青いくもと白いそら
想い出 † きのう † あした
信じてないわけじゃないの
疑ってないわけでもないけど
無意識の自己防衛
傷つくのは痛くて怖いから
殻に閉じこもるの
他人の言葉の裏ばかり探って
自分を守るの
気分悪かったよね?
ごめんね
嘘でしょ?って
何度も言ってごめんね
誰かをどこかに誘うのが
どれほど勇気のいることか
知らないわけじゃないのに
胸を貫く剣を血が伝っても
愛を叫ぶことはやめないで
瞳が光を浴びることはもう叶わなくても
眼差しは愛しいものを追い続けている
これ以上失うもののない自分は幸福なのか
愛しいものの涙を拭う腕もない自分が不幸なのか
それさえ男は解らずに
ただ血と土で汚れた口元は
いつまでも微笑みとも苦笑ともいえない笑みを浮かべていた
12月になったばかりの ある昼下がり
風は少し冷たいけれど 陽は暖かく
窓際の席に座ったら
授業中 ずうっと居眠りしていまいそうな
そんな心地のよい 緩やかな午後に
誰もいない廊下を一人
行くあてもなく歩いていた
薄い窓ガラスの向こうには
各々に色づいた秋の樹と
ビルの群れが聳え立つ
どこか優しい色した枯葉の中に
少しだけ 冬の淋しい気配が混ざっていた
何の気はなしに足を止め
真っ青な空と眼前に広がる展望を眺めてる
掌の体温で 触れたガラスが白く曇った
光が私に降り注ぐ
暗い廊下のたった一つの陽だまりで
冷たいリノリウムの床に熱が生まれる
その瞬間 突然に
私は 春の雪解けの音を聴いた
忘れてしまえばいい。 全部全部。 あの人を愛したことを全部全部。
傷を負って血を流している そんな身体以上に心が痛い。 あなたは何を思って私を抱いた? 人違い?それともなぁに? あぁ、こんなことなら 何度言われてもあんな誘いに乗るべきじゃなかった。
後悔してももう遅い。 時は戻らない。 あの人を知らない私に還れるはずもない。
涙をながすわ。 紅い涙。 あなたを想うほどに零れてとまらない私の命の証。
誰よりも誰よりも幸せに
私の幸福よりもあなたの幸せを
夜空を翔ける星に祈って
いつでもどこでも胸に抱いて
願った心は確かに本当だから
否定したりしないで
涙が止まらなくても
胸がどんなに苦しくても
嘘なんかじゃない
偽善なんかじゃけしてない
嘲笑わないで
最後の望みを踏み躙ったりしないで
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