としょかん日記
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2006年11月27日(月) |
ドキュメント11・25 |
こちらではタイミングを逸し書いていないと思いますが、実はうちの嫁さん妊娠していました。予定日は12月4日です。それではドキュメントをどうぞ。
11/24 21:00〜 最近嫁さんは不安から寝付けない。朝の4時5時寝がほとんどである。それでいてなぜか今日はゆずとともにこの時間に寝だした。今思えばいい判断だったのだが。わたしは眠れるはずもなく、DSでファイナルファンタジータクティクスアドバンス(以下FFTA)というアドバンスのゲームをしている。古っ!これしかやるもんないんだよ。
22:00〜 一応流れでセーラー服と機関銃の最終回を見る。ええ!なんで緒方拳そんなにあっさり負けを認めるの?FFTAをしながら中途半端に視聴。
23:00〜 嫁さん起きだす。こんな時間に起きて眠れるか心配。と思っていたらそれ以上に心配することを言い出す。 「破水したかも」 えぇー!?ただ本人にも確実かどうかはわからない。とりあえず見(カイジ風に)。でもやっぱり破水みたい。前回ゆずの時はシーツが染まるくらいの破水を見ていたのであまり実感がわかない。のんきに久々にエンピツに日記を書き込んでいたし。嫁さん病院に連絡。どうやらすぐに来てくださいと言われた様子。ここで自分も事の重大さを認識。すんげーおもしろいこと書いたのに登録せずすぐにパソコンを消して病院へ行く準備を整える。 さて問題はぐーすか寝ているゆずだ。もちろん一人で寝かしておくわけにもいかない。わたしの親にはことが起きたらゆずを預かってもらうように話しておいたので即電話。酒飲んだ親父が迎えにいくと言い張って聞かないのを何とかやり過ごす。 と思っていたら両親の慌しい様子に気づきゆずが寝ぼけ眼で起きた。嫁さんが機転を利かせて「ばあちゃんが泊まりに来ていいって言ったから今から行くよ」と教える。昨日ばあちゃんの家に行った際、「ばあちゃん家に泊まる」と烈火のごとく泣き叫んだゆずに「土曜日に泊まりに来よう。泊まれる準備ができたらばあちゃん電話してくれるって」と約束していたのが良かった。ばあちゃん大好きっ子のゆずはとりあえず隣に寝ていたメルちゃんだけ持って準備万端。わたしは入院準備として前もって用意していたバッグだけ持って車に乗り込む。
11/25 0:00〜 ひとまず嫁を病院に置いて、ばあちゃんの家へゆずを置いて(ゆずは笑顔でわたしにバイバイしたのがちょっと悔しい)、病院へとんぼ返り。検査の結果、すぐに、ということはないらしい。破水はしたようだが、上の方がちょっと破れただけで、赤ちゃんも羊水がなくなって苦しこともないようだ。 というわけで今日はひとまず寝ることが大事であり、嫁さんはそのまま入院。このとき初めて気がついたのだが、上着のポケットがやけに四角い。冷静になってポケットの中を探ると、出てきたのは遊戯王のマンガ27巻。確かにオタ知識を得るためだけに現在読破中なのだが、いつポケットに入れたのか全然覚えていない。寝つけなかったらこれ読めばと嫁さんに差し出すが丁重に断られた。二人とも寝ることが大事なので家に帰る。
1:00〜 寝ることが大事といいながらやっぱり緊張して眠れない。読みかけだしここは行くべきと遊戯王読む。バトルシティ編完結まで読破。その後寝ようと格闘。まあ何とか二時ごろに寝た。
7:00〜 目覚ましと嫁さんのメールで覚醒。陣痛が来たらしい。ご飯作ろうにもどうにも落ち着かないので買っていくことにする。どうせ後からいろいろ必要になるのだし。残っていたごはんを冷凍庫にいれる余裕もアリ。なんとなく体を清める意味でシャワーを浴びる。仕事行く以上に入念にひげを剃る余裕もアリ。ミッフィー絵皿のためにコンビニでおにぎりとサンドイッチを買う。
8:00〜 病院到着。陣痛はきているが、まだまだかかりそう。ゆずのときも微弱陣痛のため長引いた。今回も長期戦覚悟。今日が仕事休みで良かった。明日まで持ち越されると仕事休めないので、今日の誕生を期待する。朝食を食べつつ二人で部屋でまったりする。時折訪れる陣痛に嫁さんは顔をしかめるが、まだ激痛とまではいかない様子。テレビなんぞ見てみる。あまりのまったりぐあいに二人ともいつの間にか寝てた。
12:00〜 嫁さんの両親登場。気配は全くなし。昼ごはんを食べる。嫁さんの親は次女が鍵を持たずに出掛けてしまい、締め出しをくらった様子なので一時帰宅。 特記事項なし。
13:00〜 特記事項なし。正直言ってヒマ。嫁さんも我慢できるくらいの陣痛。これ本当に生まれんの?
14:00〜 先生による診察。微弱陣痛と昨夜の破水を考慮して、人工的に破水させる。通常では二時間後には生まれてくるでしょうとの話。確かに陣痛の間隔も短くなり、痛さも傍から見てもよくわかる。とりあえず背中をさすったり押したり嫁さんの言われるがまま。それしかできない。
15:00〜 苦しそう。はやくどうにかしてあげて欲しい。どうして子どもを産むのってこれほど苦しいのだろうか。これだけ苦しいのに助産士さんは「あと1時間くらいで生まれそうですよ」だって。どうにかあなたの力で5分にしてあげてください!
16:00〜 「痛い」「もうやだ」何度この言葉を嫁さんは吐いたかわからない。正直言ってこんなに苦しいのなら子どもなんてもう要らないよとわたしは思ったが、こんなこと考えている時点で男ってだめ。 気がつくと出産準備が着々と整ってきた。人手も増える。「次の陣痛の時にいきんでみましょうね」と助産士。もうすぐでこの苦しみから解放されるはず。何度目かのいきみの後−
16:42 女の子が産まれた。生まれてすぐに泣いた。か細い声で。わたしも泣いた。ひっそりと。嫁さんは安堵の表情でわたしにか細い声でこう言った。
「カメラ!撮って!早く!」
前々から写真撮らないと何度でも叫び続けるよと脅迫されていたので、今回はすんなりということを聞く。前回パソコンの不具合により生まれてすぐのデータが消えてしまったので、今回は使い捨てカメラを用意する嫁の周到さ。女性ってすごいのね。 さらに女性のすごさに気づかされる。散々「もういい」「もうやだ」と騒いでいたのに、いざ赤ちゃんを抱っこするとそこにはすでに母の姿になった嫁さんが。やさしい声をかけ、やさしいまなざしで見つめ、やさしい手で抱きしめる。やはり女はすごい。
なにやら体調が良くないですよ。これ風邪の前兆ですよ、多分。 なにより最近忙しいのにやる気がないのは、まあ大人なんだからいろいろありますわ。
さて、読み聞かせの話。 わが図書館は、近隣の小学校へ読み聞かせに行っている。これはもう何度となく書いたことだが、実に素晴らしいことである。学校と図書館の連携、読み聞かせの重要性、などなど。教師志望のこともあってわたしは学校へ行くのが好き。しかし、最近その読み聞かせに疑問を持っていた。
授業とはいえ、外部から入ってきたよそ者が勝手に1時間本読んで、それが次につながるの?という疑問を持ってしまった。読み聞かせは素晴らしいでしょう。子どもたちもその時は聞くでしょう。でも、年に1回の読み聞かせでどれだけの効果が出てるものなんだろう。正直言って図書館の、ひいてはわたしの独り善がりだろうか。
でも、そうでもなかった。 今日一つの希望が図書館にやってきた。 その時間、わたしがカウンターにいたことは偶然ではなく必然であると思いたい。
夕方、母親に連れてこられた子どもが返却にやってきた。わたし見てニコニコしてるし、読み聞かせに行った学校の子かな?と思った。本の返却を終えたときその子はわたしにこう聞いてきた。 「『きょだいなきょだいな』ある?」 「きょだいなきょだいな」とはまさに先日学校で読んだ本。あーやっぱりそのときの子なんだなと思い一緒に棚へ。運良く本は残っていた。「これだね」と渡すと「やったぁ!」と嬉しそう。そこへすかさず母親が「先日学校へきてくれたんですよね」と聞いてきた。 「お兄さんが読んでくれたのがおもしろかったみたいで、図書館に行きたいって言い出したんですよ」 「普段本読まないくせに読みたいって言い出して」 嬉しかった。 自分のやったことに意味はあったんだよ。わたしの読み聞かせがその子の足を一歩動かしたんだよ。もしかしたらその興味は今日で尽きてしまうのかもしれない。それでもその子は一歩前に動いた。 それで満足。 自分のやってきたことに、一つの希望が見えた。 それで大満足。
図書館員は趣味をたくさん持つべきなんですよ。なぜなら趣味がそのまま仕事につながることがあるから。お客さんがこれこれについてわからないことがあるとカウンターに来た時に、答えられる本を持ってくる簡単になります。下手すると本持ってこなくても回答することもできる(多分しないだろうけど)。
さて、無趣味なわたしがしぼり出した趣味と言えばミステリーとなる。しかしなかなか質問が来ない範囲です。「叙述トリックの面白い作品を読みたい」といわれても、あれとかこれとか出しますけど、そんなんで読んでも面白さ半減でしょ。そもそもこんな質問受けたことないしね。
なんて思っていたら来ましたよ。わたしが配架をしていたら、他の職員が「おまかせしていいですか」とお客さん引継ぎ。話を聞くと「おもしろい推理小説が読みたい」とのこと。それでわたしのとこにきたらしい。こりゃ張り切りますよね。でもその人、よく来館される人で、年齢にしてうちの父親よりも上いってそう。推理小説とか読むの?と半信半疑。それでも宮部みゆきとかいいだろうか、読んだことないけど森村誠一とか内田康夫とかその辺だろうかと高鳴る胸を抑えつつ、まずはレファレンス・インタビュー(専門用語)。
「普段どんな本を読んでいました?」 「さっき返した本はこれなんだけど」と一冊の本を出す。
剣客商売じゃん!池波正太郎じゃん!それって時代小説じゃん! もうこの辺でいろいろなものがわたしの体から引いていった。 いやいや、それでも一縷の望みを託して…
「今まで面白かった本てどれですか?」 「あーあれだなー」と文庫の棚へ移動する。そして一冊の本を出す。 藤枝梅安じゃん!池波正太郎じゃん!それって時代小説じゃん! 理解したよ。この人にとって小説=推理小説という定義なんだ。
とりあえず文庫の棚にいたこともあり最近流行らしいので佐伯泰英を薦めておく。いつの日かわたしを満足させてくれるレファレンスが来るまでがんばりますよ。
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