今日のつぶやき@日々暮らはおもしろ
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2004年02月10日(火) |
「ベルセルク」はただのダーク・ファンタジーじゃない |
ここの、いちばん最初の日付を日記に それについて少し触れているけれど。
当時(2001年6月頃)は日記のタイトルは「あれもスキ・これもスキ」でした。 そもそも毎日書こうとかいう意志はなく 趣味的なことを書くスペースとしてエンピツを借りたのです。
その後同年8月にHPを移転したのを機にIDを変え タイトルも「とりとめのない話」に変更しました。 その年の12月に今の「日々の暮らしはおもしろい」に ふたたびタイトルを変更し、それからほぼ毎日のように更新するようになったのでした。
って、話題が逸れそうなので元に戻すと、 だからこの日記を書きはじめた当初は 自分の好きなことや物を熱く書き綴りたいという気持ちがあったのだけれど それは「日々の暮らし」とは少し離れたものだったわけです。
実際にはその頃はもう私の中の「熱」が随分沈静化していて 少々「脱・オタク」なのがなんとなくさびしい気もしていたけれど、 あえて「日々の暮しはおもしろい」というタイトルを選んだのは 趣味的な「好きなもの」に情熱をかけることに限界を感じて 日常の暮しの中から「おもしろいこと=好きなこと」を見つけていきたい と思ったのかもしれません。
いや、だからつまり。 何が言いたいかというと、私は書きたいわけです。 1月19日の日記にもちょっと書いてるけど 最近再度大ハマリ状態にある「ベルセルク」のことを。
ただ、この日記を読んでくださってる皆さんは いくら2002年に第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を取った作品とはいえ ほとんどご存じない方ばかりだと思うので 興味のない方はここでどうぞとばしちゃって下さい。
自他共に認める(?)漫画好きの私だけれど 「BANANA FISH」も好き、「日出処の天子」も好き 「陰陽師」も好き、「幽遊白書」や「HUNTER×HUNTER」も好き 大島弓子も萩尾望都も大好き。 だけど、ただひとつを選べと言われたら 「ベルセルク」 がいちばん好き。 「面白い」だけではない、心を掴まれる何かがあるのです。
ええ、もうノロケと同じですよ。「恋は盲目」ですから。(笑) でも何か(or誰か)に夢中になる というのは本人は楽しいもんです。
☆☆
そもそもこの「ベルセルク」という漫画 1989年から連載されているのでもう14年も続いているのだ。 当初の月刊誌を経て、月に2回発行の青年誌に移り コミックスも現在までで26巻になるけれども、 なにしろその青年誌というのが毎号ビキニのお姉ちゃんが表紙の 婦女子にはなんとも買いづらい雑誌で、もしもアニメにならなかったら 多分私も知るのがもっとずっと遅かったと思う。
かなり遅い時間にやっていたアニメだったので見逃すことが多くて 時たましか見ていなかったのだけれど、 その最終回にはひどい衝撃を受けた。 こんなに最終回の後味の悪いアニメははじめてだった。 いや、エヴァンゲリオンがあるかも…
「うそー、これで終わりなの!? そんなのってないよー」 と思っていたら、やはり反響は大きかったようですぐに再放送がはじまった。 はじまったけど、我慢できずに原作を買い集めて読んだ。 読んでまたまた衝撃を受けた。
主人公は隻眼、片腕は義手、身の丈を超すほどの大剣を携えた「黒い剣士」ガッツ。 「ベルセルク」の単行本の3巻の途中までは、この黒い剣士が さながら狂戦士(=ベルセルク)のように復讐に生きる姿が描かれている けっこうありがちなダーク・ファンタジーなのだけれども、 3巻の終盤から過去の話になる。ガッツの生い立ち、孤独な少年時代、そして 「黄金時代」と呼ばれる、主人公が運命の友と出会いかけがえのない仲間を得、 恋をして、それから全てを失って黒い剣士となるまでの過程がとても丁寧に なんと14巻中盤まで続くのだ。(連載年数にして約6年半ほど)
読者は結論を知っている。途中、宮廷絵巻を思わせるような中世の騎士物語風の エピソードも、すべては運命の歯車が動くように悲劇へ向かう過程なのだということを知っている。 しかし。それを忘れてしまいそうになるほど、精密に練り上げられたストーリーが続く。 散りばめられた伏線がすべてここに繋がるのだと徐々に明らかになっていく。
「なぜ彼は右目と左腕を失ったのか」「なぜ彼は復讐の剣士になったのか」という 説明に当たるはずのこの「黄金時代」は、しかし物語全体の根幹と言える 大変重要な部分であり、そこがあえてファンタジーではなく「人間ドラマ」として 丁寧に心理描写されてあることで、読者は その後の主人公の深い絶望と怒りと悲しみを知り衝撃を受ける。
最初に登場した、酷薄でダークな主人公「黒い剣士」の 「人として耐えられないぐらいの心の傷」の原因が明らかにされるのに とても長い時間を費やされているから尚更なのだ。
アニメの方は、この「黄金時代」をメインにしている。 だから、その最終回は主人公が全てを失うところで終わっているのだ。 これでは救われるわけがない。 しかし、エヴァンゲリオンと違うのは、ベルセルクはここから再びはじまるのである。
とても残酷な物語だと思う。 残酷というのは、ただ単に凄惨な殺戮とか残虐なバイオレンス・シーン があるというだけでなく、心理的な意味での残酷さがあるのだ。 ある意味こんな悲しい主人公を私は知らない、と思えるほどに。
たしかに、壮絶なバトル・シーンやグロテスクな化け物がたくさん出てくる。 怖がりな私はスプラッタな映画とかは絶対に好んでは見ない。 だけれども、この漫画にはそんな怖い場面とは裏腹な 作者自身が「少女漫画的」だと言うほどの 切ない、悲しい、人間の心のヒダが繊細に描かれているから好きなのだ。
さて、女性にはとてもオススメしにくいと思われるこの漫画、 いったいどこが「少女漫画的」なのかということは、 長くなったので次の日記に。
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