moonshine  エミ




2003年05月10日(土)  ひとり遊びと、『ベッカムに恋して』 ガールズ・キック・オーバー・サリー

 天気の良い土曜日。
 昼過ぎから、ひとりふらふら出歩く。
 電車に乗ろうとしたら、沿線の駅でちょうど人身事故が発生した直後だったらしく、上下線とも不通。
 なんと人身事故の多いことか、JR九州鹿児島本線!!
 先月、友人と飲んでいる途中に先輩から『事故で電車止まってるぞ』と携帯メールが入り、「またかよ!」と怒り狂っていたら、後日、線路に飛び出した1歳の赤ちゃんを追ってお母さんが飛び込んだところに列車がきて、親子とも亡くなるという事故だったと聞き言葉を失ったが、今日はなんだったのだろう。
 ともかく、駅を少し離れて公園で待機。1時間ほど時間をつぶして、ようやく博多へ。そしてまた、博多近辺の公園で小一時間。楽しい。楽しいぞ。ヤヴァイぞ。

 かねてより狙っていた映画を見る。
 イギリス映画『ベッカムに恋して』。
 というタイトルを聞いただけで、思わず敬遠しそうになったアナタの気持ちは分かるが、先入観を捨ててよくよく宣伝を見てみると、これがオモシロそうだったのだよ。
 そして、予想比150%くらいは軽くいってるオモシロさだったのだよ。
 
 イギリスに住むインド人の女子高生、ジェスミンダ。
 サッカーが大好き。
 同じくサッカー大好き少女ジェールズに誘われ、女子チームに入る。
 そこの監督は、なんだかカッコよくて優しくて、少しだけ影があって☆☆☆。
 だけど、厳格なインドの両親は、
「女の子がサッカーなんてトンデモナイ!
 人前で、足を見せるなんてトンデモナイ!
 インド人以外の男と結婚するなんてトンデモナイ!
 おとなしくしなさいお勉強しなさいババジ(インドの宗教の聖者)を敬いなさい・・・・」 
 と超保守的なのである。
 さあ、ジェスミンダは家族の反対を押しのけ、どうやって夢を叶えるのか?!
 どうやって恋を実らせるのか?! 

 なんて、そう、青春映画の王道なんだけど、
 この映画にみなぎる青春のパワーはもンのすごい。
 登場人物だけを取り上げてみても、
 
  夢に向かい、恋を知ってどんどん美しくなるジェス、
  親友のイギリス人少女、すらりときれいなジェールズ、
  やや軽薄だけど、理解者であるジェスの姉ピンキー、
  サッカーも大好きなインド人の男友達トニー、
  娘たちに伝統を守らせたい、でも愛にあふれたジェスの両親、
  ぶっ飛んだジェールズのお母さん(もう後半は彼女が出てくるだけで笑える)、
 
 みんながみんな、すごく生き生きしてて、表情豊か。
 
 恋のお相手であるジョナサン・リース・マイヤースは、『ベルベット・ゴールドマイン』でデビッド・ボウイ役(笑)を演じてた人なんだね!
 あまりにも爽やかなんで気づかんかった。
 彼がどこでどうジェスを好きになったのかはよく分からないのだが、
 いや、恋なんて、そんなもんなんだ、とすんなり納得できるのよ。

 画面には生命力がみなぎっている。
 女子サッカーチームの面々の、引き締まった肉体がピッチを躍動するさまといったら、
 もう壮観である。
 今すぐ自分も走り出したくなるくらい。こんな贅肉つけてる場合じゃないよ!
 そして、途中で挿入されるお姉ちゃんの結婚式とパーティーでは、
 インド人の活力がすごい。食えや歌えや踊れや!!
 お父さんもお母さんもおばあちゃんたちも踊る踊る!!
 未婚のジェスに
「インドの男は、みんな大型エンジンで馬なみよ」  
 だもんねー、おばあちゃんたちのパワーはすごいし、そんな高齢の人たちを敬うインドの伝統はやっぱり美しい。
 
 いろんな問題が提示されてる映画でもある。
 人種問題、男女差別、親子の問題、友情と恋の板ばさみ、夢と家庭の板ばさみ、
 考え出したら深いものばかりなんだけど、この映画はパワーがあるからサラッとしてる。
 
 ちょっとしたやりすぎ感、最後ちょっと冗長かな?という感もあるのだけど、
 その頃には見てるこっちが 
 もっともっと見せて! まだ終わんないで! 
 と思ってるのだからオッケー。
 スクリーンに向かってる自分の顔がニコニコしてるのにびっくりだ。
 一人で見てるときって、基本的に無表情で見るよね、場面場面で笑ったり泣いたりはあっても。
 それがもう、歯ァ出して、にっこり見てたもんね、ハハハ。
 音楽も元気でよかった。サントラ買いたいくらい。

 さて、問題はこれなのよ。
 そんな最高の映画だったのに、シネ・リーブルったら、私を含めて6人しかいなかったのよ客が! しかも、みんな一人で見に来てる人(しかも男)ばっかり!
 これってどうよ?! 土曜の夜に、遊び相手のいない寂しい人々だけにしか受け容れられないような映画じゃないよ、これは?!
 もちろん、場所がシネ・リーブルだからってのもあるし(単館系)、封切られてからけっこう日が経ってるってのもある。
 でも、この映画の最大の弱点は、そう、タイトルであろう。
『ベッカムに恋して』
 このタイトルで、ベッカムに恋心を抱く夢見る夢子ちゃんだったミーハー少女が、いつしか現実に目覚め、本当の恋を見つける・・・
 なんて陳腐な二流・三流な展開を一瞬のうちに思い描いて拒否反応を起こす人々、何百万人もいたはずだ。

「どうしてみんな、いいものを見ないんだ、
 評判のいいシカゴを何の迷いもなく見て、『うーんイマイチだったかも』
 なんて言ってるくせに、どうしてもっと選択肢を広げないんだ、
 あんなに面白かったのに。『ベッカムに恋して』どうして客がいないんだ・・・」
 と憤りながら帰り道、それじゃあ!と自分でこの映画のタイトルを考えてみた。

  『ガールズ・キック・オーバー・サリー』(←インドの民族衣装のことね)
  『シュート!』(あ、こんな少年マンガあったな・・・)
  『フットボールに恋して』(ベッカムを抜いただけ)
  うーむ、やっぱり客は来そうにないな(^ー^;

 それでこの映画でのベッカム様のご登場といえば、ほんの些細なもの。
 でも、やっぱり重要。
 ベッカムは女性にサッカーを広めたスターであり、スターゆえに持たれる偏見と対峙する人間であり、家族を大事にするフェミニスト(?)でもあるわけで。
 やはり、『ベッカムに恋して』でいいのかな。
 作品中、本当にベッカムに恋する子が出てくるんだけど、それが誰かは、見てのお楽しみ。
 家族で見ても、恋人と見ても、女の子同士で見ても、もちろん一人で見ても。
 万能型のお薦めができる映画だったな。
 まだ余韻に浸っている私。

 それで、にっこりしながらおうちに帰る途中、夜の公園に寄ってまた小一時間。 
 あー、ひとり遊びって楽しい☆
 日光を浴びるって、すごくエネルギーを使うことなのかもね。
 なんか、健康的に疲れて、日記が書けずぐっすり寝ちゃったよ。
 また行こう。雨がちになったり、暑くなったりする前に。
 ひとり遊びじゃない遊び、友だちと行く楽しげなイベントも続々と決定しつつある。
 今月の終わりから来月にかけて、楽しめそうだ。
 夏になったら、季節労働者(←私のこと)は解放されるしね!





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