Stage Diary
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Yoshimi.Aが観た舞台の感想です。
レポートではなく感想だけを載せてたりすることが多いかも…。(^-^;


2004年02月15日(日) 『ひめゆり』

『ひめゆり』…これも説明の必要がないほどに有名なひめゆり隊の悲劇を元にした話。以前に上演された時から観たいと思って…今回、思いがけず芸術劇場のミュージカル月間のおかげでそれが叶った訳ですが、いい舞台でした。

鬼軍曹(いや、ホントはちゃんと名前あるんだけど…)に岡さん、檜山上等兵に戸井さん…もしかしたら、この二人が出てなかったら観に行ってなかったかもしれないけど…観れてよかったって思います。この内容はぜひともぶっしゅに観せてやれ!
キミちゃんに本田美奈子さん、婦長に土井裕子さん、…あ、あとはミュージカル座の方々。(^^;

本田さんは相変わらず細い声…2FC列という席だったので、高音なんかは聴き取りづらい。もう少し声量をつけて欲しいけど、身体も細いからなぁ…。舞台という場所は本当に魔窟で、臍出して歌ってた頃から知っているので、その年齢は凡そわかってはいるけれど…キミちゃん可愛かったです。ホントに女学生くらいにしか見えないんです。いや、他のひめゆりの方々も皆そうだったんですけどね。(^^;あんびりーばぼー。まあ、宮本信子さんがセーラー服を着ているのに比べたら何てことないんですけどね。ホントに可愛かったですー。そして、可愛ければ可愛いほど、ツライ目にあう途中が可哀想…。

最初は戦争中ながらも学校での様子は今とさして変わらない。どんな時でも女の子が集まれば、明るく楽しい雰囲気になります。でも、そんな中にも強さがあって逃げることにも勇気がいる時代だったんだと教えてくれる。しかし、もし今またそういう状況になったとしても私は『お国の為に』とか出兵する人に向かって『万歳!』とは言えないと思う。
そして、そんな微笑ましい光景も場が病院へと移行すると笑ってもいられず、鬼軍曹に怯えながらも芯から強くなっていきます。病院の場面の呻き声は…本当に怖かった。実際はあんなものじゃないと頭ではわかっていても怖い。(><)ひめゆり隊と一緒になって鬼軍曹が出てきたときにびくっとしてたり…婦長さんの優しさにほろりとしてました。(^^;
…でも、実際にはあんな婦長さんはいない!この平和な世の中にあっても婦長と名のつく人はどこの病院であろうとも鬼軍曹よりも(笑)怖い人ばかり(ノ_;)

それから、鬼軍曹は身長あるし、硬質な声だしですごく威圧感がありました。
でも、この人も何かに追い詰められていく感じがわかるから…鬼軍曹と呼んではいてもこの役は嫌いじゃない。それに、ボディバランスがいいからやっぱりかっこいいんですよね。颯爽と歩く姿勢とかがすごく綺麗だし、いかにも軍人といった雰囲気。しかし、そんなかっちりとした鬼軍曹ですが、多分、冒頭のところで『もんぺ姿』で町を往く群集に紛れて出ていた…と思う。やはり、どこか一味違う人だ。

でもって、私は病院でグランテールを観た(笑)。怪我をして病院にいるはずなのに、他の人は起き上がれない人ばかりなのに、一人だけ何故だかとっても元気そうな戸井さん…その姿は酒場で呑んだくれているグランテールを思い起こさせます。
アンジョルラスもいたし(爆)。

それはともかく病院でのシーンは秀逸な場面もあり、『換気しろ』と鬼軍曹が言うので『舞台でどうやって換気するんだ?』って思ってたら…ひめゆりちゃん達がハンカチを出してパタパタと換気…鬼軍曹への文句を歌い上げながらパタパタとハンカチを振るのはとっても見ていて楽しい場面でした。米軍を避けつつ、ご飯を取りにいくところとかも微笑ましい。歌いながら、しかもしゃがんだ姿勢で進みながらというのが演じる側にとってはつらく難しいかもしれませんが、観ている分には楽しめました。そして話が進むにつれてどんどん離れ離れになったり、先生や檜山さんが死んじゃったり…終末に近づくにつれ、涙なしには観れないんですが…それだけに、最後にキミちゃん、ふみちゃんと妹のるりちゃんなど何人かが助かった時にはほっとしました。

音楽もすごくわかりやすくていい曲ばかりでした。綺麗なメロディラインを透明度の高い歌声で歌うことによって戦争の悲惨さがより鮮烈に心に刻まれます。これ、オリジナル・ミュージカルとしても完成度は高いし、絶対にもっともっと上演して欲しい作品です。

だから、終演後に涙を拭きながら…『こんなの観たら昔を思い出しちゃうわね』なんて言ってた戦争体験世代の方もいらっしゃいました。
内容がこうだからか…いつもより年齢層は高めで、しかも男の人が多かったです。
いつもは大体1〜2割程度なのに『ひめゆり』では男性の観客が3割を超えてました。いつもこうであって欲しいし、もっと男性が増えてくれると、幕間のトイレがスムーズになるのだけれど。



2004年02月14日(土) 『ユーリンタウン』&『Song&Dance』

『ユーリンタウン』…宮本亜門演出の異色ミュージカル。そして、失敗ミュージカル。
そのまま訳せば『便所の町』。…これだけで済ませてしまうと身も蓋もない。
でも、内容はといえば『近未来、水が枯渇しトイレさえも制限され、有料トイレに四苦八苦している状況を是正しようと町の人たちが立ち上がる』…ってなもので、設定は随分シュールなもの。しかし、それをあっけらかんと笑い飛ばす話なので、そんなに嫌味でもないんですが…そう何度も観たいものではないというか、一度見れば充分。

トニー賞の授賞式で観たときには面白そうな印象だったから、観たくて観たくてあちこちのアンケートに「『ユーリンタウン』が観たい」と書きまくってたけど!実現してくれて嬉しいけど!やはり、実際に観てみると多々、粗が見えてしまってもっと練ってくれなきゃお客さんはこんなのには納得しないです!

セットは鳥篭のような…黄色の檻が出てきて、すごく興味深い。それが巧く使われているので場面転換も非常にわかりやすく、観ていて楽しい。音楽も覚えやすいし、聴いていて楽しい曲が散りばめられている。
そして、キャラクター重視でキャスティングするのはわかる…というか、こういうパンチの利いた作品はキャラクターで魅せるしかない部分もあると思う。

しかし、制作サイドがこうやって観客を馬鹿にしている以上、日本のミュージカルのレベルは上がらない。チケットを売りたいならもうちょっと営利以外のロマンも考えて欲しいよ。

『ユーリンタウン』で風刺されている出来事は遠い未来のことじゃない。もしかしたら、明日にでもそうなってしまう可能性があるからこそ、世界で最も水を大切にしない日本でこのミュージカルを上演することに意味があると思っていた。
でも、これじゃ…何の意味もない。警鐘にすらならない…なってない。
亜門さんが演出しててなんでこんななんですか?どこの嘴に逆らえなかったんですか?
歌えない踊れない芝居ができない可愛いだけの有名なタレントよりも無名でいいから歌えて踊れて芝居のできる役者さんにやってもらってくれ〜!!
これだったら、セカンドキャストでいいから来日してくれた方が嬉しかった。
まあ、キャストを見たときから『失敗』とは思ってましたが、案の定…(^^;

で、それでなんで観に行ってんだって言えば、発売日からかなり過ぎてたのにも関わらず3列目の席を見つけてしまったから。センターブロックじゃないけど、通路脇だしいいかと思って。そして、事前情報で察知した『トイレットペーパーが欲しかったから〜!』(爆笑)
そのためだけに行ってきました。(^m^)まあ、キャストは失敗だとしても『キャンディード』が結構面白かったから、亜門さんがなんとかしてくれると思ったのが半分。日生劇場だからつまんなかったら途中で出て帝国ホテルで寛ぎのひとときを過ごそうとか思ったのが半分。
とりあえず、最後までは見てましたが。観てる…じゃないかも。

兎にも角にも『南原清隆、最初で最後のミュージカル出演』…になることを希望。
キャラクターだけで選んだのがありありとわかるキャスト。確かに、キャラ的にはいい味出してる!あの表情とかは面白いし、語りもわかりやすい。それらのものはコメディアンでしか出せない味わいのものだ。コメディアンの中でも好きな方だといえる。でも、これが最後であって欲しい。別に、化粧塗りまくってるのに尚、顔がぼこぼこだとか、下手だからっていう辛口の理由じゃない。

…歌ってないから!!

生であるべきミュージカルでテープ流してたとかまでは言わないけど(ソロで歌っててもたった3列目まですら肉声が聞こえてこないから疑惑は持っているが)、1幕の出演者が舞台から降りてきて客席後方へと消えていく場面で、ほんの何十センチ先かを通ってゆくから歌ってるかどうかなんてのは良くわかる場所に居たから言える…南原歌ってません!
口パクで私の隣を通り過ぎてゆきました。他の人はちゃんと歌ってたし、2幕のときはちゃんと歌っていただけになんかこの態度がムカツク。
1幕から飛ばすと持たないから温存してるんですか?サボリですか?
客席に降りてくる時くらいはちゃんと歌おうよ…たとえ、下手でもいい。(<いや、金とって見せる以上はホントはよくないけど)ちゃんと一生懸命に演じようとしている姿勢をこそ、評価する。
実力がないからテープでもいいとか、他の人が歌ってるから口パクでもいいなんて思ってる人間には舞台に立って欲しくない。
こういう時こそ叫ぶべきではないのだろうか『チケット代返せー!』…と。
嗚呼、つまんない舞台だったらお金返しますっていう制度があれば…と思った1本でした。
せめて半額返してくれると、帰りのお弁当が豪華になるのにな…。<結構、本気

ストーリーテラーには憤慨してますが、まだいつも一生懸命だったハムの人…別所さんのがよかった。普段の服を着た状態じゃよくわからなかったけど、かなり鍛えた身体でした。あまり見えないところで努力してるんですね。ま、そんなところがよかったわけじゃなく…結構、ノリノリ(死語)で他の人たちとちゃんとアイコンタクトしながら頑張っていたところがよかったです。あまり巧いとも思わないし、積極的に観に行こうと思う人ではないけど、こういう姿勢は好感が持てる。こういう風な人がいると、失敗作でも損をした気分のまま劇場を出なくてすむから。
しかし、名前よりもつい『ハムの人』といってしまう…あのCMの威力はすごい。(^^;

あとは脇の人たちのが面白かった。安崎さん、高谷さんは…そこに居るだけでも面白い。はっきり言って可笑しい。この方達のキャラクターは本当にコメディ向き。
そのインパクトだけじゃなく器用に動けるからこそ、アクの強いキャラクターがさらに生きてくる。高谷さんはすごく好きなキャラクターだけど、普段はあの方を基準にしてチケットを取ってるのでなかなかお会いできないから…今回観れてよかった。
しかし、裏を返せばそれくらいしか美点はないということでもあった。

マルシア…相変わらず、日本語の発音がおかしい箇所がある。でも、今回はこういう作品なので、それも持ち味のひとつとして楽しめた。
そしてこの役を見て思う…『ファンティーヌよりもマダム・テナルディエ!』やはり、どうしたってマルシアの持ち味である強かさが隠せないからファンティーヌよりも強引なおばちゃんをやった方がいい!
そうしたら、取ってつけたような母親面が嘘臭いとか、言わないよ(笑)。

また、がつがつと欲張って夜も観てきました。
1泊2日で3本…もうすでにこれが基本形なのか…。(>_<;;;

『Song&Dance3』…さすがにあまり間をおいた気がしない3作目ともなるとちょっとだれてきている印象がある。昔は…観たいってリクエストしても全然やってくれなかったくせにさ。またしても積極的にチケットを取らなかった為に高いだけの観難い席より、納得価格のバルコニー席を選ぶ。気合を入れてチケットを取らないあたり、観る方もだれてきている(苦笑)。しかし、バルコニー席は前に身を乗り出していても後の席の人からクレームがつかない上にすごくリラックスして観れるので結構好き。ただし…やはり、ずっと前屈みでいるのは疲れるので、もう少し足もリラックスできるように座席の前をもうちょっと広くして欲しかったというのはある。
今度、劇場を作る時はこういうことも考慮して作ってくれないだろうか。

ま、それはいいとして…『だれてる』といいながら、いろいろなミュージカルの美味しいとこ取りしてるこの演目は楽しい。イマイチ…なんて言いながらもそこかしこで楽しめる。
『美女と野獣』なんて音が鳴り出した途端に身体がリズムを刻んでいた(笑)。『壁抜け男』も久しぶりに聴くといい感じ。
むしろ、内容に面白さを見出せなかった場合はこういう作品よりもいつものミュージカルの方がツライかもしれない。

前回よりも人数が増えてダンスシーンはパワーアップ。しかし、個々のレベルとなるとばらつきが見られ、もっと精進してほしい人がちらほら。途上の人がレベルアップを図るにはいい環境に居るといえなくもないけど、観ている方はどうにも違和感が付き纏う。これくらいなら人数が少ないままの少数精鋭のほうがよかった気もする。それから、前作の方がまるで一つのストーリーのようにすっと入ってきたのに対し、今回のはそれぞれの曲は主張するけど、全体の流れとしてはあまりつながっていない感じがした。どちらが成功していて、どちらが観ていて楽しいかは言わずもがなのことだろう。決してあれこれ観て眼が肥えてきたから粗が見えるわけではないと思う。何があったかは知らないけど、個性を消してしまうほど軍隊のごとく統制するなら、ダンシングマシーンであることをもっと徹底してほしい。

さて、井上さん…しばらく観てなかった気がしますが、その間に随分印象が変わられてしまいました。以前は可愛い感じの印象だったのが、凛とした感じに。嗚呼、年月の流れがここに…。(;_;)

キム・スンラさん…初めて観たのが『美女と野獣』のお金次第でなんでもするお医者さんだったので、中身も(笑)もっと老けた人なのかと思ったら…意外に若い。<失礼(^^;
もしかしたら初めて生 (笑) の顔を見たかもしれない。

加藤さん…このカンパニーに居たんですね。前回のときに加藤さんを観たくてチケットを取ったのに、怪我とかで観れなかったから今回も必ず観れるとは限らないと思ってバルコニーにしたのに…そういう時に限って出演か…。(;_;)
しかし、加藤さんも昔ほどにはばりばりと踊ってくれません。やはり、ここにも年月の流れが…(^^;

あまり変わってなかったのは早水さんくらい…?
もう後は世代交代(笑)してて初めての方…もしくはそれに近い方が多かった。
しかし、その中でも目を引く人は1〜2人。ただ、その人たちが3年先にも四季にいるかどうかは謎だけど。
最近の四季はそこそこできる人はさっさと辞めてっちゃって圧倒的な定番の人たち以外は目が行く人が少なくなってきてレベルが物足りないくらいにまで下がってきてますね。脇でも巧い人はいるけど、巧いだけで+αに欠ける。だから、巧いのはわかってもずっと目で追いつづける程ではない。劇団という形態でやるには大きくなりすぎちゃってこれ以上を望むのは無理なのかしら…?



2004年02月04日(水) 『妖怪狂言』

2度目の妖怪狂言…ただし、初めての名古屋公演。
愛知芸術劇場コンサートホールでの公演だったのですが、劇場を聞いてからいや〜な予感はしてました。
コンサートホールってことはより音が響くように設計されてるはずで…
バブリーに巨額を投じて作られたハードなので、クラシックのコンサートなどではそりゃ、綺麗に音が伸びると思うのですが、こういうところで狂言とか芝居をやった場合、謡いや歌などは結構、綺麗に音が伸びるだろうけど…話は聞き取りにくいだろうなぁ…と思ってました。
そして、行ってみて…案の定、妙な反響をして聞き取りづらい部分も…。(T^T)
こういう時だけ吸収しちゃうように臨機応変に変えられる設計だといいのにね。
こういう公演をやるにはここは向いてないと思います。名古屋能楽堂があるせいなのか…そもそも、こういう公演は想定されてないだろう…っていう造り。
…まだ、中日劇場のがマシだったかな。
8列目だからまだ観にくくはないんだけど、ちょいと端なのが…舞台の高さがさしてないのが…なんだか…。(^^;
ただ、決定的に致命的な点を上げるなら『座席がしょぼい!』。
座り心地がよくない。安っぽい。
明らかに、座席代の何割かがリベートに消えたと思います。

それはさておき、今回の演目は古典の『梟』、妖怪狂言『狐狗狸噺』、『豆腐小僧』の3本でした。

狂言は何回か観たけど、やはり…大蔵流のが思い切り笑えます。
特に茂山さん家は可笑しい。(^^)
大体、プログラムに手拭いがつくならまだしも…今回60分のCD付。
しかも、(まだ聴いてないんですが)ざっと内容を見ただけでも…『語る』とかね。
狂言で使ってる謡とかを収録するならまだしも、『語る』!
何かが違う気がすると思うのは…気のせいだろうか。

最初は逸平の口上…っていいのか…ご挨拶?…で京極さんの宣伝とかして、京都だから綿矢りささんのこともちょっとだけ触れて、逸平…自分の写真集の宣伝もして、その後『梟』が始まりました。
一言いうなら…逸平、あまり話は上手くないですね。
名古屋で何かいやな思いでもしたことがあるのでしょうか?
お客さんに笑えと強要しなくても、可笑しければ笑います。
笑いが少なければ…未熟な舞台だと思って、今後よりいっそう精進してください。
…芸どころ名古屋とは、そういうものなのです。
収穫といえば…千ノ丞さんのお歳がわかったこと?(笑)

さて、『梟』です。
親…千ノ丞さん、子…千三郎さん、法印…千五郎さん
このキャストを見ただけでも…笑ってしまいました。(^^;
でも、千ノ丞さんが祈祷されてる途中で顔を赤くしてたんですが…頭まで赤かったですよ!(笑)<笑っちゃいけないところかもしれないけど(^^;
…今回、あまりいいお席じゃないと思ってたんですが、思い切り堪能しました。(-人-)
で、妖怪狂言のチラシには『親と子』じゃなくて『兄と弟』って書かれてたんですが…勿論、間違いでいいんですよね?ミスプリントだって突っ込んでいいんですよね?

ざっとあらすじは山から帰ってきた親の様子がおかしいんで、法印…拝み屋?に治してもらおうとします。すると、どうやら梟が憑いてるようです。
祈祷をするのですが、治るどころか子にまで伝染り、最後には…法印自身も梟の真似をしながら去ってゆきます。

千ノ丞さんのキャラクターはやはり、可笑しい。
何もせずにそこに居るだけで笑ってしまう。
でも、声の出し方ひとつ、仕種ひとつ…並々ならぬものを感じます。
特に、孫世代と同じ舞台に立つからその差がありあり…。(^^;
千作さんといい、千ノ丞さんといい…茂山のお家は妖怪がいっぱいです。
そして、付け加えるなら千三郎さんと千五郎さんの掛け合いが素晴らしかった。
やはり、『間』かなぁ。間の取りかたが巧い舞台の方がやはり、観ていて楽しめるものなのです。

で、次の『弧狗狸噺』は…無職で無宿の男が嫁入り行列からはぐれた嫁(長者の娘らしい)と出会います。そこへ山犬(狗)が現れ、ふたりを食べようとするのですが、旅の僧に救われ、お礼に寺再建のために寄付をします。でも、それは実は狸で、狸に化かされた二人は何度も寄付をして、しまいには文無しに…。一度は退散した山犬が戻ってきて狸と揉めるが、娘が寄付した金は木の葉で、長者の娘は実は狐でした。…化かしてるはずが、実は化かされ、獣が獣を化かす…ざっと、説明するとそんな感じ。
やはり、筋立ては面白いと思うのだけどイマイチ。
人が人を化かす時代だから、ケモノがケモノを化かす世の中でも不思議はない…その一言が噺のすべてを物語ってます。
太郎冠者…逸平、狐…茂、狗…あきらさん、狸…丸石さんのキャストは前回観た時と何ら変わってませんでした。そして、舞台の出来も何ら変わっていませんでした。
…これって、実力の安定した舞台といえるのかもしれないけど、言い換えれば『進歩のない舞台』でもある。
尻尾巻いて逃げる山犬は面白いけど。
特に茂君…『女狐』という割には色気がないよ。(^^;
それ以前に発声…声の抑揚もイマイチだし。爺ちゃんたちは妖怪の域なので、それと比べられるとつらいだろうけど…これからも頑張れ!

そして、これもツッコミを入れるならプログラムのキャストのところが山犬…ではなく『山伏』になってました…山伏が出るのは前の『梟』!(笑)
…誰が校正したんだろうなぁ〜。(^^)

そして、15分の休憩を挟んだ後はお待ちかねの『豆腐小僧』。(*^^*)
臆病な妖怪の豆腐小僧は破れかけた笠と手に持った豆腐がトレードマークの妖怪です。
妖怪のくせに人間を驚かせたことがなく、一度でいいから驚かせてみたいと思って、太郎冠者にそそのかされるまま、太郎冠者の主と次郎冠者を怖がらせようとします。
だが、主は怖がるどころか豆腐小僧の豆腐を食べたいと言い出すし、その時、雨が降ってきたので、太郎冠者は豆腐小僧の被っている笠を主に渡してしまう。
そして、豆腐さえも取られると、それを持った主は豆腐小僧となり、どこかへ去ってしまいます。豆腐小僧は…豆腐小僧ではなくなり、太郎冠者、次郎冠者の主となりました。

豆腐小僧…千ノ丞さん、大名…千五郎さん、太郎冠者…千三郎さん、次郎冠者…茂。
「千ノ丞さんが豆腐小僧をやってる内に観て〜〜〜っ!」と、叫びたいほど好き。
実際、何人かにはそう言って薦めた(笑)。
これは狂言的にみても、もの凄く秀逸です。…茂山さんところだからできたことなんだと思うけどさ。
いや、でも…これはぜひ観ないと後悔する1本です。
豆腐小僧のキャラクターに千ノ丞さんがすごく似合ってる!
豆腐小僧と名乗った時に『何で、じい様なのに小僧と名乗る!?』って思ったのを見透かしたかのように『爺なのになんで小僧って言うんだとお思いでしょうが…』ってなことをいうんですよ。(細部は違います)ものすごく絶妙のタイミングで。
もう、ここのところで笑いが大きい。
そして、千ノ丞さん…爺様なのに、まつげが長くて瞬きをしている時『ぱちぱち』と音がしそうでした。それすらも笑えました。
そのほか、大名の言葉に怯えたり…爺さんでもなんでも愛らしい仕種というのはあるものなのだな、と思います。
「千ノ丞さんがやってる内に観ないと…絶対、損な舞台です!」と、言い切れるだけのものはある。<80歳だから…もしかしたらあと数年?(;_;)千作さんの出演も少なくなってきましたしねぇ〜。

…というわけで、ここを読んだ方で『妖怪狂言』を観れる機会のある方は今すぐチケットを取ってください。観に行ってください。

そして、演目が終わった後で出てきたとき…跳んだり、去り際には投げキッスしてました。
…いや、それが嬉しいかどうかはともかく、何ておちゃめな!
最後まで目一杯、楽しかったです。

それから、プログラムや妖怪狂言脚本を買った方は終演後のサイン会に参加できたのですが…サインをしてくれるのは逸平と茂。
「千ノ丞さんのなら…」とか「せめて千三郎さんなら…」とか言ってた私達(友達と行きました)はとても失礼。でも、まあ…気持ち的には……(^^;
でも、一旦は下まで降りておきながら、エスカレーターのところから見上げたら逸平の隣に年寄りっぽい頭が見えたので…もしかしたらと一応戻りました。
ですが結果は…茂君…後姿が爺ちゃんと似てるよ。
ごめん、間違えちゃった。(^^;;;


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