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2003年05月30日(金) お休みの日。


充実したお休みだった。

朝はのんびり過ごしてから、2人で買い物。
車で15分ほどの所にあるパン屋さんは、安くて美味しいパンがそろってる。
そこでいつものパンを買って、隣の八百屋さんで激安の野菜を買った。

いったん家に戻って、昼食を取り
やすくんの愛車をきれいに洗った。

お日様の下での洗車はあまりよくないらしいけど、
こんなお休みの日に限って天気になってしまったんだから、仕方がない。
二人で役割を決めて、できるだけ短時間で済ませるようにがんばった。

きれいになった車で、本屋に向かう。
いつもは並んであの本がいいとか、この本がいいとか言うんだけど
今日は別々。
やすくんは料理の本、私は最近気になってるインテリアの本を探した。
何冊か気に入った本を購入する。

洗車でかなり汗をかいたから、着替えて風通しのいい部屋で
買ってきた本を見たり、やすくんの好きなスポーツをテレビで見たりする。
途中で、冷蔵庫から取り出したビールを飲んだり、ごろんと横になって昼寝をしたり
気ままに過ごした。

夕食の準備に入ろうと思ったら、冷蔵庫の中が空っぽだったことに気づく。
二人ともビール飲んじゃったから
歩いて15分のスーパーに2人で出かける。
食べたいものを何でもかごに入れちゃおうとするのは私。
値段や善し悪しをちゃんと見るのはやすくん。

スーパーに入るときはまだ青空が残っていたのに、
買い物を終えて出てきたら、もう真っ暗だった。


ご飯を食べて、テレビを見ていたら
やすくんがうとうとし始めた。



こういう言い方はよくないけど、
こうなると厄介。



お昼寝の時は30分なり15分なり寝れば、
パッと目が覚めるやすくんなんだけど
夜8時以降のうたた寝は、うたた寝じゃない。
きっと、やすくんはそれを認めないだろうけど。



「そろそろお風呂に入ろうよ」

「うん・・・・後、20分だけ寝かせて」



その20分が、2回3回と続く。
「ねえ、お風呂冷めちゃうよ」

「うん・・・分かってるよ。後20分」

「20分20分って、もう1時間半も寝てるじゃない」

本当は、起こす前に30分以上寝てるから
2時間くらい寝てることになる。

「わかった、わかったよ。起きるよ・・・」


初めのころは、疲れてるのかなあ、ゆっくり休んでもらおうなんて
思っていたんだけど
いつだったか、やすくんの実家でお義父さんが
「ったく、やすはこうなっちゃうと長いんだ。グダグダだらしなくて」
って話してくれたのを聞いてからは

私の態度もかなり厳しいものになった。

1度、かなりきつい口調で起こしたら
「分かったっていってるだろっ!」って
逆切れされたから、それ以降そう言うことはしていないけど。


せっかく楽しい休みを過ごしたのに、
終わりがこれじゃあ、楽しかったことも消えちゃうよ
なんて思いながら起こす。


放っておいて先にお風呂に入ってさっさと寝ちゃえばいいのかも
とも思うけど、

それができたら、こんなに苦労はしないわけなんだけどね(苦笑)



さっぱりして、ぐっすり布団で寝て欲しいから
あなたのことが大好きだから

寝テイル アナタヲ 起コスノハ
ヤッパリチョット 胸ガ痛ムケド
アナタヲ 思ウ
私ノ 気持チモ ワカッテホシイナァ・・・



2003年05月29日(木) 記念いべんと 計画ちう。


「俺さ、2日と3日休みになったよ」

やすくんが仕事から帰ってきて、
玄関のドアがガチャガチャ開く音がしたかと思ったら
そんな言葉が聞こえてきた。


6月2日は、私たちの記念日。


会社の粋な取り計らいとか、そういう特別な物だったわけではなく、
たまたま別の人の休みと入れ替えられてそうなったらしいけど
そんな素敵な偶然に感謝したくなる。


「せっかくだから、どこかに行こうよ」


思いつくまま、気の向くままが好きなやすくんなのに
着替えをしながら、いろいろな場所を口にする。

「ディズニーランドに行く?でも、なんかありきたりだよな。
 本当はさ、結婚式を挙げたホテルに泊まりたいんだけど、
 遠すぎて無理だしな。
 そうだ、だったらどっかの温泉にでも泊まりに行く??」

少し遅めの夕食の準備をしながら、やすくんの話を聞いていた私。
ご飯を食べ始めても、やすくんの頭の中は
どこに行こうか、何をしようかっていうことでいっぱいのようだった。



「でもさあ」

水を差したくなかったけど、口を挟む。

「3日はゴルフに行くことになってるんでしょう?会社の人たちと」

「あっ、そうだった。アレは出ないわけに行かないからなあ。
 どこかに泊まるわけにいかないなあ。何だよ、そんな日にゴルフって」

3日のゴルフは1ヶ月も前から決まっている。
職場の懇親会みたいなものだから、簡単にキャンセルするわけに行かない。

「近場でゆっくりでいいよ」

そういう私の声がやすくんに届いたか届かないかのうちに

「だったら、1日に出発しよう。俺、多分早番だから
 夕方前に帰ってこれると思うんだ。
 行ける範囲はちょっと狭まっちゃうけど、夕食は向こうで食べられる」


萎みかけたやすくんの計画が、また膨らみ始めた。



「ききは?ききはどんなところへ行きたい?」


やすくんに聞かれて、私もちょっと考えた。
休みの日のお出かけとは違う、これからも特別な場所として思い出せるところ。
そう考えると、簡単に思い浮かばない。


2日まで、もうそんなに日数はないし、
このままだと多分お泊まりは無理そうなんだけど



こうやって一緒に2人の記念日を思ってる

この瞬間が、

私にとっては何より幸せなんだよ。



2003年05月28日(水) ファミレス。


気づいたら、昨日

結婚して360日目でした。


私たちの場合、
入籍と結婚式の間がかなり離れてしまっている(2ヶ月)ことと
諸事情があって、披露宴を2回開いた(その間も2週間あいてる)こともあり
どの段階をして、結婚1日目とするかはかなり微妙。

もちろん、戸籍上夫婦になった日(=入籍)からってのが正しいのだろうけど。

入籍した日も大切な記念日の一つではあるんだけど、
その日以後ずっと一緒にいられるようになった、結婚式(&1回目の披露宴)の日が「結婚記念日」になってる。





昨日は、なんか1日中気持ちがふさいでて
ご飯も全然食べる気がしなくて、
やすくんが仕事を終えて帰ってくるまで
結局何も食べてなかった。食べる気もしなかったし。
そんな私を見かねてか

「ガソリン入れに行こう」

なんて、外に連れ出してくれた。
いつものGSで給油して、そのまま帰るのだろうと思いきや
手前の道で左に曲がって、すぐそばのファミレスに入った。

「何も食べてないんだろ?俺もお腹空いちゃったからさ、
 なんか食べよう。」

なんて、ちょっとおどけた顔をしてやすくんが笑う。


その顔を見たら、なんか急にお腹がすいてきた。
2人でサラダとドリアをオーダーした。


やすくんはあまりファミレスが好きではない。
「広すぎるのがね」って、昔言ってたのを聞いたことがある。
2人でファミレスに入ったのは、これで3回目。

初めて会ったとき夜中の珈琲を飲みにいったときと、
仕事が終わってから新幹線に飛び乗って伊豆に行ったとき。


「ねえねえ、始めていったファミレスってここと一緒じゃなかった?」

「違うよ。始めていったところは○○だから」

「そうだっけ?じゃあ2回目に行ったところは?」

「あれは・・・××じゃなかったっけ?」


そんなことを話しながら、
料理が運ばれてくるのを待った。



「ねえ、ファミレス好きじゃないって言ってなかった?」

思わず聞いた。

「あまり・・・好きじゃない。今でも」

やすくんが少し声を落として、苦笑しながら言った。


「でもさ、牛丼屋とかラーメン屋より
 メニューがいっぱいあるこっちの方が、何か食べたい物があるかなと思って」






料理が運ばれてきた。
テーブルの真ん中に並べて、一緒に食べようと思ったのに、

「まずはききが一口食べな」

と、私の前に皿をうごかすやすくん。

「じゃあ・・・」

そういって、ドリアを口に入れる。
熱くて、口をやけどしそうだったけど美味しかった。

「どう?うまい?」

やすくんが聞いた。

「うん」

笑いながらそういうと


「よかった。ちょっと元気が出そうだな」


やすくんが笑った。


「ききは何でも美味そうに食べるところがいいんだよね」










後4日で、結婚記念日。


ずっと一緒にいられるようになって今日で361日。


これからも、ずっとね。


2003年05月27日(火) 「好き」になる瞬間。


私たちの夜は、いつも静かだ。
お風呂に入って、少しテレビを見て、
どっちかが布団に入ったら、もう一方が電気とテレビを消して
寝る。


テレビを見ながら話をすることはあるけど、
どっちかが布団に入ってからは
ほとんど言葉を交わすことがない。



・・・だって、その布団に入っちゃった方は速攻で寝てるから。



自分がまだまだ話し続けていたいと思っているのに
やすくんが布団に入って、しばらくすると寝息を立ててしまうときは
寂しさもあり、かまってかまってっていう気持ちもあり
かなり悶々とするものですが、

立場が逆になると、顔を懐中電灯で照らされようが
変な音のする目覚ましを鳴らされようがお構いなしなので
結局、このスタイルが定着してしまっている。


昨日の夜。

お風呂に入って、少しテレビを見て、
どっちかが布団に入ったら、もう一方が電気とテレビを消して
・・・までは一緒だったんだけど、


その後、ずっと話し続けていた。1時間半くらい。


昨日の日記を書いて、いろいろ思い出したことを
話していた。
やすくんはここの存在を知らないから、
どうして突然私がそんな話を始めたのかってことを
初めはちょっと気にしていたけど、
私が忘れてしまっていた事を覚えていて、それを話してくれた。
話の流れの中で、自然と聞きたくなったことがあった。


 やすくんの好きになる瞬間って、どんなとき?


やすくんはちょっと考えて、

「相手に対して勇気を持てたとき、かな」と答えた。


普段、どちらかというと聞き役が多くて、口数の少ないやすくんが
仕事と全く関係のない話で女の子に声をかけるっていうことは
ものすごく勇気のいることだという。

・・・ああ、だから、初めて会ったときも視線を合わせられなかったんだな・・

そんなことを思いながら聞いてた。

好きになる直前、相手のことが他の人より少し気になり始めたときに
話しかける勇気がもてるかどうか。
いろいろ考えて、結局話しかけられないままなのは
結局、そこまでの強い気持ちが生まれてこないと言うことらしい。
考えて考えてようやく声をかけられたこともあるし、
そんなこと考える暇もないまま、気づいたら話しかけてたって言うこともある、そんなことも言ってた。


「たとえばね、やっとの思いで話しかけられた女の子がいるとするでしょう?
 でも、次また『話しかけようかな、どうしようかな?』って考えちゃう相手は
 本当は好きじゃないんだと思うんだ。俺は、だけどね。
 自分でも気づかないくらい、「好き」の気持ちが大きくなってたら、
 考える間もないくらい『また話したい、話しかけよう』って思うんじゃないかな」



私は、やすくんの話を
やすくんの経験として聞きながら
大切な男友達の話のようにも聞いていた。

不思議な感覚だったけど、
また新しいやすくんの一面に触れられた気がして嬉しかった。




2003年05月26日(月) 初めて会った日のこと。 ** オモイデ バナシ


何を今更な感じなんだけど
やすくんとのいろいろな思い出を
時がたって私の記憶が薄れてしまう前に
ここに残しておこうと思った。


初めてあった日のこと。


私のお泊まり出張の日だった。
ずいぶん前から決まっていた出張。
たまたまやすくんもその日から長期休暇が始まって。
おまけに、出張先のそばにちょうど用事ができたらしく
「会わない?」って言われた。


正直迷った。


当時はやすくんとも呼べなかった電話の声の主が
悪い人じゃないだろう、っていうことは分かってた。
でも、「会わない?」っていう言葉に
一瞬、嫌悪感を抱いた。
学生時代、仲のよかったゼミの仲間で、でもほとんど話したことがない人から、
「会わない?」っていわれたことがある。
単純で子どもだった私は、ただ単に「会いに」行ったんだけど、
その時初めて知った、その言葉の別の意味。
特別な思い、あるいは、チラチラ見え隠れする下心。
そんな気が何もなかったから余計に、その気持ちに気づいたときは
ショックだった。
その時に味わった、イヤな気持ちが胸をよぎった。

でも、私はOKした。
自分でも驚くほどあっさりと。

電話の声の主に対する信頼感みたいな物があった。
絶対的な安心感、みたいなの。
私の出張先に彼が足を踏み入れたことがない、っていうのも
安心材料の一つだった。
もし、何かあっても、多少土地勘のある私の方が有利だから。
それに、宿泊先は出張先が用意してくれるホテルだから、っていう安心感もあった。


電話で他愛ない話をしつつ、会う場所とだいたいの時間を打ち合わせた。
声の主は、自分の写真を送るといった。

「酔っぱらってるから、ちょっと顔が変なんだけど」

そういって、送られてきた写真。
・・・初めて見る、やすくんの顔。
「この人とずっと話してたんだ」っていう気持ちと
これまで味わったことのないドキドキ。
・・・正直ちょっと好みだったし(恥)
でも、私は自分の写真を送らなかった。
ちょっとした緊張感が
まだぬぐい去られてなかったから。


出張当日、4時過ぎに仕事が終わった。
携帯を見ると、もう3時過ぎにはこの街に入ったらしい。
ホテルにチェックインして、急いで着替える。

しばらくすると電話がかかってきた。

電話の相手だ。

ここで初めて、ちょっと不安になった。
会っても大丈夫だろうか?って。

でも、なぜだか私は
土地勘のない彼にも分かるように道を教えて
待ち合わせ場所に指定して、そこに向かった。

ホテルのそばの大きな招き猫の前(苦笑)。

私の方が先についた。
ドキドキしながら、彼が乗っているというパジェロを待つ。
別の車種の車が何台か私の前に止まっては用事を済ませると出ていった。
よく似た車が前の通りを走ってこっちに向かってくるけど、
減速することなくそのまま通り過ぎてホッとする。





・・・・電話が鳴った。

仕事の相手から。
一気に仕事モードになって、近くにあったベンチに座り、
道路に背を向けたまま電話を取った。
5分くらい話しただろうか?
ようやく話がまとまり、電話を切る。

いつから停まっていたのだろう。
後ろに車の気配があった。







・・・パジェロだ。





思わず座席をのぞき込むと、運転手が驚いた様子でこっちを見た。
目があった瞬間、車のナンバープレートを見た。
声の主が言ってたナンバー。

気づいたら、手を振ってた。



その後、車に乗り込み、
グルグルと街の中を走りながら、
その声の主がどうやってここまでたどり着いたかとか
電話で話している人には気づいたけど、それが私だとは思ってなかったとか、
せっかくだから、一度言ってみたかった場所に行こうとか
とにかく、息つく間もないほど話した。
電話の声の主は、写真とほとんど変わらない顔で
いつも聞き慣れていた声で話をしていたけど、
なかなか私と目を合わそうとせず
自分の車の中だというのに、居場所がないような感じで
そわそわしていた。

初めて出会ったその人が、私の方を見ながら話し始めたのは
遅い夕食になった、焼肉屋で向かい合って座ってから。

あのときの、やすくんの照れたような笑顔は
今でもずっと目に焼き付いている。

お肉を食べて、またグルグル街の中を回って
ファミレスで珈琲を飲んだ頃には、もう時計は午前1時を回っていた。


・・・これからどうするんだろう?


そう思ったときに、彼は、

「帰らなきゃ。送っていくよ」

と言った。

その場所から、彼の住んでいる伊豆までは高速で飛ばしても
4時間はかかる。


ビックリした。


その時に、ちょっと反省した。
ほんの少しの緊張感と、不安と
警戒心を持った自分に。

午前2時、初めてあった彼は私をホテルに送り、
そのまま帰っていった。



初めてあった一日は、
長くて短くて、
でも、絶対に忘れられない時間になった。






2003年05月25日(日) ごく普通のカップル。

友人あーもんどからメールが来た。

リアルな友達の中で唯一、ここの存在を知っている友達。


そのあーもんどが
日記を読んで、こんなことを書いてきてくれた。



最近よく思うよ。
ききたちって、すごく自然体で
 特にロマンチックなことを言ったりしたりするわけじゃないけど、
 毎日の小さなことに喜び合える
 普通だけど、すごく幸せなカップルだよね。





ふふ。
嬉しくなった。


確かに、わたしもやすくんもロマンチックにはほど遠い毎日を送っている。


そりゃあ、たまにはデートもするけど
アミューズメントパークだったりショッピングに出かけるなんてことはまず無くて、
近くのお寺だったり、公園だったり、買い物は近所のスーパーだったりするし、


お洒落なイタリアンレストランだの、夜景の見える素敵なバーなんてことは無く
近所のラーメン屋だったり、時にはドライブインだったりするし


時にはプレゼントをもらったり、あげたりするけど
それは花束だったり、ブランド物だったりじゃなくて
コンビニの珈琲ゼリーだったり、ヤクルトの徳用袋だったりする。


やすくんに
「欲しい物はなに?」ってきくと
「新しい靴下が欲しい」っていうし

私に
「今したいことは?」と聞かれれば
「たまには外でスパゲッティーが食べたい」って答える。


パスタじゃなくて、スパゲッティーね。





そして、きっと私たちも

お洒落なレストランで出てくるようなパスタじゃなくて
昔ながらの洋食屋で出てくる、ケチャップ味のスパゲッティーのような

そんな2人なんだろうと思う。






だけど、
もしやすくんがペペロンチーノだのペスカトーレだの
そんな横文字のパスタが好きな人だったら

ピーマンとベーコンとシメジが載ってる
ケチャップ味の私のことには目もくれないだろうし




もし私が
「お洒落なカフェじゃなきゃお茶しないわ」っていう人だったら
コンビニでわざわざ私の好きな珈琲を買ってきてくれたやすくんに
「わざわざ買ってきてくれたの?ありがとう」とは心から言えないと思う。








って、さっき珍しく職場から電話をかけてきたやすくんに言ったら、

「でも、俺クリーム系のスパゲッティはあまり好きじゃないからね」

っていわれた。







そんなやすくんでよかった。



2003年05月24日(土) 一緒にいたいから。

 

仕事が終わったやすくんから、電話がかかってくる。

「今から帰るよ」

もう時計は10時を回ってる。今日も一日疲れたんだろうなあと思っていたら


「これから、ちょっと実家に行きたいんだけど」

と、突然の提案。
前から挑戦したかったモノが実家に届いたので、それを今晩中に仕上げたいらしい。
「新鮮なうちに仕込めば、それなりの味になると思うんだ」

そういうやすくんの声が、もうわくわくしている。


「そう。分かった。じゃ、行ってらっしゃい」
その作業にたくさんの手は必要ないし、2人で行くとなれば
やすくんの両親もいろいろ気を使うだろう。
深夜の到着になることは間違いないから、よけいな気を使わせて
休む時間を短くするのは悪いと思ったから
やすくんが一人で言った方がいいと考えた。


「・・・え?」

驚いたやすくんの声が聞こえてくる。

「ききは行かない?」

今度は私が驚いた。

「2人で行く必要はないでしょう?」

「・・・そうだけどさ」


突然の予定変更にいつもひどく抵抗する私のことを思ったのだろう。
そういうつもりは、今日はなかったんだけど。


「一緒に行こうよ」

ちょっと遠慮がちにやすくんがいう。

「だって、2人でいきなりいったら、おとうさん達だって気を使うでしょう?」

「・・・そりゃ、そうだけど」


笑って何かを隠すように、やすくんが言った。


「・・・・・だって、一緒にいたいじゃん」






















・・・・・・その言葉で、決まり。











私は着替えを2人分鞄に詰め込み、
部屋着から一応しゃんとした服に着替え、
くしゃくしゃだった髪を少し整えて


やすくんの待つ車に乗り込んだ。







本当にこの人は


全くこっちが想像していない時に

しかも、絶妙のタイミングと言葉で


私をドキドキさせてくれる。









2003年05月21日(水) 美味しい瞬間。


今日、やすくんはお休み。
いろいろ予定が入っていて、ゆっくりする時間はないと思っていたけど
昼頃の3時間、自由に使える時間ができた。
前から行こうと思っていた鰻屋さんへ行く。
場所も店の名前も完全に忘れてしまったのに
「確かあっちの方の住所だった」という漠然とした記憶だけをたどって
細い道を進んでいった。

どんどん山奥に入っていって、本当にこの奥に目当ての店があるのか不安になったとき、
急に周りの景色が開けて、ひなびた町並みが見えた。

偶然にも順調に鰻屋さんに到着。

座敷に上げてもらって、のんびり出てくるのを待つ。
美味しい鰻屋さんは時間がかかるの分かってるんだけど
階下から漂う、美味しそうなにおいが辛い。
炭のにおいと、たれの香ばしいにおい。

嗅覚だけがどんどん鋭くなっていくみたい。
ふと気づくと、
目の前に座っているやすくんも
私と同じように鼻をくんくんさせてうっとりしている。

私が見ているのに気づいたやすくんが

「だって、いい匂いだからさあ。お腹空きすぎたよ」

と、恥ずかしそうに笑った。



どのくらい待っただろうか。
隣の部屋に料理が運び込まれる音がした。

障子越しに漂ってくる、よりはっきりとしたいい匂い。
美味しそうに焼けてるその中身まではっきり見えそうなほどだ。

「美味しそう・・・」
思わず声が出る。体もむずむずしてくる。


ふと、
やすくんが

「隣に聞こえるよ。」

ってにやりと笑った。私は

「だっていい匂いなんだもん。もう待ちきれないよ」

と、恥ずかしくて照れながら小さな声で答えた。






ようやく運び込まれた鰻を前に
私たちは、ほとんど会話もせずに
半分以上を食べた。

そして、ふと気づいて

二人で恥ずかしそうに笑いながら
「来てよかった」
と言った。



無駄なおしゃべりはいらなかった。

二人でここに来て、もぞもぞしながら待って
一緒に美味しい物を食べられたことが

何より嬉しかった。









「またこようね」


2003年05月19日(月) 肩を並べて。

もうすぐ1年になる私たちの結婚式で

両親のつきあいの関係で仕方なく呼んだ来賓がいる。

自己顕示欲がかなり強いらしくて、
祝辞のお願いに自宅へ伺ったときも、そして当日も
自分がこれまでどんなことをしてきたかと言うことを蕩々と語った
おやぢさん。
そういうおやぢさんとも、つとめていた間はよく接していたから
「器が小さいな」なんて思いながらずっと話を聞いていたけど


結婚式当日、彼が言った言葉で忘れられないフレーズがある。



「先日、我が家に2人で挨拶に来てくれたとき、
 実は、私は2人に会うのは初めてだったのですけれど、
 どちらが引っぱっていくとか、どちらかが後ろからついていくとか、
 つまり、いわゆる亭主関白とか、かかあ天下とか言われるような
 夫婦の関係ではなく、
 肩を並べて歩んでいく二人なんだなあと、
 強く感じました」





ひねくれた物の見方をすれば、


もしかして、あのおやぢさんが
結婚式の前日、たまたま立ち読みしたスピーチ集の一節を使っただけかもしれないし、
もしかして、もう何度も使い古してきた決め台詞だったのかもしれない。


けど、あのときの私、ううん今でも私にとっては
最高の賛辞だ。



今でも時々、あのときのあのフレーズを思い出す。
こうして、ちょっと足下を見落としそうになったときは特に。


私たちは2人でお互いを支えてる。
どちらも一家の中心。
頼りっぱなしも、頼られっぱなしも
私たちにはふさわしくない。


あのときのあの言葉を思い出して、
あのときの自分の気持ちを思いだして、

もう一度足元を見て
私は歩く。




前を見て。


やすくんと肩を並べて。





2003年05月18日(日) 喧嘩のルール。


戦争にもルールがあるんだって。

白旗あげる人には攻撃を加えないとか。
その他諸々。(実は知らない)




喧嘩にもルールがある。
力に訴えるなんてことは、御法度。
それは喧嘩じゃなくて暴力だから。
自分の思いをぶつけるときも、相手を思いやること。
もしかしたら相手の心に傷をつけることがあるかもしれないけど
思いやっているからこその言葉だったら
信頼関係が崩れることはない。





・・・と思う。





私たちは、これまでになくお互いの思いをぶつけ合った。
声を荒げたり、汚い言葉を吐いたりすることはなかったけど、
お互いの納得いかないところを言い合ったり
自分の気持ちをぶつけた。


やすくんはいつになく厳しい顔をしていたし
わたしも知らず知らずの内に涙がこぼれ、気持ちをぶつけた。



一度も相手をいたわる言葉や、考えを認める言葉を
交わしてなかったと思う。


でも、
不思議と


それまで見えなかった、やすくんの手が
気持ちや戸惑いが

どんどん見えてきた。



やすくんにも、同じように
私の思いや、不安が

どんどん伝わっていったみたいだ。






喧嘩のルールは
その後、更に強いつながりを作るためのルール。
相手を大切に思うからこその
大切なルール。




私たちは、確かに激しく口論したけれど
だからこそ、

前より強くお互いを思い、感じ、
そして、やっぱりこの人しかいないって
確認できた。







2003年05月17日(土) 霧。



あれは確か中学校の1年か2年の時。
国語の授業中、「五里霧中」っていう言葉を知った。
言葉の意味自体は、あまりよくないけど
「霧」という字の形が好きだったし
一瞬想像した霧に包まれた世界がとてもきれいだったから
あれからずっと忘れないでいる。











やすくんを怒らせてしまった昨日の朝。




帰ってきてからも、やすくんの表情が凍り付いているのは変わらなかった。













いくつかこれからの話をしたのだけど、
その時も何となく意見がかみ合わないで





気づいたら





やすくんはカレンダーを片手に、私に背を向けて
夏より以降の予定を考えていた。
仕事を辞めて、新しい店を始めるまでの大切な予定。














こうなったそもそもの原因は私。

でも、意見がかみ合わなかったのは、なぜだろう。

















「それじゃ、話が違うじゃない」
って、私が一言言ったから?
だけど、最初の約束を最初に曲げたのは、あなただよ。
それを黙って飲んでこれまでやってきたのに、その話も曲げちゃうの?

「どうして、自分で決めないの?」
って言ったから?
約束を曲げてきたときも、結局周りの意見を通したからでしょう。
あなたがこれから進む道なのに、どうして自分の意見を言わないの?





私が知りたいのは、やすくんの本当の気持ちだけ。
あなたが決めた変更なら、私は黙ってついていく。

だけど、人の話に流されて、予定が二転三転するのがイヤなの。





















知らない間に、霧の中に迷い込んでいた私は

やすくんの手を見つけることができない。




いや





やすくんが手をなし述べてくれているかも分からない






そう思ってしまっている。



















2003年05月16日(金) 凧の糸。




嗚呼、私はなんて馬鹿なんだろう。

訳も分からない、空想の話で

やすくんを困らせてしまった。






ただ、

「何よりも大切だよ」って

一言言ってほしかっただけなのに。





その一言が欲しくて
答えが出そうないろんな事を尋ねる。


これなら、こう答えてくれるだろう。
こんな質問なら、きっと言ってくれるだろう。



そして、

最後に出した質問が





「もし私の気持ちがぐらついたとしたら、
 やすくんは私の迷いを取り去ってくれる?」




やすくんの答えは



「迷った段階で、俺に気持ちがないんだから
 俺は背中を押すよ」



だった。







ショックだった。

ほぐれそうになった二人の気持ちを
またしっかり結び直すように努力し合うことが
何より大切だと思ってきた私には。




なんか、私の気持ち一つでどうにでもなっちゃうっていうのが。



信頼しているからこそ、束縛も不安も必要ない

そう思っているやすくんからしてみれば
ごく自然な一言なんだろうけどね。





でも、ショックだった。





やすくんのことを酷いと思ったけど
あくまでたとえとしての話だし
それはそれで終わってしまえばよかったのに


一つの言葉が欲しかった私は

強引に、いろんな質問を重ねていく。











やすくんの表情が曇る瞬間が分かった。









朝の楽しい時間を




グルグルかき回してしまった



馬鹿な私。






新聞を読んでいたら

なんかぎゅっとくる詩があったので

紹介します。



++++++++++++++++++++++++++++++

凧が空高く飛べるのは

誰かが糸を

引っぱっているから

でも凧は

その糸さえなければ

もっと自由に

空を飛べると

思っている

その糸がなければ

地上に

落ちてしまうのも

知らずに


      (written by 宮川優)
++++++++++++++++++++++++++++++



私は

時に糸を忘れる凧

なのかな





2003年05月15日(木) 幸せって?


友達あーもんどからのメールを読んで
「幸せってなんだろ?」って思った。


あーもんどは、自分の進みたかった道でバリバリ働いている。
そんなあーもんどのことを、ある友達が
「好きな道で働けて良いね。うらやましい」
って言ったそうだ。
その友達は、結婚して子どもがいる。
あーもんどは独身。


あーもんどにそのメールを送った友達とは
全く面識がないけど

私はその人を失礼な人だ、と思った。



働いていた頃。
同年代の女性からすると、お給料もちょっと高かった。
年に2度の長期休暇も、ほかの職場からすると(期間限定ながら)長かった。

知人達には「いいなあ、うらやましい」って、よく言われた。

給料が高くて良いね  好きなモノが買えるもの。
夏休みが長くて良いね  海外旅行だって簡単だろうね。
好きな仕事ができて良いね  私なんて仕方なく入った会社だもの。


私はいつも心の中で言い返した。

「人の気もしらないで」って。

私が欲しかったのは、お金でも長期休暇でもなく
自分だけの時間。
誰にも気兼ねなく好きなことを好きなだけできる時間。

確かにお給料はよかったし、まとまった休みも取れたけど、
普段は夜遅くまで仕事があったし、
休日でもお構いなく仕事が入ってきてた。
家と職場の往復だけで過ぎていく毎日。
疲れ切って帰ってきて、ほとんど何もせず布団に潜り込むだけの
プライベートタイム。
月に数度の休日でも、周りの目を気にしながら過ごさなくちゃいけなかった。

確かに知人達は、私より給料が少なく、長期休暇も少なかったかもしれないけど
仕事が終われば、きれいさっぱり忘れてプライベートな時間を楽しむことができる。
土日の休みも自分の好きなように過ごすことができる。



幸せなんて、その人の価値観や生活スタイルでも全然違うのに
自分の生活を棚に上げて、ちゃんと見えてない他人の生活をうらやむなんて
お門違いもいいところ。



今、私は仕事を辞めて
自由になるお金は彼女たちより少ないし
どこかへ出かけるようなまとまった時間を作るのだって難しいけれど
だからって、
彼女たちをうらやましいなんて思わない。



今の生活に満足しているから。


お金があっても、休みがあっても、好きなことをしていても
またその逆でも
今の自分の歩む道に満足していなくちゃ

幸せとは感じられないんじゃないかな。







2003年05月14日(水) 最後の瞬間。

昨日、ニュースでSARSで奥さんと子どもを一度になくした男の人が
放送されてた。

お腹の中に初めての命を宿して
その誕生を楽しみにしていたのに、
働いていた病院で、あの恐ろしいウイルスに感染してしまった奥さん。
必死に出産したにもかかわらずその子どもの命はわずかで絶え、
奥さんも、結局ウイルスに命を奪われてしまったそうだ。

愛するモノを一度に失ってしまった旦那さんは、
産まれてきた子供を1度も抱くことができず、
苦しんでいる奥さんを1度も励ましてやることもできず


そして、


奥さんが旅立ってしまった後に
最後のお別れを言うこともできず



次に対面したのは

変わり果てた姿で、小さな箱に収まってしまった奥さん。

旦那さんは力無く泣き崩れ、その場を動くことができなかった。






未だはっきりしたことが分かっていない今、
日本では
もし万が一あの恐ろしいウイルスに感染してしまったら、
たとえ家族とはいえ、面会も許されないと言う。
そして、命を落としてしまったとしても
家族に体を引き渡すことなく、
24時間以内に遺体を「焼却処分」すると言うことが決まっているらしい。








「切ない」と言うだけで表現するには
あまりにも悲しすぎるその光景を
私たちは2人で見ていた。

やすくんは、その男の人を見ながら
「・・・かわいそすぎる」
と一言言って、黙り込んでしまった。


私は、その男の人をみながら
いつか来る「別れ」のことを思った。

どんなに寂しくても、涙を流すだけ流しても
頭を優しく撫でてくれる手が
優しく包み込んでくれる腕が
いつも見守ってくれる優しい目が

冷たく、動かなくなる瞬間がやってくる。



そんなことを想像するだけで
胸が締めつけられて、鼻の奥がつんとしてくる。


想像するだけでもそのくらい辛いのに



テレビの中の男の人は

夢でも想像でもなく、逃れようのない現実として

突然の別れと遭遇し、

そんな奥さんに触れることもできず

お別れさせられたんだなあと思うと

言いようのない悲しみが、胸の中に広がって辛い。





いつその瞬間が来てもいいように
毎日を大切にしていきたい、って
いつかの日記で書いたけど


その瞬間が
なるべく遅くなるように
そしてなるべくなら
十分に最後のお別れができるような
旅立ちの仕方をしたいと

一人で思った。











2003年05月13日(火) 鍵。

ここのところの自分のこととか、
やすくんのこととか、
私の周りの大切な人たちのことを考えたときに、



人のココロにはいくつも扉があって
そして、一人一人それぞれココロの鍵を持ってるのかもしれない



と思った。


その鍵はものすごく複雑なギザギザがついてるの。
で、自分のココロはもちろん、相手のココロの鍵穴に差し込んで
扉を開くことができる。


扉を開くとまたその先には扉がある。
いくつもいくつも。
そうやってどんどん続いている。


鍵のギザギザと扉の鍵穴がたくさん合えば合うだけ
たくさんのココロの扉が開けるから
よりココロの深い部分に触れることができる。

たとえば、悪い人じゃないと分かっていながら
どうも仲良くなれない、気が合わないって言うのは
きっとその人の持つ鍵では自分のココロの扉が
開かなかったから。
たとえば、そんなに話したことがないのに
やけに気が合う人がいる、っていうときは
その人の鍵で開く扉の数が多かったから。


そうやって考えると、なんか自分のココロのもやもやが
すっきりするような気がする。



自分の持ってる鍵で
自分のココロの扉を開こうとすれば
当然、他の人よりたくさんの扉が開くんだけど、
いくつかは、開かないところがある。


そして、その扉を、
たやすく開けてしまうことができるのが

きっと、やすくんの鍵。



だから、やすくんはこんな私のことを
よく分かってくれるんだと思うし、私も安心できるんだと思う。


もちろん、
やすくんの鍵でも開かないところがある。
それはそれで、良いんじゃないかなと思う。

全部開けちゃったら、つまんないもの。
分からないところがあるからこそ

楽しいんじゃんね。






2003年05月12日(月) すなおになりたい


本当のことを言うと


今でも、真っ正面に座ってやすくんの目を見ながら話をするのは

ちょっと苦手だ。






私をじっと見つめているときの

やすくんの目を見ていると

自分の弱さ、脆さ、醜さまでもが

今この瞬間、やすくんを思う気持ちと一緒に

一度に溢れてきそうで





怖い。






「好き」っていう気持ちを素直に表現することに
ものすごく強い抵抗感を持っていた。


やすくんに出会うまでは。


だから、誰とでも一定の距離を取り
自分のスタンスを崩すことができなかった。




でも、やすくんと出会い、これまでと違う自分を発見した。


私って、こんな風に泣けるんだ
こんな風に喜べるんだ
こんな風に気持ちを伝えられるんだ
こんな弱い部分もあったんだ

その発見の一つ一つが嬉しくもあり、怖くもあった。


やすくんは、優しいから
その優しさにどっぷり浸かってしまうことが
時々、怖くなる。



こんなにも私の心を脅かすのは
今までの自分は何だったの?って
一人でがむしゃらに生きてきた自分を
すべて否定してしまうような気がするから。




やすくんが自分を見ていてくれないと不安なくせに、
いつでもその優しさを一番近くで、一番強く感じていたいのに
もう、やすくんのそばから離れられないでいるのに


まだ「強い私」と言う、自分自身の中にあるイメージを守ろうと
わざと強がってみせたり、やすくんなんかいなくても平気だよなんて
言ってみたりする。


その心の内を見透かされないように
今でも私は
やすくんと向かい合って座るより
並んで座ることの方が多い。



















もうちょっと、すなおになれればいいのにな













2003年05月10日(土) BELIEVE



昨日よりは暖かな日差しが降り注いでいる今日。
洗濯機もすでに3回戦目に突入。

気づいたら、洗濯物を干しながら
学校で習った歌を口ずさんでいた。



〜 たとえば君が傷ついて くじけそうになったときは
  必ず僕がそばにいて 支えてあげるよその肩を 〜

〜 もしも誰かが君のそばで 泣き出しそうになったときは
  黙って腕を取りながら 一緒に歩いてくれるよね 〜




この歌、確か3月までつとめていた小学校でも
子ども達が歌っていたなあ、なんてことを思い出しながら、
どうして突然自分がこの歌を口ずさんだのか不思議で
一人で笑っていた。


初めて聞いたときは歌詞の意味なんて全然考えないで
ただ、音程を合わせることに精一杯だった。

でも、思い出してみると
歌詞の順番はめちゃくちゃだけど
ものすごくいい歌だなあって、改めて思った。





昨日母と電話で話して、
一時しのぎとはいえ、どうにかどん底から抜け出せたけど
心のどこかで引っかかってることは変わりなく。
やすくんもそんな私の様子に気づいてしまったみたい。
でも、やすくんは何も聞いてこない。
私のそばにいて、私の気持ちを支え続けてくれている。



ありがとね。



〜 今未来の扉を開けるとき
 悲しみや苦しみが いつの日か喜びに変わるだろう
  I believe in future 信じてる 〜





 


2003年05月09日(金) 王様ノ耳 ハ ロバ ノ 耳


「王様の耳はロバの耳」のお話を子どもの頃聞いた。
王様の耳がロバの耳だと知ってしまった床屋さん(だったと思うんだけど)は
「この秘密は誰にも話してはならない」っていう約束をさせられたんだけど
我慢できなくて、大きな穴を掘って、そこに向かって大きな声で叫んだ(んだったと思う)。

子どもの頃は全然感じなかったけど、
今、この床屋さんの気持ちが少し分かるような気がする。
秘密を誰にも話せないことって
場合によってはこれほど辛いことはない。
その秘密が大きければ大きいほど、重ければ重いほど。
自分一人では背負いきれない秘密だから。


ここで日記を書こうって思ったとき、
私とやすくんとの関係を知る人は、私の周りにはほとんどいなかった。
楽しいことがあっても、辛いことがあっても
それを話す相手がいないって言うのは結構辛い。
でも、その当時のいろいろなことを考えると、
やっぱり簡単に周りに話をすることはできなかった。
だから、
ここに、自分の気持ちを全部ぶつけようと思った。
良いことも、悪いことも。
かっこ悪い自分も、飾らずに全部ここに残してきた。
いわば、私にとっては床屋さんが掘った大きな穴と同じ。
楽しいときより、気分が落ち込み気味だったり辛かったときほど
更新が頻繁にされていたって言うことでもわかる。
ここで吐き出して、自分の気持ちが楽になるって分かっていたからだと思う。


今私が抱えている問題は
なぜだか、ここにも書くことができなかった。
今も、具体的なことを書く気になれない。


これまで、何度も考えた。

いっそ、ここで全部ぶちまけちゃおうかな

って。

けど、できなかった。
今まで抱えてきたどんな悩みより、気持ちとか感情とか
そういう情緒的なことからかけ離れた、現実的な問題だから。
吐き出したって、何の解決にもならないから。








昨日、夜、やすくんが帰ってくる前に
実家に電話した。母は私が抱えてるこの問題のことをよく知っている。
彼女も私と同じ問題を抱えているから。
いつも通り元気に、「全然平気だよ」って、
たわいのない話をしようと思ったのに、
母の声を聞いたら、思わず涙が出てきて止まらなくなった。

自分が今考えてること、感じてることを全部ぶちまけた。
母だって辛いのに、私のことを心配して、元気な声でいろんな話をしてくれた。
「ごめん」母にそういったら
「あんたが謝る必要はどこにもない」って言ってくれた。

後もう少し、嵐が過ぎるまで
私はここで、頑張っていかなくちゃならない。


王様の耳はロバの耳


私はここで叫ばないことにしたけど
昨日、母と話して涙を思いっきり流したら
また、ちょっとパワーが出てきそうな気がする。
それは空元気のようなモノだけれど。
そして、いい知らせが届くのを
笑って待っていたいと重う。







2003年05月08日(木) からっぽのこころ



本当はもっと早く起きるはずだったのに
なかなか目が開かない。



夜の間に雨が降ったんだろうか、道路が濡れてるけど外は曇り。




昨日からズキズキと痛む頭を抱えながら
布団から起き出して、新聞を読む。
目に入る文字が、意味を理解する前に頭の中を通り過ぎるみたいだ。


まだ目を覚まさず、眠っているやすくんを見て
どうしようもない気持ちになる。




ごめん。






本当は話したいことがある、いや
話さなくちゃいけないことがある。

話してしまえば、きっと今より少し楽になる。
・・・・・・・・・・私の気持ちが。
でも、だからって、根本的なことについて何の解決にもならないことや
周りにも迷惑がかかることを考えると、
なにより、そのことでやすくんが心を痛めるだろうと考えると
簡単に口にすることができない。



頭の中が空っぽになって、グルグル回ってるみたいだ。



新聞も、テレビも私の中を素通りして行くだけなのに
なぜだか見ずにはいられない。


いつの間に目を覚ましたのだろう。やすくんが、静かに私の手の上に
手のひらを重ねた。
ゆっくり顔を向けると、やすくんはちょっととまどった表情を見せて
その後、何もいわないで少し笑った。










私は無意識のうちに笑顔を作って重ねられた手を引っ込めて
もう一度やすくんの手の上に重ねた。
頭はズキズキするし、グルグル回ったままだし
手も足も、なんだか自分のモノじゃないみたいに冷たく重いのに
顔だけが、にこにこ笑っていた。












やすくんに話せないことがある。






初めは小さな秘密で、いっても言わなくても大したことなかったのに
私の知らないところでどんどん膨らんで
義理と、自分と第三者のプライドのために
自分の気持ちをどんどん重くしている私。





もう、2年以上にもなる。
そういえば、最初の時もやすくんが一緒にいた。
あれからずっと。
結局同じ言い訳の繰りかえしで、状況の変化はまるでなく
むしろ悪い方向へ進んでるみたい



物をなくす人は 小さく失う
信用をなくす人は 大きく失う
勇気をなくす人は すべてを失う




やすくんを失うのが怖くて
ここで気づいてきた信用を失うのが怖くて
できれば気づかれず秘密のままに
この問題が解決すればいい

そう思いながらやってきたけど

そろそろ限界に近づいてきたみたいだ



話すことも、当事者に思いをぶつけることも
できなくて
どこにも本当の意味で安心できる場所がなくて


そして、そんな私を変わらず大切にしてくれる
やすくんに申し訳なくて




どうしたらいいんだろう?




このまま何も変わらず
ただ、問題だけが解決してくれたらいいのに











2003年05月04日(日) 直感。



働いているときに、よく上司から言われたことがある。
「10年後、自分がどんな形でこの仕事に携わっていたいか
 そこをよく考えて、自分の進路を決めろ」
って。

私がしていた仕事というのは、専門職の一つと言っていいと思う。
自分の専門に関わる仕事がメインなのだけど、
それと平行していくつか全く関係のない仕事もやらなくちゃ行けない。
多くは上が決めた役割分担で、仕事が振り分けられるんだけど
いくつかは自分で選択して受け持つ仕事もあった。

私がしていた仕事は、専門的な分野の中でもまたちょっと特殊な分野で
その職場でそれに関わるのは私一人だった。
希望を出せば、別の人と変わってみんなと同じような形態の仕事もできる。
将来的にどこに仕事の軸を置くか、よく考えた上で
今の仕事を継続していくか、異動をするのか
その答えを出してほしい、と言うことだった。

当時は、その時直面していた様々な課題をこなすのが先決で
10年なんて先の話、考えられるような状況では正直なかったんだけど
人事異動が関わってくる時期になって
異動希望の有無を聞かれる前に、ちょっと考えてみた。





10年後、私はどこでどうしてたいんだろう・・・






考えても考えても、先が見えなかった。
どうしようか迷っている、とか、そこまで考えられない、とか
そういうのではなくて
10年後、自分が同じ仕事を続けている姿を想像できなかった。
その時は、そんな自分が情けなくて悩んだりもしたけど
結局、それから数年後、私はやすくんと出会い、退職した。

先が見通せなかったから、やすくんを選んだんじゃない。




これは、私の直感。




やすくんとこれから生きていくことでなら
10年後、20年後、そしていつかこの世を去るまでを
漠然とではあったけど、見通すことができたから。
恋愛感情でではなく、きわめて冷静かつ客観的に。




やすくんと出会い、スタートから遠距離恋愛なんて言う
これまでの私にとっては信じられない状態でも
結局やすくんを選んだのも
きっと、この直感が働いたんだと思う。

もちろん、仕事を辞めてから今まででも、
出会ったから今までのやすくんとの関係でも
先が見えなくて悩んだり、どうして良いのかわからず立ち止まったりすることはあった。
でも、過ぎてしまえば、それは長い年月の間のほんの小さな出来事と思える。
長いこと悩んできたアノヒトのことでさえそう。
アノヒトの存在が長く私を苦しめてきたけど
そのことで、やすくんを疑ったり別れを思ったりしたことは一度もないもの。




直感だけでは生きていけないと思う。
でも、直感だけで決断する瞬間もある。
あれこれ考える時間がないときほど、
その決断は正しかったって言えるんじゃないかな。






2003年05月03日(土) 強がり。

昨日の夜、
やっぱりなかなか帰ってこないやすくん。
GWはどうしても仕方ない。

時計が10時半を回る頃、
なんだか急に1人でいるのが不安になって
ううん、そんなんじゃない
1人でいるのが平気な顔してるのがイヤになった。
寂しい気持ちをやすくんにぶつけるのは簡単だけど、
こればっかりはどうしようもない、って
困った顔をするやすくんは簡単に想像できたから



玄関で
待つことにした。




1人の時間を過ごす、っていうのとちょっと違う感覚。
もちろん、いつもだって
1人の時間を過ごしながらやすくんの帰りを毎日待っているのだけど
「・・・ながら」じゃなく
ただ、やすくんを待ってみようと思った。





・・・・・・・・・・・果てしなく暗いとは思うんだけど(恥)





玄関の前の壁にもたれて、足音が聞こえてくるのを待つ。




20分くらい待っただろうか?
ちょっとウトウトしかけた頃に
ガチャガチャと鍵を開ける音がした。

パッと飛び起き、いかにも今ここにやってきたように振る舞う。


「あれ?今ここにいた?」

やすくんは何でもお見通しみたいだ。
でも、それを認めると
今まで私が強がって隠してきた寂しさと虚しさをぜんぶ
やすくんに背負わせるような気がしたから

「ううん」
って、笑って答えた。


後もうちょっとの辛抱だから。

その日まで、強がっていく。

明るい私でいるよ。






2003年05月02日(金) 緊張感。

とある人のサイトを見ていたら、

「男女間の緊張感」っていうのが話題になっていた。

恋をしている時っていうのは、相手を独り占めしたくてずっとこっちを見てもらいたいもの。
だからこそ、きれいになりたいと努力するし実際美しくなっていく。

恋から愛へ変わると、こんどは相手に安らぎと信頼を求める。
ありのままの自分を受け止めてもらいたい、受け止めたいという関係になる。
そんなようなことが書いてあった。

ふりかえってみると
結婚するまでと今とでは、
微妙に2人の関係が変わってきているように思う。
結婚前を「恋」、結婚後を「愛」の期間とするなら
「恋」「愛」期間ではそれぞれの状況が全く違うっていうのもあるのだろうけど。

離ればなれだったとき、たとえるなら「短距離走」状態だった。
一緒にいられるこの瞬間にすべてをかける、みたいな。
もちろん、思う気持ちはずっと持続しているんだけど、
一緒にいられる間に、自分の思いを全部届けてやすくんの気持ちを全部うけとめたい
って思うと、スタートダッシュみたいな(笑)
何というか、瞬発力で勝負!みたいなところがあったように思う。
そんなに化粧っけがある方ではないけど、
会えるその日に向けて、やっぱりいろんな事を気にしてた。
自分のかわいさレベル(照)が、会うときにMAXになるように調整するっていうか(笑)


一緒にいられるようになってしばらくは、
その「短距離走」的な自分の思いの表現方法が抜けなくて
とまどった。
思う気持ちには何の変化もないんだけど、
ずっと短距離走状態だと、息切れしちゃう。
かわいさレベルだって、MAXの時もあればMINの時もあるわけで
だからって、丁重なときは山にこもるわけにもいかないわけで。
ある時に気づいた。
これからは「長距離走」だって。
ずっと一緒にいるんだから、自分のペースで暮らしてくことも大事。
信頼され、尊敬される関係を保っていくことを
自分磨きの最優先課題にしていかなくちゃ。

私は一つ勘違いをしていた。
長距離走だからこそ、見落としがちなこと。
距離が長いからって、途中の一瞬一瞬はやっぱり精一杯走ってるんだよね。
競技場に入ってきて、最後のトラックを周回してるときに
どんなに頑張ってラストスパートかけても
ずっと頑張ってきた人には追いつけないってこと。

長距離だからこそ必要な、緊張感。
それを見落としていた。



お風呂から出ようとしたやすくんと、偶然脱衣所にいた私がはち合わせしたときに
やすくんが言った一言。

「ききがそこにいたら恥ずかしいよ」


こういうこともそうなのかなって、思った。






2003年05月01日(木) おやすみなさい。


「ただいま」

疲れた顔をして、やすくんが帰ってきた。
今年のゴールデンウイークは短いと言われてるけど
やっぱり、観光地のお客さんの入りは多いらしく
毎日、朝早く出て夜遅く帰ってくるやすくん。

「さすがに今日は疲れたなあ」
テレビを見たいようなことをいってたけど
座ったらすぐに寝てしまうことが想像できたから
お風呂へ直行してもらう。

布団を敷いたり、片づけをしている間も
お風呂が静かすぎて、ちょっと不安になる。
扉越しに、何度も声をかけた。
やすくんはそのたびに返事をしてくれるけど
疲れてるんだってことがよくわかる、弱い声。





髪の毛を乾かすのがおっくうだったみたいで
まだ濡れた髪をタオルで拭きながら出てきた。

「明日と明後日が、ヤマなんだ。それが終われば・・・」

疲れた声でそういうやすくんを鏡の前に座らせ、
洗面台からドライヤーを持ってきて髪を乾かしてあげた。
暖かな風が当たって気持ちがいいらしく
目を閉じて、にこにこしている。
でもその笑顔も、長く続かず
座ったままうとうと眠ってしまっていた。



布団まで私が運んで行ければいいんだけど
それはさすがに無理なので、
やすくんを起こして布団で横になるように言った。

「もう、今日は寝るよ」

そういって、ほんの数秒。
もう、寝息を立てている。



家に帰ってきて、やすくんが発した言葉は
たったこれだけ。
正直寂しい。でも
寂しい気持ちはぐっと抑えて
明日また元気な顔で出勤できるように
今夜一晩で、またエネルギーを満タンに充電できるように






おやすみなさい。


ゆっくり眠ってね












きき MAIL

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