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リカ/五十嵐貴久(幻冬舎)
2002年09月29日(日)
第2回ホラーサスペンス大賞受賞作です。
平凡なサラリーマンがインターネットの出会い系サイトで知り合った「リカ」という女性。最初は彼女とのメール交換や電話を楽しみにしていたのだが、だんだん彼女の行動は常軌を逸していく…という話。
誰にでもありえる出会いが、次第に恐怖に変わっていく…というのが最初の方の怖さのテーマに思えるんですが。後半あまりにも、そりゃありえん…という展開になっていくんですね。心理サスペンスだったのがスプラッタムービー的な恐怖(あんまり怖くないけど)に変わってしまった感じで、そこらへんが残念でした。
私が好きなのはスプラッタより心理サスペンスなので。私はその方がぞっとします。
プラナリア(文藝春秋)|結婚願望(三笠書房)/山本文緒
2002年09月23日(月)
「プラナリア」無職をテーマにした短編集ですね。
この人も割と、そんな風に終わっちゃうのか…っていう終わり方をするんですけど。この人のはなんとなく説得力があるんですよね。でも、やるせない…。
私はまあ、仕事をしてますけど…。なんだか、自分がこれでいいのかとか考えてしまいます。
でもなんだかんだ言っても、この人の書く話の人たちはみんなたくましく生きてる感じがします。だから、自分がこれでいいのかと思ってしまうのかも。

もう一冊、「結婚願望」
「結婚願望」について書かれたエッセイ集?です。
私は独身女性(歳はヒミツで。笑)なんですけど。…あんまりぴんと来なかったです。私が恋愛体質じゃないせいかなあ(笑)
劫尽童女/恩田陸(光文社)
2002年09月21日(土)
なんじゃそりゃ、と。これで終わり!?と、読み終わった瞬間がっくり倒れてしまいました。
今までも彼女の話は、これで終わりなの?と思う話が多かったんですが、「余韻」という言葉で納得できなくもない範囲だった。でも、これは…。これって、まだ話がきっと何かに続いてるんですよね? じゃなかったら、納得いかないでしょ…。続いてたとしても、なんの説明もないことが納得いかないですけど。
なんなのかなあ、これ。

父親に遺伝子操作されて超能力を持ってしまった少女の話です。
YASHAを思い出しました。でも、漫画であるYASHAの方がリアリティがあって、小説であるこっちの方が現実味がない、っていうのは不思議なような気がしませんか。
組織に終われて逃げている焦燥感とか、他の人間と違う孤独であるとか、そういうテーマが、どうも現実味を帯びていない感じがして、感情移入できませんでした。おもしろくないことはないけれど、胸にせまるものがなかった。テーマを考えたら、もっとおもしろくなる話だと思う。もったいない。もっと書ける人だと思ってたけどなあ…。
天帝妖狐/乙一(JUMP j BOOKS)
2002年09月15日(日)
わたくし、マニアですので(笑)
文庫版も出ててそれは持ってるんですけど、それはかなり書き直してあると聞いて、元の新書版を読みたいと思っておりました。
…確かに、かなり変わってました。文庫版の方がもっと悲惨でシリアスですね。私は、まあどっちがいいとも言えませんが…。うーん…やっぱりどっちかと言ったら、文庫かな。
マニアな人は、読み比べてみましょう(笑)
スカイ・クロラ/森博嗣(中央公論新社)|SFマガジン 10月号
2002年09月07日(土)
なんだか、よくわかりませんでした。"ハードボイルド"って感じです(笑)
とりあえず、装幀はとってもステキです。装幀を褒めておくことにします。


SFマガジン買ったの、初めてかもしれません。恩田陸の特集号です。
新シリーズのプロローグっていうのが載ってるんだけど、ほんとにプロローグだけなので…あらそう、って感じなんですけど…。
インタビュウと全著作ガイドも載ってます。

2001年までに単行本として発売されたものは、とりあえず私は全部読めているらしいです。
今日「劫尽童女」を借りてきたので、あと「図書室の海」と、近日発売されるらしい「ロミオとロミオは永遠に」ですね。「ロミオ〜」は、ハヤカワなんとかシリーズで出るというので楽しみにしてました。このシリーズ、私は新書だと思ってたんですが、単行本なんですね…。買うつもりでいたら、予価を見たら1,800円だったのでちょっとびっくり。それは高い。図書館でガマンしよう(笑)

「蒲公英草紙」っていうのが、まだ単行本になってないらしいんですけど、「常野物語」の第二作らしく、早く読みたいです。でもまだまだ目処が立ってないらしいです。他のはいいから、早くー!(笑)

せっかくなので、私の恩田陸ベスト3を。
1.「光の帝国 常野物語」
2.「三月は深き紅の淵を」
3.「ライオンハート」


新シリーズのプロローグだという「遺跡の少女」を読んでいて、新井素子を思い出しました。この人の書く話は、世界がつながってるんですよね。普通に読めば普通(じゃないかも?)のひとつの話なんだけど、ファンが読むと、この話はここでつながってんのよねーふふふ、っていう。
私は、この人が大好きだったので、いろいろ買いあさって、特集雑誌とかも読んで、ふふふ、って思ってた人です(笑)
それで、彼女は、「これから書かれるであろう話」を、語る人だったわけです。まだ書いてないけど、ここでつながってーっていう話を、よくしてたのです。
まあ、シリーズが中途半端な作家なんてのは星の数ほどいるけど(笑)、それは話の途中なんでしょ、でも、構想を話す作家の場合は、話の途中で中断してるんじゃなくて、「まだ書かれてない話」なのよ。
あれから何年も経って、もうそれらの話を読める期待もあんまりしてないんだけれど。

中島敦の「文字禍」という話に、「書かれなかったことはなかったこと」という一文が出てくる。これを読んだとき、衝撃を受けたので、よく憶えているんだけど…。
でも、「書かれなかった話」は、なかったことじゃないと思う。タイトルとかあらすじとか読んで、私は想像して楽しめたから。そういう楽しみ方があってもいい。
いつか読めたら、さらに違う楽しみ方もできるかもしれないけど…。
本を所有すること
2002年09月05日(木)
私の部屋は、本棚がたくさんあります。背の高いのが4つ。それでも足りなくて山積みになっていたので、つい先日、また棚を買ってしまいました。背の高いのと、腰くらいの高さのカートになってるやつを3つほど…。あと、ダンボール素材の、雑誌が収納できる箱みたいなのを。これで、たぶん、収納できます(笑)
ダンボール箱に詰め込まれてるのも大量にあるんですけどね。それに、文庫本の半分くらいは、兄が置いていったものです。私はそのうちの1/3も読んでないから、なんだか図書館みたいな気分です(笑)

私は、本が捨てられない人なんですよねぇ。
雑誌も、かなり捨てられない。さすがに、漫画雑誌とかは捨てるようにしてますけど。(子供の頃はそれも捨てられなかったです)
でも、音楽雑誌は捨てられません。いつか役立つ日が来るかもしれないと思うと(笑)

文庫、漫画本も、今は、多少なりとも手放せるようになりました。昔はほんとに手放せなかったんですが、流石にそれは無理だと気づきました(笑)
私は古本屋に売ることにしてます。
私は同じ本を滅多に読み返したりしないので、ほんとは持ってなくてもいいんですけどね。でも、本を所有するのが好きなんです(笑)
例えば、図書館で読んだ本でも、すごく気に入ったら自分でも買います。

一度読んだ本を読み返す人って、私はあまり知らないんですが、一般的にはどうなんでしょうね?
面白かった部分は、読み返すこともあります。でも、通して読み返した記憶は、あまりないです。ああ、子供の頃、「小公子」「小公女」「若草物語」「トム・ソーヤの冒険」などは何度も読みました。大きくなってからはほとんどないです。読んでない本が山積みになってるくらいなので、一度読んだ本を読む時間があるなら、まだ読んだことない本を読みます。一度読んでしまったら、その物語はもう私の中を通ってしまったものだから。もう読み返す必要は感じない。卵の殻は一度割ってしまったら、つなぎ合わせても、最初に割るときの感覚は戻らないんです。

それではなぜ、自分で本を所有していたいのか?
うーん。背表紙見るだけで、その本を読んだときに感じた充足感が蘇るからでしょうか。好きって思える部分がある本は、手放せないです。
好きなものは、自分の手元に。自分のものにしたいんです。
他の部屋にあるのも嫌なくらいですから(笑) 自分の部屋に置きたいんです(笑)
MAZE/恩田陸(双葉社)|落花流水/山本文緒(集英社)
2002年09月01日(日)
「MAZE」は、何百年にも渡り人が消えるという、禁断の建造物をめぐっての物語。
恩田陸らしい、詭弁とはったりの効いた話だと思います(笑)

「落花流水」は、一人の女性の半生記…かな。
相変わらずこの人は、なんとなーく嫌な気分というか、せつない気分になる話を書いてくれます。でも、不思議とそれが心地よいというか、読みたくなるのよね。好きなんです。寂しくなるのにね。
10年ずつ章が進み、語り手がどんどん変わっていくんだけど、私は「もう行かなくては」(17歳)の章がよかった。そういう気持ちに、いつでも感情移入する。どこへ行っていいのかわからない、漠然とした不安。それでもその場所へ自分をつなぎ止める存在があって…。
私はいつまでも膝を抱えた子供のままなんだと思う。もう次の章に進んでもいいのにね…。


置き去りにされる方が、寂しい。
「ホットロード」の中のセリフに、「置き去りにする方も、すげーつらかったんじゃねえ?」なんてのがあったけど、私はまったくそうは思えなかったので、今でもそれが忘れられない。
私は、取り残されて寂しかった記憶しかない。誰かを置き去りにした記憶、置き去りにして寂しかった記憶はない。(そういうことをしたことがないのか、なんとも思わなかったから記憶に残っていないのかは、わからない)
絶対に、残される方が寂しいよ。私はそう思う。

自分の中に、穴が開いてることに時々気づいて、どうしてそれを抱えていなきゃいけないのか、わからない時がある。
それでも自分をつなぎ止める何かがあって、どこへも行けないでいる。どこかへ行けたら、何かが変わるのかな。


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