moonshine  エミ




2002年03月05日(火)  地下倉庫にて

 昨日のことだが、初めて地下倉庫に入った。
 古い資料が眠る場所。

 噂には聞いていたが、そこは廃墟。
 キャビネットはあるがそんなものお構いなしに、そこここにもダンボールが積まれ、足が壊れたり古くなったりした椅子も、大量に、無造作に放り投げられている。

 めくれた床紙の裏から大量の虫がわいてきても、
 狭いキャビネットとキャビネットの間にモンスターが潜んでいても、
 あるいは、朽ちていくばかりのダンボールの一つが実は宝箱で、中から秘剣“エクスカリバー”が出てきても、驚きはしなかっただろう(←ウソ。)
 そう、そこは秩序のないダンジョン。

 で、私らが何をしに行ったかというと、キャビネット2段分、ダンボール(大)にして8箱分のスペースを空けること。
 もうすぐ地上の収納が定員オーバーになるのを見越して、事前に地下の場所を確保にきたのだ。

「うわ、▼○★社の資料、まだとっとったと?!」(←出た! 典型的博多弁)
「ほんとだ、懐かしいですねえ」
「あっこの仕訳帳、もう10年以上経っとう。焼却してえなあ」
「ここに運んで、3年間で一度も見てないんだから、この先も見ることはないよなあ」
「とか言って捨てたら、次の日に部長が『地下からアレとってきて』て言うんだよな」
「うーん、この辺のスペース、空けたいですよね」
「そうやね、この辺・・・」
 
 なんて言いながら、なかなか誰も動き始めない。
 どうやって処理するべきか、途方にくれている。

 結局、「第XX期 決算資料」
    「第XX期 国際案件」
 なんて書かれたダンボールから、適当なのを見繕ってガバっとあけ、一応、中を確認して、倉庫のさらに奥のほうのキャビネットに移す、という、悪循環の手段に出る。
 4人で作業すること20分くらいで、目標のスペースが空く。

「空きましたね・・・」
「ああ、空いたな」
「来週くらい、上のファイル、持ってこようか」
「ですね」
「・・・よし、ダミーを置いといて、場所を取られないようにしとこう」

 そして、床に散らばっているダンボールのいくつかと、
 中のファイルだけ奥に移して空っぽになったダンボールのいくつかを、
 あいたスペースに再び適当に放り込む。

 ・・・この、おざなり整理法のツケは、いつ払うのだろうか・・・。
 とある会社の、地下倉庫事情。 
  

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