気まぐれ日記
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今年ももう少しで終わりですね。紅白はごらんになってますか? 元日と二日、お仕事休みなんでゆっくりしようとしてます。 毎回読んでくださっている皆さん、ありがとうございます。来年も読んでくださいね。良いお年を。
『ブロードの研修旅行』
彼が魔界を訪れるのは二回目だった。前と変わらず暗く湿った世界。それでも、美人な魔族がいるというので、彼は嫌いではなかった。しかし、今回は、そうでなかった。この世界と同じ心境だった。 「はあ」 「ため息なんかついて、グオンみたい」 オフィーリスが怒っているわけじゃないが、そんな口調で言った。 「なんだよ、あんなタラシと一緒にすんな」 「もう、二十八回目よ」 「……」 オフィーリスの家はアパートである。それよりマンションに近いようだ。居間と台所(見るからに使われていない)と寝室が一緒である。 「あなたは……そうねえ、魔帝のところに行けば部屋があるわね」 「まかせるよ」 彼の顔は晴れない。カルミアの死がそうとうに堪えている。それがわかっていながらもオフィーリスは少し腹が立った。 「ねえ、あなたにぴったりの研修方法があるわ」 「何?」 「とにかく、魔帝のところに行きましょう」 魔帝は、誰かに似ている。 「へえ、その人間いや元人間がそうなのか?」 銀髪のその男はにやにやとして言った。 「ええ、それで彼が寝泊りする部屋をお借りしたいの。あの方法で学習しようと思います」 「そんなことお安い御用だ。レイス、案内してくれ」 レイスはいきなり現れた。 「はあーい! 魔帝。一名様ごあんなーい」 彼女はフリルのついたエプロンに、巻き髪を揺らした少女だった。 「まったくいろんなのがでてくるな」 「人間もいろいろでしょ?」 その部屋は広めでベッドが一つ、たんすが一つの部屋だった。 「さ、始めるわよ」 「なにを?」 「睡眠学習、よ。あなたにはたっぷり寝てもらうわ」
今日で「フレクア一人旅」が終了します、ように……。
強盗団がうなずいて散らばる。 「女の子の方が半歩先に歩いていたから、一千人目は女の子だ」 と、小柄の男は言った。フレクアたちはそうっと逃げ出そうとしていたが、結局は逃げ切れずに周りを囲まれた。 「でも、男のその荷物も置いていけ」 「あのね、おいていけと言われて、はいそうですかって言うわけないでしょ!」 「ぬう、確かに皆、そう言っている」 「だから、私と勝負して!」 「なっ!」 小柄な男があっけに取られた。そして、強盗団は笑いの渦になった。 「うひゃひゃひゃひゃ」 「ひーひっひひっひひ」 「ぎゃーあははははは」 「お嬢ちゃんが、相手かい」 「なんなら、俺が相手してやる」 ひとしきり笑った子分Bが前に出る。 「私が勝ったら、見逃してください」 「いいだろう」 大男が約束した。子分Bとフレクアが向かい合う。そして、彼女は剣を抜いて構えた。ビアソーイダ王族は、剣術を教えるということはあまりない。一人一人ほぼ自己流である。彼女の構えは姉であるヘネシーの構えと同じである。 「さあ、かかってきてください」 「そんでは、遠慮なく。ううぉりゃ〜」 緊張感のない掛け声と共に、子分Bの体は地に伏せった。石につまずいて転んだのだ。 「……大丈夫ですか?」 「この勝負、嬢ちゃんの勝ち」 大男は言った。 「じゃあ、見逃してもらえるんですね」 「いや、俺たちは悪い強盗団だ。約束を守るはずないだろ!」 「ひ、ひどっ!」 「やっちまえー!」 彼女は体制を立て直す間もない。しかし、そこ通りがかりが応戦してくれた。 「姉さま!」 「ああ、見覚えあると思ったらフレクアか。元気そうだな」 会話の合間に子分AからDまでを倒した。 「うん」 「とうとう旅に出たのか?」 「うん、家出したの」 「そうか」 更に、すべて強盗団を倒す。 「ありがとう、姉さまのおかげで助かったよ」 「今度は気をつけろ。ところで、ここは、フォーランズではないのか?」 「ここはランタルナだよ」 「また、船を乗り間違えたか。仕方ない、引き返すか。じゃあ」 ヘネシーはフレクアたちとは反対の方向へ向かった。
無事神殿にたどり着き、ゼデューのお使いは終了した。 「これが、ビアソーイダから預かってきたものです」 神殿主が箱のふたを開けると、中には芋ようかんが入っていた。 「ほう、これは私が好きな菓子だ」 が、賞味期限が切れていた。 「……クビ」 「……はい?」 「ゼデュー、お前はいつもいつもこういうくだらんことで私の好きなものを奪いおって……、お前はクビだ破門だ! とっとと出てゆけ!」
んで、フレクアとゼデューの珍道中がはずまった(始まった)わけさ。
「でも、お菓子がカビていただけで破門なんて、ずいぶん乱暴ね」 フレクアが言った。 「ふふふ、この日を何度夢見たことか……これで俺も自由だあー!」 「はい?」 彼女は、ゼデューが狂喜していることに気づいた。 「もう、小うるさい神殿なんか関係ないんだ。あははは! フレクア、こうなったらとことん、お前の武者修行に付き合うぜ。俺、こう見えてもケンカア大好きなんだぜ」 「ゼデュー?」 「さあて、行くべし!」 「あなた、なんか性格変わってるわよー!」 とにかく、彼女の修行の旅はにぎやかなものになりそうだった。
2003年12月29日(月) |
急いで書いていたとはいえ |
昨日のひでえ文章だなあ。おい。まあいいや、今日もがんばろう。 ランタルナの港町、ザングルはほどほどに栄えていた。しかし、人々が行きかうのはやはりビアソーイダの方が多い。フレクアはそう思いながら町を歩いていた。一緒に神殿主見習いのゼヂューと。 「こっちです。この道を行けば街道です」 彼の案内で彼女は街道の入り口までたどり着く。 「ここから二、三日歩くとぼくが勤める神殿があります」 「で、ここに盗賊団が現れたりするんですね」 「はい、できればお会いしたくないんですが」 「そうね」 街道は広々として、たまに馬車が通る。人間が普通に歩いて夕方になるころを計算してか必ず簡易な宿がある、とゼデューが言った。何事もなくもう少しで神殿につくというころ、お約束どおり盗賊団に会った。 「おめでとうございマース! あなた方で1千人目の被害者デース!」 ひげもじゃの一番図体のでかい男が道をふさいでいる。ふざけた挨拶をしたのは、その横の小柄で細い男だった。 「出たわね、盗賊団」 「あなた方が喜ぶものは何も持ってません」 「おいおい、今のに突っ込みナシか?」 小柄な男が言った。 「ええっ! ボケだったんですか?」 と、フレクア。ゼデューは表情を崩さずに、うなずく。そうだったのか、と言いたげだった。 「じゃあ、一千人目には何か特典でもあるの?」 「もちろん、もれなく身包み全部いただきます!」 「それは、いつものことじゃ……」 小柄な男の言葉に子分Aがつっこんだ。すかさず、げんこつをはる。 「うーん、じゃあ私たちのどちらが一千人目なんですか?」 フレクアが聞いた。ゼデューもうんうんとうなずく。 子分全員(フレクアたちの背後に回っていたのが前に出た)と大男と小柄な男たちは顔を見合わせる。そして、こしょこしょと相談を始めた。
『フレクア一人旅』をお送りします。タイトルまんまの内容です。三日くらいで終わるといいなって思ってます。
「ランタルナぁ……」 彼女がランタルナ行きの船に乗ったと気づいたのは、二日後、行き先連絡事項の放送によってだった。しかし、彼女はすでに自分がどこに行くか、なんていうのは気にせず、ただ一人旅を楽しもうという気持ちでいたため、まあいっか、と思い直した。そこは、神経の太いビアソーイダ王族の特徴とも言える。 フレクアはこの二日で船をくまなく歩き回った。毎食が魚介類ばかりと言う点を除けば食堂の料理もおいしいし、部屋は個室であるし、退屈しのぎに甲板に行くといろいろなアトラクションもやっている。 夜は、ランタルナで何をしようか考えた。所持金は自分の小遣いで、限りがある。まず、着いたら仕事探しだった。適当な賞金首を狙う。ウォンテッダーだ。叔父であるバルクを始め、姉も兄もこの職が気楽だという。確かに、ウォンテッダーは制限のない職だったが、必要なのはその腕にかかっている。 船旅も明日で終わりになるという夜、彼女は食事中声を掛けられた。男の声だ。彼女は食べながらも身構えた。 しかし、急に叔父の言葉を思い出した。「落ち着け」 声を掛けた男からは殺気も何も感じない。 「君は、剣士ですか?」 「はい、そうです」 二十代半ばの聖職者だった。落ち着いた感じ優男である。 「ああ、良かった。ぼくはランタルナで神殿主見習いのゼデューと申します。実はお願いがあるんですが……」 「私はフレクア……」 フルネームを言おうとしてやめた。王族などと言っても信じられなさそうだし、ややこしいことになりそうだから。 「フレクアさんですか。ランタルナは初めてですか?」 「ええ」 「ぼくはビアソーイダでお使いをした帰りなんですが、大切なものを預かったんですが、最近のランタルナは物騒でして……強盗団による被害が多いんです。だから……」 「すいません、私でよかったら雇ってください」 「はい? まあそのつもりで声を掛けましたが……」 フレクアは王族というところを省いて、更に家出と言うのも伏せて事情を説明した。 「つまり、おじさんとの実力の差を見せつけられて修行の旅に出られたのですね」 「平たく言えばそうなんです。だからどれだけ役に立てるかわかりませんが、お願いします。正直一人でどうしようって思っていたんです」 彼はしばらく考えた。船に乗ってからというもの、剣士や戦死など、腕っ節のよさそうな人々に声を掛けたが誰も相手にしてくれなかった。 「ぼくはあまりお金を持ってません。だから宿代くらいしかだせませんが 神殿まで着いたらそれなりのお礼はします」 つまり、OKをくれた。と、いうわけで彼女は、ゼデューに雇われた。
友人がサポートで出演するということで行ってみたら、すげーかっこよいの。ボイパってすごいですよね。楽しかったよ。草は音痴でさらにリズム感なしなんで無理ですが、基本的に音楽は好き、です。(最近わかったこと)
攻略・解説「ウォンテッダー」 明日から短編をかきたいんですが、実は何も(話)考えちゃいないんです。タイトルだけがでてますね、昨日。いつもの即興文になりますよ、きっと。 で、今日は、攻略解説ってことです。(これでいいのか、自分)
その1 ブロードのフルネームが出ないわけ ブロードのフルネームを知っているのは、友人くらいです。出ないのは、今考えると「お間抜け」だからです。元の話は名前を考える時、布とか生地とかからきているんです。彼の場合、ブロード織りからもって来ました。(その他、シルク、リネン(寝具類)、アプリ(アップリケから)、ナイロ(ナイロン)などなど)そういうわけで、彼の姓名、キルティングなんですよ、あまりにお間抜けなんで「ウォンテッダー」では、切ってしまいました。
その2 「本の主」について
こいつな、蜘蛛なんだよな。蜘蛛苦手なんですが、見る分にはかわいいと思えるくらいなんです。(触れません。叫びます) ビアソーイダ城の地下から隠し扉の向こうの書庫(本は古代文字なんで、人間には読めません)に住んでます。べグゼッドにとり憑いて余計なことを教える困ったさんです。会話がカタカナで読みにくいですが、悪気はないので許してあげてください。
その3 魔王について
実際は、この世界の管理人なんですが、彼がたまたま人間界に現れた場所が、その昔、「三流魔族が島でえばっていたのを二流勇者が倒した」という伝説を残す、アインマルト島だったということです。彼は魔王として(なぜか)歓迎され、便利屋さんとして扱われました。それに嫌気がさし、ふて寝しているっていう設定。たまに「カルストラ」って呼ばれますが、この名前はこの作品にあんまり使いたくないんで、あえて普段は「魔王」にしてます。(ただのわがままです。深い意味はないです)
その4 教会? 神殿?
カルミア登場時は教会だったんですが、巫女なら神殿だろ? ということで無視して、神殿になりました。すいませんごめんなさい。
「ウォンテッダー」を中断します。年末年始はなんか、短編を書きたいと思います。ちょうど、本編はキリのよいとこで終わってますので、ちょうどよいっすね。 項目は、「ウォンテッダー」の分岐点から二本。『フレクア一人旅』『ブロードの研修旅行』『?(未定)』をやろうかと。見るからに馬鹿らしい企画です。お楽しみに!
実録・「鋼の錬金術師」翔べない天使をプレイ。 とりあえず一面クリアです。まだスタオークリアしてないんでそっちやりますんでこっちはまだ本格的にプレイしませんが。 一面とは、練習ステージみたいなもんだから簡単だと思いきや、私、あのすちっく(スティックのこと)は苦手でして……。エドがどっち向いてるのかわからずアルをあさっての方向にタックルさせたりと……。できはいいゲームですよ。多分。各ステージにボス見たいのがいるけど、それを倒した後、「ランクB」と……。ランクB! ってことはこの上、AもSもあるのか!これは何度もやって、それを目指せという挑戦状だな! 説明書ろくに読んでない草でした。
この忙しいさなか、ゲーム発売。社会人はつらいっしょやね。
「と、いうわけで、俺は研修旅行に行く」 ブロードは手短に説明した。 「カルミアのことといい、お前のことといい。何がなんだかさっぱりわからん」 バルクが怒鳴ったが、それだけだった。説明したのがイーリスだったが悪い。しかも、彼が魔族になったはいまだ原因は不明だ。だから彼に当たったところで何もわかるはずはない。 「ブロード、気をつけてね」 ルイは言った。 「魔族となれば、それだけで賞金目当てのウォンテッダーがおるからのう」 「それに、正義感ぶった天使とか、偉そうな神族とかもかかってくることがあるから」 「そういってくれるのは、ルイちゃんとアニムだけだよ」 ブロードがわざとらしくため息をつく。 「まあ、お前がいない分、働いてやる。立派な魔族になって来い」 「ああ、はいはい。よろしく頼む」 立派な魔族ってなんだろな、と思いつつ、彼は人間世界をあとにした。
「また、三人になったのう」 「そうね」 「そうだな。次はどこに行く?」 バルクは地図を広げた。 「例の魔力を探さなきゃならんからのう。ルイ、わかるか?」 「うーん」 ルイは目を閉じた。意識を集中させるつもりで、とんっと指でつついた。 「ここは?」 地図で言うと、左中央から上を走る大陸クルディサンディだった。 「そこか」 「神が降臨するって大陸だっけ?」 「さっそく手配せねばな」
家族や伯母とそろってやります。ケーキはスナッフルズと国際ホテルのケーキ。この時期、本当に怖い。食ってばっかりだ。
「まだ、話があるのか?」 イーリスはうなずいた。 「うん、グオンが」 そう言って自分は退室する。グオンは部屋の奥にいた。 「お前が魔族になったと言うことは聞いた。カルストラがオフィーリスを世話役として推薦した」 「オフィーリス?」 「私の妻、みたいなものだ」 「……つまっ?」 壁からにゅうっと腕が伸びた。ぬっと彼女は現れた。黒いストレートの髪に白い肌、黒いワンピースの美人だった。 「あなたが、そうなのね。かわいい坊やじゃない」 その額と右頬には、複雑な紋様のいれずみがある。これがなければ、人間世界にまぎれて暮らしてもかわらないだろう。 「私はオフィーリス。しがない魔族。よろしくね」 「はあ」 なんとなくぼんやりと返事をした。 「思ったより重症ね。やっぱりショックが大きいのかしら?」 首をかしげるオフィーリスにグオンは耳打ちをした。かなり長く説明した後。彼女は、「そんなことがあったのね」と言ったきり、特に何もしゃべらなかった。 「私はね、魔族として、あなたが知らなければならないことを教えるために来たのよ。カルストラは半分は魔族じゃないから辞退したのよ」 「へえ、じゃあ、あいつ、なんなんだ?」 オフィーリスは人差し指を立ててブロードの口に押し付けた。 「それも後で教えてあげるわ。ちょっと黙っててね。あなたには例の魔力集めを一時中断してもらうわ。とりあえずはあの三人組にまかせましょ」 「ああ、いいのか?」 「非常事態ってほどじゃないけど。あなたに教えるほうがさきだから」 「で、どうするんだ?」 「魔界に来てもらうわ」 「出発は?」 「今すぐよ」 「わかった。じゃあ、ちょっとあいつらに挨拶してくる」 ブロードはゆっくりと歩いて部屋を出て行った。
仕事場の。うちはケーキ地獄と化する。ケーキ魔の妹がいるから。
「魔族なりたてってわけだ。じゃあ先輩として消して差し上げよう」 「うるせー、馬鹿」 その魔族の腕を引っつかむ。そのまま、思いついたことをやってみた。 「ふうん、魔族って便利だな。魔力がこうやって吸えるんだ」 ブロードは笑うことなく言う。 「や、やめろ。放せ」 腕を放した。放した時にはその魔族は弱っていた。 「情けをかけたって思うなよ。俺はあんたなんかどうでもいいんだ。とりあえず、消えてくれ」 その魔族は全部言い終わる前に消えた。冷たい地下に残ったのは、冷たいカルミアと冷えた自分だった。 「カルミア……あんたは、多分自分が死んだことすらわからないんだろうな。何も知らずに、な」 それが幸いなのか、不幸なのか、彼にはわからない。
一件のことをフォーランズ国が、イーリスが全部把握した。神殿は一時混乱状態になったが、すぐに臨時の神殿主を就任させることで一応、落ち着きを保っている。 そんな中、重要参考人でもあるブロードは郊外の野原で花摘みをしていた。誰も彼と口を聞こうとしなかったし、彼も誰とも口を聞かなかった。ただ、ルイは黙って一緒に花を摘んでいた。 「カルミアはね、花が好きなんだ……」 彼女は独り言を言った。持てるだけたくさんの花を摘んで帰り、棺に入れた。彼女は国の共同墓地に収められることになった。 「ごめん、もう少し」 イーリスがブロードに言った。もう少し、聞くことがある、と言いたいようで、ブロードはそれにうなずいた。
ブラス組曲「ドラゴンクエスト」 サミュエル・ピラフィアンという方が編曲、フレデリック・フェネルという方が指揮をしてらっしゃる、言ってみれば、海外版「ドラゴンクエスト」。ブラスのためか、スローテンポになってます。こんなのが出ているとは、知らなかった。
手をカルミアの肩に置き、ブロードは彼女を突き飛ばした。彼女は、なんの抵抗もなくぐったりと床に崩れた。 (なんだったんだ? 今の) ブロードは自由になった自分を見る。透けてはいない。ある考えに思いついた時、彼は不機嫌にその名を呼んだ。 「おい、カルストラ!」 「はい、なんでしょう」 「早すぎだ! ずっと見てたな」 現れた魔王は、おずおずしながらうなずいた。 「まあ、いい。これはどういうことだ?」 「……魔族になっちゃった、みたいです」 小さく小声で言った。しかし、声は良く響いた。 「誰が?」 「もちろん、あなたが」 「なんで?」 「まだ、わかりません」 「調べて来い!」 「はい!」 魔王は慌てて消えた。 「こ、これは。カルミア!」 ヴィデスが様子を見に来たらしい。ブロードはその前にカルミアを抱きかかえた。もう魔力を感じない。例の魔力も自分が吸い取ってしまった。 「これが、結果かよ……」 冷たくなっていく彼女に暖を与えながらブロードは、ヴィデスに言った。 「もう、彼女は目覚めない。何も知らずに、どう死んだかわからずに死んだんだ。いや、死んでいたんだ」 「カルミア、そんな、せっかくの……」 「せっかくの? なんだ?」 「せっかくここまでうまく育てたのに……」 「うまく? あんた、まだ何か隠してるな?」 ヴィデスは、にやりとした。姿が変わる。若い男の姿になる。 「あんた、魔族だったってことか?」 「そう、その娘が魔力を吸い続けてためる。それがたまったころが喰い時だ。それも今日で満タンになるはずなのに、お前は……」 「そうか、奇遇だな。俺も魔族だ」 「そんなはずはないだろう。お前は人間だ。でなければあんな薬など効くはずがない」 「それがな、たった今、魔族になっちまったのよ」 ブロードはこれまでにないほどつまらなそうに言った。
パソコンって楽ですね。今年はロム買って、おサルの写真に「あけましておめでとう」と貼って作りました。(作ったとはいえない)。これが公用。私用は本についていたおまけロムを利用します。
気づいたら、寝かされていた。 「……」 暗い冷たいところで、冷たく冷えた石の台。思い出せない、何故こんなところにいるのか。 ブロードは起き上がろうとした。 「……」 駄目だった。手足ががっしりと固定されていた。 「おや、目を覚ましてしまったのかい」 ヴィデスだった。声がするほうに目をやった。動けないから、それしかできない。 「薬の量が足りなかったようだ。かわいそうなことをした。眠っていたら楽だっただろう」 「だいたい、読めた。あんた、俺に蘇生魔法を使えと言うのか?」 「いいや、あなたには無理でしょう」 「あ、そう。じゃあ、これは一体どういうことだ?」 「娘の糧にするんだよ」 「娘のカテ?」 「カルミアは神殿主にふさわしい能力を持った子だ。しかし、ここに来た時からあの子には病魔が住み着いていた。年々弱っていって、ついには死んだのだ」 「それが、どうして今、生きているんだ?」 「わからぬが、魔力を得て生き返った。そう、最初は巫女の一人から魔力を吸い取った。本人には覚えていないようだが。そして一年に一度、深い眠りについた時が魔力を必要とするときなんだ」 「それが、今日だな。んで、俺の魔力を使うわけだ」 「そういうことです」 「イーリスに蘇生魔法を聞きだそうとしたのは、カルミアを生き返らせるためか?」 「ええ、そう思いました。だけど大昔の話では、失敗したようでね。結果が、あの軍術家のグオン=サルガリードでは……」 「へえ、いいこと聞いた。で、地道に一年に一度魔力を与えるためにこうしているわけか」 「はい。あなたは魔力がなければ生きられないのでしょ。そのほうが好都合ですから」 「そうだろうな。口封じにならないしな、生きてると」 「冥途の土産はもう十分でしょ。カルミア、来なさい」 ヴィデスの言葉にカルミアが現れた。ゆっくりとふらふらとしながら。昨日、イーリスが主に取り憑かれいるような様子で。 「……そうか。あんただったんだ」 例の魔力を持っていたのは。 ブロードが思ったとたん、口をふさがれた。魔力は口から出る、とういうのは彼女の知識にもあるらしい。もっとも魔力は人によりさまざまなのでそうと限らないが。 そんなことより、彼は自分の異変に気づいた。 (体が透けてる?) 透けたおかげなのか、束縛している器具からするりと通り抜ける。まるで幽霊のように。 (なっ!) 急に脱力感を感じた。魔力を消費した時のそれのような……。 (逆に吸い取ってやろう) 彼はそう思った。そうだ、奪われたものは取り返す。彼は思いっきり吸い込んだ。
ままごと好きなタケちゃん。アンパンマンのままごとセットで遊ぶ姿は、そりゃすごい。目玉焼きに塩振ったり、フライパンゆすったりします。従兄弟の子供の話でした。
翌朝、イーリスが主がいないことに気づいた。 「あれ?」 「帰ったんだろ。気にすることはない。あれだけ食ったんだ。しばらくは出てこないだろう」 グオンが聞かれもしないのに答える。 「ふうん」 あの蜘蛛はイーリスに蘇生魔法を教えた。魔力を込めて言葉を唱えるだけでいい。そんな魔法を。ただし、その魔法を発動させる魔力をイーリスは持っていない。知っていても、どうすることもできないでいる。このまま忘れるのが一番なのかもしれない。 「俺、行ってくるよ」 「今日も?」 「うん、だって。あの神殿には例の魔力があるんだ。よって仕事だ」 「本当はカルミアに会いたいんでしょ? あたしには感じないし」 「ルイちゃんは鈍いの」 ルイとブロードが廊下でそんな話をしていた。 「おはよう」 イーリスがぽそりと挨拶する。二人が挨拶を返した。ややして、アニムとバルクも起きてくる。 「あの魔物は帰ったのか?」 「なんだ……。あのこと、詳しく聞こうと思ったのによ」 主に知識を食われた五人は、それぞれ違う知識を与えられたようだった。朝食の席でお互いに聞くとかみ合ってなかったのだ。 「俺はビアソーイダの先祖についてだ。ただな、詳しいとこは抜けちまっている」 と、バルク。 「あたしは、ティママンっていう魔族のことよ。知っている部分もあるけど」 と、ルイ。 「小生は魔法知識だったのう。使えぬが」 と、アニム。 「俺は……。あんまり覚えてねえな」 ブロードは食後の紅茶をすすった。 「覚えてない?」 グオンが聞き返す。 「よくわからなかった。だから、話せることじゃねえ」 ブロードが立ち上がる。 「俺、出かけてくるわ」
神殿はしーんとなっている。 また、祈りの時間とかで、巫女に話しかけられないのか、とブロードは思ったが中に入ることにする。 「おはようございます」 神殿主ヴィデスがそこにいた。 「うわっ」 「驚かせましたね」 後ろから声をかけられブロードは慌ててヴィデスの方を見た。 「今日も、お祈りか?」 「いえ、今日は休日です。年に一度の」 「そうか。じゃあ、今日は見学は無理なのか?」 「今日も見学なさるので?」 「ああ、じつは、変な魔力が漂っているからな、ここ。俺はその魔力を回収するために来たんだ」 「……フォーランズ王族からの依頼で?」 「いや、極めて個人的にだ」 「そうですか、そういうことでしたら、どうぞ。くまなくお探しください」 ヴィデスは、彼を誰もいない神殿に招き入れた。
ドラ映画みました。フー子と聞いて目玉台風を思い出す。来年はイチか。のび太が「わんとなくから、日本語でイチだ」と名づけた、アレか。
その夜、明かりの消された部屋に、主は転がっていた。 「起きてください」 それを誰かが蹴り起こした。 「ヌウ、オマエ、マテイノ……」 「それはいいですから。イーリスさんに余計なこと教えないでください」 「ソレナラモウ、オソイ。オシエタ」 「その過程も?」 「サスガニ、ソレハチョット」 「良かった」 「オイ、オマエノチシキクレ」 「はいはい、後でね」 魔王は、そこを去った。逃げるように。 「マア、イイヤ。モウカエロウ」 主はそこから消えた。
「はーい、久しぶり」 「げっ、魔王」 「げっ、てなんですか?」 「いや、なんとなく」 「それよりも、魔力集めは、どうですか?」 魔王はベッド脇のイスに座った。寝ていたというより、寝付く前のブロードは特に驚きはしなかった。ベッドから起き上がる。 「うん、あの神殿にはある。だけど……」 「どこにあるのかわからない、ですね」 「そうなんだ」 「まあ、いいでしょう。引き続きがんばってくださいね」 「あいよ」 魔王が去ろうとすると、ブロードはそれを呼び止めた。 「あの、タラシにも挨拶していくのか?」 「タラシ……ああ、グオンさんね。あの人は用ないときに行っても相手にしてくれないから。行きません」 「そうか、そうだよな」 魔王は、今度こそ去った。
「鋼の錬金術師」の小説一巻。アニメにて今週後編をやる予定。アニメ前半を見て、この小説を読んだの。大筋は沿っていても細かな(?)ところはアニメ版として変えられているですね。アニメ版は民衆の兄弟に対してのあつかいがひどいですよね(笑)。 ちなみに二巻は前に読んでいる。
「じゃあ、ほとんど覚えていないわけだな」 「そう」 グオンはため息をついた。 「しかし、何故神殿主に蘇生魔法が必要なんだ」 イーリスは首を振った。 「そりゃ、誰かを生き返らせたいからだろ」 ブロードが起き上がっていった。 「あつかい悪いよな、床に転がしたまんまってのはどうよ」 ちなみにルイはちゃんと部屋まで連れて行ったようで、姿はない。 「お前たちなら大丈夫だ。風邪などひかん」 「ああ、なんとかは風邪引かないっていうもんな」 バルクも起き上がって、言い返した。 「いい気なもんだのう。散々知識を食って寝ておるのか」 アニムが蜘蛛を見た。 「そいつには悪気はない」 グオンが言った。 「下手に手を出すとやっかいだが、知識を食っているだけだったら可愛いほうだ」 「まったくよ、どんな姿をしていて魔物だもの」 ルイが部屋に入ってきた。 「リュレイミア嬢、お加減は?」 「ええ、大丈夫よ」 「それはよかった」 グオンは、メイドを呼んで食事の準備をさせる。遅い夕食をとることになった。 「しかし、蘇生魔法とはのう。やはり昔のほうが魔法は発展していたのか?」 「そうだな、俺の代でもう、魔法は廃れていたな。。俺が受け継いでいたのは、たまたま家が魔法を必要とする家だったからな」 と、ブロードが言っているが、彼の家は『魔法騎士団団長家』である。ただし、彼の代ではすでに魔法騎士団はなく、彼の父親は城で管理職をしていた。だから「魔法を必要とする家」と言った。 「そのとき、蘇生魔法は?」 「ないね。ただ弟が魔術で作った。使ったのは俺だけど」 ルイの問いに答える。ブロードは、付け加えた。 「ものすごく理不尽な死に方をした女の子をね」 間接的には自分が殺したようなものであった。彼女が生き返ったのは、(ブロードの)魔力によって殺されたからではないかと、彼は思っている。 「あれは弟が作ったものだから俺には無理だよ」 「ねえ、グオン」 イーリスがグオンを見る。その目は何か不安げだった。 「その昔王族が、蘇生魔法を使ったのは……いやいい」 気にしては駄目だ。 彼は思った。先祖が何をしたのか知らないが、自分には関係ないのだから。
2003年12月17日(水) |
ファンロードが復活しました |
今日(地方なんで)、発売しました。どういうわけか、1、2月号と合併してますが。一時はどうなることやらって思ったけれど。9年は読みつづけている雑誌なんでないとさびしいですね。
さて、そこには貪欲に知識を求めた魔物、『本の主』が眠っていた。結局ルイの知識まで無理やり食らったその蜘蛛は、満足そうに腹を見せて寝ている。 「イーリス、もういいか?」 グオンが聞いた。ぬらしたタオルを頭に載せていたが、彼はそれをのけた。周りにはアニムもブロードもバルクも転がっている。あの蜘蛛の犠牲者だった。 「うん、もう大丈夫」 「まったく遠慮を知らん奴だ」 グオンは横目で蜘蛛を見る。 「では、聞くか。何があった?」
イーリスのたどたどしい話では、要領を得ることは難儀だった。だからまとめるとこのようになる。 イーリスが神殿主ヴィデスに呼ばれ、神殿へ向かった。話とは、蘇生魔法についてだった。彼は首をひねるしかない。 「しかし、イーリス様。その昔、王族はそれを行ったとされています」 蘇生……死んだ人間を生き返らせるなんて、ばかげたことをやった先祖がいるとは、彼は首を振った。 「知らない」 「そうですか? だが、彼はそうだ、と言っています」 「彼?」 「ビアソーイダに眠っていた魔物です」 のそり、とそれは現れた。三十センチくらいの蜘蛛がゆっくりとこちらに向かってくる。 「蜘蛛……」 「知らないと言うのであれば、仕方ないですね。彼を使って、記憶をよみがえらせましょう」 「魔物……。神殿主であるあんたが、蘇生魔法だの、魔物だのって、どういうことだ」 「主、構わないから、彼を食ってしまいなさい。そして教えてあげなさい」 「ワカッタ。ソウデナクテモ、ウマソウナチシキモッテル」 蜘蛛はイーリスに近づいた。彼は操られた。いや、幻覚を見せられたのかもしれない。その幻覚は、目の前に面白そうな本がおかれている、そんな誘惑に似ている。だから『本の主』が体に入っていっても、拒めなかった。 その後イーリスにあまり記憶がない。 「結局、蘇生魔法は人間には使えない。魔力がないから」 神殿主に、最後にそう言ったことだけは覚えている。体が主に合わなかったためか、主が体に合わなかったためか、彼には自分がどう歩いて帰ってきたのかわからない。そして、気づいたら帰ってきていて、丸々とした巨大蜘蛛がひたすら知識を求めていたのだ。
途中で別なものを書くわけでなく、ただひたすら「ウォンテッダー」を書いて、四ヶ月……! いや、短い時も雑談の時もありましたが、こんなに長くなるとは思いませんでした。まだまだ続きますね、これは……。年末年始はなんか違うのでも考えようかね……。
その夜、イーリスはぼんやりと帰ってきた。どうやって帰ってこれたのかと思うくらいに、心そこにあらずな表情で帰ってきた。 あまり帰ってこないので、グオンはバルクたちに探すように頼んでいた、ところに彼は現れた。 「どうした? イーリス」 グオンが顔色を変えずにイーリスに聞いた。彼は何も言わずに倒れた。さすがにグオンは駆け寄って抱きかかえた。 「おい、大事なことだ。何があった?」 イーリスがうつろな目をグオンに向けた。 「あの時のアンデッドか、久しいな」 「……誰だ?」 憑き物だ、とアニムは思った。バルクは動かない。それを見ると危険はなさそうだ。 妖精、魔族、悪魔に天使。人間も幽霊となることができれば人間に取り憑くことが可能だ。 「そうか、あれから何年になる? 千年か?」 「まさか、本の主か?」 「この体は、よくない。合わない。出る」 イーリスから何かが抜けでた。 「げっ」 ブロードがうめいた。巨大な蜘蛛がそこにいた。さすがに気持ち悪いらしい。バルクも顔を引きつらせている。 蜘蛛が抜けるとイーリスが跳ねるように起き上がる。首を振って、その蜘蛛を見て唖然とした。 「大きくなってる」 「当然だ。奴は知識を食って大きくなる魔物だからな」 「オマエノカラダ、ダメダ。イヅライ」 「嫌われたな、お前」 イーリスに向かって言う。心外だと言わんばかりの表情をイーリスはする。 「デモ、チシキハウマイ。ソコノエルフ!」 蜘蛛はアニムに向かった。 「オマエノチシキモクワセロ」 「ちょっと頭痛がするが、害はない。食わせてやれ」 「う、なんかいやだのう……」 アニムが渋々蜘蛛に向き直った。 「で、イーリス。何があった?」 「うん、でも頭がごちゃごちゃで……」 「だろうな。主の知識はお前に伝わっているからな。少し整頓してろ」 「おい、グオン。これはなんなんだ?」 バルクが聞いた。やっつけてもいいのか、を聞いている。 「ビアソーイダ地下にいる『本の主』だ。腹をすかせてでてきたんだろ。あまり害はない」 「ハンブン、アタリ」 「どういうお知り合い?」 と、ルイ。 「オオ、アクママデイルノカ。オマエノモクワエロ」 「やだ、こないでよ」 「ナマイキナコムスメダ」 ルイがアニムを見ると頭を押さえて椅子にもたれていた。頭痛はちょっとどころではないらしい。蜘蛛はルイを諦めると、今度はブロードの前に来る。 「なんだよ?」 「オマエ、オモシロイチシキモッテル。クワセロ」 『本の主』はよほど腹をすかせているらしい。その夜は貪欲に知識を求めた。
漫画のコラムニストが鋼の錬金術師の紹介をしてました。 アニメ化になり、コミックが十万部単位から百万部単位になったんですね。すごい!そこまでになったのは、作品の魅力はもちろん、スクウェア・エニックスの宣伝力がある、と載っていました。確かに。 地方紙ですが、この部分は全国共通だと思うので、見逃した方は読み返してみては? 『雑賀義由の眼』という項目です。
石の投げ方を教えると、イーリスはそれにしたがって投げる。五回ほどでうまくなり、二度ほどはねるようになった。それで、子供のように喜んだ。 「で、お前。なんでこんなとこに?」 「神殿主ヴィデスに呼ばれただけ」 「ふーん」 「話があるって」 「ふうん……」 って、お前と話をして会話が成立すんのか? という言葉は胸にしまっていおいた。 「俺、行くよ」 「ああ」 イーリスが最後にもう一度石を投げる。三度はねて沈むのを見ると、満足そうに去っていった。 「俺も、行くか」
「ねえ、アニム」 「んー?」 アニムは食べ放題コースのケーキを選んでいた。もちろん、ルイと一緒だった。 「ブロードさあ、カルミアと一緒にいたりして」 チョコレートケーキを二つとって皿に載せた。 「それは、ないだろう。ばれたら刑罰があるからのう」 「そんなに厳しいの?」 「そうだ。今はどうか知らんが、巫女は神の妻だからのう」 「つまり、神さまの奥さん?」 「そういうことだ。巫女になるとは、神の妻となる。ということだ」 アニムはレアチーズケーキを皿に載せる。適当なテーブルについて、二人はケーキをつつき始める。 「まさに、禁断の恋よね」 「楽しそうだの、ルイ」 「人の恋は蜜の味」 それをいうなら、人の不幸ではないのか、とアニムは思ったが、どちらも同じだと彼は思った。とにかく、人が思い悩む姿は他人にとっては、そんなものだろう、と。 「それに、あたしは応援するよ。だって悪魔だからね」 それが、なんの関係があるのかわからないが、アニムは適当にうなずいた。 「ねえ、今度はデザートの方もたべようよ」 「そうだのう」 その前に、アニムたちは紅茶を一杯飲んだ。苦い紅茶だった。
*ちなみに、HPにいけるようになりました↓(何を今更)
2003年12月14日(日) |
二日も休みがあったのに |
特に何するわけでなく……。
「でばがめはやめろよな」 カルミアが去った後、しばらくしてわれに返ったブロードが茂みに言い放った。 「なんであんたがでてくる?」 意外さと、あきれてと微妙な表情でその人物を迎えた。 「悪かったよ」 でも、出るに出られなかった。 そう、顔は言っている。 「一国の王子様が、覗き見しやがってよ。ちくるのか?」 「恋愛は自由だから……」 「寛大で助かるよ」 「おかしいのは、モトだし」 「法がおかしいか……ずいぶん問題発言だな」 イーリスは川に石を投げる。ぼちゃんという音を立てた。 「でもね、変なんだ」 ブロードも石を投げる。石ははねて三度目で川に沈んだ。 「なにが、だ?」 「あの神殿の何か」 イーリスが石を再び投げる。石はぼちゃんと沈む。少し、むっとする。 「ふうん」 ブロードが、また石を投げる。今度は四度目で沈む。 「ねえ」 「ん?」 「それ、どうやるの?」
2003年12月13日(土) |
クリスマスファンタジー |
地元のイベント。行ったことはあるが、カップルばかりで……。 ううっ、彼氏と行きたいなあ……。
ブロードは神殿から離れた川原にいた。話は退屈だしカルミアにも会えない。だから抜け出してきた。一人で城には戻れるし、しばらくぶらぶらと歩いていたら、川原にいた。 座り込んで、ぼうっと流れる川を見つめる。きらきらと光が反射する。それとは対照的に彼はどんどんほうけてきていた。 「あら、あなたは……」 彼はその声で現実に引き戻された。 「棺桶……男さん?」 遠慮がちにカルミアは言う。 「あ、えと」 「ちゃんと、名前聞いてなかったわね。あなたの名前は?」 「……ブロード」 「ブロードさんね」 「あ、でもなんでこんなところに?」 彼女の父親からは、今日は祈りの日で一日中祈っている、らしいのだが。 「休憩傾時間はあるのよ。神殿からでちゃだめだけど。私は悪い巫女だから」 「ああ、そう」 カルミアはブロードの隣に座る。 「ここはちょっとした逃げ場なのよ。あなたがいて驚いたけど。内緒よ」 「うん、いいよ」 「……ルイさんから聞いているイメージが違うけど、あなた、女の人には軽いじゃないの?」 「……そうだけど、えーと」 「私は魅力的じゃない? 仕方ないけれど」 「そ、そんなことはっ! むしろ、あんたは魅力過ぎて、手出しできな……」 「ありがと、それだけで十分よ」 「いや、ホントに」 「案外……」 カルミアは何か言いかけて、やめた。かわりにブロードに向き直った。ぬっと顔を近づける。 数秒の沈黙の後、彼女はため息をついた。何がなんだかわからない顔をしているブロードに、 「いい勉強になったわ。悪いわね」 とやや気の抜けた声で言う。 「あんた、ほんとに巫女さん?」 やっと、ブロードが本来の口調に戻る。 「言ったでしょ、悪い巫女って」 「でもよ、これはちょっと反則……」 「いいじゃない、減るものじゃないし。あなた、顔はいいから」 「……ありがとよ」 「じゃ、私は戻るから。ちなみに、これがばれたらあなたも同罪とみなされるからね」 カルミアが走って去ってゆく。ブロードは呆然とそれを眺めることしかできなかった。
本日妹が部屋占領しているため、記入不可。体力的に眠いので明日二日分書きます。
では、行きます。
「カルミアが世話になったね。旅慣れない娘を手助けしてくれてありがとう」 ヴィデスはルイたちに礼を言った。 「ううん、カルミアがいたから助かったこともあったし、道中、とても楽しかったわ」 「ならいいのだが。ここに来てからもあの子には不自由な生活を強いているから、今回の旅が息抜きになればとも思ったいたんだ」 ヴィデスがしみじみと言う。 「さ、ゆっくりしていなさい」 「ありがとうございます」 ヴィデスの質問にはルイがほとんど答え、ブロードは黙っていた。アニムも時々ルイに振られてあいまいな返事をするだけだった。 「そろそろ、おいとまするか?」 アニムが立ち上がった。 「そうね」 「そうか、またいつでも来なさい」 「あれ、ブロードは?」 見渡すと、ブロードはいない。話に夢中になっていて彼女は気づかなかった。 「あの青年なら、出て行った。つまらなかったようだね」 「そう、もう、一言くらい声かけたっていいじゃない」 ルイはひとしきり憤慨して、落ち着いた。 「じゃあ、またきます。今度カルミアと話ができたらいいな」 「娘に伝えておくよ。じゃあ、気をつけて」 二人は神殿を出て行った。 「ブロード、どこにいったのかしら? 神殿にはいなささそうだし」 「先に帰っているかもしれんが……」 アニムは少し黙って、言い出した。 「ルイ、うまいケーキ屋しらぬか? 茶ばかり飲んで口の中が苦い」 ルイが賛成するのは言うまでもなく、二人は寄り道して帰ることになった。
そういえば、三時間ほど使用できないってなってましたね。こんないっぱい機能がふえるなんて……。いつか、使ってみたいです。(使えよ)
神殿主、ヴィデスは三人を案内した。昨日見なかった場所を丁寧に案内してくれる。ルイは楽しそうに、ブロードはつまらなそうに、アニムは興味深そうにしていた。一通り案内し終わると巫女たちが食事をするという食堂で、三人はお茶をご馳走になった。 「いかがですかな、神殿は」 「すごい、きれいなんだね」 ルイが真っ先に答えた。 「だいたい、五、六百年ほど前の建物なのかのう、なかなか面白かった」 と、アニム。 「よくお分かりに。ここは五百年前に建てられました。あちこちは直してますが」 「そえでも、当時の建物の特徴は残っておると思う」 「アニムが建物に詳しいの、知らなかったわ」 「じいさんが、のう、好きだったのだ」 「ふーん」 「俺は、あんまり興味ないから、どうとも思わないけどな」 ブロードの言葉に特に怒りもせず、ヴィデスは、もう一杯のお茶を勧めた。 「このお茶、おいしいわね」 ルイが言った。 「この、ほんのり甘いのがいいわ」 「なら何杯でも、どうぞ」 三人にお茶を継ぎ足す。 「これは巫女たちがつんで煎ったお茶です。遠慮なく飲んでください」 神殿主は、やはりにこりとして言った。
2003年12月10日(水) |
友人からのプレゼント |
前にテレビブロスにて、「鋼の〜」にて、荒川先生のインタビューで、「初期設定が親父と息子だった」と答えてました。そんで、友人がかいてくれました。ももんが親父とその息子(18)! 見たい方は、岩魚つぐみさんのサイトでご覧ください。
三人は神殿の前にいる。 「あのおっさん、また二日酔いか」 「そう、もうバルクったら」 「まあまあ、あの男ほど、神殿の似合わん奴はおらんし。それに今日は、例のアレを探すのだろ。どうせバルクには見えんのだから」 アニムはさっさと神殿の入り口で受付をする。 「見学したいのだが」 「どうぞ。今は礼拝中なので、神殿のものに話しかけないでください」 「わかった」 三人はこれまでにないくらい静かに神殿に入り、見学した。そして魔欲を探す。 「ちょっと、何ぼーっとしてるの?」 ルイが小声でブロードをつついた。目線の先にはカルミアがいる。 「見とれてないで、魔力、探してよ」 「ああ、ごめん」 「どうも、煮えきらないわね。好きなら、いつもみたいに強引にやりなよ」 「俺、いつ強引だった?」 「……男ならしゃきっとする。当たって砕けて終わりよ」 「勝手に終わるなよ」 「おぬしら、静かにせんか。さっきからにらまれとるぞ、あの男に」 巫女らが祈る後ろで、見張るように眺めている初老の男が、三人を不振そうに見ている。男は白い教服を着ている。白は、神殿主の色だ。 「神殿主だのう」 その神殿主が、こちらに向かってきた。 「お前たち、見学は結構だが、もう少し静かに願えるかな」 「ごめんなさい」 ルイがぺこっと頭を下げる。 「悪魔が神殿にか。どうかな、この神殿は?」 「わかるんですか?」 「ああ、わかるさ。カルミアから話は聞いているよ」 神殿主はにっと笑った。
ある程度、書いていくと飽きる。飽きてきた。だから今日も短いかも。 かもといえば、アニメ・ポケモン(AG)のハルカ。語尾にいつも、「かも」が。気づくと自分も使っている。いい年こいた女が。彼女は、結構好きかも。(笑)
夜中、アニムがベッドの上でさいころを転がして、うなっていた。 「むうう……」 傍から見ると、分の悪いすごろくをしている子供の表情だが、すごろくの代わりに複雑な模様が書かれた布が敷いている。 「何やってんだ?」 ブロードが寝ようとしてベッドに入るところだった。バルクはまだ返ってこない。今夜も長話で一夜を明かすかもしれない。 「おぬしの恋の行く末を占っておるのだ」 「ふうん。駄賃は払わないぜ」 「勝手にやっていることだから、結果はおぬしにも教えんよ。しかしだ、今でた結果だが、両極端でのう」 「両極端?」 「つまり、まったく占う意味がない。成り行きしだい、だ。運命どおりいこうが、切り開いていこうが……かわらん、ということ」 アニムはさいころと布をしまい込んで、自分もベッドの中にしまう。 「ただ」 ベッドの中でアニムが続けた。 「小生の悪い卦の占いはよくあたる。気をつけることだな」 「……それって、おもっきし悪い結果が出たって事か?」 「さあてのう」 「それよりだ。明日も行くぜ、神殿に。カルミアに会って、それから、例の魔力がいる」 「あの、魔力がか?」 「どこにいるかまではわかんねえけど、気配はある」
やったよ! これでボイドさんと契約できるよ! って、本物の競馬はいまだやったことありません。街に競馬場があるのに。
「とは、いえ。巫女は恋愛などしてはいけない。もちろん結婚も不可だ」 グオンは言った。笑いをこらえていたが。 夕食中、ルイが軽い口調でばらしたため、ブロードは顔を背けて膨れている。食事のペースは早い。やけ食いである。 「なかには巫女を辞める者もいるが、カルミアは次期神殿主だから、それもない」 国王が言う。 「じゃあ、男の人はいいの?」 「ああ、あれは後継者を養子にするのが、慣わしだから。今の神殿主、ハングドがカルミアを後継者に選んだから、父親になっただけだ。ハングドはもちろん結婚などしてない」 「ふうん」 ルイがちょっと複雑な表情をする。 「それが、この国の巫女の姿だが……」 「まったく、くだらない」 イーリスがつぶやいた。国王が見るが、そのときには黙々と料理を口に運んでいる。 「変えることはできる。よっぽどの暴君でなければできないけれどね」 国王がそう言って続ける。 「ねえ、王様。ちょっと暴君になって、巫女制度の見直しを考えてみない?」 「いやあ、無理だね。そうなると巫女全員を殺さなくてはならない」 「なんで?」 「新しい制度にするのであれば古い制度をすべて排除しなければならない。何代か前の王がそんな法にしちゃったんだ」 「……それが、くだらない」 と、イーリス。 「その法を変えることはできないわけ?」 「できたら苦労しないね」 「この国で巫女になるには、かなりの覚悟が必要なのです」 グオンが話を締めくくる。 「さて、バルク。せっかく来たんだ。取っておきのワインでもあけよう」 国王がうれしそうに言う。 「この間、空けました。国王」 「あれ、そうだっけ?」 「ええ、王妃と喧嘩して仲直りするために」 「……」 「どうしますか、国王?」 「うーんと……」 「普段の出します」 「そうしてくれ」 「気を使わせちまったなあ。俺はなんでもいいぜ」 バルクがうれしそうに言った。 「それじゃ、俺は」 イーリスが立ち上がった。 「案内するよ」 客室まで案内すると言っている。バルクを除いた三人はイーリスについて行く。 「ビアソーイダ城とまでいかないが、けっこう古い城だな」 「うん」 ブロードの問いにイーリスがうなずく。 「ビアソーイダの客室の番号って、素数だったけど、ここのは……番号もないか」 ブロードのつぶやきにイーリスが答えた。 「ビアソーイダ城は魔族が作ったとされる城。だから良くわからない部分が多いんだ」
の話。 明日休みです。スタオー3はなかなか進みました。ただちょっと先頭が長引くと、機能停止します。セーブしていないとつらいです。ただいま、契約するためにバーニィレースで奮闘中。なかなかあたりません。
キャラバンハート。忘れてました。まあ、いいや。真剣ドラゴンクエストは筋肉痛が怖いので、休みが続く時にでもやります。
明日はヤマダでもいって、鋼の錬金術師のゲーム予約します、予約特典、あんのかなあ……。
早くかいちゃお。
「ブロードが恋に落ちたって?」 客間で待っていたアニムとバルクが大笑いした。大爆笑ものだった。アニムが腹を抱えて、ひーひー言っている。 「な、なんだよ。いいじゃねえか別に」 「だってよ、お前……ひー、うひゃひゃひゃ」 「変な笑い方すんな」 「お主、恋占いでもするか、うくくくく」 「あーもう、ルイちゃんも、ばらすなよな」 「だって、あはははあははは……」 三人は笑い転がっている。キレたブロードが三人にげんこつをお見舞いした。 「殴らなくてもいいじゃない」 「まったく」 「だいだい、恋して笑われると言うことは、普段の行いが悪りいからだよ」 「うるせー、俺だってな、六百年寝ていたから中身はまだまだ年相応なんだ。こいばなの一つや二つあらあ」 ルイがふと、まじめな顔して言った。 「悪魔は、恋愛もつかさどるわ。応援するよ」 「ありがと、ルイちゃん」 「だも、やっぱりおかしー!」 ルイが笑い出すと、二人も再び笑い出した。 「あー、いいよ、もう。そうなるとわかってたよ」
カルミアの親父のことを書くにあたって、前に、彼女の両親はすでにいないって書いたんだっけ……。覚えていませんでした。だから、彼女は成人してから養女となった、変な人生を送ることになったのです。(←ちゃんとメモっておけよ、バーカ・泣)
「このお茶、おいしいー」 ビスケットと出された紅茶を飲みながらルイは感嘆の声をあげる。 「へえ、ビアソーイダでそんなことがあったの」 ブロードからある程度の話を聞いてカルミアは楽しそうにしていた。 「カルミアは元気だった?」 「ええ、風邪も引かずにいたわ。でも、ここの生活はつまらない。仕方ないことなのだけどね」 巫女には制度に基づいた生活が強いられる。カルミアがクレンムに赴いていた時には見られなかったが(サボっていたらしい)、彼女も例外ではない。 「そろそろ、掃除の時間なの。失礼していいかしら? お茶のおかわりは自分でやってね。帰るときは、いつでも帰ってね。カップはそのままでいいから」 それじゃ、と言って彼女は消える。
「珍しいね」 「なにが?」 ルイは最後の一枚のビスケットを口に入れた。結局彼女が全部食べた。 「ナンパしないの?」 「好みじゃない女以外はね」 ルイがしばらくビスケットをぼりぼりと噛み砕いていた。飲み込むと、続ける。 「……それって、好みじゃない女の子にはナンパするってこと」 「そう」 「……かなりひねくれた性格だと思うけど、それって、カルミアは好みだからナンパしないってことだよね」 「うん」 「……ひょっとして」 ルイは、ブロードが頬杖ついて、上の空になっていることに気づく。紅茶は砂糖を大量に入れてあふれていた。 「ちょっと、何やってるのよ!」 ルイの怒鳴り声により、彼は多量に砂糖の入った紅茶に気づいた。 「全部飲みなさいよ」 目が覚めるほど甘い紅茶を彼は渋い顔で飲んだ。
いやだ、きゃー怖い! 滑った! 歩くのですらいや。ましてや車なんぞもっての他。でも、乗っていかないと仕事場にいけない。
フォーランズの神殿は火の神を崇めている。そこは誰でも自由に見学できる聖堂がある。それ以外は立ち入り禁止になる。グオンは王族関係者である程度まで出入りが自由である。そのため、カルミアにも連絡を取ることができた。ある程度、神殿主に話を通すと、グオンは城に戻った。追い出されたとも言う。 「あら、ルイさん」 カルミアは意外な訪問者に喜んだ。 「バルクさんとアニムさんは?」 「一緒に来てるけど、お留守番。あたしだけ、ね」 「そう、そっちの方は?」 「ああ、棺桶男」 「棺桶?」 「ルイちゃん……」 「ブロード。不死身男よ」 「不死身?」 「だから、そーゆー紹介のしかたはやめてくれ」 「じゃあ。齢六百年以上の魔法使い(人間)」 「もう、いいよ」 「なにか、複雑なようだけど。よかったらお茶でも飲んでいって。ここは私のうちでもあるから」 「うち?」 「こっちよ」 カルミアの案内で二人は神殿奥に入った。神殿をでて、離れに入るとほかの巫女たちが寝泊りする部屋などがあるらしく、小さな個室らしいドアがならんでいる。三階がカルミアの部屋……神殿主である父と暮らしている。父とはいっても、彼女がこの神殿に入ってからである。彼女がこの神殿に移ってきてから養女として迎えられたという。
数あるテレビ雑誌で、このブロスだけはイっちゃっていると思う。昔から。普通のアイドルのことは特集しない。新番組・最終回ドラマに辛口つっこみが入る。とにかくマニアック。NHK教育は常に(読者が)チェックされている。今回、鋼の錬金術師が特集。表紙も裏表紙も裏裏表紙も鋼です。(嬉) ただアニメキャラ紹介(コラム?)がなくなって寂しい。
「この宝石は……」 国王は、繰り返す。 「俺の爺さんが、資金めぐりに売ったんだ。どっかの大富豪に」 「売ったあ?」 「だから、別に貴族どもがオークションに売り出そうが、フシギではないんだな、これが……」 「……」 「まあ、不法オークションに出ていたから、返ってきても問題ないよな」 「……おい、ジェネッド」 「ああ、久しぶりに本名で呼ばれた」 「その宝石よこせ。俺が売っぱらってやる」 バルクは箱を取り上げようとした。 「駄目! 俺が財政難で困った時、使う!」 「ぼんくら国王め!」 「なんとでも言え!」 ちなみに、その当時、国王のじい様(先々代国王)はグオンにしこたま叱られたそうである。
2003年12月02日(火) |
書きたいところに届かない |
まだ先の話ですが、今けだるい感じのとこです。ごめんなさい。
「イーリスは……」 国王はため息をついた。 「うちの家計には、あんな無口はいないのに……はあ」 「おめえの育て方じゃねえのか?」 「お前に言われたくない。早く嫁もらえ。今なら大いに祝ってやる」 「うるせー。口はああでも、いい子なんだろ」 「まあ、自慢の息子だな」 「半分以上はグオンのおかげだな」 「……そうだな」 国王が肩を落とした。 「そういえば、この間来たんだってな」 一年前である。しかし、国王は不在だった。 「ああ、お前いなかったしな」 「野暮用でね、貴族どもの相手だ。こっちは足が利かないつーのに」 「ふーん」 バルクにはよくわからない。同じ王族だが、バルクの兄弟のほとんどは王族とは違う生活をしている。無論、バルクもその中の一人だ。 「そうだ、兄貴に頼まれた」 鞄から箱を取り出した。 「これは」 「『神の瞳』お前んとこの国宝だろうが」 「……よく見つけてきたな」 「ああ、不法オークションをウォンテッドしたらたまたまな」 「……」 「どうした? うれしくねえのか?」 「この宝石はなあ……」 国王がたんたんと話し始めた。
うまかった。本日の夕飯なり。
「巫女ですか?」 「そう、カルミアに合いたいの。旅先であったわ」 「カルミア嬢ですか。それなら、城に一番近い神殿です。ご案内しましょう」 「ありがと」 「巫女? 俺も会いたい。きっと、美人のお姉さんなんだろうなあ」 「巫女は、通常男とは付き合わんよ」 アニムがたしなめた。 「目の保養だ。目の」 ブロードが言い張る。 「お前も来るのか? まあかまわないが」 「アニムはどうする?」 「小生はここでバルクを待っておる」 「そう、じゃあよろしくね」 「わかった」 グオンたちが部屋を出る。一人になったアニムはのんびりとお茶を飲んでクッキーをばりばり言わせて食べる。 (……確かフォーランズには三百人近い巫女がいるはずだが、まさか全部把握しているわけは……ないか) と、一人思った。
「ひさしぶりだな」 「ヒーガルじゃないか」 「貫禄がついてきたじゃねーの」 「そう思うか、やっぱり」 フォーランズ国王は、久しく訪れた友人を喜んで迎えた。 「ホプスから手紙が届いた時はさすがに驚いたよ。今日はゆっくりしていけるのか?」 「まあな」 「それじゃ、親父」 「おお、イーリス」 イーリスは国王の私室から出て行く。
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