2004年04月01日(木) |
オーバーエイジよりアンダーエイジ |
サッカー・ワールドカップアジア一次予選が、昨夜行なわれた。 日本の相手はシンガポール。FIFA(国際サッカー連盟)の最新のランキングは108位で、同27位の日本から見れば明らかに格下である。日本代表には海外のクラブで活躍中の選手たちも招集されていて、アウェーでのゲームということを割り引いても大勝は間違いないとみられていた。 ところが、試合展開は全く予想に反したものになった。序盤こそ相手ゴール前で再三決定的なチャンスを作ったが、肝心の得点を奪うことができない。ようやく34分に高原のシュートが決まって先制したが、前半はこの1点だけ。 後半に入ると、暑さと過密スケジュールの影響からか、欧州組を中心にパタッと脚が止まる。すると63分、一瞬の隙を突かれて相手に得点を許してしまう。1対1。まさかの同点。 このまま終れば勝ち点1。他会場では、日本と同組のライバル、オマーンがインドに大差をつけてリードし、勝ち点3を加えるのは確実だ。もはや得失点差を云々している場合ではない。 ジリジリした展開の中、途中交代で入った藤田が待望の勝ち越しゴールを挙げる。時間は82分。ロスタイムを加えても残り15分という際どい時間帯でのこの1点で日本は辛くも勝利を収めた。勝ち点6。グループトップ「かろうじて」堅持。 試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、ピッチ上の選手にもベンチのジーコ監督にも笑顔は一切なし。表情は険しい。それにしてもなぜ、こんな綱渡りの展開になってしまったのか。
一人の選手にその責を負わせるのはナンセンスだということを承知の上であえて言う。「柳沢よ、キミは本当にフォワードなのか」。 圧倒的に押していた前半、柳沢が放ったシュートはわずか3本。うち、枠に飛んだのはわずか1本。その1本を見て、私は柳沢には完全に見切りをつけた。 前半30分すぎ、ゴール左前わずか数メートル。こぼれ球を拾った中田からのパスは、柳沢の足元にピンポイント。並のFWなら、角度さえ変えてダイレクトではたいてやれば易々とゴールできた球だ。ところが…、あろうことか柳沢はこの絶好の位置でワントラップしてしまい、時間的余裕をプレゼントされた相手DFにシュートを弾き返されてしまった。 後半、柳沢のシュートはゼロ。打てるチャンスがなかったわけではないが、ペナルティエリア正面でも彼はパスを選択していた。 23分、鈴木と交代。いいところなし。彼に関して言えば、海外から召集されてコンディションが良くなかったというレベルの問題じゃない。FWとしてどこか根本的に間違っている。サッカーは得点を相手より1点でも多く取るゲーム。そのことを、点取り屋である彼は知らないのだ、きっと。 柳沢にはサッカーの技術はあるのかもしれない。でも「上手」であることと、頼りになるということは違う。どんなに不恰好なゴールでも、得点を決めてくれるヤツの方が優秀なFWだ。いいサッカーなんてしなくても、点を決めてくれれば何も言わない。ディフェンスに殆ど興味を示さず、前線にベタ張りの「世界一のFW」ロナウドが、ここ一番で決めてくれるみたいに。
柳沢より、もっとガツガツとゴールに向かうFWがこの国にはきっといる。もしこれまでの代表経験者に適任者がいないなら、若い世代から引っ張って来たっていい。オリンピック代表チームにオーバーエイジを入れる入れないといった議論をする前に、A代表の決定力不足の権化のような柳沢に代えて、アンダーエイジの選手投入を考えた方がよっぽど建設的だと私は思う。相手ゴール前で日本のチャンスの芽をことごとく摘んでいく柳沢は、もはやFWではなく敵のDFに他ならない。
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