moonshine  エミ




2002年01月10日(木)  不良少年とキリスト

 ゆうべは上司に拉致され、
  居酒屋→中洲のスナック
 というコースを辿り、結構飲んで帰ってきたのだが、ふと寝る前に開いた『堕落論』(坂口安吾 著)を読み始めたら、やっぱりやっぱり面白すぎてしばらく読みふけってしまった。
 おかげで、眠いのなんのって。明日はやっと金曜かぁ。

『堕落論』には12のエッセイが収められていて、表題作「堕落論」「続堕落論」の凄さは言うまでもないが、きのう読み返したのは「不良少年とキリスト」。
 不良少年とキリスト・・・。なんてタイトル!
 しかもこれは、彼と同時代に生き、同じく「無頼派」と呼ばれ、文壇の偶像であったが心中という道を選んだ、太宰治をも論じたエッセイなのだ。

「太宰はフツカヨイ的に死んだ」
 という、偶像にかかったフィルターを一気に取り払うこのエッセイは、
「戦争も自殺も、子供の遊び」
 なんて目のさめるようなことを言い切り、そして
「学問は限度の発見だ。私は、そのために戦う」
 と、短く強い決意で結ばれる。
 
 おおくの文学者が自殺を選んだ時代、安吾は生きることを決めていたのだ。
 それでいて、
「生死を論じる哲学や宗教になんて、何の真理もない。あれはオモチャだ」
 と、言っちゃうからねぇ。この人は。かっこいいったら。
 
 生まれたから、生きる。
 それだけなのさね。けっきょく。
 
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