2004年04月24日(土) |
『ホテル ビーナス』の感想 |
◆『ホテル ビーナス』
この映画に対する、最大の疑問…、それは…、
ソーダって、本当に花が好きなの?
↑これを、最大の疑問として掲げるのは、どうなのか?と自分でも思うけど、やっぱり、私の中で、1番引っ掛かるのは、これなんです…。
●ソーダの部屋の花が、枯れたままになっているのは、何故?
まあ、これはまだ良いです。
ものすご〜く良い方に取れば、花が好き過ぎて、枯れても捨てられない、とも考えられるから。
(ちょっと有り得ないけど…)
●花屋から持って帰った花の包みを、水にも浸けず、一晩以上放ってあるのは、何故?
そりゃね、あの花の包みの中には、クスリが入っているから、見たくない…、開けたくない…、嫌な現実を見るのは、少しでも後にしたい…。
そういう事なんでしょう?
その(脚本の)意図は判るけど、でも、花に罪はない筈で、本当に花が好きなら、放って置けるだろうか?と、思ってしまうんです…。
この2つはね、何回か見ていて、気が付いたと言うか、気になって来た事なんだけど、次のは、初めて見た時から疑問で、ず〜っとず〜っと引っ掛かっていた事…。
●サイが割ってしまった、アネモネの鉢植え…、あれをそのままにしたのは、何故?
チョナンが、ガイに謝っているシーンで、割れた鉢や、土と一緒に、捨てられている花が映ったでしょ?
何故、他の鉢にでも植えてあげなかったの?
サイは、アネモネの花を、へし折った訳でも、踏みにじった訳でもない。
拒否して、払い除けて、鉢を割っただけ…。
すぐに植えかえてやれば、花は助かった筈…。
何人もの人間があの場に居て、何故、誰もそういう事を考えないの?
看護婦だったワイフ…。
お裁縫が得意で、母の心を持っていると思えるビーナス…。
料理が得意な、お節介なチョナン…。
植木鉢ぐらい、すぐに調達出来そうなダスター…。
そして、花が好きだと言う、花屋のソーダ…。
何故?
1回目に見た時から、気になって仕方がなかった。
私はね、そんなに花が好きな訳じゃないんですよ。
勿論、綺麗な花を見れば、綺麗だな〜と思う。実物でも、テレビや写真でも。
季節を感じたりもするけれど、ガーデニングが趣味って訳じゃない。
たまに、切り花を買って来る程度のもの…。
そんな私でも、すぐに植えかえれば助かる筈なのに、って思うのに、何故、ソーダは?
花をあのままにしてしまうのは、花が可哀相なのは勿論だけど、サイも可哀相だと思うの。
せっかくガイがプレゼントした花を、あんな風にしてしまった事を、サイは、いつか後悔すると思う。
花を助けられたら、サイに返してあげられる…。
サイが、自分がした事を後悔した時に、渡してあげられる…。
もしも、私があの場に居たなら、そう考えたと思う。
でも、あそこに居た人で、そんな風に考えた人は、誰も居なかった…。
多分、私がこの映画を見ていて、登場人物にはまり込んで泣けなかったのは、この事が最大の理由だったんだと思います。
私は、かなり涙もろい方なんですけどね…。
脚本の麻生哲朗さんは、花そのものや、アネモネのエピソード(風に乗って、云々)を、小道具としては、利用しているけれど、花に対する愛情は無いんだと思います。
花が好きだという人の気持ちも、理解していないんだと思います。
●もう1つ疑問だった事…。
ドクターが、ワイフの将来を考えて、自分と一緒に居てはいけない、ここに居てはいけない、と思うのは判る。
でも、ガイにでも幸せにしてもらえ、って言うのは、おかしいと思う。
『ホテル ビーナス』に来る人達は、皆、訳有り。
子供を連れた、いかにも訳有りそうなガイの名前を出したのは、2人が話してるのを見て、嫉妬したからでしょ?
そんな、薄っぺらな気持ちなの?
ワイフに、本当に幸せになって欲しい。
まともな場所で、まともに生きている男に…。
そう思うべきじゃないの?
細かい突っ込み所は、書きません。
そんな事は、もうどうでもいいから。
◎映像は綺麗だった。
カラーのままでも良かった気がするけど。
◎セットも素晴らしかったと思う。
『ホテル ビーナス』の内部も、外側の、あの石段や建物の壁とか、凄く素敵だったし、ウラジオストクの街並の実景とも、ぴったり合ってたと思う。
◎音楽も素敵だったと思う。
◎役者さん達も、素晴らしかった。
お芝居の上手な人達ばかりだったし。
中谷さんは綺麗だったし。コ・ドヒちゃんは可愛いかったし。
★チョナンはね、カッコ良かった。最初から最後まで。
慎吾くんが言ってたみたいに、こんなカッコ良い草なぎ剛は、初めてかも知れない。
他のどんな役柄の人物とも違う、初めて見るような顔をした、カッコ良い草なぎ剛。
それは確かだと思う。
実際に読んだ訳じゃないから、本当かどうか判らないけど、どなたかが、
「プロモーションビデオのような映画」と、評されたとか。
私も、そう思います…。
三枚目ではない、カッコ良いチョナン・カンのプロモーションビデオ。
そう思うことにします…。
これ書いてたら、泣きたくなりました。
私だって、もっと褒めたかったよ…。
手放しで、良い映画だった! 感動した!って書きたかったよ…。
号泣しました!って、言いたかったよ…。
剛くん、ごめんね…。