTVを観ている』ような印象が残りました。

私は日頃、デジタルな世界に埋没している為に舞台というアナログな舞台の世界を愛しく思っていたのに……精巧なCGなどでバートリーの美しい風景が再現されるならまだしも、あんな中途半端な眼がチカチカするだけのなんちゃってデジタル背景はいや〜!.。・(><)・。.
今はさ…もうちょっと技術も進んでるんだからアレをもっと精巧なものにすることだってできたでしょう!<仕事柄…できないはずがないって断言します。
コストの問題だというなら…いっそあんなのは無くした方がマシです。昔に帰れ!
オープニングも亡霊たちの衣装が加わってよりそれらしくなり、迫力は増していたけど、ブランコから落ちてしまう場面は以前のが好きだった。今回のこれは…舞台のアナログな良さが消えてしまっている。
同様に悪夢のシーンも…このシーンは納得できる面もあるので、あまり強くは言えないが….以前の布を上手く使った演出のがよかった。子ルドルフ君が地球儀の上に立つシーンも変わっていたし(この場面はいつも落ちやしないかってドキドキしてたから変わっててもしょうがないと思うけど)、大ルドルフ君の棺桶から出てくる閣下は…役柄的なものか内野さんの個性か…結構、笑ってしまった。(^^;<多分、笑うところじゃない。
でも、新しい曲が増えてたり、今回のセットの方がいいな…と思った部分もあるだけに複雑。
…でも、以前のままのをちょこちょこっと変えるだけで、あれだけ大幅に変更しなくてもよかったからもう少しチケット代をお安くしてくれたなら本当に満足って言えたのに(笑)。…と思ってる人は多いはず!<私はおもいっきり思いました。

それから、もうひとつショックだったのが…大ルドルフ君が井上君じゃなかったこと。
まあ、これは前々からわかってはいたのですが…実際に舞台を観ると、やはりショックを隠せません。
まだ開幕したばかりだからしょうがないのかもしれないけど…浦井君がっちがちで全てにおいてぎこちない…ルドルフ君の個性が希薄だし。
こう…整ってはいるけれど、『美少年』という役柄を演じるにはちょっとこう…歌唱力の問題とかインパクトに欠けます。スタイルとか身長とかは舞台で観る分には楽しい面もあるのですが、顔だけじゃ帝劇の大きさでは後列まで通用しません。
閣下との絡みであまり淫靡さが醸し出されないというのは残念です。井上君に帰ってきてほしかった…。
せめて浦井君は小池先生にガンガンしごかれて、今シーズン中にもっと成長してくれたらいいのに。

同様に没個性になっていたのが、エリザベートのお母さん。
まあ、前回のキャストが阿知波さんじゃ、それに太刀打ちしようと思うのは並大抵のことじゃないけど…凡庸すぎてつまんない。お母さんはちゃらちゃらしてればいいだけのキャラクターじゃなくて、もうちょっと抜け目なさそうなところを醸し出していてほしかった。
そして、フランツ・ヨーゼフも…。禅ちゃんだからそんなに悲惨なことにならないだろうとは思っていたけど、でも、あれじゃ…わざわざWキャストにすることないような出来上がり。
エリザベートはフランツ・ヨーゼフのナニに惹かれたんだろうか?(ーー;

しかし、それだけ文句を言ってても、『ミルク』や『キッチュ』の場面は楽しい。
アンサンブルがだれてる舞台ほどくだらないものはないが、その点で言えば『エリザベート』は…アンサンブルのが巧いと思えることが多々ある。まあ、初演から出演している人もいるってのもあるかもしれないけど、一糸乱れぬ動きに手足の動かし方ひとつ取ったって絶妙のタイミングでそれが為されるものだから…観ていてすごく気分がいい。
『キッチュ』は…再演で良かったと思わずにはいられない。だって、この出来であの人まで初演の仕上がりだったら…もうこの舞台は見放してたと思いますからね〜。
ストーリーテラーは突出して巧くなくていいけど、ある程度のレベルないとつらいから…。

そんなこんなで、本当は4月のチケットも家族には内緒でこっそりと観に行くつもりでしたが…観劇後、楽しいながらも妙に冷めた部分が残ってしまったので、5月までお預けにしたいと思います。まあ、8月に地元でガンガン観るかどうかは…5月の成長次第かなって気はします。
しかし、中日劇場…また馬車はないんだろうか?(−−;



2004年03月06日(土) 『ハムレット』四季版

初めての“自由”。
先月、“秋”に行ったときに垣間見た外観はちっちゃい…と思ったものだが、実際に中に入ってみてもそうでした。
随分とちっちゃくまとまっている…それが第一印象。
客席より舞台のが広そうな気がした…(^^;
多分、写真に撮ったら綺麗に写りそうな内装だけど、実際にはロビーが狭くって休憩時間に寛ぎづらい。
相変わらずトイレがスムーズなのは賞賛したいが、お飲み物を持ってうろうろしてるお客さんに遮られてトイレの列に辿り着くまでの方が大変でした。
…人に揉まれる為に行ってるわけではないので、舞台の機能重視するだけじゃなくてあらゆる面において客が満足できる環境を作って欲しいと願わずにはいられない。
いくら優れた作品でもショボい小屋での上演では…せっかくの気分も台無しになってしまうから。
ここの劇場で広いと思うのは劇場に入る前の階段くらいか(笑)。

下村ハムレット…多分、今回が最後になるはず…演るのがではなく、私が観るのは…!(笑)
ハムレットには19歳ハムレットと30歳ハムレット説があるという。
当然、下村さんは後者。
優れた役者は年齢を感じさせずにどんな役でも違和感なく演じてしまうものだが、19歳とは…思えない。外見だけでそう思っているのではなく、二手三手先を思い悩むようなハムレットだから。
若さだけでがーっと突っ走っちゃうようなところのあるハムレットはここの劇団では無理なんだろう…というか、そもそもコンセプトが違う。ホレイショーもフォーティンブラスもおじさんだし…(^^;
藤原君を観た後では潤いに欠ける…。<失礼な(>_<;
悩んでないハムレットも嫌なものだが、少し先のことを考えながら思い悩むハムレットも嫌なものである。
しかも…やはり、下村さんも器用な人だけに、ハムレットのやることなすこと空回りしちゃう不安定さに欠けているな…と。

それで何だって観に行ってるんだかといえば…新しい劇場が見てみたかったから(笑)。
今回、不意に時間が空きそうだったので検索してたらいろいろな演目が引っかかってきたけど、その中で一番いい席で…そして、“自由”は今までの演目よりもチケット代が嬉しくなっていたので。
…ディズニーだろうがロイド・ウェバーだろうが、他の演目でも、ウエストエンドやブロードウェイ並みのこのくらいの値段になるようにしてくれたらいい劇団だと思えるのに。<切実

そしてもうひとつは…もう一度、野村さんのオフィーリアが観たかったんです。
…この人こそ、年齢不詳の演技。(^^;
40過ぎてるというのはわかっているけれど、首筋に年齢が現れているけれど…可愛い。
それに、今まで観てきた中でオフィーリアがムズカシイ役どころだと思う訳は…狂気の演技とヴァレンタインの歌。どちらかが上滑りしたり、どちらかがこなれてなかったり、どちらかでもコケることほど滑稽なものはない。今まで観た中でそれを遜色なくこなしている…と思う女優さんはこの人だけ。(女形は…まあ、いろいろOKな人ばかりなんですが)
あのヴァレンタインの歌はCDにならないんだろうか。(…CCが余分についてたら絶対に買わないだろうけど)
ただ、この人もいくら可憐でもこの役をやれるのはあと数年だろうな…というのが透けて見えてきてますね。

四季の演出は傾斜舞台以外はごくごくスタンダードな衣装や演出なので、『正統派を観ている!』という気にさせられるのでそれなりに満足なのですが、かの有名な『尼寺へ行け!』のところでオフィーリアを叩きつけてないどころか、指一本触れていない…。
それがなんだか寂しいというか、物足りないというか…そんなに奥さんが可愛いのかとか、先生が怖いのかとか…下世話なことまでいろいろ考えてしまいます。

クローディアスは…なんだか小粒。兄を殺してまで何がしたかったのかが希薄に感じる。(私的解釈として王になるというのは目的ではなく手段だと思っているので)
もうちょっと悪役なりの貫禄を身につけて欲しい。…せめてあと+10kgになってくれたら存在感も変わってくるだろうに。

しかし、やはり好きな役者だからとか関係なく一番いいなぁ〜と思うのはハムレット王の亡霊であったり、墓堀の件であったり、旅役者達。
それらは流石の貫禄の松宮さん…この人もかなりの高齢なはずだけど、声の張りなどはいつまでも変わらず、すごいと思います。
とか、亡霊の地の底から響くような低音は…音響の効果を抜いてもいい声だなぁ…と思ってました。(^^;
また、旅役者が出てきたときにバック転してた人には…単純に感嘆しました。
傾斜舞台なのに、飛びにくい状況なのに、ジャンプが高い!
喋れる役者は少ないのに、こういうことのできる俳優さんはいっぱいいるんだよね…四季ってところは。

今回、俳優座の方とか、昴の方とか、民藝の方が客演してらしたのですが…『歌うために鍛えられた喉』と『喋るために鍛えられた喉』の違いを堪能してきました。
井上君が蜷川さんに『歌うように喋るな!』と怒られた訳を納得してきました。
四季の劇団創立メンバーはそんなに違和感がないのに、それ以降の人たちがストレートプレイをやるときにどこか違和感を感じていた訳にも納得できました。
ベースとして『喋るための喉』と『歌うための喉』では全く違うのはもとより、歌うように喋ってしまうと全員がそういう時はそれもひとつのスタイルとしても受け取ることができて、そんなに気にならないでしょうが、今回のように混ざると妙に間延びした感じが際立ちます。
…井上君くらいだったらまだ微笑ましくも受け止めてもらえるんでしょうが、四季で出演している人たちは…なまじ、そこそこのキャリアがあるだけにちょっとシャレにならない。
ストレートプレイに回帰したがってるけど、四季はもうミュージカル集団でしかない…っていうことが証明されちゃったような気分。
そうやって一生懸命に足掻いてる姿は嫌いじゃないんだけど…四季はやはり、ミュージカル劇団でした。


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