TALK TO MYSELF IN MIDNIGHT 

BACKINDEXNEXT

約束の場所

何処までいけば
何処へいけば
赦されるのだろう

果てなく続く道に
眩暈すらおぼえる

辿りつけない
約束の場所よ


DUSTBOX

「あの女がバカだからいけないんだ」
「…っ…んだとっ!!」

ガンッ

俺は知らず知らず、奴の胸座を掴んでいた。
奴の足に当たったブリキのゴミ箱が音を立てて転がっていく。
奴は、怯えた様に上目遣いで俺を見ている。

「…なんだよう」
「お前は、一瞬でも大切だと思った人の言うことより
どこの馬の骨とも知れない奴の言うことを信じてるのか?
お前を慕っていたあいつの言うことよりも?」
「……」
「お前はいつか俺を甘いと言ったな?
正直者は馬鹿を見る世の中なんだと。
お前から見たら、確かに俺は馬鹿なんだろう。
だがな、俺はお前のように恵まれた環境にいる奴を知らない。
お前のように恵まれた環境にいながら感謝の気持ちすら持たない奴を
気の毒だと思うよ」
「……」
「お前のことだから
まだ、腹の中で嘲笑っているんだろうな」

胸座を掴んでいた手を前に出し、奴の身体を放す。
ふらつきながらも体勢を立て直した奴の眼を見る。
反吐が出そうにずるい眼だ。

「もう、ここには来ない。
お前も金輪際、俺の前に姿を現すな。
彼女の前にもだ。彼女は、俺が護る」


はてしなくブルー

コバルトブルーの風にのって
見知らぬ鳥があざやかな低空飛行

いつか眠りにつく時
君という夢を見るだろう

それから

それから僕は
空に堕ちる

とめどなく流れる涙の海に
失望という船が浮かぶ

街に笑顔があふれていたのも
もうずいぶんと昔のこと

堕ちた先が何処であっても
忘れはしないさ


雪の降る街

長い髪に
一片の雪がとけて

何も言わずに
歩く君の横顔眺めていた

雲はさらに厚くなって
暗くなっていく空

私たちは
どこへ行くのかしらね

そう言った君の
なめらかに動く唇

その紅さを
今も忘れられずにいる


すりぬけてゆく心

すまない
今夜は笑えない

あなたの愛に
応えることができない

勝手だと分かっている
あなたを傷つけていることも

それでも
僕はこの世界に独りだと
そう思ってしまう自分の心を
抑えることができない

あなたを目の前にしても
なお


夜にのまれて

夢見る孤独を
抱きしめて

夜の波に飲み込まれる

心など
どこにもないの

光あふれる街の中で



author:蒼井冬星 HOME  
Copyright (C)2001-2020 Tousei Aoi All rights reserved.
TALK TO MYSELF IN MIDNIGHT内の詩の著作権はすべて蒼井冬星にあります。
転載、引用の際はお知らせ下さい。