白月亭通信別記
老い先短い残照の日々、
おりふしの所懐を、
とりとめもなく書き留めて…

2003年01月31日(金) 運命の出会い

 脱北亡命して韓国のアイスホッケー代表になったファン・ボヨン選手が北朝鮮時代の選手仲間であったシン・ジョラン選手と青森で旧交を暖められるかどうか話題になっている。「彼女に会ったら金正日は人間の皮をかぶったオオカミだと教えてやりたい」とはファン選手のことば(ニュースステーション)だが、運命が引き裂いた二人の関係は「事実は小説よりも奇なり」。



2003年01月30日(木) TV50年前史

 大正15年12月、世界を驚嘆させる実験が浜松高等工業学校で行われた。
 手書きの「イ」の字をブラウン管に映し出すというテレビ実験だった。
 成し遂げたのは若き教授、高柳健次郎だった。

 以上を「プロジェクトX」のナレーターになったつもりで読んでください。



2003年01月29日(水) 寒中見舞い

 昨年末喪中欠礼の通知をもらった人に年賀に代えて寒中見舞いを書いた。その数5枚。ふだんは喪中のはがきは1枚あるかなしかだがことしは多かった。身の回りに鬼籍にはいるひとが多くなったという年齢になったということだろうか。



2003年01月28日(火) 車検

 車検費用が気になってパンツをはき忘れて舞台に上がるというので笑わせる美川憲一のCMがあるが車検ぐらいで我を忘れてしまうというのも情けないと思っていたら我が家の車も3月が車検だというので青くなった。車検屋が来て12万円でやりますというから頼んだらタイヤも取り替えないといけませんと追加があって結局15万円かかった。この出費は痛いなあ。



2003年01月26日(日) 死に体

 菅議員に公約違反を追及された小泉さん、「この程度の約束が守れなかったからといって大したことじゃない」と放言して自民党内部からも誠実でないと批判が出て幹部たちに謝罪したとか。無力の野党をなめきっての軽率発言だが謝るべきは国民に対してではないのか。きのうのテレビ(WAKE UP 日テレ)で京大の中西教授が「小泉首相はもう死に体」と断じていたが小泉内閣は終焉の序曲が始まった。



2003年01月25日(土) 千と千尋の神隠し

 「千と千尋の神隠し」のテレビ版を見る(24日 日テレ)。お化けや妖怪が跋扈する不思議の世界に紛れこんだ千尋はハクと名のる少年に導かれて勇気をもって困難に挑んでいく。混沌とした現実社会のなかで目標を失い無気力に落ち込んでいるこどもたちに愛と勇気を与えることがテーマになったこの作品が世界からも認知されアカデミー賞候補としてノミネートされているという。また宮崎監督の思想と哲学が圧倒的な人気で子どもたちの心を動かしている事実に未来への期待を強くする。



2003年01月23日(木) 暴発前夜

 週刊誌のポストと現代の最新号が金正日の暴発必至とあおっている。テポドンによる日本列島攻撃、生物化学兵器による攻撃あるいは武装工作員によるゲリラ作戦など、攻撃開始日は金正日の誕生日である2月16日とか。読んでいるとなにやら真実味をおびてきて背筋がさむくなってくる記事ばかりだ。こういう記事を新聞やテレビが後追いしないので恐怖感が薄くなるが相手が北朝鮮だけにガセネタといいきれないのがこわいところだ。



2003年01月22日(水) 一太郎

 一太郎13の発売案内が送られてきた。ATOKも16になって方言も九州・東北・北海道に拡大され、文語表現にも対応するという。縦書きもきめ細かな組版が可能なので新一太郎が欲しいが、毎年毎年のバージョンアップの買い替えはいささかきつい。11まではそのつど更新していたが、いまはATOK HOMEしか入れていない。



2003年01月21日(火) 農業用道路

 大寒の翌日とも思われない陽気になった。昼食後田圃道を歩く。昔なら畦道だが最近は立派に舗装してあるので国道の渋滞をきらった車がバイパスがわりに使うので安心して歩けない。「農業用道路につき一般車両の通行はご遠慮ください」の看板がところどころに立ててあるが「そこのけそこのけ」とくるまがせまい道を疾駆するので石を投げつけてやりたいくらいに心が荒れる。



2003年01月20日(月) 貴乃花引退

 けいこ総見では土俵に上がらす、記者団には沈黙を貫くなど瀬戸際の貴乃花は最近意地を張って反抗的な態度を続けていたので引退会見でも「辞めればいいんでしょ」ぐらいの爆弾発言が出やしないかとハラハラしていたが、しおらしい大人の対応をしたので一安心した。しかし私がひいきにする弱い力士たちを簡単に破って出世していくのでその強さが憎らしくてあまり好きになれなかったなあ。



2003年01月19日(日) 図書館まつり

 市立図書館の100周年記念事業の目玉イベント「図書ふれあい広場スペシャル」は古書の無料配布。児童書から実用本にいたる数千冊がよりどりみどり。開始時間前から並んで藤沢周平や池波正太郎などの文庫本を十数冊ゲット。当分はこれで暇つぶしができる。



2003年01月18日(土) CMグランプリ

 Real Player(ただし新バージョンのRealOne Player)のエンターテインメントのカテゴリー(CM-fan.net)でカンヌ国際映画祭のCM部門の入選作を紹介している。わが国のコマーシャルでは見られない前衛的尖鋭的な作品が多く一見何を売ろうとしているのかよくわからない。「Look Fast(早そうに見えます)」と出るだけで音声も音楽もない米国トヨタなどなかなかおしゃれにできている。



2003年01月17日(金) 柔道見立て

 核開発再開でアメリカを脅し続ける北朝鮮の挑発外交の最終目標は不可侵条約の締結、つまり金体制の維持の確約を求めること。ブッシュから食糧、エネルギーの援助をとりつけて柔道でいえば有効、効果ぐらいのポイントはとったのだからこのへんで優勢勝ちに持ち込めばいいものをアメリカに一本をとられるまで試合を捨てない決意のようだ。



2003年01月16日(木) イェローモンキー

 松井クンの記者会見で大騒ぎしたNYだが、地元TV局に出演してヤンキースを選んだ10の理由を問われてユーモアを交えて答えていたが、カンニングペーパーがあることを暴露されてとんだ恥さらしだった。あれでは猿回しの猿といっしょだ。いま「二つの祖国」(山崎豊子著)を読んでいるが太平洋戦争で日系人が「イェローモンキー」と軽蔑されて辛酸をなめた歴史にふれてアメリカ人の日本を見る目の底流はいまも変わっていないのではないか。



2003年01月15日(水) タブレットPC

 わが町はJR線をはさんで南が市街地北が田園地帯。我が家は駅の北口近くだから散歩は気分しだいで町にでたり田んぼ道を歩いたり。朝は寒かったが日が高くなるにつれて気温があがり20度近いポカポカ陽気になったので今日は町を歩く。書店によって週刊誌を立ち読みしたり、電器店で新製品を見たり。立ち止まってばかりだから運動量はあまりあがらない。パソコンショップで話題のタブレットPCに触ってみたいのだが店頭になかなか並ばない。



2003年01月14日(火) 杞憂

 IAEAがイラクの核兵器開発能力について「独力で核兵器を

保有するするにはほど遠い」と発言したのはおもしろいというよ

りホッとするニュース(読売新聞による)だった。査察もまだ一年

はかかるというからイラク攻撃は大幅に延期されるか避けられる

ことになるだろう。イラクはこわいフセインはこわいといい続け

てきたブッシュは天地が崩れ落ちると心配した杞の国の人の憂い

ににている。北朝鮮の核も実はイラク並かも。



2003年01月13日(月) ウィーン・フィル

 去年の秋から始まったウィーン・フィルの定演ライブだが昨夜で2回目、NHKはことしも積極的に中継するという。このコンサートはチケットを予約しても15年は待たなければならないそうでコタツで聞けるのはゼイタクのきわみといえよう。昨夜はリヒアルトシュトラウスの「英雄の生涯」がメイン。重厚な曲調を弦が美しく歌い上げてさすがだった。指揮はサイモン・ラトル。次回は19日、モーッァルトとシューベルトの交響曲。



2003年01月12日(日) 狼少年

 北朝鮮のおどろおどろしい放送も聞きなれてみると狼少年の故事に思われてきてさほど驚かなくなってきたということを書こうと思いながらけさの天声人語を読んだらいきなり「オオカミ少年」が出てきたのでやられたと悔しかった。だから北朝鮮を狼少年に見立てるのは天声人語のまねではないことを証明するために経緯を記しおく。



2003年01月11日(土) 騎竹

 暮れの新聞のパズルの「竹馬に乗ること。この年といえば幼年期をさす」を三字のよみで答える問題ができず、ズーッと頭にひっかかっていたが今朝の新聞に解答がのった。答えは「キチク」。七十年近く生きてたくさんの言葉を覚えたが「騎竹」ということばは知らなかった。



2003年01月10日(金) 日本人妻

 脱北した日本人妻平島筆子さんには中国人の越境斡旋者(ブローカー)がいて日本政府に成功報酬ともいうべき仲介料(1000万とも)を要求しているので政府・外務省はその取り扱いに苦慮しているとけさのニュースワイド(テレ朝)で平沢勝栄議員が暴露してスタジオは騒然。一刻も早い救出が望まれるけれど複雑な問題がからんでこじれそうなけはいだ。



2003年01月09日(木) 謎の気球

 数年前山梨の山中で発見された謎の気球の正体はやはり北朝鮮からのもので、中には単独では毒性のない物質だが、2種類の物質が混ざると猛毒が発生し、それは微量でも、空気に混じると数万人を殺すことができるといわれるおそろしいものであったと亡命した北朝鮮の軍幹部が証言した。しかしこの作戦はすでに終了しており、実際以後日本での発見はない。ついでにこの幹部は金正日の人間性を「金正日の頭と、われわれの頭はまったく違います。彼らは、勝算があるからといって戦争をするのではなく、自尊心を侵されたということだけで、死んでも報復するという考えなのです」とも語ったという(9日 FNNによる)。



2003年01月08日(水) 七草粥

 春の野に出て若菜を摘んで粥にしたて一年の息災を祈念するゆかしい行事「七草」、その七種の若草は「芹、薺、御形、繁縷、仏座、菘、清白」、読み方は「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズ、ナスズシロ」。これを頭から読んで「これぞ七草」と結句をつけると語呂のいい短歌になる。しかしいまどき簡単には揃えられないから冷蔵庫に残った食材で作ることになる。ことしの我が家は「ダイコン、ニンジン、シュンギク、ホウレンソウ、ミズナ、ミツバ、ネギ」。これにええままよと「シイタケ、エノキダケ、鶏肉、カマボコ、モチ、サトイモ」とぶちこんで合計十二種類。栄養価たっぷりになった。



2003年01月07日(火) ハッハッハ

 5日の平壌放送。「過去の問題は棚に上げ、拉致問題の解決だけをわめいている日本の振る舞いは、泥棒が泥棒だと叫ぶ破廉恥なものにほかならない。あまりわめいていると、こう頭がんにかかるかもしれない。ウェー、ハッハッハ。まるで、月を見て吠えまくる犬のようだ。アッハッハ・・・」(ANNより)



2003年01月06日(月) ラジオ体操

 十年来続けているラジオ体操だが去年は一日も休まなかったのにことしははやくもきのう朝寝してサボってしまった。後でやればいいと思ったが忙しさに忘れてしまった。夜になって寝覚めの悪い思いが残ったので今朝になって二回やった。これで休みなしの記録が持続したことになるのだろうか。



2003年01月05日(日) エンリオ・モリコーネ

 今年の大河ドラマ「武蔵」のテーマ音楽は「荒野の用心棒」などで知られる世界的なイタリアの映画音楽の作曲家エンリオ・モリコーネ。作曲料はいくらか。邦人作曲家を起用するよりギャラは破格だと思われるが全国民から取り立てる聴取料で金満のNHKにとっては問題ではない。ギャラの明細など公表しないとしているが公共放送として情報公開すべきではないか。



2003年01月04日(土) 嗚呼

 ある学校の授業心得に<息抜きをする機会を><ユーモアを交える><一本調子はダメ><ノートをとりやすい黒板の使い方を>などがあるという。学級崩壊で苦労している小学校かと思ったらなんと東大の教授陣全員が持っている冊子にあるらしい。朝日の記事だ(「大学の力」より)。同日付けの宮崎版には講義そっちのけでカメラ付の携帯電話でポーズを決めて写真をとりあってふざけている大学生の生態が報告されている。嗚呼。



2003年01月03日(金) 漱石の人権感覚

 大正2年に刊行された長塚節の長編処女作「土」を激賞した漱石の序文に以下のような一節がある。

 「土」の中に出てくる人物は、最も貧しい百姓である。教育もなければ品格もなければ、ただ土の上に生み付けられて、土とともに成長した蛆同様に憐れな百姓の生活である。長塚君は、彼等の獣類に近き、恐るべき困憊を生活状態を、一から十迄誠実に此「土」の中に収め尽くしたのである。

 田圃の稲の苗を見ても米ができることを知らず子規を驚かせたこともある漱石だったからこういう人権感覚しか持ち合わせなかったのかも知れない。



2003年01月02日(木) 長塚節

 「うちもナニでございます。なにせ客商売なものですから、ほかのお客さんに嫌われても困りますもので……」
 大正3年8月、喉頭結核の治療で三度目の九州下向をした長塚節は手術を待って宮崎に赴く。南国での転地療養に病状の好転をかけた旅だったが節を迎えたのは猛暑と台風と人情の冷たさだった。長逗留を拒否された節は高熱にうならされながらきょうの明日の宿を探し回らねばならない毎日だった。
 宮崎市大淀川河畔に建立された節の歌碑には「朝まだきすずしくわたる橋の上に霧島ひくく沈みたり見ゆ」の一首が刻まれてその足跡が残されている。
 以上は藤沢周平の「白き瓶」より。



2003年01月01日(水) 天邪鬼

 アポロ11号のアームストロング船長の有名な「ひとりの人間には小さな一歩だが人類にとっては偉大な一歩だ」の第一声のあと2分間の中断があって、その間に語られたメッセージは「先客がいる。我々のまわりを取り囲んでいる」というものであり、それは月着陸船の周囲をUFOが取り囲んでおり、月面上には宇宙人がいたということが伝えられたのであった。その驚愕すべき事実をNASAは世界にまきおこるであろうパニックを未然に防ぐために音声をカットしたというのが昨夜の「世界はこうしてだまされた!?」(テレ朝)の内容の一部。天邪鬼を決め込んで紅白を見ないで裏番組を見ているとこんな話も聞ける。


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