moonshine  エミ




2003年03月02日(日)  それでも春は

 春。春がきたようだ。
 晴れた空、青く、鳥たちの歌声、愛らしく。(後半はウソ)

 春は芽吹きの季節である。萌え出づる季節である。
 そういえば、高校に入学したのも大学に入学したのも春だった・・・というのは当たり前なんだが、いまMDウォークマンに入れて聞いているPLAGUESというバンドの音楽を初めて聴いたのも、大学に入る前の春休みのことだった。『センチメンタル・キックボクサー』は私にとって思い入れ深いアルバムのベスト5に入るだろうな。
「ハッピー・プレイス」や、「最後のハイウェイの夢」など、いつ聴いても春のイメージだ。月日は流れ、このバンドも今は(事実上の解散といってもいいような)活動休止中である。

 今月中には相棒のしんちゃんが福岡を離れるだろう。私には寂しい春だが、だからといって落ち込んでばかりいるわけではなく、自分のやりたいことに邁進したい春でもある。新しいことも始めてみたい、だって春だもン。なんて言いながら、4月は決算作業が集中するので、季節労働者よろしく仕事に忙殺されているのかもしれない。

 今日だって、「春ねー」なんて、晴れ晴れうららかな外を見ながら、家に籠もって掃除とか片付けものとかをしつつ、あとで走りに行こうかな、なんて特に変わったところのない日曜日を過ごす予定だったのだが、さすが春効果(?!)、思いも寄らぬ電話に見舞われて、気がつくと時間に遅れないために駅までの道のりを全力疾走している私がいた。何とか目当ての電車に駆け込み、息を切らしながらマフラーも上着も体から取っ払う。春なのだ。

 わけがわからないままに、でもこういうことはフットワーク軽くいかなきゃね!と出かけて会った人々。目が点になるほど新しい話を聞いた。面白そう! 飛びついてみるのもいいかな?と思ったが、会社人という身の上が大きな障害になる話、結局ボツる見込み。でもまあ、そっか・・・そういうこともできるんだな。しかも、私が誘われたりすることもあるんだな、と、また一つ開眼したような気持ち。抽象的な書き方でごめんなさい。

 せっかく天神まで来たので、うろついてみることにする(←これじゃ何か怪しい? 笑) 先週から目を付けていた靴、やっぱりかわいいんだ。でも、私は小足さん。22.5センチで、しかもかわいい靴って、今は容易に見つかりません。サイズがあるか店員さんに聞いても、90%は「ナイ」の答えが返ってくるので、尋ねるのさえ憂鬱になるほど靴を買うのは楽しく苦しい。
「えーっと・・・この靴って、23センチからしか、ないですよね? ね?」
 と、何だかこういうときに卑屈になってる自分がイヤなのだが、店員さんは
「あ、22.5からありますよ、それは」と笑顔。えーッほんとですか?!と浮かれるも、私が欲しかった色は店にはなかった。ブルータス、おまえもか・・・(ふるい。)在庫を問い合わせて明日連絡をくれるというが、このシチュエーションで「ありました!」という快答がくるのは20%くらいか。期待せず待つことにしよう。

 靴屋と向かいのショップに入って、かわいいTシャツが目に付いたので手に取ると、すかさず店員さんが近づいてきた。
「かわいいですよね!」と言うので、「はい、かわいい柄・・・」なんて相槌をうつと、なんと、「お客様のことですよ☆」とニッコリ微笑んでいるではないか。
 は、春効果か? すごすぎる。
「さっき、靴屋さんにいるときから、同僚と(と、向こうの店員さんと目を合わせて頷き)かわいい人だよねーって、言ってたんですよ☆☆☆」などと重ねて。
 そんなことを言う店員さんを思わずまじまじと見ると、そりゃもう、むちゃくちゃに可愛い顔をして、むちゃくちゃに可愛い服を着ているのである。
 なんて商売上手なんだ。唇が痒くならないんだろうか? いつもこの手でくるのか、この店?! と自分を戒めようとするが、こんな賛辞を受けるのに全く慣れていない身では、さすがに平常心ではいられない。
「これ、このスカートがねえ、絶対似合うと思うんですよー」と言われるままに試着などして更なるお世辞の嵐を受ける。彼女のお薦め品を断るので精一杯だった。ええ、買いました、(彼女は全く薦めなかった)ジーンズを・・・。いや、ピカデリーのジーンズ、買おうと思ってたんです、春夏用に。色みだって、前から決めてたし・・・。なんて言っても、言い訳にしか聞こえませんな。おだてに弱い私です。

 帰り道、弥生の空は群青色。
 さすがに暮れると肌寒い。
 深い新しい春よ来て。いいえやっぱり来ないで。来て。来ないで。
 心乱れても、必ず来る。今年も春は、また。





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