だだの日記
2006年05月07日(日) |
集えパスハンターたちよ! 南信州の地へ pt4 |
朝目覚めても、雨は降り続いていた。 テントを出るタイミングをうかがっていると、隣から 「床上浸水しています」と、テンション低めのヒキタの声。 だいぶ被害にあったようだ。 そんなにひどく雨が降っているわけではないので、 そそくさと荷物をまとめて退散。
その前に。 このキャンプ場はデポジット制になっていて、 あらかじめ預けていたお金を返してもらうべく、 キャンプ場のカードを探していた。 だけど、おかしいな。どこにも見当たらない。 「ゴミが鹿に荒らされてたから、鹿が持っていってしまったんですよー」とアカツ。 まさか、とは思ったが、これ以上探してもしょうがないと思ったので 諦めることに。あー。 というわけで、僕もテンションダウン。
昨日だいぶ上ったから、今日はだいぶ下ることに。 路面が濡れてるので気をつけて下っていたら、けっこう精神的に疲れた。ふぅー。 晴れてたら気持ちいいんだろうな。
その後も下り続け、あっという間に下界に戻った。 途中で、日本のチロルと呼ばれる地域に差し掛かる。 “チロル”自体、なんなのか知らないが、急な斜面に集落を築いていて、 すごいなあと感心。 先祖代々この土地で…というのが、理由なんだろうけど、 田畑も効率的じゃないし、子供も学校に通うのが大変だろうし、 跡継ぎとか、様々な問題を抱えてるはず。 いろいろと考えてしまう。 また、ここは遠山郷と呼ばれ、山々に囲まれたちょっと秘境チック。 雨が降っていることが幸いして、霧の演出効果もバツグン。
途中、学校の軒先を借りて休憩し、ちょろっと新聞受けを覗き見。 天気欄は、傘マークだった。 今日は一日中雨なのかぁ。 実はこの後、青崩峠という、車が通れない道を行こうと計画してただけに悩む。 雨で担ぎだったらしんどいよな、でも、一度行ってみたかったところなんだよな。 本来この道は国道152号線であるのだが、トンネルがなかなか作れず 未開通ルートなのである。それだけの難所。 さっきみたいに、雨がパラパラ程度ならなんとかなるだろう。 ここですぐ列車に乗ってもおもしろくない。 特に反対意見も挙がってこないし、みんな構わないのかな。なら行ってしまえ! てな心境で、予定通りの道を進む。 実はこのときみんな、誰かが「やめとこう」と言ってくれるのを待っていたらしいが、 みんながそんな気持ちだったとはこのときは知るよしもない。
いざ、坂道を上り始めると、雨がやっぱりネックになる。 カッパを着ないといけないが、着たら着たで暑くて汗だらだら。 雨に打たれ続けて、カッパ自体だんだん染みてきた。 なんか、だんだん去年の盆休みの北アルプスみたいな状況になってきたな。
最後の分岐に差し掛かっても、みんな黙って青崩峠の方向へ。 国道とはいえ、車が通れない以上、誰ともすれ違わない。 会話も途絶えがちになり、孤独な戦いが続く。
やがて、舗装からダートに差し掛かり、いよいよ峠へのラスト数百メートル。 そう、ここからは車が通る道はない。 遊歩道みたいに整備されているが、遊歩道なので入口は普通に階段だった。 看板には、峠まで歩いて20分と書いてある。 おぉ、20分担ぐのか? ヒキタ氏がちょこっと下見に行って 「最初だけきついが、それ以降は大文字レベルなのでは」との判断。 進むのか、退くのか、苦渋の作戦会議の末、前を目指すことに。
今回サイドバックなので担ぎはややしんどい。 担ぐべきところでもできるだけ押すことに。 しかも悪いことに、先日の会社のレクリエーションで 膝を痛めていて、自転車を漕ぐ分には問題なかったのだが、 歩くとびっこを引くようにならざるをえない。 ラスト20分だからと、雨に打たれながら、最後の気力を振り絞る。
そしてついに、ついに、青崩峠へ。 雨なので景色はさっぱりだったが、 生活必需品の往来から「塩の道」とも呼ばれ、 あの武田信玄が南へ攻め込む時にも利用された歴史ある峠。 感無量のひと時だ。
余韻に浸るのもほどほどにし、先を急ぐ。 予定よりもだいぶ遅れている。 ふたたび担ぎ出すと、ほどなくして、林道に出た。 これは、下界まで通じてる道なのか? 明確な答えはその時点で出てなかったが、 ひとまず、道があることに安堵した。 生への確かな実感と言おうか、 無事生きて帰れることを感じた瞬間だった。
ここで、ヒキタ氏がヒルに襲われる。むむ、恐ろしや。 しかし、いったん道へ出てしまえば、後は一気に下り坂。 休めるような場所もなかったし、一目散に下る。 目的地の水窪町に、お風呂があれば行こう。 なくとも、旅館などに交渉して外来入浴できるように頼んでみよう。 そんな心境であったし、そうやってみんなを励ました。 全身がずぶ濡れで、お風呂に入らなかったら 風邪を引いてしまうのではという危機感もあった。
しかし、行き着いた水窪には、そんな銭湯が見当たらない。。。 警察に聞いてみて、もしなかったら旅館を紹介してもらおうと行ってみた。
ダメもとだとは思っていたが、なんか警察の対応にすごい腹が立った。 具体的なやりとりは控えるが、 こっちはびしょ濡れで、困ってるのに、なんか他人事のような感じ。 まあ、確かに警察の仕事じゃないのかもしれないけど、 この状況の中でそんな対応はないんじゃない? 旅館にも「宿泊客が優先だから」とつれなく断られ、 仕方がないので駅に行って輪行する。
電車で1時間かかるとはいえ、湯谷温泉へ行くことにした。 濡れた衣類を着替えていると、僕もヒルにやられていて、 どろっとした血が飛び出ていた。 アウトドア生活は長いが、実はヒルにやられたのは初めてかもしれない。 雨が相変わらず降り続けていたが、 温泉にたどり着き一息つけた時は、ホッとした。
引き続き飯田線に乗って豊橋まで出て、 新幹線の終電まで、焼肉店で打ち上げをする。
久しぶりの自転車ツーリングは、最後なんとも苦い思い出になってしまったが、 毎日が充実していた。 へろへろになるまで自転車を漕いで体を動かし、 温泉に浸かってビールを飲んで明日に備える。 同行の友といろいろなことを語り、地元の人と出会い、現場を見てきた。
今回、天候面で的確な判断ができず迷惑をかけてしまったが、 このメンバーと一緒に旅することができて、彼らには感謝の言葉が尽きない。 また、これに懲りずいろいろ行きましょう!
■使用経費 (1日目) 切符8820 パン231 ビール300 コンビニ879 温泉350 ビール330
(2日目) 牛乳150 ソフト250 コーラ150 お菓子250 温泉500
(3日目) 缶詰105 コーラ150 お菓子110 キャンプ場1160 風呂500 ビール650
(4日目) お菓子130 切符9030 温泉1000 コーラ150 焼肉4000 お茶150
(合計) 29345円
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