TALK TO MYSELF IN MIDNIGHT 

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あいのうた

幾夜も届かぬ愛の唄
月に輝くバーボン

まぶたの裏に千の森
彷徨う影に陽は射さず

寂しがり屋の梟は
眠りを知らずに
夜を巡る


Spring Has Come

春の訪れは
君の目覚め

風の音色は
愛の唄

カナリヤは
唄を忘れても
僕の心は
愛を忘れない


真紅の救済

世界の終わりに
目の醒めるような
真紅の薔薇を

清らかな涙の行先が
光であるように

汚れた手の行先が
闇であるように

冷酷な運命-さだめ-が
愛だと解るように

薔薇の微笑が
世界の終わりを告げる時
すべては真紅に染まり
魂は救済されるだろう

旅人は
永遠の旅を終え
薔薇と共に帰還する


なごりゆき

窓辺に
春の初めの雪が

光のプリズム
ほんのりと部屋を照らして

まどろむ君の横顔を
眺めて過ごす

降っては融ける雪のように
終わってゆく恋


閉じ込められて

閉じ込められて
身動きもできない

瞼に焼きついているのは
あなたの笑顔

耳に残るのは
あなたの声

雪は融け
道は乾いても
花は咲かない

僕の心は
黄昏のまま
あなたを待つ


CLOVER

君は春の風になって
菜の花を揺らす

君の愛するものすべてを置いて

黄色い花弁が
はらはらと舞って

祝福の喇叭は
いまだ鳴らず

道の端に残る雪が融けるのを待つように
時間-とき-を過ごす

愛は
あなたを包んだだろうか
あなたの心を温めただろうか

春の風は
なにも語らず
菜の花を揺らす



author:蒼井冬星 HOME  
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