moonshine  エミ




2001年09月13日(木)  言葉が見つからない

 テロが正しいはずはない。暴力は憎むべきこと。市民を巻き込んでいいはずがない。
 もちろんそうだ。犠牲者や家族を思うと、胸が痛い。
 それでも。
 それだけでいいのかなあ、という気がしてしまう。この事件に対しての、感想は。

 私たちとは違う倫理で、違う正義で、違う信念で生きている人々は、確かにいるのだ。
 そして、彼らが、違う世界で生きなければならないのは、なぜなのか。
 貧しさや、身近な紛争。肉親の死。血で血を洗う歴史。搾取。宗教。
 そんなものとは縁遠い国で暮らす私たちが、彼らを愚かだと言い切ることができるんだろうか。
 彼らの生き方は、低劣なものでしかないのか。
 私たち先進国民は、高等な教育を受け、正しい感想だけをもっているのか。

 もちろん、私はテロを容認する意見を述べているわけではないけれど。
 パレスチナで事件を喜ぶ、お年寄りから子供まで、大勢の一般の人々を見て、背筋が冷えた。
 あまりに根深い。
 犠牲者たちに哀悼を捧げて、テロリストたちだけを憎んで、報復して、それで終わりなんかでは決してない。

 国家の威信にかけてやるだろうといわれる報復は、アメリカという国の正義だ。
 アメリカとその同盟国への憎しみは、アラブの人々の正義だ。
 日本の正義ってなんだろう。
 靖国に対しても、テロ、報復、武力に対しても、私たちの国には、ここに生きる人々には、感想がない。国家や思想のために死ぬ人々をかわいそうだと言う私たちだが、国旗に敬意を表しない国民、国家の歴史や未来に対して意見を持たない国民を、他国の人々はわらうだろう。
Mail Home

BBS blog


<< >>