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「男流文学論」上野千鶴子・小倉千加子・富岡多恵子
2007年03月27日(火)
吉行淳之介、島尾敏雄、谷崎潤一郎、小島信夫、村上春樹、三島由紀夫といった6人の「男流」作家の作品をばっさりと斬る文学論。上野千鶴子、小倉千加子、富岡多恵子といったフェミニストとして有名な(?)三人による文学論対談です。
今でいう、「メッタ斬り!」みたいなもんなんでしょうか。

私は実はここで扱われている作品の中では「ノルウェイの森」(村上春樹)しか読んだことないのです。「文学作品」とは縁遠いもので。
その「ノルウェイの森」だって、中学生くらいの時に読んだものなのでほとんど憶えていないし。(当時の印象は、濡れ場が多いな…これがオトナの小説なのか…ってものでした)

なので、知らない作品の文学論読んでもつまらないかなと思ったのですが、けっこうおもしろく読みました。会話だから読みやすいしね。けっこうばっさりいってるんだけど、私は痛くもかゆくもないから、あははそんなもんなんですか、という感じで。(好きな人だったら嫌でしょうけど)

これを読んでも、その作品を読んでみたくなるかというとまったくそんなことはないですね。
「死の棘」(島尾敏雄)は、以前新聞で書評を目にした時に読んでみたいなと思っていたのですが、これを読んだらもうお腹いっぱいな気がしました(笑)
うーん、でもやっぱり読んでみたいかな?(先日、ミホさん亡くなられましたね)

印象的だった言葉は、どこらへんだったか忘れてしまったので正確な引用できませんが、「こんなに受身だってことを自覚してる女は受身なんかじゃありませんよ」でした。そうなんですか!?

それから驚いたのは、時折顔をのぞかせてするどい質問などをする編集者の方が、藤本由香里さんだったこと。この方、現在は少女漫画の評論などされていますよね。こんなお仕事されてたんですね。
「蒼穹のファフナー」冲方丁
2007年03月26日(月)
フェストゥムと呼ばれる敵と戦うために、人型巨大兵器ファフナーに乗る少年少女の物語。
設定としてはエヴァみたいなもんなんですね。
よく知らないで借りてしまったのですが、テレビアニメのノベライズのようです。(自身がシリーズ構成・脚本を手がけたアニメ)
そうか、それでこんなに話がぶつぎりなのか。名(?)シーンのみをつないでいくという感じで、ついていけませんでした。
薄い文庫本1冊にする設定の話じゃないもんなあ。
それを考慮するにしても、あんまり魅力がなかった…。
「λに歯がない」森博嗣
2007年03月25日(日)
密室状態の研究所で身元不明の4人の銃殺体が発見された。その死体からは歯が抜かれていた。
偶然、敷地内の建物で実験をしていた山吹によって、萌絵に連絡がいく。

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Gシリーズも5冊目ですが、このシリーズの存在意義がまだ見えません。というのは海月くんの存在意義への疑問なんでしょう。
ファンは二人のその後が見られるだけで楽しいのかもしれませんが…。相変わらずミステリとしてはぐだぐだです。
終わる頃には海月くんは誰かの血縁だったとかわかるんでしょうか。
この巻でも名を明かされない女性が出てきてたんですが、あれは…? なんつーかもう、これはS&M→Vと読み進んで来た読者しか楽しめないですよね〜。それでいいのか?

しかし、最後まで読むとシュールなタイトルだなと思いますね…。
「対談・偽悪者のフェミニズム」小倉千加子
2007年03月24日(土)
89年〜90年にかけて行われた対談をまとめたもの。小倉千加子がホスト役で、ゲストは中野翠・芹川藍・ミヤコ蝶々・氷室冴子・北村道子・黒澤亜里子という面々。
どなたも個性的です。フェミニズムに関してや、その周辺のお話など。
私は一番よく知っているという意味でも、氷室冴子さんとの対談がおもしろかった。お母さんとの話をしてらして、共感してしまいました。

あとがきで自身も書いてらっしゃいましたが、対談が苦手と言うことで手探りな感じの会話だった気がします。
それはそれなりにおもしろかったですが。しかし、17年前ですからね…。
「バガボンド 25」井上雄彦
2007年03月22日(木)
吉岡の当主・伝七郎との対決、旧友・又八との邂逅、そして残された吉岡一門との闘いが始ま…りそうなところまで。

なんというんですか、この漫画は1巻ずつ読むよりも、一気読みした方が楽しめる気がします。迫力はあるんですが、今やなにが楽しいのかわからないままに読み続けています…。
絵は相変わらずすっごくうまいなあと毎回感心しますが。
「ボクを包む月の光 4」日渡早紀
2007年03月19日(月)
輪と亜梨子の息子・蓮は、触れた物から過去の情報を読み取るサイコメトリの力を持つ。その力を活かして、不思議探偵団を始めた、蓮と日路子たち。探偵団に入ってもらおうとしてカプつんとケンカしたり、母親が消えたトルコ人の少年の依頼を受けたりと大忙し。

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なんだか感情表現が熱すぎて、もうちょっと穏やかに生きようよ…と思ってしまいました。
あと、最後に入ってる、輪と亜梨子の過去の話はちょっと気持ち悪かったです…。いやあ、そんなこと弟に力説する姉は嫌だなあって…(笑)
「キス&ネバークライ 2」小川彌生
2007年03月15日(木)
アイスダンスの世界と、少女の過去に起きた事件を描くサスペンスコメディ?…なお話。
礼音(れおん)と一度は恋人になったものの、自分の過去に苦しめられるみちるは礼音と別れ、アイスダンスのパートナーである晶(ひかる)と関係を持ち始める…。

みちるの過去。暴行と、義父によるセクハラ?
女性はこういうとき、自分が穢れた存在だと思うんですよね…。
みちるは表面的には気まぐれな女の子だけど、それがあまり嫌味じゃなく描かれている気がします。晶さんも実はかわいいなーと、照れてる顔を見て思いました(笑) …あれ、礼音の立場は?(笑)
メロディ4月号
2007年03月11日(日)
たまには雑誌の感想なんぞを書いてみます。
最近、メロディ(白泉社の隔月刊漫画雑誌です)を買ってます。
清水玲子が、腐っても鯛なのでー。(腐ってない腐ってない)

今発売中の4月号には、よしながふみと羽海野チカの対談が載ってます。クリエイターの対談て、おもしろいんですよね〜。や、人によるけど(笑)
私は「原作者にとってのメディア化というもの」の話がおもしろかったです。
よしながさんは「西洋骨董洋菓子店」が数年前にドラマ化されましたね。羽海野さんも最近「ハチミツとクローバー」がアニメ化されたり映画化されたり。
漫画や小説をよく読む人間は、きっと自分の好きな作品がメディア化されたので見たらがっかりしたという経験をお持ちでしょう。自分の作品がメディア化されることを承諾しない作家さんの話とかも聞きます。
賛否両論あるのはもちろん当然なんですが…。
よしながさんがファンに「どうしてあんなこと(ドラマ化)許可したんですか!」と怒られたという話をしていて。それでもなぜ原作者の立場としてメディア化を承諾したかという話をしています。その話が、すごくすっと胸に届く言葉で説明されていて、あーなるほどこの人だからこういう作品が描けるのだなと、妙に納得してしまいました。
なんて理路整然とわかりやすく話ができる人なんだと感心することしきり。
「よくわからないけどなんだかすごい迫力がある」ものにも憧れるし、言葉が自分の手を離れたら相手のものである(解釈は人に委ねられる)というのはまったく逃れられないサダメなのですが、やはり自分は、どうにかして自分が伝えたいそのままを伝える言葉を手に入れたいと思っているようです。

(出版社の)担当さんがすごくがんばってくれて…という話もおもしろくて。担当さんてそんなことまでするんだ?(普通はしないのかもしれません)と驚きました。
私は子供の頃、「スタッフ」という存在が嫌だったのですよ。コンサートとか行くと、警備の人とかいるじゃないですか。柵を支えてるお兄ちゃんとかいるでしょ。客はみんなステージ向いてるのに、警備の人たちはこっち向いてる。ああいう存在が嫌だった。平たく言うと水を差されてる感じというか。
子供だったので、そういう人たちはあくまで仕事としてやっているだけであって、純粋な気持ちでこの場にいるんじゃないんだと思ってたんでしょうね。(実際大きい会場になればなるほど、「あくまで仕事」の人は増えていくのでしょうが。)
スタッフも、作品・アーティストにほれこんでその場にいる(人が多い)んだということが、当時はわからなかったのです。
今は、違うんだなーってしみじみ思ったりするんですよ(笑)

対談、やけに長かったですが、前半の方がおもしろかったでーす。読んでみようって方は、前半だけでもぜひ(笑)


あと漫画にも触れておきますか。
やまざき貴子の「っポイ!」がまだ終わってないことは知ってたんですが…(今月号で連載再開だって)、まだ高校受験が終わったばかりで結果も出てないのね…。LaLaから去った頃、もう中3だったんじゃなかったっけ? これ、高校にはあがらずに終わらせるつもりなのかな?

清水玲子の「秘密」。死者の脳に残された映像から事件を解決する「第九」のシリーズ。
毎回すごいなと思うこのシリーズなんですが、今回は電車の中で「音は聞いているが怖くてそちらを見られない」事件現場というのが出てくるんですよ。たとえばホラー映画が怖いので目をそむけていたけど、音だけだと余計想像がかきたてられて恐ろしいということがあったりするじゃないですか。そういう緊張感が伝わってきて、うまいなと思いました。

ひかわきょうこ「お伽もよう綾にしき」は安定したおもしろさですが、今回はおいしいシーンが少なかったかなあ。(おじゃるさまがかわいいとかかわいいとかかわいいとか…)

山口美由紀「天空聖龍」も毎回楽しみにしてるんですが、今回はせつないですな…。この後ダークな展開になりそう…。

成田美名子「花よりも花の如く」も欠かさず読んでますが、地味な話が多いのでこの人は単行本向きかも。

その他数編は読んだり読まなかったり。なので、割愛。
あ、そうそう。別冊ふろくの「しゃべれどもしゃべれども」は、佐藤多佳子原作で、映画化も決定してる作品だそうです。新米の噺家が、しゃべることが下手な4人の弟子を相手に落語教室を開くことになるという話で、なかなかよかったです。絵もお話の雰囲気にあっていて味わい深くて、最後の鼻水垂らした泣き顔「いや…ここでしゃべらないのがこいつらだ…」に、もらい泣きしましたよ。
原作読んでみたくなりました。これぞメディア化の醍醐味やね。

以上!
「ひたいに三日月」時計野はり
2007年03月06日(火)
忍者オタクだった少年・梓は、転校前、ゆたか(少女)に怪我をさせてしまう。ゆたかのひたいの三日月はその時のものだ。高校生になり、二人は再会。梓は本物の忍者になっていた。しかし、ゆたかの傷に負い目を感じている梓は姿を現そうとせず、陰ながらゆたかを守るのだった…。
他、鬼退治の話とサンタクロースの小人の話、2編を収録。

忍者オタクの少年………どっかで聞いたことある気がするけど(笑)、彼は本物の忍者にならなくてよかったですね!(笑)
この話は、なんで忍者なんだよ?という気もしてきます。まあ、かわいいけど。
そういえば、昔「伊賀のカバ丸」好きだったなあ…。

それにしても、なんとなくどの話のヒロインも幼く見えるので、どうにもロリコンぽく見えてしまうんですよねぇ。
鬼退治の話の女の子が、目覚めるシーンはけっこうかっこよかったですけど。

柱のところのイラストなんかを見ると、漫画よりもイラストレーターとかの方が向いてるんじゃないかなってちょっと思いました。
「十二秘色のパレット 4」草川為
2007年03月05日(月)
色彩の魔術師であるパレットの養成学校に通うセロ(女の子)と、養護教員のグエル先生とのラブコメディ…になりつつあるお話。
今のところ、グエル先生(男)の片思い。

草川作品内でヒロイン度では一二を争うグエル先生。…か、かわいい! めちゃめちゃかわいかったです!
飄々として淡白で大人気ない人なのに、立派に乙女なんだからーもうー(笑)
今回はヨーヨー(セロとパートナーの鳥)とのコンビが最高でした。ヨーヨーもかわいいなあ。
もうあまりにかわいくてかわいくて、何回か読み返しましたよ(笑)

雑誌の方では進展があるようなので、続刊(いつだ!?)が楽しみでなりません!!
今、この人の漫画が私はいちばんなごむな〜。
「セックス神話解体新書」小倉千加子
2007年03月04日(日)
タイトルは過激(?)かもしれませんが、要は「この世は男の都合のいいようにできている」ってことでしょうか。
たとえば性的暴行を受けた女性なんかが、無防備過ぎるから悪いとか、男を誘うような格好をしているから悪いんだとか言われたり。売春する女性は、好きでやっているんだとか。女性を「穢れた」ものとして、聖域への立ち入りを禁じたりだとか。
そういったことは、男がそういう社会を作り上げてきただけなんだという主張ですね。
講演を元に原稿が起こされたもののようで、話口調なので読みやすいです。

特に第3章「女性は穢れているか?」はおもしろかった。
民俗学というんでしょうか、「ウチ」と「ソト」の概念をからめた内容です。

それから、「奴隷の心理」「絶望を学ぶ犬」。あー、わかるわかるよ(笑)
自身の子ども時代のことを語ったあたりもおもしろかった。広島の原爆被災者の写真集を見てしまって、頭が異次元にいってしまって帰ってこれなくなったという話。これが現実なら、今自分がいる世界が現実とは思えない、今の現実が本物なら、この写真集の中のものが現実とは思えない、というその頭の中で両立し得ない二つの現実。ここらへんの書き方がとてもうまくて、読んでいる私も、なんとも言えない気持ちになりました。その感覚がリアルに想像できてしまって。


Amazonのレビューを見たら、けっこう酷評されてましたが。私はおもしろかったです。
私が「女性のジェンダー」に関して興味を持ち始めたのはこの人の著書がきっかけでして、それは自分が今まで生きてきて違和感を覚えたり疑問を感じたりしてきたことが少なからずあって、そういう感情をすくい上げてくれるからなんだと思います。
正しいとか間違ってるとかはよくわかりませんが、私はこの人の言葉はとてもおもしろいと感じる。それが大切かなと思います。

まだ読んでない著書がけっこうあるので、地道に読んでいこうと思ってます。
★★★☆


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