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「フラワー・オブ・ライフ 4」よしながふみ
2007年05月31日(木)
白血病の闘病のために、1年1ヶ月遅れで高校に入学した春太郎の高校生活を描いたこの漫画も、この巻で完結です。

花園家では、母が年末年始で一時帰宅。その母に怯えて(?)、ひきこもりの姉ちゃんは働き始める。
滋と真島は相変わらずつきあっているが、小柳が滋とよりをもどそうとしてみたり。
春太郎と翔太は二人描いた漫画を編集者に見てもらい、落ち込んだり励まされたり。
クラスメイトの子たちも、それぞれ悲喜こもごも。

で、そんな普通なようで普通じゃないようで普通な高校生活をどうやって締めくくるのかと思っていたら、最後はけっこう重い部分もありましたね。





以下ネタばれあり。








お姉ちゃんの話は、あれ自殺(未遂)しちゃうんじゃないかと思って、私はドキドキしながら読んでたんですよ。でも男と飲みに行くくらいでよかった……。
真島の話も、ちょっと危うい精神状態でしたよね。でも、ああいう展開に。

ああ、そうなんだよな、と思いました。こういう激情の瞬間て、きっと誰でもある。けれどみんな、引き戻すなにかがあって、表面上は変わらない生活を送っているんだよなと。

そんな、誰もが抱えている弱さを描き、そしてその後に強さを感じさせる見せ方が、うまいと思いました。
春太郎が、この先翔太と漫画を描くことはないだろうと思った、というシーンの後に、翔太が「10年に一人になりたいわけじゃなくて漫画家になりたいんだ」と言って強さを見せる。これ、いいですね。翔太に、今は秘密を話せなくても、いつか話す日がくるのかもと思えるというやつ。
あの真島が、10分も黙って春太郎が泣いてるのにつきあってやったっていうシーンもすごく好きです(笑)
滋が、なんだかんだ言って小柳を切り捨てられない弱さも、ああわかるなあと思ってしまう。

きっと、「嫌な部分」を描いているんだと思います。でも、そのどれもこれもが、人間らしくてかわいいなあと思えてしまう私です。共感できる部分が多いからでしょうか。よくぞそんな部分を描いてくれたもんだ、と思う。
たとえば、「正直ははたして美徳なのか?」のような部分。1巻の滋の台詞とか、すごく感心しましたもん。
そして、最後にその「正直」が春太郎に衝撃を与えることになるわけですよね。

個人的には、山本文緒の描く「嫌な感じ」と似てるなと思うんですよ。
マッサージされて、すごく痛いんだけどなぜか気持ちがいい、そんなところにツボがあるんですねーみたいな。


ま、そんなこんなで終わってしまいましたが…。
最後までおもしろかった。子供たちはみんな、4巻分ちゃんと成長してますね。
そうだ、タイトルの出し方はうまかったですね。タイトルの意味に深みが出て、素晴らしいと思いました。

★★★★
「オンタロスの剣 クラッシュ・ブレイズ」茅田砂胡/「君に届け 4」椎名軽穂
2007年05月30日(水)
「オンタロスの剣 クラッシュ・ブレイズ」茅田砂胡
リィとシェラをモデルにスカウトしようとするマネージャーの男。ジンジャーの紹介で知り合った演劇にのめり込む少女。そして、超能力者を擁する団体の手がルウに伸びてきていた…。

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いくつかの話がからみあってるんですが……いや、からみあってます?
それぞれがなんの関係もない話のような気がしますが。
そもそも、このシリーズってなんなのかな…という疑問をあらためて感じます。外伝という意識で読んでたけど、どこへ向かっているのやら…。

でも、こういう場面になると途端に生き生きしますよね〜。こういうのがやりたいんだろうなというのはわかる。ただ何度も出せないんだろうなと。




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「君に届け 4」椎名軽穂
風早くんへの恋を応援してほしいとくるみに言われた爽子だが、風早くんへのとくべつな気持ちを、爽子自身も自覚し始めていた。
くるみは龍と爽子を近づけようと画策するが、天然な爽子にはまったく通じないのだった…。

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いやー、なごみますなあ(笑)
爽子を陥れようとする、恋敵のはずのくるみちゃんもかわいく見えるからね(笑) この二人は会話がすれ違ってるのがすごくおもしろくていいですね。
爽子の反応は、天然過ぎてありえないんだけど、彼女ならありかなと思ってしまう。そこらへんがこの漫画の魅力かもしれません。

友だちに漫画をいっぱい貸したら、膨大な漫画の中から、これがすごくよかったという反応をもらいました。
いまさら学園漫画?と思わず、もう学生じゃなくなって何年も経ったあなたもぜひ(笑)
「LIAR GAME 1〜4」甲斐谷忍
2007年05月20日(日)
ある日、バカ正直な少女・神崎直の元にライアーゲーム事務局と名乗る団体から1億円もの大金が送りつけられた。一対一の対戦相手から、1億円を奪えばそれが自分の賞金になり、自分の持ち金を奪われたら、それは借金になるという。
直の対戦相手は、中学時代の恩師。直は先生の言葉に従って、1億を渡してしまう。
だまされたことに気づいた直は、天才詐欺師である秋山に救いを求めるのだった。

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ただいまドラマ化されて放映中です。CMを見ておもしろそうだったので見始めたら予想以上におもしろかったので、漫画まで買っちゃいました。
漫画もすごくおもしろい!

ライアーゲームはトーナメント形式ということで、1回戦、2回戦と進んでいくわけです。1回戦の1億奪いあいは、そんなに新鮮味のない話だったんですが、2回戦の少数決ゲームから、俄然おもしろくなってきます。
二者択一の質問が繰り返され、少数派が勝ち残っていくというゲーム。
さらに3回戦のリストラゲームは、たった一人の脱落者を、全員の投票で選ぶというゲーム。
4巻ではまだその中盤までしか描かれていない4回戦は、密輸ゲーム。トランクにお金を入れて運ぶ密輸人チームと、お金がいくら入っているかを見破ろうとする検査官チームにわかれてダウト/パスを言い合うもの。
どれも、心理的な駆け引きがとてもおもしろい。
DEATH NOTEが好きな方ははまるはず!

描き方がうまいんでしょうね。キャラクターも、わざと主人公にバカ正直ですぐにだまされてしまう女の子を持ってくるというのもおもしろい。しかし、ゲームの真意にたどりつくには彼女が必要らしい…?
私はすぐに人を信じてしまうようなキャラはイライラして好きじゃないんですが、直はあまり嫌味なく描かれてますね。(ドラマの戸田恵梨香もなかなかかわいい)

あと、秋山さんがかっこいいでーす(笑)
特にヴィジュアルや言動が奇抜だったりするわけではないのだけど、こういうはったりが利かせられる人というのは(漫画では)かっこいいですよ、やっぱり。そこらへんがなかなか魅力的に描けていると思います。いえ、ただ単に私の好みだっただけかもしれませんが。
ドラマでは松田翔太が演じてます。特にかっこいいと思ったことのない俳優だけど、このドラマでは意外にかっこよく見えてしまって、テレビって怖いなあと思ってます(笑)


ちなみにドラマは微妙に細かい設定が変えてあるんですね。どういう意図なんだかわかりませんが。
それに、近々原作に追いついてしまうと思うのだけど、ドラマの方はどうやって終わらせるんでしょうね?

ドラマ、前回は3回戦のリストラゲームの途中でした。
漫画読んだばかりだったので、あーこんな風に変えてあるーと楽しみながら見ました。
残念だったのは、とある台詞をいう人物が変えられていたこと。

リストラゲームは会場内になんでも持ち込みOKなんですよ。それで、大負けしている直を助けるために突如現れた秋山さん(3回戦の参加者ではない)に、他の参加者が卑怯だぞ!と言うと秋山さんが「俺はカンザキナオの持ち物だ」と言うんです。

……持ち物って!!

…すみません、こんな小さな台詞にうっかり萌えてしまいました。
それなのに、ドラマではこれは事務局の人の台詞だったんです! えぇぇぇ〜………。

あとね、漫画だとなぜか秋山さんは「〜なのだ」という口調なのですよ。
…バカボンのパパ? というつっこみはさておき。「なのだ」って、台詞としてはあんまり見ないですよね。それがなぜだか妙にかっこよく見えてしまっている私。
でもドラマでは「〜なんだ」になってました。そりゃそうか……。そんな妙なところにこだわるのは私だけか?(笑)


というわけで、今「ライアーゲーム」にはまっております〜。
★★★★
「よにんぐらし 3」宇仁田ゆみ
2007年05月19日(土)
もう3巻なんて早いですね。
お父さんお母さん、お姉ちゃん弟の4人家族のほのぼのしたお話。
子供の話題が主ですが、エッセイ風の育児漫画と違って、「子育ての苦労」が主なわけではなくて、ゆったりした気持ちで読めます。
どれも他愛無い話ですが、子供って、家族っていいなと思いますね。
「GANTZ 21」奥浩哉
2007年05月18日(金)
目の前で玄野を殺されたまま、転送されたGANTZのメンバー。そして、送り出された先は大阪だった。
大阪には違うチームが…?

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えー、結局今回活躍(?)したチームのメンバーはタケシだけ?(笑) タケシの活躍っぷりは、何者だ、と言いたくなるほどでした(笑)
星人との戦いは大阪チームがやっていたので、東京チーム(?)は傍観者の役割だったせいか、イマイチ盛り上がりに欠けた気がします。
でも、大阪チームの戦いは、最初に描かれていた(ような気がする)「どちらが悪者(弱者)なのか?」という構図が再び描かれていて、興味深かったです。

とりあえず、この巻は先が見えないという点では今までと変わりないけど、緊張感はあまりなかった気がします。
今後の展開に期待。
「白バラ四姉妹殺人事件」鹿島田真希
2007年05月17日(木)
父親はすでに亡く、母親と若い娘と息子の3人の家族。彼らは地域新聞に載ったひとつの事件に興味津々だった。
それは、四姉妹の事件。姉の婚約者とつきあっていた末の妹。母親は婚約者の男を殴り、重症を負わせた。それを見た末の妹は自殺してしまう。

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恩田陸の「中庭の出来事」を思い出しました。
なんだか演劇の世界だなと。舞台の上で、役者たちが芝居がかった台詞をしゃべっている感じ。

特に主だったストーリーらしきストーリーはないんですよね。
テーマとしては「母と娘」なのかな。母は娘を同一視してしまいやすいという。

うん。よくわからないけど、私は嫌いじゃないですね。
文章も、割と好き。独特の書き方をしているけど、すんなりと読めました。

他の作品も読んでみようかな。
★★★
「悲しき人形つかい」梶尾真治
2007年05月13日(日)
天才発明家の機敷野風天は、ホーキング博士に自分の力で歩いてほしいという夢を実現すべく、脳波を直接受信して動作をサポートする介護支援機器「BF(ボディーフレーム)」を開発していた。
しかし、引っ越してきた横嶋町は、二組のヤクザが抗争を繰り返していた。同級生のヒロがその町にいたことから、抗争に巻き込まれる羽目に…。

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梶尾真治という作家は、白と黒じゃないけど、「泣きのタイムトラベルロマンス」と「シュールなドタバタ悲喜劇」、ふたつの作風を持った作家です。
泣きのタイムトラベルロマンスの方は、映画化なんかもされているので有名ですよね。もうひとつの顔を知らないで本書を読んだ人は、驚かれるかもしれません…。短編なんかではこういうのをよく書いてますけどね。

表紙のイラストがあやつり人形になっているとおり、BFを使って、死んでしまったヤクザの組長を動かすという内容なんです。シュールですね(笑)
でも、思わず笑ってしまうような嫌味のない書き方なので、気楽に読めます。

ただ、全体としては…物足りない。
誤作動が起きるという設定なんかは、うまく使えばもっと土壇場でおもしろい展開にできたんじゃないのかなあ。そういう展開を期待してしまったんだけど、そうならなかったんですよ。
機敷野のキャラだって全然活きてない。天才ならもっといい発想はできないのか!(笑)
何人か出てくる人物も、その役割が活きてない気がしました。
やっぱり、こういうドタバタはいろんな伏線が最後に回収されると、すっきりするんですよね〜。
ちょっと残念でした。
★★
「漢方小説」中島たい子
2007年05月09日(水)
みのりは31歳、独身。元カレの結婚話を聞いてから、胃のふるえに悩まされるようになった。病院を回っても、悪いところはないと言われるばかり。行き着いた先は漢方診療所だった。

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すばる文学賞受賞作だそうです。
文章が軽快で読みやすいですね。さらりと読めてしまう。

ただ、特にドラマティックなことが起こるわけでもないので…。
ああそう、としか言えないというか。
とりあえず、雰囲気はとてもよいです。
★★★
「ごくせん 1〜13」森本梢子/「魔法使いの娘 5」那州雪絵/「ゆきのはなふる」わかつきめぐみ
2007年05月06日(日)
「ごくせん 1〜13」森本梢子
山口久美子は、高校教師。そして実家はヤクザ。
学校でのあだ名は「ヤンクミ」。

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これも借りた本。もうかなり前に借りてたんだけど、そのままになってまして…。ようやく読みました。
なかなか手が出なかった理由は、冊数が多かったのと、絵があんまり好きじゃなかったので。

んー、生徒○君みたいに説教くさくないところはいいですね。
でもあまりにもギャグが寒くないですか…。話も安易で、お約束の展開が多いし、絵も綺麗とは言いがたいし…。
ドラマにもなったし、人気ある漫画なんですよねえ?
イマイチ、よさがよくわかりませんでした。



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「魔法使いの娘 5」那州雪絵
シリーズ最新刊。
初音たちの住むマンションの中庭に封印していた大物を、小八汰を使い、あらためて封印しようとする無山。
危ないので出かけているように言われた初音だったが、なにかがおかしいとマンションに戻ってくる。すると…。

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少しずつ話が進んでますね。
小八汰の話はきっとこのままでは終わらない…よね。兵吾もなにかありそうだし。
最後の話、次々に知人を語らって、なにかが部屋に入ろうとしてくるのがちょっとぞっとする。
こういうのの描き方が、やっぱりうまいなと思います。




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「ゆきのはなふる」わかつきめぐみ
これも借りた本。線は細いけどふんわりとやわらかい絵とお話を描かれる方です。
「主様」シリーズというらしい。お山に住んでる主様たちのお話。

雨を降らせる秋水(しゅうすい)と、風を吹かす揺花(ゆりか)のお話がかわいかったです。
「もやしもん 1〜4」石川雅之/「庭先案内 2」須藤真澄
2007年05月05日(土)
「もやしもん 1〜4」石川雅之
「菌類」が肉眼で見える青年・沢木直保。そんな彼が、幼馴染の結城蛍と共に農大に入学した。
祖父に紹介された樹先生は発酵学(?)の権威。院生の長谷川遥や、先輩の美里と川浜、同級生の及川葉月らと、楽しく大学生活を送る…。

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絵は、ちょっと気持ち悪い(笑) 特に第一話のキヤックは…絵はともかく、生を見たら吐きそうな話でしたが。借りた本だからいいけど、手元にはあんまり置いておきたくないですね、1巻は(笑)

でも、菌がとにかくものすごくかわいいんですよ! 絵もかわいいし、台詞もかわいい。「かもすぞー」とか口々に言ってるのがとにかくかわいい。
確かに、「肉眼で菌類が見える男」という設定は、話に活きていない気もしますが(笑)、菌がかわいいのでなんでもいいです。

話自体は、学生生活を描いてるって感じですね。なんとなくあーるくん思い出しました。ああいう、内輪ノリな感じ。そういう世界が好きな方にはいいかと。
私は、菌連合の話が好きですね! 菌たちが連合を組んで、約束の地を目指すんですよ(笑) 話の合間とかに入って、とてもいい味出してます。がんばれ、と応援したくなります。
菌のかわいさをぜひみなさんに見ていただきたいものです。



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「庭先案内 2」須藤真澄
これも借りた本。
あれ、2巻?と思ったら、ショートショート集なんですね。
幻想的なお話が集められたものです。

ほろりとしたり心温まる話だったり…。
お姉ちゃんが影に飲み込まれちゃう話が、ちょっとぞっとしました。
「Dark Seed 2」紺野キタ/「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」吉田秋生
2007年05月04日(金)
「Dark Seed−ダーク・シード− 2」紺野キタ
レディ・アグネスの遺産を引き継いだセレスト。その遺産とは、闇の種子を封じる番人の役目だった。
そして、闇の種子を目覚めさせたニコル…。

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1巻よりだいぶわかりやすくなった印象です。
よくわからない人もいますが…。1巻を読み返したらいいんでしょうが今手元にないので。

で、クリスがかわいいなあと思いましたよ。ひねくれてるような素直なようなそんなところが。
主人公であるセレストは、ヴィジュアル的にはかわいいんだけど(笑)、言動がちょっと私の好みではなくてですね…。
でもきっと、これはセレストの成長物語になっていくはずなので…。
私としてはどこに萌えポイントを置いていいものやら(笑)
と思ったら、3巻で終わりなんですか!?


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「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」吉田秋生
三姉妹の元に、幼い頃出て行った父が亡くなったという報せが届いた。
お葬式のために出向いた山形の温泉地では、亡くなった前妻の娘である、腹違いの妹・すずが待っていた。

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あーー、いいですねえ。
とても気持ちよく読めました。

特に第一話がいい。
泣きっぱなしの奥さんに、幸姉さんが言う台詞がかっこいいですね! しかもその後に謝って頭も下げてみせるという…。ちょっとできすぎなくらいにかっこいいです。
さらにその後にすずに言う台詞が活きてきますよね。こんなこと言われたら泣くよなぁ…。
最後の電車で見送るシーンもすごくいいですね。電車のドアが閉まって出発するという瞬間のテンポ感(?)と台詞表情なんかが、うまい具合にかみ合ってて。何度も読み返したくなります。

その後の2編は、すずが引っ越してきてからの話になります。もっと姉妹間の話を前面に出すのかと思いきや、その周辺の話といった感じですね。
これはまあ、そこそこかな。
すずが空気の読める子だってことがよくわかるエピソードが満載。やっぱり、空気の読める子というのは、苦労してきた証なのでしょうか…。
もうちょっと、すずの内面がうかがえる話が読みたいかな。
「文学賞メッタ斬り!リターンズ」大森望・豊崎由美
2007年05月03日(木)
文学賞(主に芥川賞・直木賞)についてやんややんや言うシリーズです。
確か前回は、両賞の選評について対談してたと思うんですが…。それが読みたかったのに、なくて残念。
でも、読みたいと思える本はいろいろ見つかりました。
基本的に私の好きな作家の評価はそこそこいいので、私はお二方の選評は信じます(笑)

ただ一つ気になるのは、豊崎さんの口調がね…。「オデ(俺)」とかへんな言い回しするの、やめませんか? 見苦しいので。


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