白月亭通信別記
老い先短い残照の日々、
おりふしの所懐を、
とりとめもなく書き留めて…

2008年10月10日(金) 眠れない夜には

 年をとって夜が短くなった。どうかすると二時三時に目が覚めてモンモンとしている。考えることはたいてい来し方行く末のこと。闇の中の思いに切なくなって目がさえるばかり。本でも読んでなんとか不眠を紛らわしたいのだが、ゴソゴソ起きだすとカミさんが不機嫌になるからジッと我慢している。かくして眠れないために輾転反側の仕儀と相なってこの上もなく苦痛である。そこで名作小説がゲーム機で読める様になったということを知って小遣いをためて購入した。芥川龍之介や夏目漱石の名作をはじめとして海野十三や岡本綺堂といった作家の作品百冊が納めてあるから残りの人生では読み切れないくらい入っている。たいていは昔読んだ作品だが未読のものもたくさんある。なつかしい思いと未知の世界が液晶画面に映し出されるから電気をつけなくても読むことができるのでカミさんの邪魔にもならない。何よりも寝そべって読めるのがいい。パソコンで読める名作小説は以前からあったがパソコンは布団の中には持ち込めないからポケットにはいるようなゲーム機で名作に親しめるという時代に生き合わせたということは幸いというべきか。やはり長生きするものだとつくづく思っている。


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