2004年10月02日(土) |
うまく表現できないココロの盛り上がり感 |
もう10月です。今年もあと三ヶ月。皆さん、いかがお過ごしですか。 10月に入った記念すべきその日、俺は予定通り会社を定時で脱出すると地下鉄に揺られ、銀座へと走った。いつもの仲間を誘って、かれこれ10年くらいは顔を見ていないだろうかという友人Mの芝居を見ることになっていたのだ。 劇場、というよりはフリースペースと呼んだほうがよさそうな小さな空間に座席は50席弱。受付でMの名前で確保してもらっておいたチケットを購入し、仲間とともにパイプ椅子の座席に腰掛けた。 ここまでが舞台です、という目印になるような敷き詰められたカーペット、暗幕、照明、手作り感あふれる舞台装置──。ふと、BGMがゆっくりと絞られていくと、照明も落とされた。 舞台は始まり、程なくしてMが登場。十年ぶりの再会が舞台と客席とは。最後に会ったのがいつだったのかも思い出せないが、俺の記憶に残る彼女の姿とすこしも変わっていなかった。久しぶりに聞く、生の声。舞台と客席という居場所の違いがあるはずなのに、この奇妙な再会に気恥ずかしさを覚えているのか、俺はどうもM以外の役者のほうへ視線を移してしまっているようでもあった。 舞台が終わり、Mは知り合いの観客の数人に挨拶を交わした後、俺達のところへ現れ、改めて再会。俺は十年ぶりの再会気分だったのだが、「どうだった、芝居?」「ぜんぜん稽古できてなくてさあ」と、自分のペースで話してくるところなど、やはりまったく変わりはない。そんなMのままでいてくれたことが嬉しかった。 「時間が出来たら呑もうよ」と約束をして劇場を後にする。 久しぶりに見た、小さな芝居。距離感があるようなないような、というのが小さな芝居の魅力だ。仲間と新橋へ向かう道すがら、ぼんやりと思い出すのは大学4年の冬に経験をした、学芸会のような舞台。あの時も小さくて粗末なスペースだった。毎日の稽古が、舞台の準備が、公演の二日間が夢のような時間だった。
なんだ、この、うまく表現できないココロの盛り上がり感は。 また変なことを考え出すんじゃないぞ、俺。
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遅い食事&呑みにと新橋へ移動、『鳥繁』というそこそこ名の知れた焼鳥屋で乾杯。 素敵な、10月の始まり。
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