のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2002年04月22日(月) 気分転換

 月曜日のウチの事務所はどうも殺気立っている。
 部門の全体会議があって、部長サマからキビシいお言葉を頂戴し、だいたい1〜2名がひどく怒鳴られたりする。間髪を入れずチームの会議があって、ようやく昼飯。午後になるとちょっと落ち着いてくるのだが、部長サマにハンコをもらわなければならない書類がある者は部長が会議の合間に机に戻ってきたところを狙ってそれぞれが「ハンコ下さい」攻撃に出る。部長サマも忙しいから「わかったから後にしろ!」と怒鳴ったりもする。かなり殺気立った様相である。
 俺は俺で、今日は別部門との調整が必要な事項の会議があって、その準備もしなければならなかった。
 ちょっとした企画書みたいなものも作っていたのだが、これがどうもややこしい。ずっとパソコンに向かっていることをあまり苦にしない俺だが、今日ばかりは終業時刻を過ぎるころには、頭の奥底のほうがズキズキと疼いていた。
「すいません、今日はこれでアガらせてもらいます」
 隣の席の課長に軽く断ると、俺は鞄を肩にかけた。もうそろそろ19時になろうか、という時間だった。
「めずらしいな、今日はもう帰るのか」 部長がパソコンから顔を上げた。
「ええ。今日は。ちょっと」
 テキトーに言葉を濁し、事務所を後にする。こんな早い時間に、それも部長や課長がまだ残っている状態で退社するのは実に久しぶりだ。
 今日はわけあって、都内で友人と会う約束をしていた。営業車で自宅まで戻り、自宅の最寄り駅から待ちあわせ場所の表参道まで電車を乗り継ぐ。
 約束があった、というのも勿論だが、どうも今日はいつも以上にバタバタと忙しく、妙に疲労感に襲われた一日だった。少なからず頭痛もする。こういうときは、えいやっと仕事を放りだして気分転換が必要だ、と思った。
 9時過ぎに友人と待ち合わせ。「お互い、家に帰ったら食事しなきゃならんもんな」ということで、近くのケンタッキーに入る。
 いつもメールなどでやり取りをしている仲なので、今更久しぶり――というわけでもなかったが、彼と会うのは一ヶ月振りだった。
 会話を成立させるべく、無理に話題を探すでもない。沈黙があればそれでもよし。黙ってフライドポテトをつまんでいても居心地は悪くない。妙にお互い気を遣うような仲じゃない。何気なく「そういえばさ……」と切りだした話から爆笑トークへと展開したりして。
 正味、二人で話をしていた時間は1時間もなかったと思う。思えばお互い慌ただしい“待ち合わせ”だった。
 それでも、俺にとってこの時間が、何よりの気分転換であった。


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