時々日刊たえ新聞
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4月1日から介護保険制度が変わって、訪問介護事業所(ヘルパーステーション)勤務のわたしの仕事に大きな変化が起きた。例えばこんな風なことが要求されている。今まで自分が出来ない(出来づらい)部分の家事をヘルパーにしてもらっていたお年寄りが、今後はヘルパーと一緒に家事をして、数ヵ月後にはヘルパーが要らなくなるくらい「自立」することを目標にして訪問介護を提供せよ…。そういう比較的元気な人達は今後「介護予防」というジャンルに組み込まれる。「介護予防」に認定された人には(今後認定が切れる人から順次検討される)、新しい制度なので再契約し、ヘルパーが今までのようには使えなくなることを説明し、減らす方向で計画を立てさせていただくことになる。
わたしにとってはその第一号の利用者、80代男性のお宅に今日訪問した。「Mさん、介護保険制度が変わってね、これからはヘルパーに家事をやってもらうんじゃなくて、Mさんも一緒にやって、出来ることを増やして行こうって考え方に変わったんですよ」←こんなんで本当に理解してもらえるんかいな? Mさんは「オレ、自分でやってるよ」と言う。そうでしょうとも。大方は自分で何とかやっている。ところが国が介護保険制度を導入し「さぁ、お年寄りはこれから自分の家で過しなさい。ついてはヘルパーさんに助けてもらいなさい。介護保険料を払いヘルパーを利用しなさい」と奨励したではないですか。これ以上機能が回復するのは難しいから、これ以上悪くならないために、困難な(例えば掃除をする)などの家事をヘルパーさんに助けてもらっているという人が多い。国ははっきり言うべきだ。「今後は国からはお金は極力出さないから、動ける人は自分のことは自分でしなさい、ヘルパー利用するのは控えて下さい」と。
具体的にMさんのヘルプは次のように変わる。週に1回2時間の生活援助だったが(1回利用すると381円×1月の利用回数)、今後は月に約1256円の定額負担で、1回1.5時間までの生活援助ヘルプが利用出来る。ただし、3ヵ月後にはヘルプが減り、無くなるという可能性が大きい。使えなくなるかもしれませんとしっかり伝えた(つもり)。Mさん怒るかと思ったら、怒らない。実は良く解かっていないのだろう。とりあえず、すべてに承諾をいただき契約を交わした。
これからわたしはMさんの訪問介護計画(予防介護の見地に立った!)を立てなければならない。その計画にはMさんを自立させるためヘルパーはこんなことをする(Mさんにはこんなことをしていただく)ってことを明記しなくてはならない。現場のヘルパーさんは、その訪問介護計画書のもと、仕事をすることになる。 わたしは介護保険が導入される前からヘルパーとして働いて来たが、当時楽しかったヘルパー仕事も今は理念が変わり、否定されているような悲しい思いがする。現場のお年寄りとヘルパーは、良い関係を築いて、ヘルパーは少しはお役に立って来たと自負している。今も現場では様々な感動を共有していると思う。 人は誰もが自立しなくてはならないんだろうか?寝たきりになるのは、避けたいことなんだろうか。人は最後はどっちみち寝たきりになるんじゃないだろうか。長いか短いかの違い。わたしは人の助けを受けなくていい年寄りなんか目指したくないよ。国がわたしを「自立」させたり、元気な年寄りにしようと画策することには関心がない。大きなお世話だと思っている。
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