のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2003年03月07日(金)  食傷

 3月末から4月アタマには出張から帰れると思うと、どうも自炊しようという気になれない。
 一応こちらに来る際にはツマから米を持たされた。なにより『ほかほかご飯』が好きな俺は、たまにはご飯を炊いてあつあつのご飯を食べることもあるだろう、と思っていたのだ。
 しかし実際はどうだ。想像以上に忙しい毎日。フツーに忙しいのは全く苦にならないが、こう、ストレスのたまる忙しさとなると話は別だ。身もココロも疲れ果て事務所を後にする。10時、11時を過ぎていることはざらで、そんな時間から部屋の狭い台所で背中を丸めて米を研ぐ気にはどうしてもなれない。
 で、外食が続くわけだが、滋賀に来て1ヶ月強、いいかげんに外食にも飽きてきた。

 俺の住むあたりは『来来亭』というラーメン屋が有名で、関西版のラーメン紹介本の滋賀のページには必ず掲載されている店だ。俺は滋賀についた2日目の夜には早速食べたのだが、確かに旨い。しいて言えば、関東で言うところの“とんこつ醤油”系のテイストで、麺はストレートで長浜ラーメンのそれに近いかもしれない。注文のときに麺の固め、柔らかめはもちろん、背油多目、ねぎ少な目、スープ濃い目……など細かく指定できる。
 ラーメン好きの俺はこの『来来亭』の他にもほとんどの有名なラーメン屋を制覇したが、これが不思議なことに、『来来亭』を含めたどこの店もだいたい同じようなラーメンなのだ。かつて大阪に転勤になっていた頃に好きだった『第一旭』も、なるほどこのテのラーメンと同類であった。どろどろス−プでおなじみの『天下一品』も今では東京都内でも食べられるので有り難味が半減(しかし、都内で食べるのとは確実に味が違う)。かくして、あっという間にラーメンに飽きてしまった。
 国道沿いにある『天輪うどん』という旨い讃岐うどんを食べさせる店はずいぶん早い段階で発見した。大盛りは無料だし、土曜日には“たらいうどん(釜揚げうどんみたいなもんです)”が食べ放題となるので、かなり通いつめた。週に三度ほど行っていたこともあったので、夜のアルバイトの女の子とは顔なじみになるほどだったが、いくら旨いうどんも食べ続ければさすがに飽きる。
 事務所の近くに『とら吉』というこ汚い定食家があって、ここもかなり愛用した。なにより、日常の食事に近い“定食”が食べられるというのは、同じ外食をするのでも気分が違う。ただ、ここの定食のメニューが、とんかつだのチキンカツだの焼肉だの、かなり肉体労働者向けメニューが多く、飽きるのも早かった。
 「滋賀まで来て、なんで吉野家に行かなあかんねん」というスタンスのもと、チェーンの外食店には行かないようにしていたのだが、外食の選択肢が狭められてくるとやむを得ず足が向かうこともある。牛丼チェーンはもちろん、『餃子の王将』、カレーの『CoCo壱番館』、カツ丼の『かつや』などなど。最近では何を食べたらよいか本気で悩むので、『ガスト』の目玉焼きハンバーグがとてつもなくおいしく感じてしまうこともある。

 今日は“何を食べたらよいか本気で悩む”のピークを迎えたようだった。
 訪問先から誰もいない事務所に帰ってきたのが8時過ぎ。ひとり残業をこなし、(なんでこんなことやってんだろ)とか理由のない苛立ちを感じ出したので11時前に仕事を放り出して事務所を後にする。
 「さて、なに喰って帰ろうかな……」
 営業車に乗り込んでエンジンをかけるが、めぼしい場所が思いつかない。そのままアイドリング状態で約5分、俺は放心していた。

 食生活の乱れは、精神衛生上も、良くない。


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