のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2002年07月03日(水)  路上

 俺の住む街の最寄り駅から伸びているちょっとした商店街がある。
 その通りにはナウなヤングが好みそうな洋服屋やCDショップ、雑貨屋、ゲームセンター、カラオケなどが立ち並び、そんなに薬は飲まねーよ、と言いたくなる位にドラッグストアも多く、一応『マルイ』なんかもあって、昼夜を問わず結構な人通りだ。
 そしてこの通りは、夜になると完全に若者が集う“ストリート”と化し、明らかに頭の悪そうな高校生や大学生くらいの年代の子達がこの通りを行ったり来たりしているのだ。
 まあ、自分も学生の頃は同じようなことをしたことがある筈なので頭ごなしに否定はしないが、とにかくやかましい連中である。恐らく近くの居酒屋で安いレモンハイなどを飲み倒した後なのかも知れないが、「ひよおう」とか「きぃやあお」とか、訳の分からない奇声を発している。道一杯左右に広がってケラケラと笑いながら歩いている。
 甚だ迷惑ではあるが、若き日々には誰もが通る道――と寛大な気持ちを持って、なるべくそういった迷惑連中を俺の心の琴線に触れさせないようにしながら俺は足早にその通りを過ごすのである。
 夜のこの通りには、また、どこからともなくストリートミュージシャンが多数現れる。
 ストリートミュージシャン――と言えば聞こえはよいが、俺に言わせれば『ただ路上でギターを抱えて唄っている奴』という程度のが殆ど。通りの入り口から出口まで、だいたい5〜10組の若人がギターを抱えて、なにやら唄ったりがなったりしている。
 酔っ払って騒いでいる連中は、特別気にしないように無視して通り過ぎるのだが、この路上演奏者たちのことはアレコレと気になって仕方がないのだ。
 まず、あまり歌そのものが上手でない奴。本人は気持ち良く歌っているのだろうから、まあそれはそれでよし。長淵を歌っているのが多いような気がするが。
 明らかにチューニングがズレたギターを弾いている奴。これは論外。ギターの基本はチューニングからですよ、と説教してやりたくなる。
 勿論、なかには美しいハーモニーを聴かせているデュオもいたりして、時間が許せばゆっくり聴いていたい――と思わせる奴もいる。そういうのは大抵、歌う場所も考えていて、銀行や大きな建物の入り口など、歌うとちょっと反響しそうなところをしっかりポジショニングしてるんですね。
 ああ、リズムがいまいちだとかフィンガーピッキングがあまいだとかいろいろ気になってしまうのだが、実は根底のところでは俺は彼らをとてもうらやましく思っているのだ。
 俺が大学生の頃に、今のように(技術や歌唱力が伴わないとしても)自由に路上で歌うことが当たり前だったとしたら、俺はゼッタイにギターを抱えて吉祥寺の駅前あたりに現れていたかも知れない。


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