だだ争論

だだの日記

2002年10月16日(水) 意識の深層

日野啓三の訃報を伝えるニュースで、毎日新聞は彼をこう評していた。
「現代人の意識の深層を明快で硬質な文体でとらえた作家」

あるいは、読売新聞。
「科学文明と人間存在の深層を見つめ続けた」

僕が日野さんに対して持ってる印象はまさにこれだ。
初めて著書を読んだ時の感動は忘れられない。
掛け値なしにおもしろかった。

池澤さんのデビュー作を読んだ時とほとんど同じ読後感。
強烈な印象だった。
だから、僕は一冊読んだだけでこの作家は好きだろうなと感じてしまった。
果たしてその通りであった。

彼を語るキーワードで、「文明批判」とか「都市幻想」もあるみたいだが、
そちらはピンとこない。僕が読んだのは後期の作品だけ。
腫瘍の手術をさかいに作風が少し違うのかもしれない。
そこのところはもうちょっと読んでみないとわからない。

昨日の夕刊を各紙読み比べてみたが、やはり読売の扱いが一番いい。
池澤さんの追悼文まであるところはさすがです。
(それにしてもやけに対応が早過ぎ。確か今フランスだよね?)
それに比べ、朝日の記事はいまいちだった。

以前、新潮社の編集者と話す機会があった時、好きな作家として挙げたら、
「若いのに渋いねー、周りにそんな人いないんじゃない?」
と言われたことを思い出しました。
渋いかどうかは知らないけど、確かにそのとおりです。
読んだことがあるという人なんか聞いたこともありません。
ちょっと寂しいです。

* * *

『ポストコロニアル』(小森陽一、岩波書店、★★☆☆☆)
この本の主題を要約すると、
「日本が欧米列強なみに「近代化」することができた国家的政策としての
「文明開化」の過程を、「自己植民地化」の過程として、とらえなおす」

ということなのでしょうか。

基本的に何が言いたいのかわかりませんでした。
一節ごとの話は読めるんだけど、
それが全体としてどうまとまっているのかさっぱりです。
点と点が線にならない。

ちょっと難しかった。いや、だいぶ難しかった。
(ところどころおもしろかった)

もうちょっと「ポストコロニアル」な話題について、
わかりやすい本が読みたいです。


【200時間ヒアリングマラソン】
・映画「巌窟の野獣(JAMAICA INN)」 (100min)
  一般的に駄作の部類に入るらしいが、
  ストーリーに関して言えば、思ったよりおもしろかった。
・映画「ラスト・オブ・モヒカン(THE LAST OF THE MOHICANS)」 (110min)
  イメージしてたものとは違っていたが、かなりよかった。
  ↑のヒッチ作品と比べると、音楽も映像も実に雄大で気持ちいい。
  でも、時代背景と人間関係がなかなかわかりずらかった
  (最後まで主人公はモヒカン族だと思ってた。
   米大陸で英仏が戦争してたこと知らなかった)。
  (イメージしてたもの→「ゴーストダンス」(『楽しい終末』より))
・ENGLISH JOURNAL 11月号 (30min)
  図書館で借りれる。安上がり。
  じっくり読むと有益な雑誌かもしれない。
・NHK News(15min)
  MDに録音したので明日繰り返し聞こうと思う。

Today 4.3h
Total/Target 12.8/12.5h (+0.3h)


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