良い夢は切ない 悪い夢は苦しい
切なく苦しい今が夢のようだから 寝てる間の夢は見たくないんだ
僕が東で 行き場の無い怒りをノートに書き留めている頃 貴方は北で 癒えぬ傷を抱えてうずくまる 西で彼が 空回りする思いに地団太を踏む頃 南で彼女は 空一面の理不尽に押し潰されようとしている
僕らは時折 薄暗い場所をひとりで行かねばならない だけど 孤独で在る必要はどこにもない
誰かが同じ思いで 立ち止まった場所に 誰もが寄り添って 君の傍らに在る限り
砂についた足跡は 波がすぐに消した
楽しくて 何度も砂を踏みしめて 波に足を浸した
もしも時が戻せるなら
あの時の海岸 あの時の砂の上
君の足跡を もう一度
もう二度と 波が消せないようにと
すべてを巻き戻せるなら
もう一度
前をゆく君を 抱きしめるんだ
もう二度と
消せないように
たとえ 嘘になったとしても
優しい言葉だけ 貴方にあげたい
だけど 嘘になってしまうなら
言葉は毒にもなるだろう
灰をダイヤモンドと 言い張っても
たとえ 真実がその中にあっても
あなたに届けられないなら 優しい言葉は もう いらない
人の世の光など無くとも
あの桜木の
色も香も
何も
変わりはしない
美しいものを
儚げなものを
不変のものを
ぼくらは何も
奪えはしない
ぼくらから誰も
奪えはしない
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