だだの日記
2007年01月28日(日) |
アウトドアと演劇の持つ身体性/宮沢章夫さん【と飲む会】 |
大学在学中、自転車で日本各地、そして世界を旅していた。 自転車は自分の足で漕ぐものであり、体力を必要とされる。 しかも、農村や里山が好きで山間部の方によく行っていたので、 峠越えともなれば、さらにきつかった。 だけど、そうやって見た風景は格別であった。 車やバイクで労せず辿り着いたのとは少し違う景色のよう。
それはきっと「身体を使ってこそ感じられる何か」であった。
大学4回の頃から演劇にも興味を持つようになった。 魅力を語ればきりがないが、 そのうちの一つが、演劇の持つ身体性であった。 観客の目の前で、役者が言葉を発し舞台の上を動き回る。 言葉で、表情で、歌で、踊りでと 身体を使って表現することで、 ストーリーのおもしろさ以外の何かを感じていた。
そう。チャリ旅を通じて経験的に感じていたことと 共通する気がした。
劇作家・演出家・作家の宮沢章夫さんと出会ったのも、 ちょうど大学4回の時だった。
最初は彼のエッセイにハマり、 いろいろ著作を読みふけるうちに、 宮沢さんが、その頃「身体」に関心を持っていることが分かった。
例えば、誰かと対談したとして、 その場では相手の言わんとすることが理解できたとしても、 文字に起こしてみると、 文章だけではよく分からない部分がままある。 そこに、身体から生み出される何かがあるのでは。 その人なりの言葉を、からだは発してくれるのだ、とか。
「身体の発見」に主眼をおく宮沢さんに、 その頃の僕は深く共鳴した。
ちょうど9.11テロが起こったこともあって 僕自身いろんなことを感じていたが、 宮沢さんのウェブ日記で日々の思考の過程を垣間見ることができ、 それがまた毎日の自分の考えにヒントを与えてくれた。 そういった同時代感覚がすごくおもしろかった。
就職して仕事に追われるようになると あまりそういったことから関心が薄くなってしまったのだが、 昨日、アメ村のカフェで宮沢さんの トークイベントが行われると知り参加した。 ほとんど東京でしか活動されないので、 関西ではすごく貴重な機会だ。
宮沢さんを直接お目にかかるのは、今回が3回目。 久しぶりに話を聞いても、やっぱりおもしろかった。 かつて、とても影響を受けた人だけあり、 いろいろなエピソードが興味深かった。
予定の2時間を大幅に越えて3時間30分。 有意義すぎる時間を過ごすことができて幸せだった。
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