| moonshine エミ |
| 2003年01月16日(木) 悲しみの同行者 | ||||
| ゆうべは、大変だった。 日記も書いて、明日の洋服も決め、さあベッドで少し本を読んで寝よう。 と、いつもの幸せなパターンをなぞったのだが、 しばらく本棚で眠っていて、最近、妙に気になっていた本 『夢見通りの人々』(宮本輝 新潮文庫) を手に取ってしまったものだから、もうもうもう。 号泣だった。 感動して涙が・・・ということは、映像にしろ本にしろ、割とよくあるんだけど、この本はもう、違うの。 涙で文字が見えないどころか、ちょっと落ち着こうと思って本を置いて、タオルで顔を拭っても拭っても、涙があとからあとから泉のように。 小さい子が、泣き終わってもヒックヒック言って止まらないような、そういう泣き方になる。 嗚咽しながら寝た。 「夢見通り」という商店街を舞台にした連作長編。 メルヘンで幸せそうな名前とは裏腹に、大阪の下町の、さびれて生活感にあふれてる、小さくてコキタナい商店街。 貧乏で生活にくたびれた、人間だれでも持っている汚い心を、容赦なく描いていて、それでいてあたたかく、圧倒的に哀しい。 そう、哀しいのよ!! 第2章「燕の巣」という話、短いんだけど、すごい。 人生ってなんて悲しいんだろう、それでも命ある限り生きていかなきゃならなくて、それはなんて悲しく、ひとかけらの喜びさえも、なんて儚いんだろう。 ぐるぐるぐるぐる、考えた。 この地味な小説に魔力のような鋭さがあるのは重々わかっていたので、覚悟して読み返しを始めたけれど、とてもじゃないけど平静な気持ちでは読めなかった。 いや、悲しい。悲しいよ。生きていくのが嫌になるくらい。 本は、私の道連れ。すなわち人生の同行者。 沢山の道ゆきを同じくするものたちの中でも特別な位置にあるもののひとつ、『夢見通りの人々』。 ゆうべは2章まででやめといたけど、また必ず続きを読むよ。覚悟して、タオルも用意して。 今夜は同僚と食事に行った。 わーっと騒ぐのも面白いけど、のんびりおしゃべりしながら過ごす時間も好き。 いろいろ話して、話しながらまた考え、含蓄ある夜だった。 話したこと、考えたこと。 それはまた、次のお話。 |
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