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「綺譚集」津原泰水 2005年01月30日(日) 幻想小説というんでしょうか。不思議でグロテスクで美しいお話を集めた短編集。…私にはさっぱり理解できませんでした。 |
「夜のピクニック」恩田陸 2005年01月29日(土) 夜を徹して80キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」のお話。「みんなで、夜歩く。どうして、たったそれだけのことが、こんなに特別なんだろうね」という話です。 心に秘めた小さな賭け。同じクラスの異母兄弟。他校の子供をおろした女の子の噂。去年の歩行祭に現れた、写真に写った誰も知らない男の子の話…。 最初は、あまり起伏のない話かなーと思いつつ読んでたのですが、そこは恩田陸、いくつもの謎や想いが交錯していくようすに、ときめきます。感情の屈折の仕方とかもすんなり共感できるし、なんていうか、賭けのシーンだとか、終わりの方ではなんてことはない場面なのに、じーんときました。 とても読後感のよい作品です。 タイミングっていうのはほんとに大切。って、小倉優子も歌ってるくらいだし(笑) 学生時代は、早く自由になりたいと思ってました。実際、私は学校を離れてからの方が毎日楽しいと思えたくらいで。 でも、この本を読むと、学生時代にもっとやることがあったのかなーなんて今更ながら思いました。その中にいると、わからないことというのはけっこうありますね。今ならもっと違う感じ方ができるのにと思う。そう思えるだけでも、ちょっとは成長してるってことでしょうか? そうだ、「図書室の海」に収録されていた短編をもう一度読み直したい! ★★★★☆ |
「知る辺の道」紺野キタ 2005年01月28日(金) 6編を収録。いつもほんわりとしたかわいいお話を描かれる方ですが、今回はちょっとダークな面が強く出ている作品が多い気がします。表題作などは、死者の霊が彼女を目印に下りてくるという「死とぼくと彼女」のようなお話だし。(あれよりもっとかわいらしいけど) 絵が大好きな漫画家なのですが(初めに買った本は表紙買いしたくらいで)、お話も情感豊かでよいです。 ★★★ |
「お元気ですか」新井素子 2005年01月24日(月) 日常をつづったエッセイ。彼女も変わってますが、旦那さんも、ご両親も妹夫婦も、変わってる(笑) お父さまのことを書かれてる回は、しんみりしますね。しんみりしつつ、なぜか時代劇の言葉になってるところに大笑い。 ★★☆ |
「ばいばい、アース」冲方丁 2005年01月23日(日) それぞれの特徴を持つ、様々な種族が生きる世界で、主人公の少女ベルは、いかなる種族の特徴も持たない(つまりただの人間であると思われる)。彼女は、「理由(ことわり)の少女」と呼ばれ、旅に出るために様々な試練を受けることになる。という異世界ファンタジー。ようやく読み終わりました。 …なんというか、世界観に圧倒されます。美しい世界だと思います。しかしとにかくわかりにくい。読んでも読んでもわからない。その世界に入っていけない。の割りに、めちゃめちゃ長い。参りました。 「マルドゥック・スクランブル」の解説で、読者を拒否した物語というようなことが書かれてましたが、ほんとに。 長いので、読む間にそれなりに世界や人物に愛着というのはわいてくるんですが、私が物語に求めるようなものは、結局得られない。 この世界に入っていける人は、しあわせだと思います。私はダメだった…。 ★★ |
「サバの夏が来た」大島弓子 2005年01月22日(土) サバ(擬人化して描かれた猫)との日常をつづったエッセイ風の漫画。ほのぼのしてていいですねー。 こういうの見ると、私も猫か犬飼いたいとか思ったりします。 ★★☆ |
「三谷幸喜のありふれた生活3 大河な日日」三谷幸喜 2005年01月17日(月) はい、おもしろかったです。今回も電車の中で笑っちゃってやばかったです(笑)「この物語の主人公」の三谷さん、冒頭に載せられているプロフィールの座右の銘が「完全な人間はいない」というところが、まず素敵。 以下箇条書きです。 歯が痛んで頬が膨らんだ顔を、寝ていた妻に「見せてあげる」ために起こすのがおかしい。 カメラマンが「笑って下さい」と言うのが、人に笑ってもらう仕事をしている人間にとっては腹が立つ、というのはなんだか深い。 天海祐希の逸話がすごくおかしい。「チクショウ」と言ったという話。確かに実生活でチクショウなんて言う人はあまり見たことないなーと思って友だちにその話をすると、「独り言でなら言う」と言われてびっくり(笑) 私は、こういう「普段使わない言葉」を使ったりする人、私がそういう言葉を(意識せずに)使ったらつっこんでくれる人、がけっこう好きです(笑) それからもうひとつの天海祐希の逸話の「やべっ」。これは、この本で一番笑いました。 一週間くらい寝倒した話。うーん、やっぱり冬眠期間の必要な人間ているのかもしれない、と思いました。私も二、三日くらい寝倒してみたいなあ。 時代考証の話もおもしろかった。大河ドラマ「新撰組!」の脚本で「人間」「記憶力」「僕」はNGなんだとか。 ミュージカルで出演者の小林さんの声が出なくなった話。共演の小日向さんが「コーラスが頑張らなきゃと思って初めて歌ったよ」と自慢げに言ったら、戸田さんが「いつもちゃんと歌ってないのか」とマジで怒っていたというのも笑った。 「思い出し怒り」、これ、私もよくやるのです。でも、思い出して怒ってもどうにもならないんです。鬱憤だけがたまっていく。どうにかならないものですかねー。 「王様のレストラン」は私も大好きでした。DVDがちょっと欲しい…。それから、和田誠氏のイラストはいつもシンプルな線のみで似顔絵を描かれていて感心するのですが、この回の白井さんの顔がいつにもましていいなーと。あの眉毛と口元がね。 社会派エッセーの回の、管氏の答えに対するつっこみがすごくおかしかった。農民だとかバカボンのパパだとか。こういう切り口の社会派エッセーは初めて見たかも(笑) 文楽の感想もおもしろかった。「人形でしか表現できないものって、確かにあるのです」。なるほど、と思いました。 というわけで、笑いと感動(?)がてんこ盛りのエッセイです。 ★★★★ |
「サウダージ」垣根涼介 2005年01月16日(日) 「ヒートアイランド」「ギャングスター・レッスン」に続くシリーズ三作目。裏金専門のギャングである柿沢・桃井・アキ。そして、柿沢が昔クビにした、仕事仲間候補だった関根という男。彼は今、一人で強盗などを続け、南米からの出稼ぎの売春婦と付き合っていた。関根は、女と共にコロンビアに渡るため、大きなヤマを踏もうと柿沢に話を持ちかける。 前半はバイオレンス&エロス、って感じでしたね。針金…痛いよ……。 話の軸になるのは、アキの恋愛と、関根の恋愛(?)。二つが描かれてました。どちらのカップルも、ぐっとくるシーンがありました。 「ワイルドソウル」の時も思ったんですが、男性作家なのに女性が違和感なく描かれてると思います。 後半の感想はネタバレっぽくなってしまうので、未読の方はご注意を。 以下、読まれる方は反転させてくださいね。 後半、DDの性格にこの展開とくれば、結末はもう見えたようなものでしょ。読みながら私の頭の中にはアンダルシア(マッチで)が流れてましたよ(笑) しかもあまりにベタな理由でのあの展開。うおーーと本気で頭にきましたね(笑) …うん、でも、本人が割りとしあわせそうだと思ったんで、これでよかったのかなって納得しましたけど。 ところで、桃井さん、読む時に帯ギュの久留間先輩を思い浮かべながら読んでます。好きなんです、久留間先輩。なので、今後桃井さんがもっと活躍してくれるといいなーと。 ★★★ |
「十二秘色のパレット」草川為 2005年01月15日(土) 白泉社の新人(もう新人じゃない?)の中では、緑川ゆき・田中メカと並んで好きな漫画家。絵はすごくうまいわけじゃないけどかわいい(私はけっこう好きだ)し、物語が一風変わってて、その着想に驚いたり楽しませられたり。 今回のお話は、南国の島で、色彩を操るパレットを目指す少女のお話。パレットというのは、触れたものから色を奪うことができる色彩の魔術師。極彩色の鳥とペアになり、その鳥の色を布や石につけるというお仕事。 セロは落ちこぼれ。よく失敗して色を身体につけてしまう。そんな時は洗っても色が落ちないために、医務室のグエル先生に落としてもらう。セロは医務室の常連さん。 飄々として寝起きみたいなグエル先生も素敵だし、鳥たちもとてもかわいい。鳥が、けっこう個性あるんですね。しゃべらないんだけどかわいい。なにげに態度でかいし(笑) 特に巻末のおまけの「鳥たちの生態」はすごくかわいかった。 ★★★ |
お引越しのお知らせ 2005年01月11日(火) 読書日記をブログに移転します。新しいところはこちら。 →紙の月を追いかける猫 今までのような読書メモ+日々の日記+日々思うこと…などを書いています。 エンピツで見てくださってる皆様も、よろしかったら一度のぞいてみてください。 ちなみにここの日記は、自分の読書メモとして更新を続けようかと思ってます。 あちらのブログでは、1か月分の日記が一気に表示されなくて冊数とか数えにくいので(笑) それでは、これからもどうぞよろしく。 |
「禁じられた楽園」恩田陸 2005年01月10日(月) 禍々しい印象を与えるが、世界的に有名な美術家烏山響一。同級生の捷は、なぜか彼から招待を受けて彼の実家のある熊野へ行くことになった。私有地の山中に作られた巨大な野外美術館に入っていくが…。おもしろかった。雰囲気がすごくよいです。山の中でのできごとはほんとに怖い。(ちょっと「注文の多い料理店」を思い出しました…) 人間て、怖いもの見たさって部分があるんですよね。不思議なことに…。あまりにも日々が平穏すぎるから、フィクションで慣らそうとしてるのかな。 ラストもよかった。「上と外」に通ずる感慨です。 よくわからない部分がなきにしもあらずだけど(登場人物の役割が生かしきれてないというような…)、まあいいか。騙し騙されみたいのが好きなので(笑) 誰が味方かわからない、みたいなところが好きだったりします。 ★★★★ |
「透明人間の納屋」島田荘司 2005年01月06日(木) 隣に住む、父親代わりだった男性は、少年にいろいろなことを教えてくれた。宇宙のことや透明人間のことなど。少年時代に起きた女性の失踪事件の謎が、大人になってわかることになる…。 久しぶりに島田荘司を読みましたが、この人の文章は好きだと思いました。すんなりと文章が頭に入ってくるし、なにより雰囲気作りがうまくて、飲み込まれます。 船のシーンでは電車の中だというのに涙ぐんでしまって。終わり方もせつなかった。 読書の醍醐味が味わえるよい本でした。 ★★★☆ |
「人生を<半分>降りる 哲学的生き方のすすめ」中島義道 2005年01月05日(水) 表紙の著者名の上に「好き勝手なことを言う男」と書かれているのが笑えます。どのようにして、自分らしく充実した人生を送れるかを考えた本。これは、世間の0.1%の人に向けて書かれた本だということです。そうかもしれないなあ…。 「子供と個人完結的・自立的であることとが結びつき、大人と集合的・非自立的が結びついている」「大人になることとは、自分の非完結性・非自立性を自覚することであり、それがわからないヤツは子供なのです」というあたりがおもしろいと思いました。 この本が普通と違うのは、「大人から脱して子供になりましょう」ということ。 なにからなにまで肯定するわけじゃないけど、勇気付けられる人というのはきっといると思います。人生指南とかは私は嫌いだったけど、そう思ってる人も、ちょっと読んでみては? ★★★ |
「センセイの鞄」川上弘美 2005年01月02日(日) 月子さんと、年老いたセンセイのお話。居酒屋でいつも行き会う二人。淡々とした二人がだんだんと近づいていく様子が味わいがあります。 ★★★ |
2005年読みたい本リスト 2005年01月01日(土) 図書館で借りるために、雑誌とかネットで見ておもしろそうなのはメモしてあるんですよ。そのメモから抜粋。 ■小説 恩田陸「夜のピクニック」「禁じられた楽園」「夏の名残りの薔薇」 小川洋子「博士の愛した数式」 天童荒太「永遠の仔」「家族狩り」 瀬尾まいこ「天国はまだ遠く」 戸梶圭太「自殺自由法」 有川浩「空の中」 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」 綿矢りさ「蹴りたい背中」 殊能将之「キマイラの新しい城」 津原泰水「綺譚集」 垣根涼介「サウダージ」「クレイジーヘヴン」 島田荘司「龍臥亭幻想」 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「魔法使いハウルと火の悪魔」 冲方丁(どれでもいいから読みたい。とりあえず「ばいばい、アース」は借りてきてある) 古川日出男(どれでもいいから読みたい) 桐野夏生(とりあえず「OUT」は借りてある) 佐藤正午(どれがいいんだろう) 本田孝好(どれがいいんだろう) 村上春樹・よしもとばななも、読んでみたい。著作が多すぎるのと傾向がわからないので、どれを読んだらいいのかわからずに手が出せずにいる(笑) ベストセラー作家すぎて、あまり読んでいなかった。「ノルウェイの森」「キッチン」は読んだことあるんですが。 よしもとばななは「デッドエンドの思い出」がいいかな。 ■ノンフィクション 三谷幸喜「大河な日々」 金原瑞人「大人になれないまま成熟するために」 小倉千加子「結婚の条件」 松本侑子「読書の時間」 ■漫画 こうの史代「夕凪の街 桜の国」 荒川弘「鋼の錬金術師」はおもしろいのかな? 一条ゆかり「プライド」←藤本由香里氏が薦めてたので。 こんな感じです。 今年もたくさん読めるといいな。 感想もマメに書いていきたいと思ってます。どうぞよろしく。 |
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