月と散歩   )   
DiaryINDEXpastwill


2002年06月13日(木) 一刀

僕はカミナリに撃たれたことがない。

―――

初恋は、『友達』だったのが いつのまにか『それ以上』になっていた。

『夢』が現実になったときも、僕はまだ夢心地で、気が付いたら『夢』から覚めていた。


初めてロックに触れたときも、当時 それよりテクノや民族音楽(笑)に夢中だったので
うっかり聴き逃してしまった。

―――

僕は、カミナリに撃たれたことがない。

―――

男の子には、強い『武器』に憧れる時期が、必ず ある。

例えばそれは
エアーガンだったり、黒塗りの木刀だったり。
速いクルマだったり、タイガーマスクだったり。

…権力を欲しがったり、戦争を起こしたり。

そういえば、ユングは 「ピストルは『ペニス』の象徴」 って言ったとか
…ってのは、また別の話だけど。


強い『武器』。

それは、自分を主張できるもの。

―――

僕の探していた『武器』は、中古屋の片隅で 眠っていた。

ジャンク品の山の中で、それはひときわ異彩を放っていた。
ひと目みて、惚れてしまった。

フェンダーのベース。

僕はそれほど音楽や楽器に詳しいわけじゃない。
そんな僕でも知っている、フェンダー。
別に、ミーハーというわけでもない。

けど、かなり強い『武器』には違いない。


それを手に取って見たとき、僕は初めて カミナリに撃たれた。


ガラスに映った自分に、思わずニンマリしてしまう。



男の子は、自分を主張できる『武器』に 憧れます。


―――

それは、『刀』というより
むしろ『野太刀』だ。

錆びちゃいるけど、
研げば また 光るさ。


…叩ッ斬る…!


―――

ジャンク品ということだったので
ちゃんと音が出るかどうか、かなりの賭けだったんだけど。

部屋に戻ってから、恐るおそる アンプに繋ぐ。


…その、野太い咆哮に、僕の世界が揺れた。

―――

というわけで。

ベース、始めました。

(なんか、「冷し中華、始めました」みたい(苦笑))


りべっとまん |MAILHomePage